「イラストを描ける」ことは、十分なスキルです。近年は、副業としてイラスト制作で副収入を得る方も増えています。
ただ、イラストでの副収入を増やしていくためには、戦略を立てて活動しなければなりません。趣味で続けるのも1つですが、せっかく仕事の依頼が来る状況を作れているなら、利益は最大化したいですよね。
そこで本記事では、イラストレーターとして副収入を増やしていく方法について解説します。
イラスト制作で収入を得たい方は参考にしてください。
イラスト制作の副業市場は拡大中
近年、イラストレーターの副業市場は拡大傾向にあります。
スマートフォンの普及やSNSの多様化に伴い、企業や個人が「SNSアイコン」「ブログの挿絵」「Webサイトのキービジュアル」「YouTubeアニメーション」など、デジタルコンテンツ向けのイラストを求める機会が激増しました。
また、働き方改革による副業解禁の流れも、市場拡大を後押ししています。この傾向は今後も続くと予想されえいるので、イラスト制作の副業は将来性が高いと言えるでしょう。
イラスト制作は副業につながる

「趣味でイラストを描いているけれど、本業を辞めてまでイラストレーターになる気はない」という方には、イラスト制作の副業がおすすめです。
最近はクラウドソーシングやSNSの普及により、個人がイラスト制作の案件を受けやすい環境が整っています。まずは副業として始めることで、リスクを抑えながらイラストレーターの仕事を具体的にイメージし、経験を積めるでしょう。
イラスト制作を副業にする3つのメリット

イラスト制作を副業にすることには、収入面以外にも多くのメリットがあります。
ここでは、そのメリットを3つ紹介します。
趣味で描くよりスキルアップできる
イラスト制作を仕事にすると、趣味で描く場合よりも早くスキルアップが可能です。
クライアントから、趣味では得られない目線での的確な修正や指示を受けるため、イラストスキルをブラッシュアップできます。
また、クライアントの要望に応える過程で、自分では選ばなかったテイストや内容のイラストを描く必要が出てくるので、描けるものの幅も大きく広がります。
「好きを仕事に」で人生の充実度が上がる
好きなこと(イラスト制作)で収入を得ると、人生の充実度が一気に高まります。
自分のスキルに価値を認められることは、自己肯定感の向上につながります。
また、報酬という客観的な評価は、イラストを描くモチベーション維持にもなるでしょう。
イラスト制作を本業にしやすくなる
副業として実績を積み重ねていると、イラストレーターを本業にする道が拓けることがあります。
取引先となるクライアントが増え、信頼関係を築くことで、企業から正式な雇用や継続的な業務委託のオファーを受ける機会が増えるかもしれません。
「いつかイラストレーターになりたい」と考えている方は、まずは副業から経験と実績を積むことが、本業への確かな一歩となります。
イラスト制作を副業にするときの3つの注意点

イラスト制作を仕事にすると、モチベーションが上がる反面、創作を楽しめなくなるリスクもあります。
ここでは、副業としてイラスト制作に取り組む際に留意すべき点について解説します。
絵が上手いことと稼げることは違う
イラスト制作を副業にする場合、「画力と報酬額は必ずしも一致しない」という点を理解しておく必要があります。
高単価な仕事を受注するには営業力が必要です。ライバルが多い中で「いかにクライアントの要望に応え、要望以上の提案ができるか」を明確に伝えられるコミュニケーション能力が求められます。
稼ぐためには画力だけでなく、ビジネススキルも必要なのです。
自分のスキルを安売りしないことも重要
収入や実績を積むために、自分のスキルを安売りするのは避けましょう。安請け合いを繰り返すと、クライアントに「安い価格で依頼できるクリエイター」と認識され、将来的に単価を上げづらくなります。
もちろん、実績が乏しい段階で相場とかけ離れた高額を提示するのは避けるべきですが、適正な価格を提示し、その価格に見合う価値を提供することを意識しましょう。
オフの時間も確保する
副業を始めると、当然ながら労働時間が増えます。好きなイラスト制作とはいえ、仕事として取り組むと趣味とは異なります。本業がある中で無理をすると、体調を崩したり、納期に追われる事態になりかねません。
本業に支障が出ないよう、意識的にオフの時間を確保し、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
プロとして知っておくべき法的な注意点
イラスト制作を仕事にする上で、法的な知識は必須です。思わぬトラブルや、クライアントとの関係悪化を防ぐためにも、特に著作権と契約書に関する知識を身につけておきましょう。
著作権・肖像権のトラブルを避ける
制作したイラストの著作権は、原則としてクリエイター自身に発生します。クライアントに納品しても、著作権を譲渡しない限り、その権利はクリエイターに残ります。
よって、制作・納品時は次のことを徹底しましょう。
著作権譲渡の有無の明確化
著作権をクライアントに譲渡する場合は、その分を制作費用に上乗せして単価を設定しましょう。
契約書や見積書に「著作権は譲渡する/しない」旨を明確に記載してください。
既存作品の模倣を避ける
他者の作品をトレースしたり、構図やデザインを過度に模倣すると、著作権侵害にあたります。
依頼内容に「このイラストに似せてほしい」とあっても、権利侵害のリスクがある場合は断る勇気を持ちましょう。
肖像権・パブリシティ権
著名人や一般の人物をモチーフにする場合、肖像権やパブリシティ権を侵害しないよう、必ず本人や事務所の許可を得る必要があります。
契約書・見積書でトラブルを未然に防ぐ
口頭のやり取りだけで仕事を始めると、納品後や途中でトラブルになるリスクが高まります。
制作を開始する前に、必ず以下の項目を明確にした契約書(またはそれに準ずる発注書・見積書)を交わしましょう。
イラスト制作を副業にする4つの方法

