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収入よりもやりがいの”安定”を。「英雄になる」ために、ある男が選んだパラレルワークの道

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あなたが人生をかけて達成したい目標はなんですか?

この問いに即答できる人は、大人でもそう多くないと思います。

「僕、小さい頃から”英雄”になりたかったんですよ。」

インタビューの冒頭、株式会社ワールドスケープ代表取締役CEO・海保けんたろーさんは、その問いに子どものような笑顔で答えていました。

海保さんが経営する株式会社ワールドスケープは、アーティスト支援サービス「Frekul(フリクル)」の運営、人の好みをAIが理解して、未知の音楽を聴かせてくれる「Lumit(ルミット)」など、音楽に関する様々なサービスを展開しています。

実は海保さんは元々プロのミュージシャンで、現在もドラマーとして活躍しています。経営者でありながら現役ドラマー。まさに二足のわらじを履いて活躍する海保さんに今回、自身のパラレルキャリアについて、そして今の世の中に対して感じることをお聞きしました。

全ては英雄になるため。その目的のためにドラマーと経営者を選択している海保さんは、一体何を見つめているのでしょうか。

プロフィール:海保けんたろー

ドラマー / 株式会社ワールドスケープ代表取締役

1981年生まれ東京出身。
高校入学とともにドラムを始め、22歳からプロとしての活動を開始。
「キマグレン」「ハシグチカナデリヤ」「SONALIO」など数々のアーティストのサポートドラマーやバンドメンバーとして活躍する。

2011年には、音楽業界を変革するためのIT企業・株式会社ワールドスケープを設立。
音楽活動支援サービス「Frekul」や、音楽発見アプリ「Lumit」の開発運営を行っている。

現在は音楽活動と会社経営を並行しつつ活動中。
将来の夢は英雄になること。

ビジネス経験ゼロのバンドマンが起業!?プロの世界でぶつかった、音楽業界の壁

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―プロとして活躍するバンドマンだった海保さんですが、現在は経営者としても活躍していらっしゃいます。どのような経緯で現在の立ち位置になったのか、まずは海保さんの経歴について簡単に教えてください。

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海保けんたろーさん(以下、海保さん)
はい、たしかにキャリアが飛びすぎていて何がどうなって今のキャリアになったのか謎ですよね(笑)。簡単に説明します。

僕は小さい頃から有名人になりたい、ビッグになりたいという夢がありました。この夢は今現在も「英雄になりたい」という形であるんですが。

さて、そんなことを漠然と考えていた学生時代、好きだった女の子がドラムを叩いていたんです。その影響でドラムを叩き始めたんですが、だんだん上手になってくると「このドラムというスキルを使って、有名になれるんじゃないか?」と思ったわけです。

それで高校卒業後、ずっとドラマーとして活動していました。自分のバンドもやりつつ他のバンドのサポートやアルバイトもして生計を立てていました。そして2009年、念願叶ってデビューを果したんです。

―有名になりたい、という思いを実現するためにデビューするという選択をしたんですね。

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海保さん
はい、まさにその通りです。僕の場合「プロのドラマーになる」「バンドで飯を食ってく」という考えよりも「英雄になりたい」という思いが先にあったんです。

だからデビューは、そのための足がかりになると思いました。

しかし事務所に入ったものの、CDが売れなかったんですよ。テレビのタイアップを取ってCDが売れたとしても、契約上アーティスト側に入ってくる取り分があまりにも少なすぎる。

自分の周りのミュージシャン仲間に話を聞いてみたら、やっぱりみんな給与をまともにもらえていない人たちが多かった。その時に思ったんです。「ああ、この音楽業界のビジネスモデルそのものに無理があるんだな」って。

お金をきちんと稼げない状況をどうにかしようと、メンバーと話し合ったんです。ちょうど、事務所に入ってから2年程経った頃でした。

そこで「ミュージシャンがもっとお金を稼げる、こんな機能があるサービスがあったらいいのに」ってアイデアが出て、そんなサービスを探してみたんですがどこにもなかった。

「ならいっそのこと、自分たちで作ってしまおう!」と自分たちで作り上げたのが”Frekul”であり、弊社”ワールドスケープ”なんです。

ドラマーでいることも経営者でいることも、全ては「英雄になる」という目標のため。

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―バンドからいきなり起業とは、また大胆な方向転換ですね…!それまでにビジネス経験があって、そこから起業した、というわけではないんですよね?

