「廃棄と購入を繰り返す消費社会」から、「修理しながら大切に使う風潮の世の中」に変化している昨今。自動車をはじめ身の回りの軽微な劣化や故障を、安くて早く直してくれるサービスへの需要が急激に高まっています。利益率90%も夢ではない自動車修理(カーリペア)ビジネスは、フランチャイズ本部の研修や支援があれば、経営未経験であっても一人で開業可能です。顧客単価を上げてリピートや紹介が生まれるビジネスのノウハウで、独立を成功させましょう!
※記載されている内容は2023年6月時点の情報です。最新情報は各サービスのホームページでご確認ください。
フランチャイズで自動車修理(カーリペア)事業を起業するには
自動車整備まで請け負うためには「自動車整備士」という国家資格が必要で、その上地方運輸局長の認証を受ける必要があります。(道路運送車両法第78条)認証の受けるためには所定の作業面積を確保したスペースや機材をそろえなければならず、自動車修理業での就労経験がないまま開業するにはハードルが高いといえます。しかし車のボディーのキズやヘコミの補修などといった軽微な修理(カーリペア)ビジネスであれば特別な資格がなくても、車を引き取るための普通自動車免許があれば始められます。
自宅などに作業用のスペースがあれば、店舗を借りなくても出張型のサービス展開できるため、物件取得費用が抑えられます。しかも、自動車修理(カーリペア)は軽微な補修サービスであっても顧客単価が比較的高く、利益が残りやすいビジネスです。
個人が開業して行う自動車修理(カーリペア)事業の作業とは、車のボディーのキズやヘコミの補修、ホイールのキズの補修、シートの破れの補修やクリーニングなどが大半です。この他にも専用機材を使った作業として、エンジンの内部洗浄・カーエアコンクリーニング・ボディー皮膜コーティングなどもあります。
なお、自動車整備に関する最も下位の国家資格「3級自動車整備士」を保有していれば、受注できる内容が増えて顧客からの信頼や競合との差別化にもなります。自動車・機械・電気電子の学科履修者もしくは実務経験者なら取得するとよいでしょう。
ただし、継続して受注し続けるには専門知識や技術の他にビジネススキル(広告・接客・財務会計など)も必要です。フランチャイズに加盟すればこれらは本部のサポートに含まれることがほとんどなので、本業に時間と労力を集中させられます。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
フランチャイズで自動車修理(カーリペア)事業を起業するために必要な資金
フランチャイズで自動車修理(カーリペア)事業を起業するために必要な資金とは、おもに開業資金・運転資金・生活費です。
自動車修理(カーリペア)事業の開業資金の目安
開業資金とは、事業を始める際に最初にかかる費用です。自力で独立する場合とフランチャイズに加盟した場合に分けて、一人社長として開業する資金の目安をご紹介します。
自力で独立した場合
目安金額は120万〜450万円です。
車両購入費 | 30万〜100万円 中古でも劣化の程度が軽く見栄えがきれいであれば問題なし |
材料費 | 30万〜100万円 修理内容と在庫ストック量による |
機材購入費 | 50万〜200万円 修理内容による |
広告費 | 10万〜50万円 チラシ(新聞折り込みやポスティング)は枚数と範囲による LPページ(ネット広告)はこだわるほど高額になる |
※広告を継続すれば一定の広告費が毎月かかります。
※来店型であれば出張車両は不要になりますが、預かり修理の場合に使う代車が必要です。
自力での独立の場合、他の自動車修理工場でに就労経験があったり、自動車整備の専門学校に通っていたりと「すでにスキルや実績を有した状態」での独立になることがほとんどです。
フランチャイズに加盟した場合
目安金額は145万〜860万円です。
開業資金は、日本政策金融公庫や銀行の「創業・新規開業の融資金」と、自治体の「制度融資」や「補助金・助成金」に、自己資金を足してまかないます。
トータルリペア | カーコンビニ俱楽部 | リボーン | |
---|---|---|---|
加盟金 | 165万円 | 220万円 | 33万円 |
研修費用 | 27.5万~55万円 ※事業の幅を広げたいときに | ※ | 38.5万円 ※開業したい事業毎に発生 |
