屋外でも気軽にこだわりのコーヒーを提供できるキッチンカーのコーヒーショップは、人流や天候、出店場所によっては大きな売り上げを期待できます。
移動式販売なので、実店舗を構えるよりも低コストで開業できるキッチンカーは、フランチャイズに加盟することでより効率的に開業できます。
移動販売のカフェは儲かる?
移動販売のカフェとは、その名の通り移動式のキッチンカーを拠点にコーヒーなどのドリンクを販売するビジネスです。
開業しやすく需要を読んで出店できるため、「老若男女問わずニーズがあるビジネス」でもあり、独立を目指す方からも近年注目を集めています。
しかし、移動販売のカフェが実際に儲かるかどうかは、さまざまな要素によって決まるため、一概に「儲かる」とはいえません。
キッチンカーの平均年収
キッチンカーの平均年収は約700万円といわれていますが、中央値としては400万~500万円程度ともいわれています。
移動販売のカフェを開業するメリット
まず、キッチンカーのコーヒーショップを開業するメリットについて紹介します。
キッチンカーではドリンクのみならずフード系の商品もよく扱われますが、なかでもコーヒーを商材として扱うメリットについても紹介します。
店舗型より費用が少ない
何よりも大きなメリットとして、店舗型のカフェや喫茶店を開業するよりも費用をかなり抑えられる点があります。
カフェの開業には「集客に有利な立地を確保できるか」が肝心ですが、その分物件の家賃も高くつきます。
一方移動式のキッチンカーならば、駐車場代などの「出店料」や出店料や、普段の駐車場代、ガソリン代、車検代などの維持費はかかるものの、毎月固定の家賃が発生しません。
キッチンカーの取得費用や設備費用も、ドリンクや簡単な軽食をメインに提供するのであれば低コストに抑えられます。
浮かせたコストでコーヒー豆にこだわって差別化したり、デザインをおしゃれにしてブランド力を高める戦略を考えたりもできます。
出店場所が自由で、地方出店にも強い
出店場所が自由で、コーヒーの需要がある場所に移動して販売できることもメリットのひとつです。
例えば平日はランチタイムのオフィス街、週末はお祭りや地方開催のフェスなどのイベントに出店することができます。
出店する許可はそれぞれに必要ですが、都心でも地方でも人の流れを読んで出店できるため、成功すればまとまった売り上げや利益を期待できるでしょう。
季節に左右されにくい
コーヒーは季節に左右されない需要があります。
キッチンカーは屋外での販売となるため、気温が暑い日には冷たいアイスコーヒーが売れ、寒い日にはホットコーヒーの人気が高まります。
ホット/アイス両方の飲み物が提供できる体制であれば、どちらの転記でも需要が見込めるのです。
初心者やひとりでも開業しやすい
提供するのがコーヒーなどのドリンク中心であれば、フード系に比べて初心者でも始めやすいというメリットもあります。
本格的なエスプレッソマシンを導入してラテアートなどを行う場合は、バリスタとしての高度な技術が必要となりますが、フィルターコーヒーやカプセル型の全自動マシンを使う場合は、比較的簡単に提供できます。
店舗がなく長時間営業するわけでないため、従業員を雇わなくても営業できるため、オーナー1人で開業しやすいことも注目のポイントです。
移動販売のカフェを開業するデメリット
移動販売のカフェを開業する際に起こるデメリットについても理解しておきましょう。
天候に左右されやすい
キッチンカーは屋外営業ゆえ、天候の影響を受けやすいという課題があります。
悪天候による損失を最小限に抑えるために、以下の3つの対策が有効です。
最新の天気予報を確認し、悪天候が予想される場合は、出店場所変更や営業時間短縮などを検討しましょう。
天候に左右されにくいメニューを開発・販売することで、悪天候時でも売上を確保しやすくなります。
例えば、雨の日におすすめの温かい飲み物や、持ち帰りやすいテイクアウトメニューなどが効果的です。
悪天候によるイベント中止などに備え、予備の食材や調理器具を用意しておきましょう。
雨天用のテントやタープなども有効です。
設備が限られる
移動販売車は、スペースが限られているため、以下の点に注意する必要があります。
調理スペースや設備の制約から、提供できるメニューが限られます。
車の大きさによっては、調理スタッフの人数が制限されます。
