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やらない後悔よりもやる後悔を。長谷川穂積氏が語る、ボクシングとビジネスに共通する成功の秘訣

やらない後悔よりもやる後悔を。長谷川穂積氏が語る、ボクシングとビジネスに共通する成功の秘訣

さる9/27~9/28の2日間にわたり、「見て、触れて、選べる!独立体感イベント アントレフェア2016」が開催されました。

この独立・起業に役立つ様々なコンテンツが用意された同イベントの中でも人気の高かった「ゲスト講演コーナー」では、プロボクシングの世界チャンピオン、長谷川穂積さんが登壇。「何度でも立ち上がる理由」をテーマに、講演されました。

スポーツとビジネスは全く違うように見えますが、根底にあるものは一緒。独立・起業を目指す人たちを力強く後押しする、”長谷川マインド”をご覧あれ!

負けてもいいから気持ちで勝て!二度の苦い経験から学んだ教訓

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―長谷川穂積さん(以下、長谷川)
僕がボクシングをはじめたのは、小学校2年生のとき。元プロボクサーだった父が、息子に夢を託したかたちでした。

最初は練習も楽しかったのですが、徐々に厳しくなっていきました。ランニング、スパーリング、筋トレ……中学生になるまで365日、正月もなく毎日トレーニング。小学校4、5年生の頃の写真を見ると、かなりムッキムキです(笑)。中学では逃げるように卓球をやりましたが、17歳のときにもう一度ボクシングがしたいと思い、本格的にスタートしました。

いまでこそ「10度の防衛」「3階級制覇」したチャンピオンになれましたが、実はプロテストは一度落ちていますし、プロになってからの成績も順調ではありませんでした。当時を知る人からすると、いまの姿は信じられないと思います。

そんなある日、転機が訪れました。一度負けた選手ともう一回試合ができる機会が巡ってきたのです。一度目の敗因は、「社会人チャンピオン」という肩書きをもつ相手に気持ちで負けてしまったことでした。その苦い経験があったので、二度目の試合では“負けてもいいから気持ちで勝つこと”を意識しました。そして相手を気迫で圧倒して、僕は勝利することができました。

ボクシングには技術やスピードなど必要な要素はたくさんありますが、一番大事なのは「気持ち」なのだと、そのとき気がつきました。その後は負けることなく、2003年に東洋太平洋チャンピオンになり、世界挑戦へとつながっていきました。

リスクを背負った挑戦。大切な人に勝利を捧げたい

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―長谷川
世界チャンピオンになったのは2005年。そこから2010年までの期間に10度の防衛に成功しています。11回目の防衛戦で負けましたが、その7か月後には階級を2つ上げて再度世界戦に挑みました。

しかしその一方で、母が2006年から約4年間、ガンと闘っていました。そして、2階級制覇がかかった試合の1か月前に、息を引き取りました。

そもそもボクシングには全部で17階級あり、約1.8kg刻みで階級が変わります。10度防衛したのがバンタム級(53.5kg)で、このときの階級はフェザー級(57.1kg)でした。『1.8kg差でそんなに違うの?』と思われるかもしれませんが、体の大きさやパンチ力が全然違うので、階級を変えるのはかなりのリスクを背負います。試合前には、熊と鶏ぐらいパンチ力が違うともいわれていました。

試合前は不安や恐れもありました。それでもその試合は、「母に勝利を捧げたい」という一心で闘いました。テクニックやスピードといった自分の持ち味を活かしたボクシングではなく、気持ちを前面に押し出した闘い方でした。ボクシングで一番大事なのは気持ち。勝ちたい気持ちが強いほうが勝つのだと、あらためて実感しました。

王座陥落から5年9か月―。ドン底から勝利へと繋いだ、長い苦闘の糧

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―長谷川
2階級制覇の後、自分自身に少し満足した部分もあって次の試合で負けてしまいました。そして、それから今回チャンピオンに返り咲くまでに5年と9か月。辛い日々が続きました。

僕は今年で36歳。ボクサーとしては厳しい年齢です。けがが増えたり、試合の内容が悪かったりして、周囲や身内から「グローブを置いたら?」と引退を勧められました。なによりも、以前のような「チャンピオンになりたい」という強い気持ちが足りなかったと思います。

ボクシングは、体と心が一致してはじめて勝てるスポーツです。体はトレーニングで作れても、心が作れないと勝つことはできません。どん底の日々でしたが、それでも「もう一度、体と心を一致させた世界戦をしたい」と願って、ひたすら練習を続けました。

そして念願が叶い、今回の試合が実現しました。でも、試合の45日前に左手親指を脱臼骨折してしまったんです。普通なら試合もできないし、心も折れてしまうと思います。ラストチャンスと銘打った世界戦だったこともあり、焦りや不安、葛藤がなかったと言ったらうそになります。

結局、痛みが引いたのは試合の1週間くらい前。

でも心のどこかで、“あの6年弱を乗り越えてきたから大丈夫”という気がしていました。これだけ辛い思いしてきたのだから、神様がもう一回チャンスをくれるはずだと。
いま思えば、「左手を骨折したから、右手を使う練習ができる。足を使う練習ができる」というふうに考え方を切り替えられたことが奏功したと思います。

そして、6年弱の間に味わった全ての経験、そして「気持ち」が今回の勝利に結びついたのだと確信しています。

悩んだときは、やらない後悔よりもやる後悔を選べ!

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―長谷川
敗戦からチャンピオン返り咲きまで、5年と9か月。正直、試合をするかどうかさえ迷って過ごした時期もありました。『負けたらこれまでの栄光が崩れる』と周囲からも諭されました。それでも、10年後、20年後に“あのとき試合をしていたら……”と思うくらいだったら、負けてもいいから挑戦したい。やらない後悔よりも、やった後悔のほうがいいと思いました。

そう決心してからは、もう一度チャンピオンベルトを巻く自分を強く、リアルにイメージしていました。“こうなりたい”ではなく、“こうなる”のだと信じること。悩むこともあるけれど、絶対にできるイメージをもつことは、ボクシングだけではなく仕事においても大事ではないかと思います。

新しい事業を考えていたり、新しい一歩を踏み出そうとしている方は、不安を感じることもあると思うし、失敗する可能性も当然あると思います。でも、闘ったほうが断然いい。

僕も試合前は毎回怖いです。でもそれを乗り換えたときの達成感がすごく大きいから、「やる後悔」をずっと選んできました。今回は結果的には勝つことができましたが、負けていても後悔はなかったと思います。

いつか尊敬する方に言われたことがあります。『悩んだときは、考えて楽しいと思ったほうを選びなさい』。いま悩まれている方も、楽しいと思えるほうに進めば、後悔しないと思います。

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