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起業家・先輩から学ぶ

認められた「みんなの夢」。クラフトビールで街づくり<アントレ本誌:2019年冬号より転載>

認められた「みんなの夢」。クラフトビールで街づくり<アントレ本誌:2019年冬号より転載>

会社が嫌いなわけじゃない。

仲間がいた。安定があった。愛着があった。

でも独立しないと、できないことがある。手に入らないものがある。

そんな思いで、会社を「卒業」していった先輩起業家に、話を聞いた。

慣れ親しんだ環境から一歩踏み出す時、胸に去来したものは。

街なかにあるクラフトビール醸造所/菊池俊秀さん

ニコンは技術を大切にする会社。世の中にないものをつくるのが普通でした。

クラフトビールも同じです。好きな味がないなら自分でつくる。昔から趣味で醸造体験に参加していたんです。生産技術の経験を生かして「ここの条件を変えたらこうなる」とデータをとっていたら「お酒の業界の方ですか?」と不思議がられてね。

認められた「みんなの夢」。クラフトビールで街づくり<アントレ本誌:2019年冬号より転載>

醸造所にはパブ「氷川の杜」を併設。漢 方薬を用いた「漢万・エール」など、地 元企業とコラボしたクラフトビールも。

50歳を過ぎ、第二の人生を考えて地元大宮に居場所をつくろうとしていた頃です。

大宮駅前の商業施設が撤退することになりました。このままだと改札外に人が出てこなくなる。街を活性化するボランティアの仲間と考えていると「クラフトビールはどうだろう」なんて話が出ました。

私にはすでに自分のレシピがありましたから「つくるだけならできるよ」と言ったら、「じゃあ、やってくださいよ」。それで、街なかにあるクラフトビール醸造所というテーマで「さいたま市ニュービジネス大賞」に応募したんです。

認められた「みんなの夢」。クラフトビールで街づくり<アントレ本誌:2019年冬号より転載>

事業計画書を書いては仲間と読み回していくうちに、最初は1人の夢だったものが、みんなの夢になった。それが受賞したものだから、会社を辞めざるを得なくなって(笑)。

ですからこれは、人と人とがつながっていくクラフトビール。醸造所には珍しく、街なかにあるのもそういう理由です。買い物や会社帰りに一杯飲みながらおしゃべりなんて、素敵じゃないですか。

PROFILE

菊池俊秀さん(62歳)

(株)氷川ブリュワリー/さいたま市大宮区
大学院修了後、日本光学工業(現ニコン)に入社し、生産技術を担当。在職中、「さいたま市ニュービジネス大賞」にクラフトビールの醸造所を提案するとコミュニティビジネス賞を受賞。受賞後に早期退職し、醸造所とビアパブをオープンした。

構成・文/東 雄介
撮影/刑部友康、片桐 圭、阪巻正志、宮田昌彦
アントレ2019.冬号
「安定、肩書、仲間・・・雇われるよさもあったけど『私、会社を卒業しました!』」より

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