調理量が少なくなるため、同時に提供できる顧客数も制限されます。
上記の制限を考慮し、必要な設備を搭載できる車を選ぶことが必要になります。
客単価は低い
移動販売車の客単価は1,000円以内が多く、安くなりやすい傾向があります。
理由としては、実店舗に比べて商品のクオリティが低いとみなされるため、集客のために実店舗の相場よりも低い価格設定にする傾向、などがあげられます。
客単価を上げるためには、以下の3つのポイントに注力しましょう。
ドリンクとフードを組み合わせたセットメニューを販売することで、客単価を上げることができるうえ、お得感によって顧客の満足度も向上します。
高品質な食材を使用したり、こだわりの調理方法を採用したりすることで、付加価値を高め、客単価アップにつなげることができます。
持ち運びやすく、食べやすいテイクアウトに特化した商品を開発することで、顧客の利便性を高め、購入意欲を促進することができます。
その都度営業許可が必要
移動販売車で営業するには、その都度営業許可を得る必要があります。
場所によって管轄する保健所が異なるため、営業場所ごとに許可申請を行う必要があります。
許可申請には、数週間から1ヶ月程度かかるため、早め早めに準備を進めることが重要です。
営業許可なしで営業した場合には、罰則を受ける可能性があります。
許可申請には、以下の書類が必要です。
移動販売車の営業許可取得は、煩雑な手続きが必要となりますが、営業場所マッチングサービスなどを活用することで、効率的に許可を得ることができます。
移動販売のカフェを開業する方法
移動販売カフェを開業するには、以下のステップを踏む必要があります。
1. コンセプト・事業計画を練る
2. 開業資金の準備
3. キッチンカーの準備
4. 許認可取得
5. メニュー開発
6. 仕入先の確保
7. 営業場所選定
8. 開業準備
9. 開業・運営
まず、ターゲット層やメニュー、価格帯、営業時間などを明確化し、必要な資金を算出します。
開業資金と約半年分以上の運転資金と生活資金を確保しましょう。
キッチンカーの準備と許認可申請を済ませ、ターゲット層に合わせたメニュー開発、原価計算に基づいた価格設定を行います。
食材や消耗品の仕入先を確保することも重要です。
ターゲット層に合った場所を選定、許可取得が確認出来たら、開業できます。
その後は、SNSなどによる告知で集客を行ったり、顧客の声を参考にメニュー・サービス改善していきましょう。
開業資金
移動販売カフェの開業には、大きく分けて初期費用と運転資金がかかります。
キッチンカーの購入・改造費用:200万円~500万円
食材・設備費:50万円~100万円
各種許認可取得費用:50万円~100万円
運転資金:50万円~100万円
合計
最低:350万円
一般的:500万円~750万円
高額:1,000万円以上
必要な資格
キッチンカーの開業に必要な資格は大きく2つあります。
・食品衛生責任者:各都道府県の食品衛生責任者養成講習会を受講する
・飲食店営業許可:各都道府県の保健所に申請する
営業許可を申請する際には、移動販売で使用する車も申請します。
仕込み業務が必要な場合、都道府県によっては仕込み業務ができる場所の基準も異なるため、それぞれの自治体に確認するようにします。
東京都福祉保健局:食品衛生の窓 営業許可・届出の概要
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/youshiki.html
一般社団法人東京都食品衛生協会:食品衛生責任者について
https://www.toshoku.or.jp/training/seki-gaiyou.html
新たに食品に関する営業を始められる皆さんへー自動車関係営業許可申請等の手引ー
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/files/jidousha_tebiki202303.pdf
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります
移動販売のカフェで気を付けたい出店ポイント
移動販売のカフェは初心者でも始めやすい分、新規参入と競合が多いビジネスです。
出店にあたり気を付けたいポイントはこちらです。
客単価を上げる工夫