これからイラスト制作の副業を始めたい人には、次の4つの方法がおすすめです。
【初心者におすすめ】イラスト販売
楽しさ:★★☆☆
初めて副業をするなら、自分のペースで取り組めるイラスト販売がおすすめです。制作したイラストを販売サイトに登録するため、納期の心配もありません。
具体的な販売先としては、イラストACのようなストック素材サイトや、LINEクリエイターズスタンプなどがあります。
【いつか本業にしたいなら】企業の依頼を受ける
楽しさ:★★☆☆
「イラスト制作でしっかり稼ぎたい」「将来的に本業にしたい」と考えるなら、企業の制作依頼を受けることを推奨します。
ランサーズなどのクラウドソーシングでは、報酬の未払いのリスクなく、企業からの案件を探せます。企業との仕事に慣れたら、SNSや企業のホームページから直接営業をかける方法も有効です。
【人に喜んでもらいたいなら】個人の依頼を受ける
楽しさ:★★★☆
自分のイラストを通じて人に喜んでもらいたいなら、個人からの依頼を受けるのも良い選択です。自分の作品がどのように使われ、どれだけ喜ばれたかがダイレクトに伝わるため、やりがいを感じやすいでしょう。
ココナラやSKIMAなどのスキルマーケットに自分の作品を登録し、依頼を待つのが一般的な方法です。また、知名度がある場合はSNSで直接依頼を募集し、SNSのアイコンやブログの挿絵などの案件を獲得することも可能です。
【難しいけど楽しい】イラスト系動画クリエイター
楽しさ:★★★★
「楽しくイラストを描いて、収入につながればラッキー」というスタンスなら、イラスト系動画クリエイターに挑戦するのも1つの手です。
イラスト系動画クリエイターは、イラスト制作のテクニックやソフトウェアを紹介するノウハウ系と、お題に沿ってイラストを描く企画(例:描いてみた、〇色チャレンジ)などのエンタメ系に分けられます。
この方法は、画力だけでなくトーク力や企画力も求められるため、他の方法に比べて稼ぐ難易度は高いです。まずは他の方法で実績を積み、その後で挑戦することをおすすめします。
イラスト制作を副業にし、収入を増やす4つのコツ

