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たった1人でも、文房具メーカーをやれるんです

文房具クリエイター阿部ダイキさんは、中小かばんメーカーから独立し、たった1人で文房具メーカーとして創業。文房具ブランドBeahouse(ベアハウス)を世の中に送り出している。
企画も製造も営業も流通も出荷もすべて阿部さん1人で行うベアハウスの商品は、ロフトや東急ハンズなど、全国で取り扱われているとのこと。
たった1人でもメーカーとして成り立つ、ユニークで新しい仕事のスタイルを生み出した、文房具クリエイター阿部ダイキさんに、1人文房具メーカーの創業から現在に至る経緯と阿部さん自身の思いを伺った。

<プロフィール>
Beahouse
文房具クリエイター 阿部ダイキ
たった1人で文房具の企画・開発・デザイン・検査・営業・ホームページの作成やパッケージのデザインまで行う1人文具(ひとりぶんぐ)メーカーの代表取締役社長。
「自分の欲しい文具を創りたい!」という想いから2011年に文房具ブランドBeahouse(ベアハウス)を1人で立ち上げ「フリーサイズブックカバー」や「どや文具ペンケース」など革新的な文房具を次々とリリースする。ポリシーは「自分の欲しいモノを創る」

株式会社ベアハウス
https://www.bea-house.com/

もしかして、自分で全部できるかも

ー阿部ダイキさんが独立したきっかけを教えてください

阿部さん
かばんメーカーで、9年間営業の仕事をしていました。
営業なのですが、企画から製造、事務、経理と、小さい会社だったこともあり職種に関わらず、必要なパートをこなしていました。おかげさまで、仕事はいろいろと経験させて頂きました。
そのかばんメーカーには自社製品もあったのですが、大手の下請けがメインでしたから、状況次第で、売り上げが左右される脆さを個人的に感じていました。
そんなとき、改めて自分の仕事を振り返ったところ、会社の全部の工程を自分でやっているんだったら、自分で好きな会社を経営したほうが面白いんじゃないかと思いはじめたのです。

ー独立するにはリスクや不安はありませんでしたか?

阿部さん
そうですね。おっしゃるとおり、敢えてリスクは取りたくありません。
ですから、副業から始めようと。
ただ、勤めている会社は副業禁止だったので、嫁さんの名義でまずはブックカバーを作ってみることにしました。副業ではなく、嫁さんのお手伝いということで(笑)。
最初は90個作ったのですが、1ヶ月で完売しました。Amazonで売っていただけなので、もちろん店舗はありません。初期投資以外のリスクもありません。自分でデザインして、工場に小ロットでお願いして、自分で発送しました。これが起業に繋がる1人文具メーカーの原点です。ブックカバーは今でも、文房具ブランドBeahouseの主力商品です。

好きな文房具を作る会社を自分でやろう

ーどのタイミングで独立を決めたのですか?

阿部さん
コツコツ続けていたら、副業の売り上げが年収の4倍になったのです。副業の期間中に、流通大手で取り扱って頂けるようになったからです。

東急ハンズやロフトで商品を取り扱ってくれることが決まり、作った商品が売れていく導線が見えたことで、独立しても良いかなと意志をかためました。そして、会社を辞め、個人事業主として、文房具ブランドBeahouseを動かし始めました。どうせ仕事にするならば、好きな文房具を作る、自分の欲しい文房具を自分で作ろうと思ったのです。前職の経験を活かして、自分の欲しいものを企画して、製造先を探して創り上げ、販路を開拓し、発送も梱包も行うのは、副業時代も本業になってからも同じです。規模が大きくなってからは、外部にお願いすることも多くなりましたが、基本的な業務フローは変わりません。

今は、個人事業主から法人になっていますが、1人でやっています。細かい経理は税理士さんに任せたり、発送業務は外部の出荷センターに作業してもらっていますが、指示は私がやっています。もちろん、一番大事な企画/開発し、デザイン(商品/WEB/グラフィック)して、商品を営業するところは同じです。