同じコーヒーだけで差別化するには限界があるため、パンやサンドイッチ、ドーナツやクレープなどのスイーツといった軽食も提供することで差別化と話題性、客単価アップにつなげましょう。
フランチャイズでの開業ならば、既にあるブランド力や商品開発力を活かせるため、ゼロからレシピ開発するよりも、簡単に集客できるでしょう。
また、出店する場所を自分だけで探すのは困難がつきものです。
フランチャイズ本部によっては、気候やイベント内容など「キッチンカーで売り上げを上げるためのデータ」を提供していることもあります。
フランチャイズに加盟して、失敗するリスクを抑えたキッチンカー経営を検討してみてはいかがでしょうか。
おすすめのメニュー
移動販売のカフェでおすすめのメニューは「省スペース」「少ない調理工程」で作れるものになります。
ドリンクの場合、その日の天候や人口からどのようなメニューが売れるか予測立てておくと良いでしょう。
暑い日であれば、アイスコーヒーだけでなく、レモネードのような糖分を補給できる飲み物も好評です。
フードを一緒に販売する場合は、できるだけ少ない工程で用意できるものや、仕込み段階である程度完成まで近づけるものが良いでしょう。
出店場所や時間を考えた戦略作り
どのような場所・時間に出店すれば儲かるか、しっかり考えましょう。
前述のとおり、移動販売といっても出店場所や時間によって営業許可が必要になるので、注意しましょう。
フランチャイズで移動販売のカフェを開業するメリット
フランチャイズで移動販売のカフェを開業するメリットは「フランチャイズ本部の開業や運営ノウハウを活用していけること」が大きいです。
キッチンカーや設備の取得も、自分1人の場合は販売ルートを見つけるところから始めなければいけません。
ですがフランチャイズ本部によっては、車両取得や設備準備、商品開発を行ってくれているため開業までスムーズに進められます。
また本部によっては「売り上げが見込める出店エリアを紹介してくれるといったサポートがある」「店名や商品にブランド力があるため集客しやすい」「車両をレンタルできて開業費用を抑えられる」というメリットもあります。
一方、フランチャイズで移動販売のカフェを開業するデメリットとしては「加盟金や売り上げに応じたロイヤリティをフランチャイズ本部に支払う必要があること」です。
またフランチャイズ本部によっては商品の提供方法や営業時間など、フランチャイズ本部によって細かく決まっています。
フランチャイズ本部のマニュアルやノウハウを利用できる分、それに従わなければいけないことに不自由さを感じる方にとって、デメリットになるかもしれません。
まとめ
移動販売のカフェは、開業資金が抑えやすいことから、比較的参入しやすいビジネスといわれています。
客単価が低い/営業成績が天候に左右されるなどのリスクはありますが、創意工夫でビジネスを広げられる楽しみもあります。
出店場所の選定などに不安があったり、仕入れ先の選定が難しいと感じる場合は「フランチャイズでの開業」も検討してみると良いかもしれません。
よくある質問
Q:キッチンカーでコーヒーショップを始めるのに資格が必要?
A:食品衛生責任者/運転免許/営業許可が必要
食品を取り扱う営業を行うための「食品衛生責任者」とキッチンカーを運転する「運転免許」、営業許可を取得する必要があります。
営業許可は、各都道府県の保健所で取得できます。
調理師免許は不要ですが、バリスタやコーヒーマイスターなどの資格を持っていると、集客効果につながるかもしれません。
Q:キッチンカーの1日の売上はいくら?
A:平日3万円~5万円、土日祝日3.5万円~10万円程度
立地、商品、時間帯、天候、イベントの有無などによって、売り上げは大きく変動します。
1日の売上を伸ばすためには、下記項目を意識しましょう。
Q:キッチンカーでコーヒーショップをしている人の年収は?
A:平均約400万~500万円
上記はあくまでも目安であり、個々の状況によって大きく異なる場合があります。
キッチンカーでコーヒーショップを経営し、高収入を得るためには、さまざまな要素を考慮し、綿密な計画を立てることが大切です。
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フランチャイズの独立情報はアントレをチェック! <文/北川美智子>