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海保さん
はい。アルバイトはやっていましたけど、それまでは本当にバンドしかやってこなかったですし当然、ビジネス経験ゼロからのスタートでしたね。

―ビジネス経験がある方でも起業はいろいろ試行錯誤をして、満を持して起業する、という方が多いと思います。なぜそんなすぐに起業をしようと思ったのでしょうか?

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海保さん
逆にビジネス経験がなかったからすぐに起業できたということもあるかもしれませんが、むしろ僕にとってこの起業は、めちゃくちゃチャンスだと思っていたんですよ。

デビューしても”有名になる”という目標を達成するどころか、日々の暮らしでさえ怪しくなってきている現状で、この起業のアイデアを形にして成功させれば、お金や集客に困っているミュージシャンを助けることができるじゃないですか。

その時僕は「これはめちゃくちゃ英雄感出てるぞ…!イケるぞ!」とワクワクしていましたね。

―やはり「英雄になる」という目標が第1にあったんですね。

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海保さん
そうですね。だから僕の行動の全ては、英雄になるために起こしていると言っても過言ではありません。先程も言いましたが、英雄になるためにドラマーになりましたし。

それが今度は「サービスを立ち上げて会社を経営すること」に変わっただけなんです。いずれにせよ「英雄になるために」という目的からはズレていないですし、一貫しています。

―経営者になった今でも、ドラマーとしての活動は続けているんですよね。それはなぜなんでしょうか?

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海保さん
単純にドラムが好きで音楽が好きという理由もありますが、今の会社ではミュージシャンをターゲットにしたサービスを展開しています。

なので、まずは僕自身がミュージシャンであり続けて「このサービスってほんとに使えるのかな? 役に立つのかな?」と自問自答するようにしています。

ミュージシャンでありながら経営者をやることは、一見してかけ離れているように見えるかもしれませんが、実はとても密接に関わり合っているんですよね。

起業のリスクは想像以上に低い!「収入の安定」と「やりがいの安定」、どちらを選ぶ?

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―さて昨今、パラレルキャリアについてメディアなどで大きく取り上げられていますが、これからパラレルキャリアを選択していこうという人たちに対して、何かアドバイスをいただけますか?

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海保さん
パラレルキャリアを選択することは手段に過ぎません。結局のところ、自分がどういう人生を送っていきたいのか、どういう人になりたいのか。この問いにどのように答えるのかは人それぞれだと思うんですよね。

僕の場合、その問いの答えは「英雄になること」だった。英雄になるために、ドラマーになって経営者にもなった。目的を達成させるためには、2本のプロジェクトを同時に走らせていた方がいいと考えたんです。

だから結果として、パラレルキャリアという道を選びました。

もし、パラレルキャリアを選択すること自体を目的としている人がいるなら、一旦立ち止まってよく考えた方がいいと思います。

―たしかに、ただ漠然とパラレルキャリアを選択するというのは危険かもしれませんね。

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海保さん
そうですね。逆に自分の目的がしっかりと定まっていてブレない人は、どんどん挑戦するべきだと思っています。

実際はパラレルキャリアだったり起業だったりを選んだ方が幸せになる人って多いんじゃないかなと。

僕が普段からとても感じているのは、起業することって実はめちゃくちゃリスクが低いということです。

僕はビジネス経験ゼロで起業して、かれこれ7年経ちます。この7年で感じたのは、経営がうまくいかなくなっても、変な終わらせ方さえしなければ実際なんとかなります。

それにたとえ起業に失敗したとしても、今の日本においてそう簡単に餓死ってしないと思うんです。体さえ元気であればいつだって働くことができる。

そうした金銭的に自分のことを守ってくれる安全な鎖がたくさんあるのに、みんな「収入の安定」をとても重視するなあと感じています。

―起業に失敗しても、命が取られるわけじゃないですからね。

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海保さん
その通りです。人間はそう簡単に死なないと思うんです。

