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バスアイテム専門店「ラトビア・ヘイズ」があえて店舗を拡大しない理由をオーナーに聞いた

バスアイテム専門店「ラトビア・ヘイズ」があえて店舗を拡大しない理由をオーナーに聞いた

店舗の拡大。

特に小売店をはじめとする店舗型のビジネスでは、商品やサービスをパッケージ化して、スケールを目指していくという方法が一般的です。

今回お話を伺ったのは、谷本瑞絵さん。谷本さんは、大阪市内本町でバスアイテム専門店「ラトビア・ヘイズ」を運営しています。

1年の半分以上が0℃前後という、極寒の地・ラトビア。そこで生まれたバスアイテムは身体の芯まで温まるといいます。

その理由は、谷本さんの「ラトビア・ヘイズ」へのこだわり、そしてある経験から生まれたポリシーにあるそうです。

<プロフィール>
谷本瑞絵さん
バスアイテム専門店「ラトビア・ヘイズ」/ステンダース・ジャパン オーナー

大学を卒業後、通訳・翻訳を含む貿易業務に従事。
その後、在ドイツNATO空軍基地で、ハーレーダビッドソンを含むアメリカ車の営業販売を経験。
ドイツ基地でのラトビア空軍大尉との出逢いがきっかけで、ラトビアのバスアイテムに興味を持つ。

帰国後、バスアイテムなどを販売するラトビアのブランド「ステンダース」アジア地区第1号店をオープン。
その後、オリジナルブランド「ラトビア・ヘイズ」を立ち上げ、ECサイトもオープン。

現在は大阪の実店舗とECサイトでのみ、同社商品を販売している。

独立のきっかけは、NATO基地でのラトビア軍大尉との出会いだった?

――まずは谷本さんの現在のお仕事について、お聞かせください。

谷本さん
大阪市内本町に店舗を構える、バスアイテム専門店「ラトビア・ヘイズ」のオーナーです。

ラトビアとは、ロシアの西隣バルト海に面した国で、通称「バルト三国」と呼ばれる国の1つ。

「ラトビア・ヘイズ」では、ラトビアで手作りする固形石鹸や入浴剤、スクラブといったバスアイテムや、ボディクリームやオイルなどのバスアイテムを取り扱います。


https://shopping.latviahaze.com/

――日本で暮らしていると、日常生活でラトビアのバスアイテムに触れる機会というのは、あまり多くない気がしますが……谷本さんはなぜ、ラトビアのバスアイテムの魅力を知ることになったのでしょう?

谷本さん
確かにバスアイテムに限らず、日本ではなかなかラトビアのものと触れる機会ってないですよね(笑)。

私自身、初めてラトビアのバスアイテムと出逢ったのは、ドイツのNATO空軍基地でのことでしたから。

――なぜNATO空軍基地で、バスアイテムに……?

谷本さん
少しさかのぼってお話しますね。

私は大学を卒業してから、通訳・翻訳を含む貿易業に従事していました。

その後、ドイツのNATO基地で、米国軍人向けの自動車販売代理店で「ハーレーダビッドソン」を含む「フォード」「クライスラー」などのアメリカ車の営業販売の仕事に就き、お客様の一人として出逢ったのがラトビア空軍大尉でした。
ある時、彼が母国ラトビアでの休暇を終えて、ドイツ基地に戻ってきた時のこと。ラトビアのお土産として、バスアイテムを私にプレゼントしてくれました。

