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起業リスクを限りなく小さくする。好きな仕事を成功に導く、パラレルワークを両立する方法

起業リスクを限りなく小さくする。好きな仕事を成功に導く、パラレルワークを両立する方法

独立・起業、と聞くと「リスクの高いもの」と考える方も多いのではないでしょうか?

たしかに融資を受けて、大きなビジネスをこれから展開していく、と考えるとそのイメージはあながち間違ってはいないかもしれません。

ですが、それだけが独立・起業の形ではありません。

今回お話を伺ったのは、音楽専門のPRエージェンシー「Gerbera Music Agency(ガーベラ・ミュージック・エージェンシー」を経営している金野和磨さん。

金野さんは現在、自身の会社を経営しながら、株式会社インフォバーンの編集者としてもご活躍されています。

「現在は起業におけるリスクを、限りなく小さくできる」と語る、金野さん。音楽事業と、編集者という仕事を、どのように上手く両立させているのでしょうか?

<プロフィール>
金野和磨(こんのかずま)さん

1987年生まれ。宮城県気仙沼市出身。

新卒で入社した人材系会社で新規営業に3年従事した後、株式会社ワールドスケープでアーティスト支援サービス「Frekul」の営業・企画を担当。

その後、株式会社インフォバーンで編集者として働く傍ら、2014年にエージェント(ミュージシャンの代理人)として活動を開始。

そして2015年10月、ミュージシャンのブッキング(出演交渉)とPRを代行するGerbera Music Agency(ガーベラ・ミュージックエージェンシー)合同会社を設立。

営業力がある“だけ”では、音楽業界で生き残れない。「営業×マーケティング」の力で果たした独立

-現在に至るまでの経緯を教えてください。

金野さん
経歴だけをお話しすると、大学を卒業後に人材サービス会社で新規開拓営業を経験した後、音楽アーティスト支援サービス「Frekul(フリクル)」を運営する、株式会社ワールドスケープに転職し企画営業職として働きました。

その後株式会社インフォバーンへと転職して、編集の仕事を通じてデジタルマーケティングについて学び、現在は「Gerbera Music Agency(以下GMA)」という会社を立ち上げ、アーティストのPR支援を行っています。

-アーティストのPRを支援されているとのことでしたが、音楽業界にはもともと興味はあったのでしょうか?

金野さん
はい。学生時代から音楽が好きで、本当は最初から音楽業界に入りたかったんですよ。

ですが就活の時に音楽業界の知り合いの方から、1社目のキャリアがレコード会社のような特殊な業界だと「潰しが利かず、他の業界に行きづらい」という話を聞きました。

ならばまず、どの業界に行っても通用するようなスキルを身につけてから、志望する業界に挑もうと思ったんです。

-なるほど。あえて他の業界で経験を積み、リスクマネジメントをしたわけですね。これまでにいくつかの会社でキャリアを積まれていらっしゃいますが、それぞれどのようなきっかけでご入社されたのでしょうか。

金野さん
最初に就いた人材サービスの職についてですが、こちらは先ほど申し上げたように「どこに行っても通用するような人間」になるために、まずはベンチャー気質で新卒にも仕事を任せてもらえる風土のある会社に入ろうと思ったからです。

そこで働いているときに、たまたま「Frekul」のサービス開発初期メンバーだった派遣スタッフの方と知り合いました。

「Frekul」とは、株式会社ワールドスケープが運営するアーティスト支援サービスです。

自分の楽曲をiTunesやSpotifyなどに配信できたり、ライブチケットの予約を取ってくれたりと、様々な側面からアーティストをフォローしてくれるサービスです。

アーティストの創作活動を支える仕事がやりたかったので、その方に「Frekul」を運営している株式会社ワールドスケープ代表の海保さんを紹介していただきました。

※株式会社ワールドスケープ代表・海保けんたろーさんのインタビューはこちらから!
収入よりもやりがいの”安定”を。「英雄になる」ために、ある男が選んだパラレルワークの道
https://entrenet.jp/magazine/7115/
金野さん
その後は株式会社ワールドスケープに転職し、企画営業職として「Frekul」を広めるために、前職の経験を活かして営業活動を行っていました。

しかしそうして働いているうちに「このまま営業の力だけがついても、音楽業界そのものを支えられる立場にはなれないのではないか?」と考えるようになったんです。

今の時代、営業のノウハウを持っているだけではアーティストのプロモーションやPRをサポートできません。

なので、営業力の他に「どんなリスナーに、どんなタイミングで、どのように届けるのか」といったプランの全体像を考え、実施して結果を出せるだけのマーケティングの知識、PRの知識が必要だと考えました。

