自分の思い通りに人を操る方法として、「暗示」という心理作用が使われることがあります。
上司や部下、取引先、家族など、自分の思い通りにならない周りの人を、暗示によって意のままに操ることができたら…と誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
内藤先生は、特別なスキルや専門的な知識がなくても、ある程度なら誰にでも暗示をかけることができると言います。
そんな暗示の持つ力、そして暗示をかけるコツ、効果的な自己暗示の方法について伺いました。
ビジネスで使うべき暗示とは、隠されたモチベーションを引き出す力
今回のテーマである、「暗示」。
そもそも暗示とは、言葉や合図などにより、他者の思考、感覚、行動を操作・誘導する心理作用のことだとされています。(広辞苑より)
言い換えると、自分の意にそぐわない相手を、操作したり、誘導したりためのスキルであると言えます。
(つまり、自分の意と相手の行動が一致している場合に、暗示をかける必要はありません)
例えば、登校拒否のこどもが「学校に行くのもちょっと悪くないかも」と、自分から学校に行くようになったり、仕事のモチベーションが低かった部下が率先して仕事をするようになったり、ということが起き得ます。
このように暗示の力が必要になるシーンは、日常生活に多く存在します。
つまり優れた教育者や上司、経営者は、自分で知ってか知らずか、暗示によって自分の生徒や部下のモチベーションを引き出しているのです。
暗示のコツは、メッセージを繰り返し言葉の中に
ではこの暗示を使いこなすにはどうしたらいいのでしょうか。
暗示と聞くと、まるで催眠術のような超常現象を思い浮かべる人もいらっしゃいますが、実は暗示をかけるために、そんなに難しいことをやっているわけではありません。
暗示をかけるコツ・ポイントはズバリ、「“自分が望む状態”を、相手に繰り返し伝える」だけです。
アメリカはケント州立大学のマリア・ザラゴザ博士が行った実験によると、人間は1度暗示をかけられるよりも、3度暗示をかけられた方が暗示にかかりやすい、ということが明らかになりました。
例えばあなたの近くに、仕事をもっと速くこなしてほしい人がいたとしましょう。
「君は仕事が速いね」と1度声をかけるよりも、
「君は仕事が“速い”ね」
「どうしてそんなに“速く”仕事ができるの?」
「なるほどな、だから君は仕事が“速い”んだな」
と、“速い”という言葉を繰り返して3回使った方が、「自分は仕事が“速い”」という暗示にかかりやすくなり、本当に仕事を速くこなしてくれる可能性が高くなるというわけです。
(もちろん、暗示をかける段階で本当に相手が仕事が速いかどうかは分かりませんが)
暗示にはかかりやすい人がいる
この暗示がかかりやすいか、かかりにくいかは人によって個人差があります。
物事を批判的にとらえる人と、そのままを疑わずに信じる人とでは、後者の疑わずに素直に信じる人の方が暗示にかかりやすいでしょう。
また自分の考えにとらわれずに、前向きに変化を受けいれるタイプの人も暗示にかかりやすいと言えます。
悪用厳禁! 暗示の絶大すぎる効果
暗示を効果的にかけるにあたり、ここで1つ気をつけていただきたいポイントがあります。
それは暗示をかける際「できるだけポジティブな言葉」を使うことです。
自己暗示法の創始者であり、フランスの暗示療法の第一人者であったエミール・クーエ氏が患者に暗示をかける際、
「痛みが消える、痛みが消える…」
とかけるのではなく、
「痛みが消える、消える、消える…」
と、繰り返したそうです。
これは「痛み」という“ネガティブなイメージ”を持つ言葉を繰り返すのではなく「消える」というポジティブな言葉を繰り返すことで、ネガティブな言葉に引っ張られずに高い暗示効果を出すためだったと思われます。
このルールに則り仮にネガティブな言葉を使わなければならない場合、最後は必ずポジティブな言葉を繰り返すことができれば、暗示の効果が期待できます。
自己暗示も効果的
ここまで、人を動かすための暗示についてご紹介してきましたが、これは他人だけではなく、自分にも有効であると言えます。
「自己暗示」という言葉がある通り、自分の思い込みは良くも悪くも、人間の行動に大きく影響を与えます。
そして今回はポジティブな言葉で人に暗示をかけるやり方をお教えしましたが、逆にネガティブな言葉を人に対して使い続ければ、暗示を受けた人はあらぬ方向へと向かっていきかねません。
ポジティブな言葉をたくさん受けて育ってきたこどもと、ネガティブな言葉をたくさん受けて育ってきたこども、どちらが明るく、そして優秀な人材になるかは、言うまでもありませんよね?
まとめ:ビジネスシーンでも暗示を効果的に使おう
ここまで紹介してきたように、暗示は他人に対しても、自己暗示としても効果は絶大です。
有名なピグマリオン効果(教育心理学における心理行動の1つで、教師の期待によって学習者の成績が向上すること。教師期待効果とも)にもある通りです。
使い方には十分気をつけて、暗示をビジネスシーンでも活用してみてください。
システムブレーン(講演・セミナー情報問い合わせ先)
http://www.sbrain.co.jp/
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