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「アントレ」が、私の運命を変えた。黒田武志(リネットジャパングループ)

「一冊の雑誌が、人の運命を変える」

こう聞いて、大げさだと感じる方もいるかもしれません。しかし、本当に運命が変わった方がいるとしたら、あなたはどう思いますか。

雑誌によって人生を大きく変える出会いを果たしたのは、2016年12月20日、東証マザーズへの上場を果たしたリネットジャパングループ(株)の黒田武志社長です。同社は古本やブランド品のリユース事業NET OFFや、資源リサイクル事業のReNet.jpを運営しています。

黒田社長の運命を変えた一冊の雑誌は、(株)リクルートホールディングスが20年前に創刊した『アントレ』。その創刊号をたまたま手にとった黒田社長を動かしたとあるページには、一体何が秘められていたのでしょうか。 また、黒田社長を駆り立てたものとは何だったのでしょうか。 

黒田武志(くろだたけし)

1965年 大阪府生まれ。大阪市立大学商学部卒業後、トヨタ自動車株式会社に入社。国内および海外の企画業務に従事する。1997年に『アントレ』創刊号を読んだことをきっかけに、トヨタを1998年に退社。株式会社ブックオフウェーブを設立した。2000年には、株式会社イーブックオフを設立し代表取締役社長に就任。2005年、ネットオフ株式会社に社名変更。2014年、リネットジャパングループ株式会社へ社名変更。2016年12月20日、東証マザーズ上場を果たす。

上場後に目指した『静脈メジャー』

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―リネットジャパングループの東証マザーズ上場、おめでとうございます!

―黒田
ありがとうございます。2000年の株式会社イーブックオフ創業から、16年かかって、2016年12月20日に上場できました。

―最初から上場を目指していたのでしょうか?

―黒田
上場は起業時からの目標でした。ベンチャーキャピタルにも資本を入れてもらっていたので、以前も2回上場にチャレンジしていたんです。でも上場目前に、ネットバブルが弾けたことのほか、市況が変化したこともあって断念しました。

今回、3回目となるチャレンジで上場を果たしましたが、上場はスタート地点。1つステージを上がったという感じです。これからまだまだチャンスは広がっていくと思います。

上場後は、資源リサイクルでの『静脈メジャー』を目指すチャレンジをしていきます。自動車メーカーや電機メーカーを『動脈サイド』、リサイクル業界を『静脈サイド』と呼んでいますが、欧米では、静脈サイドでも売上高が1兆円クラスの大企業(=静脈メジャー企業)が存在し、動脈サイドのメーカーとパワーバランスをとっているため、対等に話ができています。

―日本では現状、静脈メジャーが存在していないのでしょうか?

―黒田
ええ。日本では小さなリサイクル企業が飽和状態にあります。その背景には廃棄物処理法という法律での規制があるのですが、基本的に市町村単位で事業を行うことになっているんです。決して日本企業が劣っているのではありません。しかし、昨今日本も静脈メジャーを作らなければいけないという声が上がり始めています。

僕らは、まさにその規制緩和のタイミングでリサイクル業界に参入しました。一般的に許認可は1つの自治体ごとに取らなければいけないのですが、小型家電のジャンルにおいては、広域での許認可が認められ、当社は全国全ての自治体の許認可を取得しています。

―全国から小型家電を集めると、一体どうなるのでしょうか?

―黒田
要らなくなったパソコンや携帯電話のなかには、レアメタル(マンガン・コバルトなどの希少な金属)や金が入っています。天然鉱山に対し、都市にある家電に含まれるので「都市鉱山」と言われます。都市鉱山を活用することで、限りある資源を「爆食い」せず持続可能な成長を実現出来るようになります。

そして2010年、リサイクルの規制緩和が行われるよりも先に「日本経済新聞」へ一面広告を出しました。

―宅配回収サービスも生活に根差した文化に育て、日本を循環型社会の先進国にしたいという思いがあったんですね。

―黒田
その2年後、2012年頃になって廃棄物処理法改正の話が出て来ました。その際に宅配便を活用したリサイクルが入っていないと知り、環境省と懸命に交渉した結果、宅配便によるリサイクル事業が認められました。

アントレ創刊号が導いた、大きな出会い

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―宅配便によるリサイクル事業を環境省に認めてもらった黒田社長の行動力は驚きです。でもその黒田社長を起業へ突き動かしたのが、実は1997年2月発売の『アントレ』創刊号だったそうですね?

―黒田
この『アントレ』創刊号が僕の運命を大きく変えました。『アントレ』創刊号のページをめくっていた時、ブックオフ創業者の坂本 孝さんの記事が目に留まったんです。

―大きく目立つ記事でもなかったその記事に目が留まったのはなぜでしょうか?

―黒田
何故なのか、僕にもわかりません(笑)。そもそも当時、ブックオフを見たことがなかったんですよ。ブックオフが上場する前でしたし、僕が住んでいた名古屋には当時お店がなかったので…。だから自分でも、坂本さんの記事が何故気になったか分かりません。ただ、坂本さんに話を聞いてみたいと思いました。

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―黒田
それで、当時勤めていたトヨタを休んで、ブックオフの本社があった相模原へ向かったんです。本社はマンションの下にある小さな事務所でした(笑)。でも、坂本さんにお会いして実際に話を聞いたら、

「これはただの古本屋の親父じゃない」
「これぞベンチャーだ」

と、すごくビビビッと来ました。「古本で自分たちの商売がなんとなく儲かったら良いや」というレベルではなく、「日本全国を巻き込んでやるぞ」という気迫を坂本さんの話しぶりから感じましたね。

―『アントレ』創刊号での坂本さんは、実際にお会いしてみて、ベンチャー起業家の気迫が伝わったのでしょうか?

