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「絵を描く」ことを仕事にしたい。横山進が見つけた「パースを描く専門職」の道

2019年10月31日

「将来、絵を描く仕事がしたい」

絵を描くのが得意な人であれば、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。
好きなことを仕事にしたいと考えるのは、ある意味自然な発想です。
しかし「絵を描く」ことを仕事にできるのは、著名な芸術家でもない限り、かなり難しい道でもあります。

今回お話を伺ったのは、横山進さん。

子どもの頃から絵を描くことが得意で、
将来の生業にしたいと考え、他の仕事をしながら模索した結果、
「住宅パースを描く」仕事に出合い、専門職として独立しました。
その後、技術進化や景気変動などの波を乗り越え、
住宅パースを描き続けています。

独立までの紆余曲折と、その後訪れた波をどう乗り越えてきたのか、お話をお聞きしました。

<プロフィール>

横山 進さん
スタジオ・ミュー

鹿児島県桜島の出身。
地元の工業高校を卒業後に上京し、自動車メーカーの工場に就職。
その後、当時の上司からの勧めで転職したインテリア系の会社で
「住宅パースを描く専門職」に出合う。
自ら専門学校に通いパース制作のスキルを身につけ、
2年の実務経験を経て独立し、個人で「スタジオ・ミュー」を設立。
以降、住宅パースを描く専門職として、
CG化などの技術進化や景気変動の波を乗り越え、
主に戸建て住宅のパース制作に従事し続けている。
趣味はサーフィン。
仕事の合間を見つけて、さまざまな波をどう乗り越えようか、
日々挑み続けている。

「パースを描く専門職」に出合い、自らスキルを身につけ転職

-現在に至るまでの経緯を教えてください。

横山さん

鹿児島県桜島で生まれ育ちました。子どもの頃から絵を描くのが得意で、地元の工業高校では美術部に入部し「将来は、絵を描くことを仕事にしたいな」と考えていました。しかし卒業をするときに探したのですが「絵を描く」仕事は見つからず、結局上京して自動車メーカーに就職しました。

無事に就職できたものの、やりたい仕事だったわけではなかったこともあり、当時はよく仕事をさぼっていたことを覚えています(笑)。

-せっかく就職したのに、怒られませんでしたか?

横山さん

ある日、やる気のなさを見かねた上司が「横山くんは何がやりたいの?」と聞いてきたんです。私は正直に絵を描く仕事がしたかったが見つからず、この会社に就職してきたことを話しました。

するとその上司が「私の奥さんがインテリアコーディネーターの仕事をしているから、絵を描く仕事がないか聞いてあげるよ」と言ってくださり、その奥さんの紹介で住宅インテリア系の会社に転職することになりました。

転職後、はじめのうちはインテリアのデザインを描くための住宅図面の見方を教えていただき、忙しく仕事をしていました。そんな中、この業界には「住宅のパースを描く専門職」があることを知りました。

「住宅パースだけど、まさに絵を描く仕事だ。この仕事がしたい!」私はその後いろいろ調べ、住宅パース制作を専門に行う会社があることを知り、その会社に転職しようと決心しました。

-希望していた「絵を描く仕事」に出合ったんですね。その後はどうしたんですか?

横山さん

「住宅パースを描く」仕事では、住宅図面が見られることと、それをパースという「絵」にすることが求められます。また芸術家ではないので、お客さまの要望を聞いて、形にすることが必要です。

図面の見方は会社で教えてもらっていましたが、パースの描き方は身につけていませんでした。そこで私は、仕事が終わった後に専門学校へ通い、自分でパースを描くスキルを習得することにしました。

2年ほど専門学校に通ってスキルを身につけた私は、自らパース作品を作って転職活動し、希望のパース作成会社に転職。

その会社では「住宅パースを描く」実務を経験し、パース制作のノウハウを覚えました。2年働き「これならひとりでもやっていける」と思った私は、独立することを決意しました。26歳のときでした。

-独立するのに、不安はなかったんですか?

横山さん

当時は不安よりも「絵を描くことを仕事にできる」わくわく感の方が勝っていました。まだ26歳と若かったこともあるのかも知れません。

また独立する際、初期投資がそれほど必要なかったことも大きかったと思います。当時、パース制作はまだ手書きの時代でしたから、事務所と絵を描く道具さえあれば、仕事をすることができました。

世の中のパース制作は手描きからCGへ。独学でスキルを獲得

-独立した後は、どうやって仕事を増やしていかれたのですか?