なら、もっと自分の本当にやりたいことをやる人が増えていってもいいんじゃないかなと思うんです。自分のやりたいことを仕事にするということは、たしかに最初は金銭的には我慢をすることになるかもしません。

しかし「やりがいの安定」は必ずあります。仕事自体が大変でも、自分を押し殺したりする必要がないから精神的には安定してくると思うんです。

―「収入の安定」と「やりがいの安定」のどちらを選ぶか、ということですね。

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海保さん
はい。今の世の中、どうしても収入だけの観点で「安定か」「不安定か」という2択を選ぶような風潮になってしまっているんじゃないかと感じています。

だからもっと「やりがいの安定」を選ぶ人たちが増えていってほしいなと、思っています。

そして「やりがいの安定」を選びつつも「収入の安定」も最低限は欲しい。そういう方にとって、どちらも実現できる可能性が高い選択肢の1つとして、パラレルキャリアがあると思うんです。

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最新記事をお届けします

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起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

Q.「ブックオフ」の苦境がニュースで報道されることが増えています。ブックオフが得意とする「中古」のマーケットには実は未来はないのか…。ニュースを見ながらそんなふうに考えた方がいるかもしれません。では、同じく中古品を扱うサービスとして人気の「ヤフーオークション(以下ヤフオク)」の売上は、伸びているのでしょうか? それとも停滞しているのでしょうか?

今回は2択です。理由もあわせて考えてみてくださいね。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

今後伸びる市場について考えてみたときに、「中古」「シェアリング」といったキーワードは1つの大きなテーマとなるのは間違いなさそうです。

『アントレ』に掲載されている独立支援情報を見ていても、中古品の買い取り業やカーシェアリングなど「シェアエコノミー」を取り入れた仕事は多くなっていますし、リユース・リサイクルといったテーマで事業を行う新しい会社も出始めています。

世の中の全体がリユース、シェアという方向に進んでいるのは明確ですから、「時代を映す鏡」とも言われるフランチャイズビジネスで、こうした流れが加速しているのも当然といえば当然です。

一方で、少し前から「ブックオフ」の苦境がニュースで報道されることが増えています。ブックオフといえば、ご存じ、リサイクルショップの中でも最大手の1つです。時流という追い風に乗って成長業界を牽引していてもおかしくなさそうな同社が、なぜ苦境に立たされているのか。

今回は、このブックオフのケースから、いろいろと考えてみたいと思います。

それでは解説します!

ブックオフの主要取り引き商品は、「本」「CD」「ゲーム」です。これらは、今の時代における「3大市場縮小コンテンツ」と言っていいものでしょう。

ブックオフも当然それはわかっているはずです。最近は店舗だけでなくネットでの買い取りや販売も行って間口を増やしています。また、携帯電話やタブレットなどデジタルアイテムの取り扱いを増やし、ラインナップの強化にも取り組んでいます。黙って売上が落ちるのを見ているだけではないのです。

さて、中古品を売り買いするサービスとしてもう1つ代表的なものが「ヤフオク」です。そのヤフオクの売り上げはどうなっているのでしょうか。

発表されている数値を見てみると、2年ほど前までは年7〜8%の成長を続けていましたが、最新の調査では3.5%の成長となっています。この数字だけを見れば勢いが止まったようにも見えます。しかし実際のところは、「メルカリ」のような新しいサービスが出てきたことで一時的に売り上げを落としているのではないか、というのが、専門家たちの見立てのようです。

こうした状況から言えるのは、中古品を扱うマーケットそのものはやはり着実に伸びているということです。新しいサービスが次々に生まれ、活性化しながら市場規模は間違いなく大きくなっています。

しかし、ブックオフはその流れに乗れていません。

そして、こうした状況は将来、あなたのビジネスでも起こり得る可能性があるのです。

つまり、成長業界にいるにもかかわらず、自分のところの主力製品が伸びを欠き、事業がうまくいかなくなるという状況です。それが起こった時にどう対応すべきかという思考訓練は、常にしておいた方がいいでしょう。

