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結婚と出産も、全て大切な経験。加藤マユミさんに聞く、女流マンガ家のキャリアの描き方

2019年11月22日

結婚と出産も、全て大切な経験。加藤マユミさんに聞く、女流マンガ家のキャリアの描き方

結婚、そして出産、育児。

人生においてこの大きなイベントとどう向き合うのか。多くの人にとっての課題だと思います。

ましてや産休・育休制度といったものが存在しない、フリーランスとして活躍されている方は、どう乗り越えているのでしょうか?

今回お話を伺ったのは、マンガ家の加藤マユミさん。

加藤さんは現在、子育てエッセイマンガを始めとする数々の作品を手掛ける人気マンガ家であり、2児の母でもあります。

そんな加藤さんは、マンガ家の仕事と子育てをどう両立させてきたのでしょうか。

<プロフィール>
加藤マユミさん
マンガ家

兵庫県神戸市出身。
2004年に『週刊ヤングチャンピオン』にて連載デビュー。
現在2児の母。子育てをしながらWebを中心に活動中。夫は同じくマンガ家の横山了一氏。

連載を抱えながら結婚、そして出産へ。加藤さんのキャリアを振り返る


http://leedcafe.com/webcomicinfo/%e7%99%ba%e9%85%b5%e3%81%8b%e3%81%82%e3%81%95%e3%82%93/

―現在に至るまでの経緯を教えてください。マンガ家としてデビューするきっかけはなんだったのでしょう?

加藤さん
24歳の時に雑誌「週刊ヤングジャンプ」で読み切りデビューしたのが最初です。

大学時代の終わりの頃から、東京の出版社に自分の作品を持ち込むようになって。ようやく世に出すことができました。

―大学は絵を勉強されていたんですか?

加藤さん
いえ、神戸の4年制の大学に通っていたので、絵やマンガについて学校で専門的に勉強していたわけではありませんでした。

小さい頃から絵を描くのは好きで、うっすらとマンガ家になってみたいとは思っていたのですが、高校大学と進学するにつれ、友達と遊ぶことの方が楽しくなってしまって。

絵を最優先に人生を歩んできたわけではありませんでした。

転機になったのは就職活動の時。

これから何をして働いていこうかなと考えた時に、選択肢の中に残ったのが「やっぱり絵が描きたい」という欲求だったんです。

幸い、両親は私がマンガを描くことに理解があったので、大学を卒業してからはアルバイトをしながらマンガを描く生活が始まりました。

―『週刊ヤングジャンプ』でデビューされた後は、どうされたのですか?

加藤さん
読み切りを1年に3本くらいのペースで描いていました。

それを数年経験した後『週刊ヤングチャンピオン』で連載デビューをしました。

―ご結婚されたのはいつだったのですか?

加藤さん
連載デビューしてから3年くらい経った後ですね。実は連載をスタートした時はまだ、神戸の実家にいたんです。

連載をこなしながら上京するための資金を作って、31歳の時に上京し、その1年後、32歳で結婚しました。

出産はさらにその1年後、33歳の時に第一子が誕生しました。

作品作りとは、自分の人生を投影すること。結婚も出産も子育ても、全て大切な経験


http://leedcafe.com/webcomic/%e7%99%ba%e9%85%b5%e3%81%8b%e3%81%82%e3%81%95%e3%82%93-%e7%ac%ac%ef%bc%92%e8%a9%b1/
―連載を抱えながらの結婚・出産という大きなライフイベントを迎えられるのは、かなり大変だったと思いますが…。

加藤さん
そうですね。特に出産はかなり大変でしたね。

私たちマンガ家は会社員ではなく、フリーランスなので産休といった制度があるわけではありません。

とはいえ、こどもを産み育てるのは仕事をしながらできるほど簡単ではありませんし…。

―出産を経て、変わったことはありますか?

加藤さん
あらゆることが変わりましたね。こどもができたことで時間的な制約が、これまでよりシビアになったりといろいろですが、1番変わったなと思うのは「作品が描けなくなってしまった」ということです。

―どういうことですか?

加藤さん
私はもともと恋愛系のマンガ、ラブコメなどを中心に作品を描いていたのですが、産後、特に授乳中は、話が全く思いつかなくなってしまったんですよ。

おそらく本能的なところで「母親」になったことが大きいと思うんですけど。これまでマンガを描く時に使っていた能力が全く動かなくなってしまったというか。


https://www.pixiv.net/artworks/64348598

―恋愛モノを手掛けるマンガ家としては、致命的じゃないですか?

加藤さん
そうですね(笑)。

私の周りにいる出産経験のある作家さん、みんなが恋愛モノを全く描けなくなる、もしくは一時的に描けなくなるといった経験をされるという話を聞くので、これは女性ならではの問題なのかもしれません。

―作品が描けなくなってしまった場合、どうされるのですか?

