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スタートラインも目標もばらばら。それぞれの第一歩 年間密着取材Ⅱ ~総集編~

スタートラインも目標もばらばら。それぞれの第一歩 年間密着取材Ⅱ ~総集編~

2017年12月。年間密着取材の第2シーズンに協力いただく4組5名の方々に初めてお会いしました。4組とも開業希望とはいうものの、状況はばらばら。

自力で学習塾を開業予定の山本さんは、会社を辞め、すでに店舗探しを開始しているところで、予算と頭の中に描いている教室のイメージに合う物件を探し始めようとしているところでした。
幼い頃からの夢であった託児所を開業したい、と考えていた菊地さんはフランチャイズに加盟するか否か、特にこだわりなく検討していました。ご自身の理想の託児所を開くという希望に満ちていて、取材中は笑顔が溢れていたのが印象的でした。
林原さんは約2年後の定年退職に向け、嘱託社員として会社に残るかフランチャイズで独立するかを検討していました。まだ学費のかかるお子さんたちのために「生計を立てなくては!」と繰り返しおっしゃっており、特に収入面に関して慎重な姿勢が伺えました。
ご夫婦で独立開業を目指す橋爪夫妻は、山梨県に無店舗でのゼリーショップの開業を予定し事業計画を書いていました。どちらかがお話をすると、どちらかが補足する、という仲睦まじいご夫婦という第一印象でした。

トラブル、紆余曲折…。1年の歩み

年明けに物件を決めた山本さんは、着々と開業準備を進めます。開業を考え始めてからは、教室の内装に使えそうなものを写真に撮り溜め、販売場所も分かるようにしていたそう。また、参考書だけでなく、おしゃれかつ勉強に興味を持つきっかけとなるような雑貨を教室に置くなど工夫を凝らしました。滞りなく準備を進めていく背景には、塾業界に長くいただけでなく、フランチャイズでの独立経験もあったのではないでしょうか。

集客の方法も独自の工夫が。初めはチラシの作成依頼をする先やポスティングの依頼先が分からず、ポスティングは作業をしている方に直接声をかけたと言います。チラシの内容については他社と差別化を図るために、本で読んだことを生かして紙に厚みを出すなどしました。このように、自分でできる準備は早くから始め、初めてで分からないことは誰かに聞いたり、調べては実践してみるという姿勢が山本さんの強みだと感じました。そして、それらの行動は全て「生徒さんのため」というポリシーに基づいています。

菊地さんは、自分とポリシーの合うフランチャイズ本部に出合い、加盟前に日本政策金融公庫に融資申請をします。しかし、提出した内装の見積もりが高かったため、融資が満額はもらえないという事態に。また、オープン直前まで働いていたため思うように準備を進められなかったうえに開業直前に電話回線工事が必要になるなど、トラブルが続きました。娘さんの手助けがあった菊地さんですが、「もう開業するのを辞めたい!」と思ったこともあると言います。働きながらの独立準備は本当にハードなのだということを目の当たりにしました。

開業後はFacebookやLINE@などのSNSを活用したり、リーフレットを設置してくれる場所を探したり、イベント開催や出張託児など、できることは何でもトライ。さらに私設保育施設の認可も取得するなど菊地さんのチャレンジはとどまることがありません。無事に黒字化もし、経営者としての自覚も強くなったといいます。

林原さんは車いじりが趣味で、さらに1人で開業するよりフランチャイズのノウハウがあったほうが安心という理由からカーリペアのフランチャイズへの加盟を検討。カーリペアのショップを営んでいた従兄に相談したり、お母さまに亡きお父さまが経営されていた表装業について尋ねるなど、自分が好きになれそうな仕事で、かつ生計が立てられそうな仕事を模索し始めます。

しかし、定年まで約2年とまだ猶予があるせいか、なかなか準備は進みません。開業までのスケジュールも立てられず、時間だけが過ぎていきます。同時に、家族にもまだ独立を検討していることを話せていないという林原さん。18年中には独立についての詳細を決め、定年を迎える19年には家族に話す予定だといいます。家族の理解や応援がない状況であれば、モチベーションを保つことも難しいでしょう。林原さんの覚悟が伝わってほしいですね。

橋爪夫妻は当初、無店舗開業を考えていましたが、最終的に有店舗開業にすることを決めます。しかし、賃貸物件で希望条件に合うものが見つからず、物件購入を検討。さらにその後、土地購入へと方向転換します。この間約10カ月。開業を決めてから1年半も経過してしまいました。物件が決まらない焦りと常に戦いつつも、創業者・第二創業者向けの勉強会への参加や農業アルバイトなど将来のために今できることを1つひとつ取り組んでいきます。並行して商品開発やゼリーの容器、容器のラベル製作、ホームページ製作などの準備も周囲の人の力を借りながら進めました。

紆余曲折を経て、ついに理想の土地と出合います。「自然に囲まれた土地にこだわり過ぎず、人の往来があって集客のしやすい場所」と軸を決めたことがきっかけでした。やっと出合えた希望に近い土地を購入し、DIYでログハウスを建て、山梨県北杜市にゼリーショップをオープンする予定です。夫婦がそれぞれお互いを気遣いながら、もめることなく穏やかに準備を進めています。

独立開業するために必要なのは“行動し続けること”

スタートラインは違えど、それぞれの目標に向かって一歩ずつ歩んできた4組。計画通りに進むこともあれば、思わぬ遠回りをしたこともありましたが、今やるべきことを粛々と行ってきたからこそ目標に近づくことができたのだと思います。

独立開業の準備や、開業後の経営は順風満帆にいくとは限りません。その時に大切なのは、諦めるのではなく、「今できることは何か?」を常に考え、歩みを止めないこと。焦らずに、腰を据えて目の前のことに取り組むこと。4組の姿を通じて、行動だけが道を切り拓くということを学びました。

これから独立開業を検討している方は、まずは第一歩を踏み出してみてください。それは情報収集を始めることかもしれませんし、家族や身近な人に相談することかもしれませんし、開業資金を貯めることかもしれません。そして本格的にスタートラインに立ったとき、ぜひこの4組を思い出していただけたら嬉しいです。

更新日:2017/12/29
文:篠原舞 撮影:中村公泰、吉原朱美

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