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八方塞がりからの大逆転!開業に必要なのは資格よりも、アイデア、フットワーク、人間関係とプラス思考!

八方塞がりからの大逆転!開業に必要なのは資格よりも、アイデア、フットワーク、人間関係とプラス思考!

長い間チャレンジした司法試験を諦め、八方塞がりになっていた関口克己さんは、さまざまな人との出合いや助言、そして資格取得によって、社会保険労務士・行政書士事務所を開業します。その道のりは、運命的でドラマチックである一方、しっかりとしたご自身のポリシーに基づくものでもあります。

■20年近くの司法試験挑戦を断念!途方に暮れる中、届いた友人の一言

―大学卒業後、司法試験を目指して勉強をされていたんですよね?

関口:20年以上やっていましたね。考えられないぐらいの失敗をする中、司法試験の制度が変わって「もうダメだ」と思って諦めたんです。

―それからどうされたんですか?

関口:当時、資格試験取得の予備校で教材作成などアルバイトをしながら勉強していたのですが、アルバイト先の友人から社会保険労務士のことを聞いて、その翌年に試験を受けたんです。
まあ付け焼き刃の勉強だったので、1回目は落ちたのですが、2回目に受かったんですね。その前に行政書士の資格も取っていたので、その2つで何とか食べていけないかなって思ったんです。

―社会保険労務士と行政書士の資格を取ったら食べていけると思ったのですか?

関口:いや全然。資格は取ったものの、自分の人生八方塞がり。どうしようって思った時に、ある知り合いが「社会保険労務士と行政書士を持っている人が廃業しようとしているのだけれど、お客さんがいるのですぐにはやめられない。
引き継ぐ人を探しているんだけれど興味ある?」って声を掛けてくれたんです。その話を聞いて2日後には、その廃業しようとしているという先生に会っていました。

―その流れで開業ということになったんですね。

関口:一応はそういう形にはなりますが、どこかの事務所に勤めて修行したという経験がなかったので、最初は右も左もわからない状態でした。
ただ、ラッキーだったのは、営業活動をすることもなく、多くはなかったですが、引き継いだ仕事があったことでした。

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■偶然が重なり、迷う暇もなく開業。しかし、実務経験がゼロという中での船出は、いい面も大変な面も…

―非常にラッキーな形での開業でしたね。

関口:そうですね。僕に仕事を引き継がせてくれた先生が僕と同じ資格を持っていたので、仕事をしながら正にゼロから色々教えてもらえたことは、すごく助かりましたね。

―では開業の困難みたいなものはなかったのでしょうか?

関口:実務経験がゼロのまま開業してしまったので、大変なこともたくさんありました。例えば建設業の許可の仕事は、引き継がせてくれた先生は分からない仕事だったのに、僕は引き受けちゃったんですね。
全然分からないけど投げ出すわけにもはいかないので、都庁の行政書士がやっていた相談窓口に行って、名刺交換して何度も押しかけたりしました。

実際、その窓口って一般人の相談窓口であって、同業者は行ったらダメみたいだったんですね。でもそんなの知らないから、かなりしつこく行きました。

―そういうバイタリティは独立開業には大切なことですか?

関口:そうだと思います。これは、どの仕事も同じだと思いますが、初めてやる仕事は間違いなく採算に合わないと思います。
そうは言っても、やったことがない仕事をやらずにいたらいつまでも自分の引き出しが増えないので、授業料を支払っているというつもりでやらせてもらっています。

―そんな中、ピンチに陥ったことはないのですか?

関口:倉庫業の許可をとる仕事が来たときは大変でしたね。まったく分からないジャンルだったのですが「先生ならできますよ」って言われて受けちゃったんです。
壁の強さを表す単位すら分からない状態ですからね。ノウハウもないし、運送業や倉庫業を専門にやっている同業者に行ったら、高い相談料を取られたりしましたよ(笑)。

結局はラッキーなことが重なって許可はとれましたが、半年以上かかったし、考えてみれば、あれが最大のピンチでしたね。さすがにあの時は寝つきが悪かったり、朝方、変な時間に目が覚めたりしていました。

―メンタルも大切になってきますね。

関口:そうですね。自分は楽観主義の人間だと思っていますが、それが幸いだったのかもしれません。独立開業を考えている人は、後ろ向きで下を向いて歩いていたら、見えるものも見えないし、世の中に吹いている風も感じられないですから。

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■凝り固まらずなんでもチャレンジすることで、先に進む道が明確に見えてくることもある。

―士業の人には最初から特定の専門に特化する人もいますが、関口さんは間口を広げることを選択したんですね?

関口:まあ、何も知らないで開業したということもありますが、どんな仕事の依頼が来るのか分からない状況では特定の分野に特化しない方が得策ではないかと思いました。それと、いろいろな仕事をやった方が面白いんじゃないかとも思っていました。

今でも、基本的には失敗を恐れずにいろいろとやるべきだと思っています。
我々の仕事はアイデアも1つの商品であり、知らないことがあれば色々なところに顔を出して、人の話を聞くことによって思いもよらない考えが生まれます。仕事の間口を広げることによって色々な人とのつながりもできますからね。

―人とのつながりは大事ですよね?

関口:そうですね。面白い人やいろんな国の人と出会うことは刺激になりますよ。ちょっと前は、ガーナ人の永住許可をとったのですが、彼は日本で会社をやりたいという目標があって、その時にはまた力になれるかもしれないし、韓国人デザイナーのビザをとる手伝いもしました。いまは日本で会社を経営しているロシア人とも仕事をしているんです。もちろん仕事でもありますが、そうじゃないところで何かまた新しいことが生まれるかもしれないですよね。

―そういったポリシーに基づいてお仕事をすることによって、ご自身の中でも見えてくることはありましたか?

関口:僕の場合は、最初にいろいろな仕事をやったことによって、自分が何に注力したいかというのは見えてきました。今は、労務管理を中心にやりたいんです。いわゆる「働き方改革」と言われていることです。「労働時間の削減」とか、「仕事とがん治療の両立」とか、「仕事と介護の両立」とか叫ばれていますよね。

―なぜ労務管理を中心に?

関口:市場が大きいということもありますが、一番は答えがないからですね。例えば「離職率が高いのですがどうしたらいいでしょうか」という相談があったとすると、それって会社によって理由が違うじゃないですか。
しっかり担当の人と話をして、会社ごとに特徴を考える。通り一辺倒では正解にたどり着かない。それってとてもやりがいがあることだと思うんです。

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■士業での開業に資格取得は最低条件だけれど、それより大事なのはアイデア、フットワーク、人間関係!

関口さんはこれまで “数々の失敗”を経験したと表現していましたが、その失敗こそが現在の成功に結び付いている大きな要因になっているのでしょう。
「失敗しないように慎重に仕事を選ぶ」のではなく、最初のうちは「失敗して当たり前。そこから学ぶことの方が数段多い」という考え方が必要だと関口さんは力説します。
何度も失敗をして前に進んできた人の言葉だけに説得力があります。

積極的に物事にチャレンジするからこそ、色々な人との出合いがあり、その人間関係が礎となり、次へとつながる。
その中、必ず心掛けていることをお聞きすると「ちゃんとした仕事をすること」と即答。仕事に対しても、人に対しても誠実に向き合うことの重要性を説いてくれました。

士業というと“専門的な知識”が重要だと思われがちですが、関口さんは「業種に関係なく、独立開業にはアイデア、フットワーク、人間関係が一番大事」と断言します。
まずは恐れずに一歩を踏み出すことが重要なのかもしれません。

取材・文/磯部 正和

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