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インテリアショップがマッサージサロンになったワケ。常に先を見据える瞳が語った10年後

インテリアショップがマッサージサロンになったワケ。常に先を見据える瞳が語った10年後

ご自身が手掛けたアロマオイルの香りが漂う室内に迎え入れてくれた岩田さん。もともと独立志向が強く29歳で念願のインテリアショップのオープンを果たし、現在は複数の事業を展開しています。
その一方で、更に新たな展開に取り組んでいる真最中ということ。その柔軟な事業転換の秘訣を聞かせていただきました。

プロフィール
1974年生まれ、岐阜県出身。高校卒業後、名古屋のガソリンスタンドに就職し、21歳で上京。アパレルを中心に様々な業種を経験し、有名家具メーカーのマーチャンダイザーなどを経て、03年にインテリアショップ『MONDE』を目黒にオープン。その後はインテリアコーディネート事業や表参道と横浜にマッサージサロン『SHAMBALLA』をオープンするなど、異業種に参加。また、200人の会員が登録するレンタルサロン・シェアスペース『SHAMBALLA-SPACE』も展開。

「甘かったです。全て学んだと思い込んでいました」初の独立でぶつかった壁。その時導いてくれたのは

――29歳の時に開業し、最初のインテリアショップを構えたということですが、それまではどんなお仕事をされていたんですか?

岩田:実家が岐阜県でガソリンスタンドを経営していたんです。それで高校を出て名古屋のガソリンスタンドに就職したのが最初ですね。でも興味が持てなくて、結局そこを辞めたんです。
古着がすごい好きだから、古着屋を開業しようかな…と思っていると、下北沢にある古着屋さんが古着屋経営の講習会をやっていることを知りました。

――それをきっかけに上京したんですね。

岩田:仕入れのノウハウや海外での買い付けのやり方など、半年間教わり、21歳からは主にアパレル業界で働いていてました。そして、25歳くらいのときにアルバイトでアジアン家具のショップに勤めたんです。

そこはアルバイトながらもディスプレーや仕入れ、買い付けまで任されて、すごく勉強になりました。社員になってからは海外にも買い付けに行くこともあり、勤めた2年間でちゃんとしたノウハウを身に着けました。

――そこから独立につながるわけですね。

岩田:実際には次のショップですね。バイヤーとして転職し、そこではマーチャンダイザーとして経営やお金のことを学びました。もともと独立願望は強かったので、そこで急に具体化しました。

――開業資金はどのように?

岩田:貯金500万円と親に800万円借りて、目黒の家具屋が集まるインテリアストリートにアジアン家具のショップをオープンしました。
でも、甘かったです。金銭的な計算が特に。大手家具店とはコンテナの本数も違うし、レートや国の違い…完全に知識不足でした。働いていた時は「全て学んだ」と思い込んでいたんですが、ガーンとやられましたね。

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スタッフの給料を払えなくなりそうになるなど苦労した時期も。独立5年目で次の事業をスタート

――最初はスムーズにいかなかったんですね。

岩田:僕が独立した03年ごろはアジアン家具が流行っていたんです。でも4年目くらいには流行はすたれていきました。
独立する前は休日にインテリアショップを巡って流行を自然に知ることができていたんですけど、経営しているとそういう時間もなくなり、行けなくなる。そうなると仕入れてきたものが流行遅れになったりするんです。

――経営に困ったことは?

岩田:売り上げにすごく波があって、家具だからスペースを取るので倉庫の賃料も高いんですよ。スタッフの給料が払えなくなりそうなとき借金をして、給料を払った時もありました。その3カ月間は困りましたね。

――そこからどう立て直したんですか?

岩田:ショップでただ小売りをするだけじゃだめだったんで、家具のリースや、スタジオとしてショップを貸したり。その中で内装コーディネートの仕事が増えていったんです。あと、マッサージ事業も始めました。

「なんで家具屋さんがマッサージ事業を始めたの?」とよく聞かれるんですけど、僕自身、海外に行くたびにマッサージに行っては、「こういう内装、いいな」「自分の家具でできたらいいな」と思っていました。もともと、マッサージサロンを開きたいというお客さんも、ショップによく来ていて、コーディネートの依頼を受けることもあったので、自分としては自然な流れなんです。

タイに買い付けに行った時に、マッサージ学校にも通って資格を取っていたので、「自分のお店の中でやっちゃおう」と。
そして最初はお店の中でマッサージサロンを開業しました。08年ごろ、独立してから5年目ですね。スタッフはタイ人のマッサージ師を雇いました。

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選択と集中。近隣異業種という道。「常にアンテナを張って、次の可能性を探しています」

――お話を伺う前は、インテリアショップからマッサージ業と異業種に参入したと思っていたんですが、繋がりがあったんですね。

岩田:近隣異業種といいますか、アジアン家具のお店には マッサージのお店を経営している人が多く来ていたんです。ちょうどその頃インテリアコーディネートの仕事の比重も増えてきて、家具の小売りよりも売り上げが大きくなっていました。
インテリアコーディネートの仕事もリピーターやオーダーが定期的に来るようになり、8年目に「一回物販の方は閉めよう」とショップの方は閉めて、マッサージ事業とインテリアコーディネート事業だけ残しました。

――思い切った決断ですね。

岩田:8年経営していましたが、「次にアジアン家具のブームがくるのはいつかな?」と考えると、しばらくは来ないだろうと。親に借りていたお金もその間に返しましたし、インテリアコーディネートの仕事だけで、生活ができるようになっていたので、早めに手を引くことにしました。
常に次の可能性を考えていました。1つのものがうまくいかなくなっても、次に何ができるか? 今も常にアンテナを張っていますね。

――ちなみにインテリアコーディネーターの仕事というのは具体的にはどのようなことをするのですか?