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コンサル視点で考えた「3つの対処法」とは

ブックオフの苦境の理由を一言で言ってしまうと、「主力製品の売り上げの落ち込みにビジネスの転換が追いついていない」ということだと思います。

ここで私ならば、今後の対処法について3つの方向性を考えます。

「業態転換」「ビジネスモデル転換」「イノベーション」です。それぞれについて説明します。

(1)業態転換
コンサルがこのような時に最初に何をするのかと言うと、徹底的にヤフオクを分析します。どういう出品カテゴリが増えているのかを調べ、出品が多いということは売り上げも多いだろうという推測のもと、売り上げの構造を徹底的に調べていきます。

その視点でブックオフの商品構成を見ると、本やCD、ゲームというのが時代遅れになってきていること、ハードウェアといってもスマホみたいに頻繁に何度も買い替えないものを扱っていてはダメだということがわかってきます。そして、扱うべき「伸びるコンテンツ」を考えます。

ただし、新しいコンテンツを扱うには、ノウハウが必要です。明日から突然、ブランド品や金券を扱おうと思っても、その商品を扱うためのノウハウがなければうまくいきません。その点、ブックオフは上場企業ですから、財務力があります。企業を買収するなどして、新しいビジネス領域に入っていくための方法を考えることができるのです。

(2)ビジネスモデル転換
同じ領域で続けていく場合に、ビジネスモデルを転換するのは1つのやり方として有効です。現在のような店舗型で在庫を持つビジネスモデルからの転換を考えます。

たとえば「Amazonマーケットプレイス」のような出品者と買いたい人をつなげるビジネスモデルや、「ヤフオク」や「メルカリ」のようなフリーマーケットをモデルにしたビジネスへの転換・参入を検討します。

(3)イノベーション
アメリカに「True Facet」という、時計とジュエリーを専門で扱う人気のフリマサイトがあります。この会社は、イノベーションの会社として注目を集め始めています。

何がすごいのかというと、画像解析技術が活用されている点です。出品されたものを画像解析し、商品のデザインやフォントなどの細かい違いを見極めることで、偽物があれば即座にはじかれる仕組みを整えているのです。つまり、偽物が出品されないという価値が、イノベーションによって担保されているわけです。

このサービスは、中古流通における最新のイノベーション事例と言えるかもしれません。そして、こうしたイノベーションを取り入れることで、現状打破を図ります。

苦境に備え、あらかじめ選択肢を持っておこう

たとえ成長業界に身を置いていたとしても、様々な理由から、自社の成長が止まってしまったり、苦境に立たされることはあり得ます。起業家として経営を行っていく以上、その時の対処法について選択肢を持っておくことは大切なことです。

今回はブックオフのケースを参考にしてみました。この手のニュースに触れた時に、思考トレーニングだと思って「自分ならどうするか」を考えてみることは、経営者として必要な力を養うにはもってこいですから、ぜひ訓練だと思ってやってみてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「売り上げは伸びている」でした。 何かと話題の「メルカリ」のように、今後も新たなビジネスが次々と立ち上がっていきそうな「中古」「シェア」のビジネス。目が離せません。


PLOFILE
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経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。

2017年5月25日

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将来的に法人設立を考えている方や、今まさに法人化の準備をしている方。初年度から知っておくべき税金について、プライムファイナンシャルパートナーズ会計事務所の菅 彰裕さんにお話を伺いました。

どちらに頼む? 「税理士」と「会計士」の違い

今回お話を伺ったのは、税理士の菅さん。法人設立初年度から知っておくべき税金について数回にわたってお伝えするのですが、そもそも税理士の業務について詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。
今後、法人設立にあたり税理士や会計士の方と顧問契約を結ばれる方や、スポットで専門家に相談したい…という方に向けて、まずは税理士と会計士の違いについてご紹介します。

実は、会計士は税理士にもなれるのです。
そのため、会計士だけの専門業務はありますが、税理士だけの専門業務はありません。
一般的に会計士は監査業務を行っています。監査業務とは、会社が作成した決算書が本当に合っているかどうかを第三者の立場でチェックすることです。
その過程で決算書作成にも携わりますが、主に金商法に基づいた投資家目線の決算書(または会社法に基づいた債権者目線の決算書)を作ります。
つまり、投資家の方が「毎年利益が出ているな」「この会社に投資したいな」と思ってもらえるような決算書を作成しています。