資材費用 | 192.5万~412.5万円 ※開業したい事業毎に前後 | ※ | 開業資材26.4万円~ ※開業したい事業毎に前後 |
保証金 | ※ | 55万円 | ※ |
準備金 | ※ | 実費 | ※ |
エリア独占権利金 | ※ | ※ | 希望するエリアの人口×1円 |
※各サービスまでお問い合わせください
2023年6月時点の情報です。最新情報は各サービスのホームページでご確認ください。
フランチャイズ独自の意匠や制服・ノベルティを利用するならそのコストも必要です。
運転資金の目安
運転資金とは、事業を継続していくための必要費用です。自力で事業を継続する場合と加盟店で事業を継続する場合に分けて、一人社長として事業を継続する資金の目安をご紹介します。
自力で事業を継続する場合
目安金額は15万〜100万円です。
研修費 | 0〜20万円 高いレベルの技術の習得や作業内容を増やす場合に受講 |
車両費 | 2万〜10万円 駐車場代、ガソリン代、車検代など |
材料費 | 10万〜30万円 修理内容と在庫ストック量による |
機材費 | 0〜100万円 修理や機材を買い足す場合だけ実費 |
広告費 | 2万〜5万円 チラシ(新聞折り込みやポスティング)は枚数と範囲による LP管理料やチラシなど集客広告は毎月継続する必要がある |
加盟店で事業を継続する場合
目安金額は11万〜500万円です。
トータルリペア | カーコンビニ俱楽部 | リボーン | |
---|---|---|---|
ロイヤリティ | 4.4万円/事業毎 ※複数事業を加盟する場合は 月会費減額措置あり | 17万500円 | 0円 |
研修費用 | 27.5万~55万円 ※事業の幅を広げたいときに | ※ | 38.5万円 ※開業したい事業毎に発生 |
資材費用 | ※ | ※ | 33万円 |
システム費用 | 1万8,700円 | ※ | ※ |
データ保守費用 | ※ | 9,900円 | ※ |
※各サービスまでお問い合わせください
2023年6月時点の情報です。最新情報は各サービスのホームページでご確認ください。
自動車修理(カーリペア)ビジネスは利益率が90%になることもあるため、高額の経費がかかる場合でもその分売り上げが上がっており、経費を引いたあとでも手元に残る利益は大きくなります。
運転資金に準ずる生活費については少なくとも6ヵ月分必要で、できれば1年分あると安心です。開業から1年でなじみの顧客や紹介を増やして収入が安定するまで、当面の生活費に悩まされず本業に没頭できるからです。
自動車修理(カーリペア)にフランチャイズ加盟するメリット・デメリット
自動車修理(カーリペア)のフランチャイズに加盟するにはメリットとデメリットがあります。これらを理解して自分に最適な開業方法はどちらなのか検討しましょう。
自動車修理(カーリペア)にフランチャイズ加盟して独立するメリット
フランチャイズに加盟すると、知名度や実績など既に積み上がったブランド力を利用できるのが大きなメリットです。開業当初からネームバリューを活かして高い集客力でスタートできます。
そして、全国の加盟店で実証された「実績が上がりやすい成功法則」を学べます。特に自動車修理(カーリペア)ビジネスに初めて参入する方でも、自分でトライアンドエラーを繰り返さなくてもよいため、経営リスクを低くできるのです。
また、フランチャイズ本部からは法令や業界の重要な情報や技術動画などの研修が得られ、個人ではできないような多額の資金を投じたマーケティング広告や管理システムによって経営が合理化できるのも大きなメリットです。コールセンターへ入った案件を加盟店へ送客する仕組みを持つフランチャイズ本部もあります。
自動車修理(カーリペア)にフランチャイズ加盟して独立するデメリット
フランチャイズに加盟すると、経営の自由度は低くなります。なぜなら、フランチャイズでは加盟店間のサービスや価格の格差をなくして、どの店舗でも同じクオリティのサービスを受けられる体制にする必要があるからです。そのため、フランチャイズ本部と加盟店とで交わされる契約内容や規則・制約は遵守しなければならず、自分のアイデアをサービスや価格に反映して自由に営業することができないのです。
