素直さ。
「自分のこだわり」や「思い込み」は、時として独立・起業の仇となる――。
そう語るのは、今回お話を伺った岩山ひろみさん。
岩山さんは、自身もサロンを経営した後、サロン経営を専門としたコンサルタントとして活動を開始。7年半で5000人もの事業者を支援してきました。
経営が上手くいきやすい人には「素直さ」という共通点がある、と語る岩山さん。5000人の受講者を支援してきた岩山さんの言葉には、非常に含蓄と説得力がありました。
なぜ素直さが大切なのか。今回は岩山さんのキャリアの変遷とともに、その理由をお伝えします。
岩山ひろみさん
アトラパス株式会社代表取締役/サロン経営コンサルタント病気により会社を退職した後、2009年に自宅の一室で耳つぼサロンを開業。
集客に苦戦するも、ネットを上手く活用を通してブログにて情報発信を開始。予約の取れない人気店へと成長させる。
その経緯からコンサル業もスタート。
依頼が多くなったことがきっかけで、2016年にコンサル専業となり、現在に至る。
“お客さまのリアル”にどれだけ切り込めるか、でファンを作る。自身のサロン経営で感じたこと
――まずは岩山さんの現在のお仕事からお聞かせください。
サロン経営を専門とした、コンサルティング(以下、コンサル)業を行っています。コンセプト作りやメニュー設計、集客、顧客満足度の向上、その他経営に関わる諸問題など、サロン経営に関わること全般をはじめ、女性の自己実現や自立支援事業を行っており、スクール形式の講座や対面での支援など、方法は多岐に渡ります。
実は元々私自身が、サロンを経営していました。その時のさまざまな失敗と成功、ノウハウや経験を活かして現在の事業に至ります。
――かつては岩山さんご自身も、サロンを経営されていたんですね。
はい。その前は会社に勤めていたのですが、20代の時に肺気胸を患い、入退院を8回も繰り返してしまって。
「会社の人に迷惑をかけてしまうな」という思いと、ちょうどそのタイミングで結婚をしたことがきっかけで、会社を退職。
その後専業主婦を経て、2009年に自宅で耳つぼサロンを開業しました。
――なぜ耳つぼサロンを?
理由は2つあります。1つは、そもそも病気を患ったことで退職をしたという経緯があるので、ヘルスケア領域での事業に挑戦してみたかったからです。
そしてもう1つは、会社員時代に健康的なダイエットに成功した経験があったからです。
そのダイエット法を周りの人に教えたところ、とても反響があって。開業をするならその時の成功体験を活かせるものがいいんじゃないかと。
しかし、課題は山積みでした。
――具体的にどのような点に課題を?
1番苦心したのは、集客ですね。最初の頃は、近所の飲食店やスーパーなどにチラシを置かせていただいたりしてみたんですが……あまり上手くいかなくて。
それで試行錯誤した結果、ネットを使った集客に舵を切ったんです。
2022年現在でいえば、ネットやSNSを使った集客はかなり浸透してきてると思うのですが、当時はまだSNSの黎明期だったこともあり、あまり活用している人が多くいなかったんです。
ブログを使って、自分のお店のコンセプトや料金、アクセスなどといった基本的な情報はもちろん、健康に関するコンテンツを掲載していきました。
――やはり健康に関するコンテンツというものが強かったのでしょうか?
そうだと思います。ネットの向こう側にいる、まだ出会ったことのないお客さまたちの心を動かすためには、「その人たちが何を考え、何に悩んでいるか」をひたすら考えることが重要です。
私自身がお客さまになり切って書く、というか、どれだけ「お客さまのリアル」に切り込んで響くものが書けるか、という点はかなり意識しましたね。
その甲斐もあり予約数は激増し、サロンも2店舗目を出店することになったんです。