一方、税理士の業務は会社が出した数字をもとに決算書を作るお手伝いをして税金を計算することです。
この場合の決算書は税法に基づいたもので、なるべく利益を抑えるよう作成します。

会社が上場してない限り監査は必要ないので、開業したてで上場していないのであれば税理士の方に頼むのがベターと言えます。

さらに、
税理士でも得意・不得意分野があると言います。お医者さんが外科・内科…と分かれているように税理士にも専門分野がそれぞれあるので、依頼する前にどの分野が得意なのかを確かめることをおすすめします。

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法人設立時に提出すべき4つの届出書

法人を設立するにあたって必要な届出書は数種類ありますが、今回は税金の観点から特に重要となる4つの必要書類をご紹介します。設立前後はバタバタと忙しくなりますが、必ず忘れずに提出するようにしましょう。

<<1.法人設立届出書>>

登記簿謄本、定款の写し、設立時の貸借対照表、株主名簿の写し、現物出資があるときは出資者の氏名・出資金額等を記載した書類を添付し、提出します。
提出先:税務署
期限:会社設立から2か月以内

<<2.青色申告の承認申請書>>

青色申告制度の適用を受けるための申請書で、提出すると税務上赤字の繰り越しが認められる等のメリットがあります。
提出先:税務署
期限:設立から3か月以内、設立から3か月以内に事業年度が替わる場合は事業年度内

<<3. 給与支払事務所等の開設届出書>>

社長を含む役員と従業員に給与を支払う場合に提出します。
提出先:税務署
期限:事務所の開設の事実があった日から1か月以内

<<4.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書>>

給与支給者が10人未満の場合は、この届け出を出せば通常毎月行う源泉徴収した所得税の納税が、半年に1回にできます。
提出先:税務署
期限:任意(原則は提出した日の翌月に支払う給与から適用のためなるべく早く提出するのがおすすめ)

今回は割愛しますが、上記以外も様々な届出書があります。名称だけご紹介しますので、必要に応じて準備するようにしてくださいね。

・個人事業の開廃業届出書
・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却資産の償却方法の届出書
・適用事業報告
・就業規則届
・労働保険関係成立届
・労働保険概算保険料申告書
・時間外労働、休日労働に関する協定届
・雇用保険被保険者資格取得届
・雇用保険の事業所設置の届出
・新規適用届
・被保険者資格取得届
・健康保険被扶養者(異動)届
・国民年金3号被保険者資格取得届

法人税を抑えたいなら、最優先で提出すべきは青色申告書!

「繰越欠損金」と言うことばを聞いたことはありますか?
青色申告書を提出している法人が、赤字(欠損金)を翌期以降の黒字(課税所得)と相殺できる制度のことを言います。繰り越しが出来る期間は最大9年なので、この制度をうまく活用することで法人税を抑えることができるのです。

1年目は白色申告、2年目以降に青色申告としてしまうと法人税の優遇を受けられなくなるので要注意です!

<<青色申告なら最大9年間法人税が免除>>

例えば1年目に1000万円の赤字が出てしまい、その翌年に努力が実り1000万円の利益が出たとします。1年目は当然税金がかかりませんが、ポイントは2年目です。青色申告書を提出していれば、初年度の赤字を最大9年間繰り越せますが、白色申告の場合1000万円に税率を掛けた分を支払わなければなりません。
実際、設立時に青色申告書を出さなかったために初年度の赤字を繰り越せず、翌年度から多額の法人税を支払わなければならなくなった…というケースは珍しくありません。

このように、税金には知らないと損をするケースが多く存在します。逆に、知ってさえいればたくさんのメリットを受けられるので、今のうちから知識を身につけておくことをおすすめします。

次回以降も、法人設立初年度から賢く経営するために知っておくべき税金に関してご紹介していきますね。


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プライムファイナンシャルパートナーズ株式会社
代表取締役社長
菅 彰裕