せっかくイラストレーターの副業を始めるなら、効率的に収入アップを目指したいものです。
ここでは、収入を早く増やすためのコツを紹介します。
SNSやブログを活用する
イラスト制作を副業にする場合、SNSやブログは情報収集だけでなく、強力な営業ツールになります。
なので、業界の動向や営業のコツを学ぶためだけに使うのでなく、自身の「人柄」や「絵のスキル」を日頃からSNSで発信しましょう。
クライアントとなる企業がSNSやブログから依頼先を探すこともあるため、それだけでも声がかかる可能性が高まります。
自分に合った方法・相手と稼ぐ
副業として長くイラストレーターを続けるためには、自分に合った方法や相性の良いクライアントと仕事を選ぶことが重要です。
副業に割ける時間と労力は限られています。無理のない範囲で、信頼関係を築けるクライアントを探すことに注力しましょう。
ポートフォリオを充実させる
イラスト制作の仕事を探す上で、ポートフォリオ(作品集)の充実は必要不可欠です。ポートフォリオは、イラストレーターの実力や画風を伝える最も有効な手段です。
適切な評価を得るために、以下の点に留意してポートフォリオを整備しましょう。
イラストレーターを本業にすることも考える
副業収入が増えてきたら、イラストレーターを本業にすることも視野に入れましょう。イラストレーターには、企業に雇用される道と、フリーになる道があります。
本業への転換を検討する際は、以下の基準を参考にし、慎重に判断しましょう。
これらの条件を満たした上で、クライアントに相談し、独立への道を探るのが現実的です。ただし、フリーランスは会社員のような保障がなくなるため、独立は慎重に検討しましょう。
イラストレーターとして稼ぎたいなら戦略を立てよう

イラスト制作に限らず、お金を稼ぐためには戦略が必要です。
趣味の延長として楽しむなら問題ありませんが、「しっかり稼ぎたい」「本業にしたい」と考えるなら、戦略的な取り組みが求められます。
ここでは、イラストレーターとして効率的に稼ぐための戦略について解説します。
単価を上げてもらう交渉術を身に付ける
クライアントと継続的な取引があり、信頼関係が築けている場合は、単価交渉に挑戦してみましょう。
交渉を成功させるには、納期厳守、修正回数を最小限に抑える努力など、クライアントの負担を減らす高品質な仕事を続けることが大前提です。
月に依頼される案件数が増えたときや、短納期でイラスト制作を求められたときなどが、交渉しやすいタイミングと言えます。
SNS×ポートフォリオサイトで顧客を集める
イラスト制作以外の営業活動に割く時間を減らすため、SNSとポートフォリオサイトを連携させて集客しましょう。
SNSで自分のイラストを発信し認知を高め、作風を気に入ってくれた方をポートフォリオサイトに誘導し、作品を詳しく見てもらうことで、依頼につながる可能性が高まります。
ただし、SNS運用はすぐに結果が出るものではありません。副業開始と同時に運用を始め、継続的に認知度を高めていくことが大切です。
自分のブランディングをする
イラストレーターとしてのブランディングは、自身の価値を高めます。「〇〇といえばこの人のイラスト」と思い出してもらえるようになれば、イラストレーターとしての価値、ひいては単価も向上します。
自分にしか表現できない個性的なイラストや、ターゲット層を定めたイラストを制作することを心がければ、自分と作品をブランド化できるでしょう。
本業をしながらイラスト制作を副業にしてもいい?

会社員をしながら副業をする際、「会社にバレたくない」と考える方は少なくありません。
副業を禁止する企業が多いのは、「本業に専念してほしい」「従業員の健康を守りたい」といった理由で就業規則に定めているためです。
法律で副業が禁止されているわけではありませんが、就業規則は会社のルールです。副業を始める前に必ず就業規則を確認しましょう。
関連記事:https://entrenet.jp/magazine/23601/
確定申告が必要になることもある
副業での所得(収入から経費を引いた利益)が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。所得税と住民税に関わるため、忘れないようにしましょう。
なお、所得が20万円以下であっても、住民税の申告は必要です。確定申告をしない場合は、自治体への住民税の申告を必ずおこなうようにしましょう。
関連記事:https://entrenet.jp/magazine/33482/
また、確定申告については動画で詳しく解説しているので、併せてご確認ください。

住民税で会社に副業がバレる可能性がある
副業をしていることが会社にバレる原因の1つが、住民税です。
副業による所得を申告すると、その分、住民税の額が上がります。会社は従業員の住民税を納付する手続きをとっているため、住民税額が高くなったことで、会社に副業をしていることが判明することがあります。
就業規則違反によるトラブルや懲戒処分を避けるためにも、副業を開始する際は必ず就業規則を確認し、上司への相談や申請をおこないましょう。
自分に合ったペースで、イラストを仕事にしてみよう

イラストレーターの界隈は、趣味で活動している方から、本業として稼いでいる方まで様々です。
絵で稼げているからと言って偉いわけではありません。人にはそれぞれ、自分が得意な分野、達成したい目標があります。
趣味で楽しむのも大切なことですが、もしも「このスキルで少しでも稼ぎたい」「イラストレーターになるのが夢だった」という方は、副業から一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
<文/みさき>






