そこで日本のコンテンツマーケティングのパイオニア的存在である株式会社インフォバーンの門を叩き、編集者として働かせていただくことになりました。

編集者としてコンテンツを通じてどのようにクライアントの課題を解決していくか、株式会社インフォバーンで仕事をしつつ学んでいきました。

そこで得たノウハウをブログやSNS、YouTubeで発信し続けるうちに、あるバンドから「PRの相談に乗ってほしい」というお話をいただきました。

これが、GMAというアーティストのPR支援事業を立ち上げるきっかけです。

それから2015年の10月に会社を設立して、GMAの代表として、アーティストのPR支援をしています。

ただ、今後のGMAの活動を成功させていくためには、株式会社インフォバーンでさらに編集者としてのノウハウを蓄積させていく必要があると思ったんです。

なので現在はGMAの代表として会社を経営しつつ、株式会社インフォバーンで業務委託として働くという形で、パラレルワークを行なっています。

仕事の稼働率を制御せよ! パラレルワークを両立させる3つのスキル


出典:GMAより
http://gerbera-music.agency/

-GMAの事業内容を詳しくお聞きしてもよろしいですか?

金野さん
はい。

まず、音楽事務所やレーベルから「このアーティストをPRしてください」と依頼をいただくところから始まり、そこから依頼されたアーティストのPR、広告まわりのサポートをしていく、という流れになります。

もう少し具体的に話すと、そのアーティストが新譜を出したりツアーを発表したりする場合のニュースリリースの配信(国内・海外)やインタビュー、コラム、ライブレポートといったコンテンツを制作しています。

必要に応じてWebサイト制作やリニューアルも実施します。

さらに音楽番組や音楽フェスのブッキングも行い、リアルな場ではもちろん、マス・Webメディアでの露出を増やしていきます。

また、アーティストのミュージックビデオを制作してYouTube広告でそのアーティストと相性の良さそうなリスナーに配信したり、チケットの購買を促す目的で検索連動型広告を打ったり、TwitterやFacebookのSNS広告も請け負っています。

ーなるほど。本当にアーティストのPRにのみ、特化したサービスになっているんですね。GMAの事業はすべてお1人でやられているのですか?

金野さん
最初は個人事業主として活動を行っていたのですが、請け負うアーティストの数が多くなるにつれて、人手が足りなくなっていきました。

個人ではなかなか厳しいので、事業を法人化し、手伝ってくれるメンバーも増やしています。

ー金野さんは株式会社インフォバーンで編集者としても仕事をしていますよね? GMAの事業とはどれくらいの比率でやられているんですか?

金野さん
編集業務と音楽事業の割合は半々くらいですかね。

ただやはり、私にとって音楽事業は生涯続けていきたいと思っているものなので、音楽事業の質や領域を広めるために編集業務を行なっています。

なので今後は徐々に、GMAでの活動比率を高めていきたいですね。

ー2つの事業を同時に行うのは大変だと思いますが、どのように両立されているのでしょう?

金野さん
複数の事業を両立するという問題は、おそらくパラレルワークを実践されている全ての方にとって、悩みのタネだと思います。

どのように複数の仕事を両立しているのか、私なりの試行錯誤の末に行き着いた、仕事量が増えすぎてパンクしないための回避策についてお話します。

結論からお話しすると、自分に依頼が来た際に以下の3つを習慣づけることです。

①詳細の把握:依頼を受ける前に、依頼の詳細内容を漏れなく把握し、その業務をやり切る力が自分にあるかを検証する。

②レベル感の把握:依頼を受ける前に、依頼主から求められている成果物のレベルを把握する。

③レベル感の握り:求められているレベルに対して、自分が出せる成果物のレベル感を依頼主に提示し、事前に理解しておいてもらう。

以上の3つです。

1つずつ詳しく説明していきましょう。

①詳細の把握は、依頼された業務の詳細を漏れなく把握して、自分に受けられる依頼なのかどうかを正確に判断できるようにすることです。

フリーランスあるあるかもしれませんが、依頼主からザックリとした依頼が来ることも少なくないので、提出期限やボリューム、必要な知識やリソース、制約事項、ギャランティなど、その依頼を受けられるか判断できる材料を自分で集める習慣が必要だと思います。

以前、そのあたりをなぁなぁでやってしまい、「思っていたよりも大変な依頼だった!」と気付き後悔したことがあります。

②レベル感の把握は例えば、「インタビュー記事の構成案をください」と依頼された場合、いきなり着手するのではなく、依頼主がどれくらいのレベル感の構成案が欲しいのか把握しておくことが大事ということです。

