【この記事でわかること】
- 化粧品業界の動向
- 化粧品販売をフランチャイズで開業する方法、資金相場
- 化粧品販売をフランチャイズで開業するメリット、デメリット
- フランチャイズで化粧品販売を成功させるポイント
「化粧品の販売」と聞くとデパートの売り場をイメージし、美容部員になるにはハードルが高いと諦めてしまっている方は少なくないでしょう。しかし、フランチャイズに加盟することで化粧品の販売経験や知識がなくても、化粧品を販売することが可能になります。フランチャイズで化粧品販売を開業するためにはどのような手順を踏まなくてはいけないのでしょうか。成功のためのポイントとあわせてお伝えしていきます。
フランチャイズのメリットについては「フランチャイズ(FC)の仕組みを簡単に紹介!メリット・デメリット、成功例や失敗例も紹介」で詳しく解説していますので合わせてチェックしておきましょう。
化粧品業界の市場規模・ここ数年の動向: コロナ禍を乗り越え、新たな活力を得た化粧品業界
変化をチャンスに変え、新たな時代を切り開く
化粧品業界は、新型コロナウイルス感染症の流行によって大打撃を受けた業界の1つです。外出制限やマスク着用によるメイクアップ需要の減少により、2020年の化粧品売上高は前年比14.5%減となりましたが、同時にスキンケアへの意識の高まりという新たな市場を生み出しました。
ニーズに寄り添い、進化する商品提案
変化をチャンスに変えた企業は、マスク生活に適したスキンケアアイテムや、目元を美しく彩るアイメイク製品など、時代のニーズに合致した商品を積極的に提案していきました。その結果、2021年の化粧品売上高は前年比3.3%増と持ちこたえました。外出制限緩和やマスク着用義務がなくなった2023年3月期の化粧品売上高は前年比17.4%と大幅に伸び、業界全体が再び活気を取り戻しています。
デジタル化とインバウンド需要の追い風
DXの加速は、顧客との新たな接点と販売機会を生み出しました。外出自粛により巣ごもり需要が高まったことで、オンライン販売・接客がより身近になってきました。こうしたオンライン販売・パーソナライズされたサービスは、顧客満足度向上に大きく貢献しています。
さらに、コロナ禍で制限されていたインバウンド需要も好調に回復しており、訪日観光客による化粧品購入も増加傾向にあります。
インフルエンサーが導く、新たな購買行動
近年は、インフルエンサーの影響力も無視できません。信頼できるインフルエンサーがおすすめする商品は、口コミで瞬く間に拡散され、購買行動に大きな影響を与えています。
今後の市場性
変化の激しい時代を生き抜くためには、顧客ニーズを的確に捉え、柔軟に対応することが重要です。DXをさらに進め、オンラインとオフラインを融合した販売戦略を構築することで、化粧品業界は更なる成長を遂げていくでしょう。
参考:日本百貨店協会|2023年3月全国百貨店売上高概況(p.2より)
化粧品販売で開業したい!開業する方法について解説
化粧品を自分も販売してみたいと思ったとき、美容部員のようにメーカーに就職して販売するのが主流です。しかしその場合「そのメーカーの商品しか取り扱えない」「自分で事業として仕事にしていくことはできない」などのデメリットがあります。
自分で事業として化粧品を売りたいのであれば、代理店として活動するかフランチャイズに加盟するか、のどちらかの販売方法になります。
代理店は商品やサービスのみをメーカーから引き継ぎ販売します。販売方法や集客に関しては、自力で模索していく必要があります。
一方、フランチャイズは経営のノウハウなども一緒に受け取ることができます。化粧品業界での経営経験がない初心者の方でも、安心して経営を始められるのが特徴です。ただし、フランチャイズに加盟する場合はロイヤリティがかかるので注意しましょう。
また、形式としてはフランチャイズでも“販売代理店”と呼ぶケースもあります。これはフランチャイズ本部によっても違うので、呼び方については気になる方は事前に確認しておきましょう。
取り扱い可能な商品
フランチャイズに加盟して化粧品の販売をする場合、取り扱える商品にはどのようなものがあるのでしょうか。フランチャイズに加盟して取り扱える商品には、たとえば以下のようなものがあります。
フランチャイズ本部によっては、国内メーカーの一次代理店になれたり、海外輸入品を取り扱えたりすることもあります。どのような商品を扱うことができるかは、契約前に確認しておきましょう。
開業方法
化粧品販売をフランチャイズ加盟や代理店として販売する場合の開業方法には、以下3つの方法があります。
- 店舗型:化粧品に興味がなくても通りかかった人の目に留まりやすく潜在顧客が多い反面、ロイヤリティに加えて館に支払う費用が毎月発生してしまう