世界最大級のPwCグローバルネットワークのメンバーファームであるPwC税理士法人より独立開業。非上場企業、上場企業、日本居住者、非居住者と幅広いクライアントの業務を担当する。
業務内容は、オーナー企業の事業承継対策の検討、組織再編によるグループ会社の整理、事業承継のための株価対策、国内および国外のIPO支援、国内買収案件における税務デューデリジェンス、非居住者の国内投資にかかる税務コンサルティング、その他執筆サポートなど。

2017年5月24日

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「あなたの好きなことはなんですか? 好きなことを仕事にしていますか?」

今回インタビューしたのは、矢萩邦彦さん。矢萩さんは20年間、教育・アート・ジャーナリズムの3領域を中心にパラレルキャリアを歩んできました。

前編では、20年の時間をかけて培われたパラレルキャリアの価値について伺いました。

後編では、具体的にどのようにパラレルキャリアを動かしていくのか、パラレルキャリアに向く職業、そして何から始めるべきなのかをお聞きします。

「大人だからこそ、自分の気持ちに正直でいてほしい。」毎日の仕事に追われ、本当にやりたいことを見失っている人へ。矢萩邦彦さんインタビュー後編、スタートです。

プロフィール:矢萩邦彦さん
教育ジャーナリスト/知窓学舎塾長/株式会社スタディオアフタモード代表取締役CEO

教育・アート・ジャーナリズムの現場で活動し、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を目指す日本初のアルスコンビネーター(松岡正剛より拝命)。

横浜に「受験指導×探究型学習」をコンセプトにした統合型学習塾『知窓学舎』を開校、プロデュース、講義の他、教育コンサルタントとして受験指南・講師研修・企業研修等も手がけている。

代表取締役を務める株式会社スタディオアフタモードでは、ジャーナリスト育成や大学との共同研究に従事、ロンドン・ソチパラリンピックには公式記者として派遣。

ネット媒体では、Yahoo!ニュースを中心にオーサーとして取材・撮影、記事・コメント等を執筆。主宰する教養の未来研究所では戦略PRコンサルタント・クリエイティブディレクターとして企業の未来戦略やブランディングを手がけている。

知窓学舎
http://chisou-gakusha.jp/

Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/yahagikunihiko/

パラレルではなく”スパイラル化”させることで、もっとキャリアはおもしろくなる。

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―矢萩さんは現在、教育・アート・ジャーナリズムの主に3つの領域を中心にさまざまなお仕事をされていますが、多数の仕事を同時にこなすコツなどはありますか?

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矢萩邦彦さん(以下、矢萩さん)
仕事の切り口を揃えることだと思います。そうすることでキャリアがパラレルではなく、スパイラル化するんです。

どういうことか簡単に説明しましょう。

僕の場合、教育にせよアートにせよジャーナリズムにせよ、全て「伝える」という切り口で統合しています。

たとえば、僕は2012ロンドン・2014ソチパラリンピックをジャーナリストとして取材しました。

現地で選手たちの活躍を追うことはもちろん、国際大会で起こるさまざまな問題や開催国の現状を目の当たりにしたのですが、それをネットメディアや紙媒体で記事として執筆・配信することはもちろん、テレビ番組や講演などでもお話しさせて戴きました。

また塾や予備校では社会科の授業の一環として、イギリスやロシアを題材に歴史や時事と結びつけた講義やワークショップをしたり、さらに撮影した写真を作品として発表したり、現地で得たインスピレーションを元に作詞作曲をしたり、俳句の素材として使用したり。

はたまた町づくりのアイディアに活かしたりしたりと他領域でも活かしています。

またメディアの技法を授業に持ち込んだり、逆に教育の手法をメディアに持ち込んだり相互に乗り入れる事でスパイラル化が加速していきます。

さまざまな領域で仕事をしているというと、一見普通の人の何倍もの仕事量をやっているように見えるかもしれませんが、実は活用法やアウトプットあるいは見え方が違うだけで、仕事自体は共通している部分も多いんです。

―なるほど、パラレルキャリアをする上で仕事を結合することはとても重要になるんですね。

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矢萩さん
その通りです。結合が上手に出来て回せるようになれば、パラレルキャリアはどんどんおもしろくなるし可能性も広がります。

また、例えば同じ現場でも教育者として取材するのとジャーナリストとして取材するのでは見え方がまるで違ってきます。

さまざまなフィルターを使い分けてインプットし、多様な切り口でアウトプットをする。

それを目的や場に合わせて使いこなすことこそ越境者ならではの価値ではないかなと思います。

ただ、反対に編集や結合が苦手な人、仕事を「切ったり貼ったり」することが苦手な人にはパラレルキャリアは向かないと思います。

―例えばどんな人ですか?