1年の半分以上が0℃前後という極寒の地・ラトビアで生まれた入浴剤は、身体の芯まで温まり、その保温効果と保湿力に驚きました。

立ち仕事でむくんでしまった足も楽になり、寒い日の夜でも、ぐっすり寝られるようになって。

香りやデザイン、使い心地…バスタイムがまるで秘密基地で過ごすような楽しい時間に変わり、ラトビアのバスアイテムにすっかり魅了されました。

そこからある想いが湧き出ました。「日本で広めたい!」

今まで思い描いていた「海外と日本をつなぐ懸け橋のような仕事がしたい」という自分の夢と願いが、パズルのように合わさったのです。

――それで独立することになったんですね。

谷本さん
はい。大尉と彼の友人の協力を得て、ラトビア発バスアイテムブランド「ステンダース」のアジア初フランチャイズとして契約し、2007年に大阪に出店しました。

谷本さん
2016年からは「ステンダース」の商品の取り扱いに加え、私が企画する商品をラトビアで手作りするオリジナルブランド「ラトビア・ヘイズ」を立ち上げました。

「拡大するのが小売店経営の肝」という“ベター”は、私にとっての正解ではなかった。谷本さんが店舗を拡大しない理由

――現在は大阪の実店舗と、オンラインでの販売のみと、販売チャネルがかなり限られています。店舗を増やしていくことは考えていないのでしょうか?

谷本さん
そうですね、今のところ店舗を増やそうとは考えていません。

私はできる限り目の前のお客さまに、商品を丁寧に販売したい、想いがあります。


https://shopping.latviahaze.com/

――「小売店で独立」というと、販売店舗を拡大していくイメージがありますが、それ以上に谷本さんは、ご自身のポリシーを大切にされているんですね。

谷本さん
実は私自身が、かつて店舗を拡大しようとして、失敗した経験があります。

独立して間もなかった頃は「販路を広げて拡大するのが、小売店経営の肝」という“ベター”な選択肢を、正しいと信じて選んでしまった。

でもそれは、私にとっての正解ではなかった。

その失敗は、人が増えて目が届かなくなり、想いをこめて丁寧に接客することができませんでした。

――店舗を拡大するということは、人を増やすということ。谷本さん自身がお客さまと向き合う機会が減っていくのは、必然と言えますね。

谷本さん
店舗や人を増やせば増やすほど、私の目が行き届かなくなり、いつしか自分の仕事は「管理」ばかりになってしまっていました。

思いを込めて丁寧にお客様に伝えることができないのが一番つらかったです。

なぜなら「ステンダース」と「ラトビア・ヘイズ」に込める私の想いが、店舗拡大でお客様に届けられなくなっていったからです。

――「ラトビア・ヘイズ」では店舗の内装も、非常にこだわりがあると伺いました。拡大すると、そうした個性的な店舗作りもしづらくなってしまいますよね。

谷本さん
そうですね。「ラトビア・ヘイズ」では、「異空間」や「非日常」を感じられるような店舗作りを意識しています。

当店が佇む大阪市内本町はオフィス街です。あえて繁華街や買い物エリアではなく、オフィス街に出店した理由は、日常から離れた「異空間」「非日常」を、お客さまに味わっていただきたいと思ったからです。

マニアックで個性がある店づくり。万人に受け入れられない、そういうお店の方が面白くて私は好きです。

ですから、私の「ラトビア・ヘイズ」も、誰にでもというより、強く深く愛されるお店にしたい。拡大は、逆行することになると改めて気づくことができました。

「事業」に「自分」を合わせるのではなく、「自分」に合った「事業」を作る

谷本さん
大袈裟かもしれませんが、私にとって事業の在り方は、すなわち生き方でもあります。

店舗展開で事業をスケールしたり、利益追求を最優先したり、有名になったりすることよりも、規模は小さくてもいいから「ラトビアといえば谷本さん」と思っていただける方が、私の生き方に合っています。

自分の思うように、好きなように事業のスタイルをカスタマイズできることもまた、独立の1つの醍醐味だと思っています。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

谷本さん
独立・起業というと「どんな事業を作るか」ばかりに目が行きがちです。

ですが、その前にまず「自分の人生をどうしたいか」という視点に立ち、明確にする。そこからその答えに合う事業を作っていく方が幸せだと私は思います。

私の場合は、ラトビアのバスアイテムに感動した実体験と、私にしか提供できない価値に、店舗拡大を通じて気づいたことから、私の生き方に合う「ラトビア・ヘイズ」を立ち上げました。
自分の価値観がどのようなものか。これをお読みくださる方、ひとりひとり違うと思います。

自分の価値観やポリシーを土台にして事業を考える。そうすればきっと、幸せな独立・起業ができるのではないでしょうか。

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