依頼主の要望が「概要を早く確認したいだけなのでメモレベルでもいいです」と、「上長にも構成案を見せたいので、その記事の詳細が明確にイメージできるレベルのものをください」では作成にかかる時間がだいぶ変わってきますので。

③レベル感の握りは自分の得意・不得意を予め依頼主に理解しておいてもらうことです。

納品後に依頼主とトラブルになるリスクが軽減できます。

例えば依頼主に「詳しい構成案の作成は可能ですが、PowerPointなどで見栄えの良いものをつくるスキルはないのでWordで作成してもよいでしょうか」と条件の緩和が提案できると自分の負荷を軽減することができます。

パラレルワークでの仕事のタスク量が多すぎて、パンクする前に、この3つのポイントを心がけて仕事に臨むと、ある程度稼働量をコントロールすることが出来ると思います。

「ライフワーク」に活かせる「ライスワーク」を探そう! 金野さんが教える、パラレルワーク両立のコツ

ーここまでのお話を聞いていると、金野さんはいい意味であまりリスクを負わずに、自分のできる範囲で仕事をなされている印象を受けました。独立・起業というと「稼げるか」「稼げないか」という部分がある中で、非常に堅実に独立されているなと思います。

金野さん
そうですね。今って、起業におけるリスクを限りなく小さくできる時代だと思います。

例えばGMAは株式会社ではなく、合同会社です。

なので起業する際の費用は10万円もかかってないんですよ。株式会社だと30万円以上はかかりますからね。

人件費においても、業務委託で収入を分配しているので、特に固定費もかかりません。

加えて、私たちは自分たちのスキルを提供してお金をもらっているので、原価も発生しないんです。

このように私の場合は、可能な限り起業におけるリスクを軽減しています。

逆にリスクを負って起業、例えば借金をして起業したりすると、倒産した時のリスクがそれだけ大きくなります。なにより私の場合は心理的重圧がかかると、精神衛生上良くないんです。

もちろん、大きくリスクを負って大きなリターンを求めることがダメ、というわけではありません。

ただ私は、急いで規模を拡大しなくてもいいからまずはこの仕事を継続していきたい。そう思ったからこそ、こういった生き方を選んでいるんです。

ー編集者と起業家である金野さんが感じる、パラレルワークを実践することの難しさ、楽しさを教えてください。

金野さん
まず難しさについてお話しします。

私はライスワーク(生計を立てるための仕事)で得られる経験や知見を、ライフワーク(生涯続けていきたい仕事)にどれだけ応用できるか、というテーマを持ってパラレルワークをしています。

私は、ライスワークをWeb編集の仕事、ライフワークを音楽事業と位置づけています。

そして、編集業務で身に付けたノウハウを、どれだけ音楽事業に活かしていけるか、が私における「どれだけ応用できるか」に相当しますが、ライスワークから得た知見をライフワークに活かすのはなかなか難しいです。

たとえば、編集の仕事で身につけたSEO(検索エンジン最適化)の経験を活かして、検索に強く、かつクライアントアーティストの魅力が伝わるような記事を制作したとします。

そして目論見通り、その記事が狙ったキーワードの検索上位に表示されるようになり、たくさんの人に読まれたとします。

しかし、そのキーワードから流入してくる読者がそのアーティストと相性が悪く、結果としてあまりPRにつながらなかった…みたいな失敗を過去にしたことがあります。

つまり、編集の仕事から得た知見を「そのまま」音楽PRに活かすことって、ほとんどできないんです。

ーではどのように、編集の仕事を音楽事業に活かしているのでしょう?

金野さん
今お話した例で言うと、そのアーティストのことを好きになってくれそうなリスナーをもっと明確にイメージし、そのイメージから狙うべきキーワードを決めなければいけません。

試行錯誤を繰り返しつつ、必要な要素を抽象化し、応用力を身に着けていく必要があるのです。

逆に、ライスワークで得た経験・知見をライフワークに上手く活かせたときは、やっててよかったなと感じますね。

そこで起こせる価値は、異なる業界の仕事を二足のわらじで継続することでしか得られませんから。

ー 一見関係ない仕事でも、そこで得た知見が別の仕事でも活きる、ということですね。

金野さん
はい、まさにその通りです。

片方の仕事で得たものをもう片方の仕事に活かし、実践して、失敗し、その教訓を元にさらなる質の高い経験・知見を得ようとする。

このサイクルの継続が、結果的にライフワークの成果につながるんだと、私は自分の経験から学びました。

好きな仕事に活かせるライスワークを見つけられると、パラレルワークを両立できる良い循環が生まれるのだと思います。

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