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矢萩さん
1つのことでないと集中できない人だったり「この仕事が終わるまでは次に進めない、他のことはできない」といったように、仕事が秩序立っていないと気がすまない人にはあまりおすすめできません。

仕事を結合するためには、編集的に頭を使う必要があります。

「これとこれをくっつけたらおもしろいんじゃないか? もっと価値を生み出せるんじゃないか?」といった問いが常に自分の中にある人、常識や先入観に縛られず、その場に応じて臨機応変に動ける人は向いていると思います。

ただし前編でもお話しましたが、どちらの人がいいとか悪いとかではありません。

この記事を読んでくださっている皆さんには、自分の向き不向き、そして何より自分がどうしたいのかという目的に合わせてキャリアを選んでもらえればと思います。

自分の経験と知見を、教育の場で活かす。講師業がパラレルキャリアに向く2つの理由

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―20年以上もパラレルキャリアを実践されている矢萩さんから見て、パラレルキャリアにしやすい仕事ってなんだと思いますか?

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矢萩さん
パラレルキャリアにしやすい仕事という点では、まず講師業でしょうか。

というのも、パラレルキャリアにとって重要なポイントは、2つあると考えています。1つは、それら複数の仕事を遂行することが物理的に可能かということ。そしてもう1つは「それら複数の仕事を両立することにどんな意味があるのか」を自分で説明できることです。

その2点を満たしやすい職業として講師業が挙げられると思います。

―1点目から解説していただけますでしょうか?

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矢萩さん
まず物理的に仕事の両立が可能かという点は非常に重要です。

時間帯という観点で見れば、講師業のメインとなる時間帯は夕方から夜にかけて。塾は学校が終わってから行くものですし、一般的な社会人のアフター5と重なります。

学習塾に限らず、社会人向けのセミナーや教室なども17時以降に設定されているものが多いですね。なので、副業規定などの制約がなければ、サラリーマンでも可能です。

―仕事と仕事の時間がかぶってしまうと両立は難しいですもんね。

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矢萩さん
そしてもう1点は、なぜ複数の仕事を両立しているのか、そのメリットは何なのかを自分の口で話せるということ。

昔に比べてパラレルキャリアという言葉を聞くようになってきたものの、まだまだ一般に浸透している働き方とは言えません。

それどころか、ほかの働き方と比べて社会的な外圧が強いんです。スペシャリストがみなプロフェッショナルであるかどうかは甚だ疑問ですが、一般的には専業の方が信用を得やすいものです。

色々な事をやっているというと、それだけで厳しい目を向けられることもあります。その外圧を跳ね返すためには、まず自分の中でちゃんと理由付けができないといけない。

そして、パラレルキャリアの自分だからこそできる仕事だということをクライアントに納得して貰えなければ、専業にはかないません。

そのためには、それぞれの仕事を続けてキャリアを積む事が必要です。それができるようになるまでは、「周りが何と言っても、自分はこの働き方を実践していくんだ」という意志が必要なんです。

―たしかにまだまだ一般的ではありませんよね。

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矢萩さん
だから講師業はパラレルキャリアに向いていると僕は思うんです。

教えるのと同時に、自分がしている仕事や自分がやってきた経験も伝えることができる。

例えば現代において、家族と先生以外の社会人と学生が触れ合う機会ってあまりないんですよね。

特に日本は教育以外の仕事を経験している教員は5%にも満たない。多くの場合、社会経験が狭い大人が進路指導を担当してしまっているんです。

だからこそ、パラレルキャリアの講師には社会的な意義があると考えます。

自分も普段社会に揉まれながら、何かしらの勉強をしながら講師として教壇にも立つ。そうしたインプットとアウトプットのバランスが上手な先生は、やっぱり魅力的ですしいい仕事をします。