―黒田
自分がやったこともない経営の世界で、坂本さんにいろいろ指導してもらえるんだ、というのが誌面から受けた印象でした。でも実際に会ってみたら、学校のような指導者ではなくまさに起業家だったんです。

感銘を受けた僕は、まるで、坂本さんの追っかけのように講演に通いました。講演会などに坂本さんが出るたびに会社の休みをとって(笑)、いつも最前列で聞いていました。一方で、「当社では、社員もバイトも汗と感動の涙を流して仕事する」という話を聞いて、実際はどうなのか確かめよう」と思って、ブックオフでアルバイトを始めたんです(笑)。

―仕事とアルバイトの両立は、かなり大変だったのではないでしょうか。

―黒田
先ほどお話したように、名古屋にはブックオフの店舗がありませんでした。そこで、三重県四日市にあったブックオフまで片道1時間半、高速道路を車で移動してアルバイトをしていました。当時の時給は700円。往復の高速代とガソリン代、昼飯代を引くと赤字です。

―ブックオフでアルバイトをしてみていかがでしたか?

―黒田
アルバイトを10カ月続けました。すると、僕がアルバイトしている話が坂本さんに伝わりました。「最近トヨタのあいつは、講演会に来ないな」と(笑)。いつも最前列の席にいるやつだと、覚えられていましたからね。

そんなある日、坂本さんから「1回、飯を食おう」と電話があり、新横浜駅のプリンスホテルの中華料理店でご馳走になりました。その場で、「そんなにブックオフをやりたいの?」と聞かれて「やりたいです」と答えたら「じゃあのれん分けしてやるから、四日市店をやってみろ」ということになりました。今でも忘れられません。

―『アントレ』で始まった出会いが、すごい展開になってきましたね!

―黒田
突然の申し出に驚き悩みましたが、このまま悩んでいても時間がもったいない、一度きりの人生、自分の気持ちに素直に従おうと、トヨタを辞める決心をしました。そして退職後に、ブックオフの起業家支援制度第1号として1998年3月に三重県四日市に会社を作りました。僕が作った最初の会社です。

坂本さんと僕は全くの赤の他人で、何の接点もありませんでした。しかし『アントレ』創刊号の坂本さんの記事が目に留まった1997年2月から1年1カ月後、会社を作ることになりました。『アントレ』を読んでから、これだけ人生が変わったんです。

―もしもアントレに出会ってなかったら、現在何をされているのでしょうか?

―黒田
間違いなく今もトヨタのサラリーマンだったでしょうね。トヨタで働くことは決してイヤではなかったので。

自ら機会を創りだし、自らを変える。

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―現役読者の皆さんに向け、『アントレ』の読み方・使い方についてアドバイスをいただけますか?

―黒田
当然ながら努力と多少なりの実力が必要となる場面はありますが、やはり人生の転機は人との出会いが引き寄せてくれるもの。僕も、坂本さんとの出会いが大きかったですね。アントレの記事には、そんな出会いがあるはずです。

―今後の『アントレ』に期待することはありますか?

―黒田
僕が起業するきっかけになった『アントレ』創刊号では、アントレプレナー(起業家)を啓発する記事やインタビューが載っていました。そういった記事が読める機会があれば嬉しいです。フランチャイズとして独立したとしても、これをステップにしてもっと大きなチャレンジを促すような記事です。僕もブックオフのフランチャイズをきっかけに、インターネットを用いたNET OFFやReNet事業にチャレンジしましたから。

―ちなみに、アントレプレナーが置かれている状況は20年前と現在とで、どう変化したように思いますか?

―黒田
恵まれていると思います。20年前、ベンチャーキャピタルは一般的ではありませんでした。新興企業向け株式市場のマザーズができて、ベンチャー企業が上場する環境が整った結果、ベンチャーキャピタルが次々と登場し、資金もチャンスも提供してくれる人が非常に多くなったと感じています。

しかし、アプローチをするもしないも本人次第。だから、『アントレ』で機会を創り出す情報を得るのも1つの方法です。『アントレ』で見つけた人や会社に積極的にアプローチすることこそが、機会づくりだと思うんですよね。

―独立・起業にあたって最も大事なのは、黒田さんと坂本さんのように1対1の関係を作れるかどうかなのでしょうか?

―黒田
当然、ビジネスではヒト・モノ・カネが必要ですが、それらが無かったとしてもやる気と情熱があれば超えていけるはずです。

―最後に、独立・起業を考えている「アントレnet Magazine」読者の皆さんへメッセージをお願いします。

―黒田
僕の座右の銘でもある、リクルート創業者の江副浩正さんの言葉を贈ります。

「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」

一歩を踏み出すのは、どうしても怖いものですよね。準備が整ってから、そのステージが来たらではなく、自ら創り出した機会によって自分を成長させていく…起業する時の気持ちにものすごく刺さる、力のある言葉だなと思います。

―本日は、貴重なお話をありがとうございました!

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