横山さん

最初の3年ほどは、仕事を獲得するためにひたすら営業をしていました。

大手の設計事務所はパース制作の専門部隊を持っているところが多かったので、営業対象は中小の設計事務所に絞りました。中小の設計事務所であれば住宅パース制作は外注が多いことを知っていましたし、たいてい社内で設計図を描いているから、直接会って営業できる確率が高いと考えたからです。

自分が描いたパースをいくつか持っていき、それを見せて話をしました。個人で始めたこともあり、他の会社に外注するよりも安い料金設定で差別化しようとしていたので、話を聞いてくれた設計士さんからは「パースの品質の割には安い」と言ってくださることが多く、「若いのにやるねえ」と気に入ってもらえると、仕事を獲得することができました。

依頼される仕事は、建売住宅のパース制作がメインでしたが、時にはマンションや工場、公共施設などのパース制作を依頼されることもありました。当時はとにかく仕事が欲しかったので、依頼があれば何でもやっていました。

-うまく差別化が図れたんですね。独立して一番たいへんだったことは何ですか?

横山さん

独立してからの営業活動もそうですが、一番たいへんだったのは、パース制作が手描きからCGへ変わっていったときですね。独立してから5年を越えたあたりで、この波がきました。

業界としてもこのCG化は大きな転換点で、この波に乗らなければ仕事がなくなる、と当時の仕事仲間の間でも大きな話題でした。

私は自分でパソコンなどの必要な設備を揃え、仕事仲間から情報をもらいながら、半ば独学でCGソフトの使い方を習得しました。

当時の私は、パース制作のCG化にあまり抵抗感はありませんでした。それよりもCG制作のスキルを身につけないと仕事がなくなるという危機感と、新しいスキルを身につけられるわくわく感の方が強かったです。CG化の波に乗ることができず、同業の先輩の多くが
パース制作の仕事を辞めていったことを考えると、私にとってはタイミングがよかったのかもしれません。

-その後のお仕事状況はどのように変化していったのでしょうか?

横山さん

CGでのパース制作ができることで、仕事の依頼は増えていきました。独立当初は毎日のように営業をしていましたが、この頃は既存のお客さまからの依頼と紹介がメインになっていて、メールでも仕事の依頼がくるようになっていました。

40歳を過ぎてから、リーマンショックで一時的に仕事が激減しましたが、その後しばらくして景気が回復し始め新規の家が建つようになると、以前仕事を依頼してくれた設計事務所やハウスメーカーの方から再び仕事の依頼が来るようになりました。

現在は仕事の依頼も安定し、空いた時間に大好きなサーフィンをしたり、子どものサッカーチームのコーチをしたりと充実した日々を過ごしています。

次はAIでも3Dでもなく、自分の手で描いた「絵」でビジネスしたい

-今後の活動について教えてください。

横山さん

実は将来、やりたいことがあるんです。あと10年、子どもたちがみな社会人になり手がかからなくなったら、高校の頃から憧れていた「絵を描く」ことを仕事にしていきたいと考えています。CGとか3Dとかではなく、自分の手で描いた「絵」でビジネスをしてみたいんです。

今はサーフィン仲間のTシャツをデザインしたり、地元のお祭りを絵に描いて神社の社務所に飾ってみたりしながら、どうしたら「絵を描く」ことをビジネスにできるか、模索を始めているところです。先はまだ見えないですが、子どものころから夢でしたから、今から楽しみですね。

-最後に、読者へのメッセージをいただけますか?

横山さん

今振り返って考えてみると、景気の浮き沈みや技術進化など、私を取り巻く環境は大きく変化してきました。その変化の波を乗り越えてこられた要因が、大きく2つあると考えています。

ひとつは、「現状に満足せず、自分が実現したいことにこだわって追い求めた」ことです。私の場合は、「絵を描くことを仕事にしたい」という自分の思いにこだわって模索した結果が「住宅パースを描く専門職」での独立でした。

もうひとつは、「人との出合い」です。自動車メーカー時代の上司とその奥さんのおかげで「住宅のパースを描く専門職」に出合えましたし、独立してから出合った設計事務所の方たちに気に入っていただけたおかげで、仕事を続けることができました。また、仕事仲間に情報共有してもらったおかげで、CG化の波を乗り越えることもできました。

自分自身が実現したいことにこだわり続け、その思いをまわりの人たちに発信し続けてください。きっとあなたを助けてくれる人が現れ、大きな波も乗り越えられると思います。

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