加藤さん
例えば恋愛モノではなく、他のジャンルの作品を描くなど、転向される方はいらっしゃいましたね。

私の場合は夫が依頼された仕事の、作画だけを担当する、といった仕事の仕方をしていました。

幸い(?)夫も同業者なので、夫がストーリーを考えて、私が絵を担当するといった具合にですね。

こうした様々なライフステージの変化によって「今までの仕事の仕方ではダメだな」と、思うようになりました。

なんというか、仕事のスタイルを変えていかないと…というか。

―そうした危機意識をどう乗り越えたのでしょう?

加藤さん
夫の育児エッセイマンガが、Twitterでバズったことにヒントを得て、そこから少しずつまた作品を描き始めるようになりました。

「恋愛モノは難しいけれど、育児エッセイなら描けるかもしれないぞ」と。

それで連載復帰したのが『発酵かあさん』という作品でした。


http://leedcafe.com/webcomic/%e7%99%ba%e9%85%b5%e3%81%8b%e3%81%82%e3%81%95%e3%82%93-%e7%ac%ac%ef%bc%92%e8%a9%b1/

―タイトルからして、思いっきり「母親」感ありますね(笑)。

加藤さん
はい(笑)。内容も自分の家族を登場させる、エッセイにしていますから、私自身が母親としてマンガに登場します。

また夫に倣ってTwitterも使い始めるようになりました。

それまでは雑誌連載がメインの収入先だったのですが、創作活動をTwitterで告知するようになってから企業広告マンガといった新たな仕事が増えていき、収入的にも安定するようになりました。

―先程加藤さんは結婚・出産を経て、仕事のスタイルを変えていかなければいけなくなったとおっしゃっていました。作風やジャンルの変化はあれど、結果的にそれが多くの読者の方の心に刺さる作品づくりに繋がったんですね。

加藤さん
そうですね。ライフステージに合わせてマンガを描いてきたことは、自分にとって良かったなと思っています。

振り返ると高校・大学時代に絵から離れていた時も、その時友達と遊んだり旅行したことが、後の作品作りに少なからず影響を与えていたなと。

だから家族が新しくできたことで、恋愛マンガからエッセイマンガにシフトしたことも、ある意味必然というか。

マンガを描くことって、自分の人生を投影することだなって思います。だからどんな経験も、作品作りのためって思えれば無駄がないなと思うんですよ。

とにかく無理せず、自分のペースで描き続けていけたら。女流マンガというキャリア

―これからの加藤さんの目標を教えてください。

加藤さん
とりあえず現状、描かせていただいている連載(『やせっぽちとふとっちょ』)をできる限り長く続けていきたいですね。


https://www.pixiv.net/member.php?id=2494053

加藤さん
今はこどもも大きくなって、少し手がかからなくなってきたので、新しい作品に着手していきたいです。

実はエッセイから連載を再開したと言いましたが、下の子の授乳期間が終わってからは、恋愛マンガも再び描いているんです。

でも独身時代とは違って、どこかに家族愛が入っているような作品になっています。これまでとは異なる創作意欲が湧いているので、どういう形のアウトプットになるか、自分でもこれからが楽しみです。

―最後に、読者の方へアドバイスをいただけますか?

加藤さん
月並みかもしれませんが、健康の維持が最も大切だと思います。

妊娠・出産を希望する女性のフリーランスの方は特に、仕事と子育ての両立は大変ですが、やはり健康あっての仕事なので、まずは自分とこどもの健康を第1に、それから仕事のことを考えるようにしましょう。

会社員もフリーランスの方も、こどもが生まれれば必然的に、働き方やスタイルが変わってきます。そこはそういうものだと柔軟に捉えていったほうがいいかもしれません。

例えば私は、朝の静かな時間の仕事がとても捗っていたので、夜はこどもと一緒に21時ごろ寝て、朝早起きして仕事をするサイクルを作ることができました。

―仕事のスタイルを、上手くこどもと一緒の生活にシフトしていく、ということですね。

加藤さん
全ての職業やお仕事に言えることではないかもしれませんが、出産で1回仕事から離れても、健康でありさえすれば仕事に戻ることはできると思います。

もちろん独身時代のように朝から晩までバリバリ、というわけにはいかないかもしれませんが、働き方やスタイルを変えることである程度は対応ができるのではないでしょうか。

特にマンガ家など、クリエイティブ系の仕事に就いている方は、こうした経験が何かしら自分のアウトプットに繋がっていくと思います。

こどもや家族、何より自分のためにも、まずは体だけは壊さないように、休むべき時はしっかり休んで、やりたい仕事を続けて欲しいです。

取材・文=内藤 祐介

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