岩田:スケルトンの物件(内装がない状態)の設計から入る時もありますし、ハード面が終わってから小物や棚というソフト面を手がけることもあります。施工費の15%~25%がデザイン料として入る形です。
もともと内装を作るのが趣味なんですよ。このお店もそうですし、このカウンターもハンガーラックも(写真1枚目)手作りです。自宅もリノベーションしまくりです(笑)。お店も自宅も、ある程度いじってもいいよ、という物件しか選ばないですね。

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無借金経営で、次の事業へ「貯金のコツは給料をもらったら別の口座に入れることです(笑)

――現在手がけている事業はマッサージサロンとインテリアコーディネートっていうことですか?

岩田:12年にオープンしたマッサージサロン『SHAMBALLA』の表参道店と横浜店。メーンはインテリアコーディネートです。やっぱり自分のモチベーションが上がるのはインテリアの仕事。壁にペンキを塗ったりしているのが楽しくて(笑)。
自分の作品をいかに見てもらうか、それでお客さんをつかむには?と考えています。数字のことは後からついてくると思って。

――『SHAMBALLA』横浜店はレンタルサロンとしても営業しているんですよね。

岩田:お店は24時間あるのに、お客さんが入っていない時間がもったいないなと思ったんです。そこでスペースを時間貸しすることにしました。エステティシャンやネイリストで技術は持っていても、お店を持っていない人に場所を提供しています。レンタルは会員制で。登録している会員の方は今200人くらいいますよ。実は、今日この後も会員さんの予約が入ってるんです。

――お話を聞いていて感じたのですが、岩田さんの経営スタイルはすごく柔軟ですよね。

岩田:インテリアショップを経営していた時は「どう生き残るか」をずっと考えていました。挫折も何度もあるんですけど、自分では挫折と感じていなくて、「お勉強だったな」と。経営資金も金融機関の融資は受けていなくて、開業時に親から借りたときと、先ほどお話したインテリアショップ経営時代の経営難だった3カ月以外は全て自己資金です。

――独立のルーツは?

岩田:独立願望が強いのは家系かもしれませんね。実家のガソリンスタンドは、あまり経営向きでなかった父から兄貴が継いだんですけど、兄貴が経営者になってからはすごかったんですよ。繁盛しすぎて行列ができるくらいになって。兄貴を尊敬していますし、自分もどこかで認められるくらいやろうという考えが頭の中にずっとありましたね。

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――これから独立を考えている方へメッセージをお願いします。

岩田:本当に自分でやりたいことを見つけるまで、じっくり考えてから動くことだと思います。10年後に続いているのか、20年持つのか。
僕は20代のうちに独立したいと思っていたので、ずーっと貯金していました。コツ? 給料をもらったら即、別の口座に入れることです(笑)。

――僕、全然貯金できていないんで心がけます(笑)。最後に今取り組んでいることがあれば聞かせてください。

岩田:今、ホームステージングの事業に参入してます。ホームステージングというのは、分譲マンションや戸建ての中古物件に対して新築物件のモデルルームのように家具やインテリアを配置して物件のトータルコーディネートをすることなんです。
日本の中古不動産って家具も何もない空室状態のまま、お客さんが見学に来られるパターンが多いので部屋がガラ〜ンとしていて暗い印象さえ与えがちですよね。

でも中古物件にもホームステージングを入れる事でモデルルームのように購入後のイメージが伝わりやすいんですよ。海外では当たり前のサービスなんですが、日本でもようやく、このシステムが注目されてきましたね。
かなり問い合わせも受けていますし、僕自身も不動産業者から依頼を受けて週2,3日、この仕事に取り組んでいるところです。ただ、僕はホームステージングの一歩先を読んで次の展開に動いています。

それは、単に中古物件にホームステージングするだけじゃなく、物件そのものに施工を加えてフルリノベートし、さらにステージングを入れて売り出す。そして売却が決まるまでの期間を、今、はやりの民泊のような感じで宿泊施設として解放するというというもので、システムを構築中です。
一般の方も泊まれますが、マンションの購入を検討している方に実際に宿泊していただき、お部屋の使い心地を体感していただく狙いです。

――すでに次の展開に備えているんですね!お話の中で「周りには経営者というよりアーティストよりだと言われます」「飽きっぽいんです」とおっしゃっていましたが、発想力が豊かな上に、常に先を見据えてアンテナを張っていらっしゃるのが分かりました。
10年後、20年後に何をされているのかとっても楽しみです。貴重なお話を、どうもありがとうございました。

更新日:2016/12/5
取材・文・写真:磯部シゲマサ

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