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キッチンカー製造は大企業には真似できない? 中上敦夫さんに聞く、個人ならではの強み

生ボイス

どんな事業を立ち上げるか。

独立・起業をする上で事業の選択は、言うまでもなくとても重大です。

今回お話を伺ったのは、山梨県でキッチンカー製造事業を営む、中上敦夫さん。

営業職を担当する会社員だった中上さんは、料理人としてケータリング事業で独立。そして現在はキッチンカーの製造、販売を行っています。

一見するとバラバラな仕事、キャリアを経験してきた中上さん。

今回はそんな中上さんのキャリアの変遷とともに、なぜキッチンカー製造事業を営むことになったのかを伺いました。

そしてキッチンカー製造事業は大企業にはなかなか真似できない、と語るその理由とは一体なんでしょうか。

<プロフィール>
中上敦夫さん
移動販売車/キッチンカー製造事業「アツヲ飯」代表 千葉県出身。
大学卒業後は警備会社を経て理化学機器メーカーで営業職に従事。
2016年に独立し、東京都武蔵野市周辺でケータリングや出張料理事業をスタート。2021年に山梨県北杜市に移住。
移住後、事業を現在の移動販売車/キッチンカー製造事業を始める。

営業職の会社員からケータリング事業で独立し、そしてキッチンカー製造事業へピボット。中上さんのキャリアを聞く

――まずは中上さんの事業について、教えてください。

中上さん
山梨県北杜市で移動販売車/キッチンカー(以下、便宜上キッチンカーと呼称)の製造事業を営んでいます。車体の仕入れから、デザイン、施工など、キッチンカーに必要な工程を一貫しておこなっています。ゼロからキッチンカーを作りたいという方はもちろん、既にキッチンカーを持っているけれど、より機能的かつデザインにもこだわりたいという方からも、幅広くご依頼を受けております。


http://atsuomeshi.com/

――どういった経緯でキッチンカー製造事業を行うようになったのでしょう? 元々キッチンカーなどの、特殊車両関係のお仕事をされていたのでしょうか?

中上さん
いえ。実はキッチンカーとは全く関係のない仕事をしていました(笑)。順を追って説明すると、大学を卒業後に大手警備会社に入社。その後、理化学機器メーカーに転職。いずれも営業の仕事をしていました。会社員として7年働いた後、2016年に独立。東京都武蔵野市でケータリングや出張料理事業を始めたんです。

――営業職の会社員から独立してケータリングや出張料理事業というと、その時点でもかなり大胆なキャリアチェンジですよね。

中上さん
元々、料理を作るのが好きで、昔から飲食業界に憧れがあったんです。本来なら飲食業界に就職して、そこでの経験を経て独立するというのがベターなのかもしれませんが……。独立した当時の年齢が30歳近かったことや、結婚してこどもも生まれていたということもあり、経済的な観点で会社に入って下積みをする余裕がありませんでした。そこで思い切って、独立するという選択をしたんです。

ありがたいことに、前職までの繋がりや知り合いの方にお仕事をご紹介いただいて、開業後の滑り出しは順調でした。主に武蔵野市周辺の企業さんや個人の方などに、多くお仕事をいただいておりました。

ケータリングの仕事をする中で、出合ったのがキッチンカーだったんです。

――ここで現在の事業であるキッチンカーのお話に繋がってくるんですね。

中上さん
はい。ケータリング事業は5年ほど続けていたのですが、現在のキッチンカー製造事業に至る決め手となったのは、2021年に家族で山梨県北杜市に移住をしたことでした。移住してすぐはケータリング事業を行いながら、東京と山梨を行き来する日々が続いたのですが、やはり体力的も時間的も無理が生じてきてしまって。それでどうにか事業をピボットできないかと思い、立ち上げたのがキッチンカー製造事業だったんです。

ケータリングからの異業種転換。未経験でもキッチンカー製造業を事業化できた理由

――数ある事業の中で、なぜ未経験のキッチンカーの製造事業を選ばれたのでしょうか?

中上さん
実は東京でケータリングをしていた時代に、キッチンカーを使用する1人のユーザーとして、キッチンカーに対する課題を感じる瞬間がありました。例えばイベント系のお仕事のご依頼をいただくと、キッチンカーを私が手配(レンタル)して、現場に向かうというケースが多々あったのですが、レンタルしたキッチンカーでなんと3回も熱中症になってしまったんですよね(笑)。特に暑い夏の現場だと、外気と調理中の熱気で車内の温度が凄まじいことになっていることが多々あり、空調が全く意味をなさなくなってしまう、なんてこともザラにありました。

――そんなことがあったのですね……!

中上さん
暑い野外での仕事とはいえ、流石にそれだけ熱中症になってしまうというのは、車側の設備にも問題があるんじゃないかと考えたんです。それにキッチンカーって、どうしてもただ食品を提供するだけの「装置」になってしまいがちというか……。デザイン的にもかっこいいなと思えるものがなかったんですよね。そうしたユーザーとしての経験を踏まえて、適正価格でかっこよくて、安全かつ機能的なキッチンカーを作れないものかと考えたんです。

――こうして営業職、料理人を経て、キッチンカー製造事業へと移り変わっていったんですね。しかし、特殊車両製造に関してはキャリア的にも中上さんはほぼ素人だったわけですよね?その点、不安はなかったのでしょうか?