―つまり、そこに自分の働き方の意義を見い出せるんですね。

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矢萩さん
はい。自分の経験や知見を教育の現場で活かすことは、立派な社会貢献でもあると思います。

もしあなたがパラレルキャリアを実践するとして、何が社会に還元できるか。

つまり、あなたが2つ以上の仕事を持っていることが「それは社会的に意味があるよね」とみんなが納得した時に初めて、パラレルキャリアというものが受け入れられるようになると思うんです。

講師業以外の職をパラレルキャリアに選ぶ場合も、何かしらの意義付けができるとブレずにいられるのではないでしょうか。

大人だからこそ、自分の「想像と実感」にもっと正直に生きてほしい。

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―では、これからパラレルキャリアを始めようとする方は、何から手を付ければいいのでしょうか?

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矢萩さん
まずは個人の趣味をたくさんやる、くらいでいいと思いますよ。パラレルキャリアというのは、自分の好きなことを始めるところからでいいんですから。

先程お話した2つのポイントはとても大事なことではありますが、最初から重く考え過ぎてしまうと一向に前に進みません。

自分の好きなことで現状できていないもの、それをまずは実行に移してみてください。

―自分の好きなことを仕事にするということが、ピンときていない会社員の方も多くいらっしゃるかと思います。そうした方が自分の好きなことを見つけるにはどうしたらよいのでしょうか?

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矢萩さん
自分の好きなことを見つけるためには、2つのパターンに大別できると考えています。

1つ目が知識や過去の経験などから「自分はこういうことが好きなんじゃないか」という想像をすること、そしてもう1つはたまたま実際に経験してみて「あ、これは好きだな」と実感すること。

つまり「必然的想像」と「偶然的実感」でしか、自分の好きなことを見つけることはできないんです。

例えば僕の塾にも「うちの子の好きなことが何なのか分からないから、見つけてほしい」という保護者さんが多数いらっしゃいます。

では教育の現場において、子どもたちに好きなことを見つけてもらうために何ができるかというと、とにかく好奇心のタネを蒔き続けることなんです。

とにかく「これは好き? これはどう?」といったように、子どもたちに対して常にさまざまなキーワードを投げかけていきます。その中で「この子はこういうことが好きそうだ」という手応えを感じたら、そのキーワードに付随する情報を持ってきて触れさせてみる。

そうした地道な作業を繰り返して、子どもの興味の幅を徐々に広げていきます。結局のところ、知らなければ興味の持ちようがないので。

―しかし、大人はなかなか塾に通う機会がありませんよね。

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矢萩さん
はい、この問題が厄介なところはまさにそこだと思います。子どものうちは学校であれ塾であれ、教育というフェーズで多くのことを学ぶチャンスがあるのですが、大人になるとそもそも教育の場に行くまでが大変なんですよね。

生活のパターンや日々の問題解決のアルゴリズムがある程度完成されていて、そのループの中で「自分の好きなことはなんだろう」と考えても堂々巡りになってしまうのは当然だと思います。

―どうすればいいのでしょうか?

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矢萩さん
自分で意識してインプットの量を増やすことですね。あとは偶然の確率を上げる。どちらにしても活動を増やすことです。

自力で自分の好きなことを探すには想像と実感しかありません。

とりあえず手探りでも今まで手にとったことのないテーマの本を読んでみるとか、イベントに足を運んでみるとか課外活動を増やしてみるとか、自分の好きなことを想像してみる機会を増やす。

そして自分自身でやってみて、実際に好きかどうか確認する。

子どもと違って社会人の難しいところは、自分の好きなことを見つけてくれる”大人”が、周りにいないこと。

であれば自分がその”大人”になって、自分の好きなことを見つけてあげればいいんです。

―最後に、これからパラレルキャリアを始めようとする人に何かアドバイスをください。

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矢萩さん
先程の話にも関係してくるのですが、パラレルキャリアという生き方を選ぶなら、自分の好きなことでないとなかなか続きません。なので自分の内側に対して常にアンテナを張っていてほしいと思います。

「あ、これおもしろいかも!」「興味あるな」みたいな、自分の些細な心の変化に気付けるようになると、見える世界が変わってくるかもしれません。

2017年5月23日

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