業界未経験での起業。
独立・起業をする上で「心機一転、これまでとは違う業界で」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは、成田博之さん。
成田さんは大手広告代理店、スタートアップ企業を経て、2015年に食品の冷凍技術のコンサルティング・マーケティング支援事業を行う、株式会社えだまめを創業。
それまで食品の冷凍技術はもちろん、食品業界に身を置いていたというわけでもなかった成田さん。
「プロデュース型起業」でなら、業界未経験でも挑戦できる可能性はある、と成田さんは語ります。今回は成田さんから、株式会社えだまめの起業譚を伺いました。
成田博之さん
株式会社えだまめ代表取締役一橋大学卒業後、大手広告代理店に入社。その後スタートアップ企業へ転職。マーケターの最高責任者として同社の創業に携わる。
2015年に、食品の冷凍技術のコンサルティング・マーケティング事業を行う、株式会社えだまめを創業。
食品業界での就業経験はないながらも、持ち前のプロデュース力で事業をスケールさせる。
加えて現在は、自社ブランドであるSAKEICE(日本酒が入ったアイスクリーム)を開発、販売も手がける。
独立・起業をする上で、必ずしも「自分が働いてきた業界」にこだわる必要はない?
――株式会社えだまめ(以下「えだまめ」)の代表を務めている成田さん。まずは「えだまめ」の事業について、簡単に教えていただけますか?
主に行っているのは、食品冷凍技術のコンサルティング・マーケティングの支援です。その他事業はさまざまあるのですが、最近ではSAKEICEという商品の開発、販売に力を入れています。
SAKEICEとは、日本酒をたっぷりと練り込んだアイスクリームです。アイスの状態でアルコール度数が4%のある日本初、おそらく世界初の商品です。
――冷凍技術のコンサルティングに、日本酒アイスクリームの販売となると、成田さんは「えだまめ」を起業する前から食品業界でずっとお仕事を?
いえ、それが全く違うんです(笑)。2社の就業経験を経て「えだまめ」を起業したのですが、そのどちらもが全く違う畑でして。
1社目は広告代理店の博報堂、そして2社目では、主にクリエイターに仕事を紹介するクラウドソーシング事業を行うスタートアップ企業の、立ち上げを経験しました。
食品ビジネスとの関わりは、博報堂時代に5年間、サッポロビールさんなどB2C企業さまとお仕事をさせていただいたことくらいでした。
だから「えだまめ」を立ち上げるまでは、冷凍技術に関しても一般消費者と変わらないくらいの理解度だったんですよ。
――そうだったんですね。1社目から2社目も、全く違う業界ですよね。
はい、確かに業界的には全然違いますね。ですが自分の中では、やっている仕事にそこまで大きな差はないと思っていて。
――と、言いますと?
もちろんその時代ごとに細かい違いはありましたが、僕の仕事は、博報堂時代から一貫して、マーケティングやプロデュースが主軸でした。ある商品(サービス、または会社)をプロデュースして、その魅力を多くの人にどうしたら伝えられるか。この考え方はどんな業界で仕事をする上でも、経営においては必要不可欠です。
そこさえちゃんとできていれば、自分がこれまで働いてきた業界での起業にこだわる必要もないなと。そう思ったんです。