中上さん
はい、おっしゃる通り僕は素人でした(笑)。しかし今はデザイナー、大工、家具職人など、その道のプロの仲間と協業しているので、それぞれの工程についてはクリエイターのみなさんにお任せしています。僕はいわば、この事業を推進するための経営者的ポジションを担っています。僕自身、デザインの知識もなければ車内の組み立てもできないので、もちろん不安は不安でしたが、一緒に仕事をするクリエイターたちがとても頼もしくて、僕の足りないところをいろいろとフォローしてくれたんですよね。

――今はどちらかというと、マネジャー的な役割をされているんですね。ケータリング事業の時は、自分で料理を作るプレイヤーでもあったわけですが、その時と比べていかがでしょう?

中上さん
もちろん、どちらにも良さや楽しさはありますよ。その上で今の仕事の面白さを挙げるとするならば、人と組むことでこんなにも事業がスケールしていくんだな、という驚きがあることですね。

中上さん
ケータリングの時は1人で仕事をしていたので、どれだけ頑張っても一定のラインで頭打ちになってしまっていたんですよ。でも事業に自分以外の人が加わると、2倍、3倍とどんどん大きく事業効率が上がっていく。そこはとても面白くて新鮮だなと感じますね。

キッチンカー製造は、大企業には真似できない? 個人や小規模企業ならではの強み

――ケータリング事業からキッチンカー事業へ移行して、他にも良かったことがありましたら教えてください。

中上さん
実際にキッチンカー製造事業を始めてみて気づいたのですが、とてもニッチな市場であるというところが、逆に良かったなと思います。ニッチな市場って、大企業が入り込みにくい領域なんですよ。例えばですが、よく「キッチンカー作れるなら、キャンピングカーを作ったりしないの?」と聞かれることがあるのですが、僕らは今後キャンピングカーの領域に進出することはあまり考えていません。

――キッチンカーとキャンピングカー。たしかに近そうな領域のようですが……なぜキャンピングカーは作らないのでしょうか?

中上さん
キャンピングカーの市場は既に成熟しており、大きすぎることが一番の理由です。故に安くて高いクオリティの車を作れる会社さんもたくさんあるんです。そこにうちが進出しても正直あまりメリットがないんですよね。

――キャンピングカーの領域は、既にレッドオーシャンだと。逆にキャンピングカーの製造の会社がキッチンカーを作る、ということはないのでしょうか?

中上さん
もちろん、あるとは思います。ただあまり力を入れてキッチンカーを作っている会社さんは現れていないのが現状ですね。その理由は大きく2つ、考えられます。まず1つ目はそもそもキャンピングカーに比べて、キッチンカーの市場規模が小さいこと。そしてもう1つは、法律上の問題です。

――法律上の問題、ですか?

中上さん
キャンピングカー、キッチンカーともに製造、販売するには陸運局が規定するルールを満たさなければならないのですが、さらにキッチンカーの場合は食品を扱う関係上、保健所の規定も満たさなければならないんです。キャンピングカーの領域で事業を行っている会社さんが、陸運局に加えて保健所の規定もパスしてまで、わざわざ市場規模の小さいキッチンカーの領域に来るか、と考えると……正直合理的ではありません。その点、僕は最初からキッチンカー製造に照準を定めて、事業を推進できた。いわばライバル企業があまり参画しづらい隙間(ブルーオーシャン)に入り込むことができたんです。この点は大きいですね。

――キッチンカーは、個人や小規模企業だからこその強みであり、大企業に真似できない勝ち方だったんですね。

中上さん
そうかもしれません。それにうちはまだ規模が小さいので、お客さまのオーダーやちょっとした依頼にも比較的柔軟に対応することができるんですよ。そういうきめ細かいオペレーションができるところも、個人や小規模企業のいいところだなと思いますね。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

中上さん
読者の方が、どれくらいの規模感の独立・起業がしたいかによって話は異なりますが……。まずは法人化せず、個人レベルでの独立を考えているのであれば、あなたの日常の中の「もっとこうだったらいいのに」が、事業のヒントになると思います。先ほどもお話した通り、僕の場合「真夏でも熱中症にならないキッチンカーってないのかな?」ということが、事業化する以前に本当に心の底からの切なる願いでしたから……(笑)。他にも「なんかキッチンカーってダサいな」という違和感や「もっとデザインがイケてるキッチンカーがいい」「もっとここにこんな便利な機能あったらいいのに」といった願望もありましたし、その時の経験や思ったことが今の事業に繋がっているんです。

小さく挑戦して、小さな失敗を繰り返し、その中で上手くいったものに少しずつ力を入れていく。それがビジネスの基本です。

まずは「もっとこうだったらいいのに」を探すところから始めて、それを1つずつ解決していければ、独立・起業もきっと上手くいくのではないでしょうか。

取材・文=内藤 祐介

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アントレスタイルマガジン編集部

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