また、売り上げに応じた金額のロイヤリティを毎月本部へ支払わなければなりません。そのため、売り上げより経費がかかって利益が出せない月は、ロイヤリティの負担が重くなってしまう場合もあります。
しかし、加盟しない場合には情報収集も仕入れも広告経費も、すべて自分で手配して実費を全額負担しなければなりません。ですから、「経営の自由度は低いこと」も「ロイヤリティの負担」も、考え方次第で「メリットを得るための投資」と考えることもできるでしょう。
また、フランチャイズ本部が問題を起こした場合には、その評判や信頼性が責任のない加盟店の事業に大きく影響する場合があります。
予見することは非常に難しいですが、「顧客/加盟店に誠実な姿勢であるか」「問題が起きないような体制づくりをしているか」「自身がもし信頼性を失う事態に陥ったときのサポート」など、加盟前に調べるようにしましょう。
修理(リペア)事業のフランチャイズ本部の選び方
フランチャイズ本部との契約内容や関係は各社異なります。自分に合ったフランチャイズ本部を探すために、いくつものフランチャイズ本部を比較しましょう。
フランチャイズ本部を選ぶ際には、最低でも下記の3つをしっかり比較しましょう。
ブランドの知名度や評判
ブランドの知名度や評判は集客力そのものです。初めてサービスを利用する方は、テレビ雑誌のCMの露出度やネットの口コミやランキングサイトの高評価で、サービスの善し悪しを判断するからです。
開業前後のサポート体制
開業前後の研修制度や重要情報の共有・マーケティング広告支援・担当者との経営相談など、サポート体制が充実しているかは大変重要です。
フランチャイズ料金体系
加盟金・ロイヤリティの料率・特別広告費用など、加盟店の負担金額に対する効果が見合っているのかを詳しく確認します。
ここからは、自動車修理(カーリペア)のフランチャイズ本部3社について、特徴を比較してみましょう。
※記事内容は23年6月時点です。最新情報は各企業のホームページでご確認ください。
トータルリペア
開業資金が安く低リスクでスタートでき、粗利約90%で年商1,000万円も目指せます。
業界未経験でスタートしても、法人のリピート受注を獲得する方法や車以外の修理へ水平展開するノウハウが得られます。
加盟前の説明会ではオンライン技術見学会を実施していたり、加盟後の技術研修が何度でも無料で受講できたり、加盟オーナー専用サイトで技術動画がいつでも閲覧できたりと技術面でのサポートがしっかり受けられるのが特徴です。
カーコンビニ倶楽部
96%(※2005年2月、外部広告代理店調べ)という高認知率で、このブランド力が加盟店の集客や信用に大きく貢献しています。さらに、多くの媒体で大規模なマーケティング広告を展開し、公式サイトには毎月20万件以上のアクセスが集まっています。
受注窓口事業に特化して、受注後の施工は別の工場が集中して行うという形式のフランチャイズ契約など、通常よりも低予算からスタートできる別のプランもあるのが特徴的です。
リボーン
加盟金のみでロイヤリティ不要、低予算での開業を支援しています。(加盟金+研修費用+開業資材費あわせて97.9万円~)
経験豊富な講師からマンツーマン指導、3年間は回数無制限の本格的な技術研修で必ずスキルアップが期待できます。
車のレザーリペアができるようになれば、ブランドバッグや財布などへも応用して、車以外の受注ジャンルを増やせるというのも特徴です。
まとめ
2021年10月1日から「既存のすべての自動車について1年ごとにOBD※点検の実施」が義務化されたことから、自動車修理(カーリペア)ビジネスはキズやヘコミなど軽微な修理の割合が増えています。
利益率が90%を超え、稼げる魅力はあるものの「業界未経験者は参入しづらいのでは?」という固定観念を持つ方は少なくありません。しかし、フランチャイズ本部の手厚いサポートがあれば、少額の資金で未経験でも自動車修理(カーリペア)ビジネスで独立開業するのは夢ではありません。
ものを大切に修理しながら長く使うSDGsなどの世界の流れは、自動車修理(カーリペア)ビジネスにとって追い風です。フランチャイズや自動車修理(カーリペア)ビジネスに興味がある方は、フランチャイズ情報が検索できるこちらのページをあわせてご覧ください。
※On Board Diagnostics(車載式故障診断装置) の略称
https://entrenet.jp/magazine/41517/
<文/柴田敏雄>