- テナント型:わざわざ足を運んできて来てくれるお客様が多く購買率は高いものの、見込み顧客の獲得は難しい
- オンラインショップ:家賃や水道光熱費などのコストを抑えられる反面、対面での接客ができずお客様の購買意欲頼りの売り上げになってしまう
また、代理店にはメーカーと直接取引する「一次代理店」と、他の代理店から営業を委託される「二次代理店」があります。
これらは取引先だけでなく多少なりとも販売価格や仕入れ価格などにも違いがあります。どのような代理店になりたいのかも事前にイメージできているのが好ましいです。
開業する手順・必要な許認可や資格
どのような化粧品の販売をするのかによっても必要な許認可や資格は異なります。
他社が海外から輸入した化粧品を販売する場合:許可不要
国内メーカーの化粧品を販売する場合 :許可不要
また、民間資格や化粧品メーカーでの勤務経験などがあれば、顧客からの信頼獲得につながることもあるので、資格取得に挑戦してみることは良いことでしょう。
開業資金・ランニングコスト
フランチャイズ加盟店や販売代理店として化粧品販売を行う際には、以下のような開業資金やランニングコストがかかります。
【開業資金】
- 加盟金
- 研修費
- 開業サポート費
- 初期物件取得費(店舗販売をする場合)
- Webサイト準備費(オンラインショップの場合)
- 販売商品仕入れ代
【ランニングコスト】
- 販売商品の仕入れ代
- 家賃(店舗販売をする場合)
- 電気代など店舗維持費
- Webサイト維持費(オンラインショップの場合)
- ロイヤリティなどフランチャイズ本部へ支払う料金
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
化粧品販売をフランチャイズ・代理店で開業するメリット
フランチャイズに加盟して化粧品販売を開業するのには、以下のようなメリットがあります。
また、すでにフランチャイズ本部の知名度があるため、お客様にとっても安心して毎日使う化粧品の購入ができると足を運んでもらいやすくなります。
化粧品販売をフランチャイズ・代理店で開業するデメリット
フランチャイズに加盟して化粧品の販売を行うことには、以下のようなデメリットがあります。
フランチャイズでは経営方針や取り扱える商品が本部によって違います。そのため、加盟した本部で取り扱いたいと思っていた商品の取り扱いがなければ自分でも販売することはできません。どうしても取り扱いたい商品があるのであれば、事前に調べて取り扱っているフランチャイズを選びましょう。
化粧品販売をフランチャイズ・代理店で成功させるポイント
化粧品の販売をフランチャイズや代理店として成功させるためにはどのようなポイントに注意するべきなのでしょうか。2つポイントをお伝えしていきます。
リピーターを確保できるような顧客体験
フランチャイズ加盟店や販売代理店として成功するためには、店舗のファンになってくれるリピーターの獲得が必須です。
「ここの店舗で購入したい」「化粧品のことはこの人に相談したい」と思ってもらえれば、リピーター獲得につながり、売り上げを安定しやすくなるでしょう。そのためにもここでしか体験できないというような顧客体験を実施するべく、化粧品の知識をつけたり、丁寧な接客に心掛けたりなどの工夫が必要になります。
さらに、リピーターを確保できるように定期的にメルマガを送ったり、前回購入していただいた商品に合う化粧品の提案をしたりなど接客方法を工夫してみましょう。
2. 動画やSNS投稿など販路を広げる工夫
化粧品を購入する際、特に10代・20代の若い女性はInstagramやYoutubeなどのSNS上にアップされているコンテンツを参考にする傾向にあります。
そのため人の目を引くようなメイク動画や検証動画などをUPしたり、SNSの投稿をすることで大きな広告効果が期待できます。また、より集客力のある「#(ハッシュタグ)」を使うことで自分のフォロワー以外にも訴求できます。
フランチャイズなら魅力的な商品解説や研究データなどの情報をいち早く仕入れることができるため、SNS運用に不慣れでも安心でしょう。
ただし、本部によっては店舗単位での広告がNGな場合もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
コロナ禍により大打撃を受けた化粧品業界ですが、2023年から「脱マスク」が進むなどコロナの影響が緩和しつつあることでスキンケア事業を筆頭に回復の兆しを見せています。
フランチャイズに加盟することでメーカーに就職しなくても化粧品を販売することができます。今後の情勢を見ながら、目の前の顧客により良い経験を提供できるよう、創意工夫して運営していきましょう。
<文/ちはる>