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水素カプセル「エイム」4代目社長に聞く、事業承継する上で大切な“起業家精神”とは

水素カプセル「エイム」4代目社長に聞く、事業承継する上で大切な“起業家精神”とは

独立・起業をして「創業者」となるか、事業承継をして「後継者」となるか――。

どちらの場合も、経営者が「起業家精神」を持っていられるかどうかが、会社の命運を左右する。そう語るのは、株式会社エイム社長の小山慎吾さん。

小山さんは、溶接加工事業や水素カプセルの製造販売業を営む、同社の4代目社長です。

今回は小山さんが、3代目社長だった父から会社を受け継ぐまで、そして先代から事業を引き継いだ「後継者」として大切にしていることについて、伺いました。

<プロフィール>
小山慎吾さん
株式会社エイム 代表取締役

溶接加工事業などを営む、株式会社エイムの3代目社長を務める父親の元に生まれる。
2004年に半導体装置のメンテナンスを営む、同社の関連会社に入社。
2022年9月、4代目社長に就任。

なお同社は溶接加工事業の他、2015年から酸素カプセルの製造を開始し、現在は水素カプセルの製造・販売なども手がけている。

会社に関わる全ての人へ、恩返しをするために。小山さんが4代目社長になるまで

――株式会社エイム(以下、エイム)の4代目社長を務めている小山さん。まずは御社が行っている事業について、お聞かせください。

小山さん
板金事業や溶接加工事業を営んでおります。

主に半導体や真空装置を開発するメーカーさんから依頼を受け、板金や切削、溶接、組み立てなどを行っています。

また、そうした板金事業で得たノウハウや知見を活かして、近年では水素カプセル(※)の開発・製造・販売も行っています。

※世界で唯一、高気圧環境の中で水素と酸素を同時に吸収できる機器を開発。
酸素を吸収することで、疲労回復や美肌、冷え性の改善、怪我の早期回復などが期待できる。
また水素を吸収することで、悪玉活性酸素(肌のシミやシワなど、老化を促進する酸化作用のこと)を除去し、エイジングケアも期待できる。

https://www.aim-airpod.jp/capsule/
https://www.aim-airpod.jp/oxygen-and-hydrogen/

――小山さんが社長になるまでの経緯を聞かせてください。やはり幼い頃からお父様(3代目社長)が経営する会社を継ぐことを意識していたのでしょうか?

小山さん
そうですね。漠然とですが、こどもの頃から「大人になったら会社を継ぐことになるのかな?」と考えてはいました。

しかし幼かったこともあり、そこまで現実味のない話と言いますか……。「私が会社を継いで引っ張っていこう!」という、強い気持ちが最初からあったわけではありませんでした。

ある程度大人になり、大学を卒業してエイムの関連会社で働き始めて以降も、そのスタンスは変わりませんでした。

むしろ私が社長にならなかったとしても「力がある人が会社経営をすればいい」「適任者であれば誰が社長をやってもいいんじゃないか」とすら、思っていたんです。

――会社を引き継ぐことの重大さと責任は、こどもの頃よりも大人になってからの方が、その重圧を感じやすいのかもしれません。「社長の息子で、長い目で見たら次期社長候補」とはいえ、年齢的にはまだ大学を卒業したての新卒社員なわけですし。

小山さん
今振り返ると、たしかにそうかもしれませんね(笑)。

しかしそんな私も、年月とともに経験を重ねて、仕事や会社のことをだんだん理解していきました。そして2011年に受けたある研修で、私の中で大きく価値観が変わったんです。

――どのように変わったのでしょうか?

小山さん
当たり前な話ではあるんですが、エイムという会社は、今働いてくれている人はもちろん、これまで働いてくれた人や取引先、関係者など、本当にたくさんの人によって支えられているんだなと、改めて実感しました。

こうして自分が大人になって仕事ができているのも、幼い頃、そして僕が生まれる前からエイムという会社があったから。

先代の社長たちはもちろん、先代たちと一緒に会社を作っていった社員の人たち、そういった「過去」から「現在」までに至る、たくさんの人の力、大きな流れによって自分は支えられてきました。

そう気づいた時に、それまではどこか正直現実味のなかった「会社経営」が、ようやく「自分ごと」になったような気がしました。

人任せにするのではなく、今度は私が会社や、会社に関わってくださる方へ恩返しができるように――。

そして2015年から役員として経営に携わるようになり、2022年9月に4代目社長に就任しました。

会社の理念も課題も、全てを引き継いで未来へつなげる。「起業家精神」が後継者にも必須である理由

――エイムは創業1962年、設立1980年と非常に歴史がある会社です。会社を引き継ぐ上で、大切にしたことはありますか?

小山さん
大きく2つあります。

1つ目は、会社の「理念」を引き継ぎ、大切に守ろうと思ったことです。

経営理念とはすなわち、父を始めとする先代たちが築いてきた、いわば会社の“誇り”であり“プライド”です。

その“誇り”を私の代でも大切にして、また次の世代へ繋げていかなければならないと思っています。

――もう1つはなんでしょう?

小山さん
2つ目は、会社の「課題」もまた、ちゃんと目を逸らさず引き継いでいこうと思いました。

会社にはさまざまな「課題」がつきものですが、特に借金については、私はシビアに考えています。

事業をより発展させるために借りたお金ですから、ちゃんと業績を上げて返済をしていかなければなりません。

――先代が遺した正の遺産(理念)も負の遺産(課題)も、両方ちゃんと受け継いで責任を持つことが、後継者の役割だということですね。

小山さん
そうですね。

そしてもう1つ、後継者の役割は会社をまた次の世代へ繋げていくことだと思っています。そのために必要なのが、新しいことに挑戦していく「起業家精神」だと、私は考えています。

――創業者だけでなく、後継者も「起業家精神」が必要だと?

小山さん
はい。

先代から受け継いだ会社を、そっくりそのまま運営していくだけでは、時代の変化に対応しきれず、会社は衰退の一途を辿っていってしまいます。

後継者も、新たな事業を起こしたり、新たな分野へ挑戦し続ける姿勢が大切だと思うんです。

当社でいえば、板金事業や溶接加工事業で培った技術を応用して、水素カプセル事業もスタートさせました。今後も水素カプセル事業は継続して力を入れていこうと思っています。


https://www.aim-airpod.jp/products/

小山さん
過去を大切にしながら、新しい事業にも挑戦する。そのバランス感覚が、後継者にとって必要なことなのではないでしょうか。

独立・起業をする人も、事業承継をする人も、どちらも「起業家」であるという姿勢を忘れない

――小山さんのこれからの展望を教えてください。

小山さん
エイムが100年続く企業にしたいです。

そのために必要なのは、先ほどもお伝えした通り、先代から引き継いだものを大切にしながら、新しい事業にも挑戦していくこと。

未来へバトンをちゃんと繋いでいけるよう、過去から学び、無理のない継続的な会社経営ができるよう心がけていきたいですね。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

小山さん
同じ「経営者」といえど、自分が創業者となって独立・起業をする場合と、後継者となって事業承継をする場合とでは、苦悩の形が異なってきます。

しかしどちらにせよ、結局は経営者である以上「起業家精神」を欠かすことはできません。

私自身、エイムの社長としては4代目ですが、同時に新しい事業に挑戦し続ける「起業家」でありたいなと思っています。

独立・起業する人も、事業承継をする人も、どちらも自分が「起業家」であるというスタンスを忘れないことが大切なのではないでしょうか。

取材・文・撮影=内藤 祐介

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