ー第1号商品のブックカバーについて教えてください。

阿部さん
面ファスナーで大きさを調整できるブックカバーです。
文庫、漫画、ハードカバーと大きさの異なる本があると、それぞれ違うサイズの布製ブックカバーを用意するのが普通だったと思います。ベアハウスのフリーサイズブックカバーは、通常の大きさであれば、どんな本でも、1枚でカバーできるというのが特徴です。書店の紙のブックカバーは折り目を調整していると思いますが、布だと折れても安定しないところを面ファスナーで安定化させるというのが私のアイデアです。この商品がロフトや東急ハンズで取り扱って頂けることになり、今では、Beahouseフリーサイズブックカバーは、素材や色などのバリエーションも増えました。その後は、第2号、第3号の文房具も作っています。ぜひ、ベアハウスのサイトを見てください。

ー最初の資金はどうされたのですか?

阿部さん
リスクをかけないようにということで、貯金を崩して作れる範囲から始めました。最初は、貯金から投資できた90個からのスタートだったのですが、すぐに完売したので、次の商品を作る元手ができました。
特に借り入れなどを検討するのではなく、商品を回して儲かったら、その分で規模を拡大していくことが、1人文具メーカーとしての方針になっていきました。ですから、基本的に借金しないで、資金が出来たら、次の商品を回すというようなサイクルにしようと思っています。
私の個人的な気持ちの問題かもしれませんが、借金をすると、ストレスがたまるような気がして(笑)。無借金経営でやっています。

ー阿部さんの話を伺うと、好きなモノを作るメーカーになりたいと思う起業家さんも多くなるかもしれません。その場合、メーカーとして投資はどれくらい必要ですか?

阿部さん
工場を持っているわけではありません。ファブレスなので、作りたい製品や数量にも寄りますが、紙製品であれば、100万円〜200万円もあれば、製品化可能です。もっと少なくい投資で作れる商品もあるでしょう。投資額は通常のメーカーほど必要ないのです。ですから、アイデアが勝負です。
欲しいと思う商品をいかに企画するのかが、文房具クリエイター 阿部ダイキとしての腕の見せどころなのです。

ー製品がパクられたりしませんか?

阿部さん
自分が折角考えたアイデアや商品ですから、特許や意匠などで権利化はしています。絶対に真似されないとは思ってはいませんが、そっくりそのままというのは、出来ないようには気をつけています。
1人文房具メーカーですから、自分の身は自分で守らないといけないという考えです。

フリーサイズブックカバーは特許取得済みです。

目標設定しないストレスフリーな会社を目指す

ー阿部さんが1人文具メーカーとして心がけていることを教えてください

阿部さん
独立して自分で会社を設立するときに、目標設定しないって決めたんです。社員を雇って、売り上げを毎年いくら上げて…というような目標設定をしないことで、ストレスフリーな会社にしたいと思ったのです。社員を雇わないというのも、その人の生活の責任を持つ必要がないので。管理する業務は私にとってストレスだったからです。ストレスを無くすという意味でも、私の会社は、無借金の経営です。儲かったら、投資しますが、無理してまでは投資しないという方針です。
作った商品が売れなかったときだけは、ストレスになりますが…(苦笑)。

ー今後やってみたいことはなんでしょうか?

阿部さん
1人文房具メーカーとして、どれくらい1人で売り上げを上げ、会社を回すことができるのかを見極めたいと思っています。人を雇わず、どこまでやれるのか、それが見えてからでしょうね。仮に人を増やすとしても、限界を見極めてからです。

文房具ではありませんが、サバイバルゲームも個人的に好きなので、サバイバルゲーム用グッズのブランドURBAN REGIONを最近作ってしまいました。こちらも1人で回してみるつもりです。自分の欲しいモノを作るという方針は同じです。

ー最後に、起業を考えている読者にひとこと、お願いします。

阿部さん
今は、リスクの小さいスモールビジネスができるようになった時代だと思います。私の会社も事業の規模はすこしずつですが、大きくなってきました。それは、工場、販売、発送などで助けてくれる人、協力してくれる人がたくさんいるからです。本当に皆さまには感謝しています。ですから、これから起業を考えている人も、必ず助けてくれる人が出てくると思います。

独立を目指すのであれば、どんどん挑戦してください。
やりたいことがあれば、あきらめずに、でも無理せずに(笑)。
一緒にストレスフリーな社会を作っていきましょう。

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