【この記事でわかること】
- 海鮮丼ビジネスの市場性
- フランチャイズで開業する方法
- フランチャイズで海鮮丼店を経営成功のポイント
食に対する「手軽に美味しいものを食べたい」というニーズが高まっています。テイクアウトの海鮮丼店はまさにこのニーズにマッチしたビジネスモデルであり、さまざまなフランチャイズが工夫を凝らした店舗運営で業績を伸ばしています。テイクアウトの海鮮丼はほかの飲食店とどう違うのか、フランチャイズ開業で成功するポイントと併せて解説します。
※2024年3月時点の情報です。最新は各企業のホームページで確認してください。
また、フランチャイズ経営はリスクが高いという話も聞くため、一歩踏み出せないという方や、フランチャイズ経営は本当に儲かるのかと不安になっている方も多いと思います。
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海鮮丼って儲かるの?市場規模や動向について
海鮮丼が儲かるかどうかについては、2つの見方ができます。
まず、「海産物の消費量」から考えると儲からないといえるかもしれません。水産庁の調査によると、1人あたりの海産物の消費量は2002年ごろから下がり続けています。反対に肉類の消費量は増え続けており、2016年には海産物の消費量を上回りました。
ただ、日本政策金融公庫の「令和5年版消費者動向調査」によると、食に対する志向において「経済性」「簡便さ」「美食」などが高まってきています。
これまで海鮮丼には「美味しいけど高い」というイメージがありましたが、最近はテイクアウトや安価な海鮮丼店も増えました。海鮮丼は酢飯に具材を乗せるだけなので、スキルがなくても簡単に作ることができ、提供することができます。
消費者の「食の志向」から考えると、「買ってそのまま好きな場所で食べられる」海鮮丼は儲かるといえるでしょう。
なお、手軽なテイクアウトの海鮮丼のライバルは「牛丼」といえます。店舗数で見ても先述の肉類の消費量から見ても、海鮮丼よりも牛丼の方がポピュラーなメニューでしょう。
だからこそ、海鮮丼の店舗がないエリアで「安価で手軽なテイクアウト店」を開けば差別化ができます。「たまには普段と違うものが食べたい」「美味しい魚介類が食べたい」という、先述の「美食志向」のニーズをキャッチできるのです。
参考:水産庁|(2)水産物消費の状況 日本政策金融公庫|令和5年版消費者動向調査
フランチャイズビジネスの仕組みやメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
フランチャイズで開業できる海鮮丼店とは
テイクアウトの海鮮丼店はフランチャイズでも開業できます。
詳しくは後述しますが、フランチャイズでの開業には「本部が確立したノウハウやブランドイメージを活用できる」という大きなメリットがあります。未経験の人はもちろん、集客に不安がある場合にもおすすめできる選択肢でしょう。
フランチャイズのメリットについては「フランチャイズ(FC)の仕組みを簡単に紹介!メリット・デメリット、成功例や失敗例も紹介」で詳しく解説していますので合わせてチェックしておきましょう。
フランチャイズの海鮮丼店について、開業の手順や資金、平均年収などを紹介します。
開業する手順・必要な資格
フランチャイズでテイクアウトの海鮮丼店を開く手順は次の通りです。
加盟するフランチャイズ本部と並行して、販売店の立地や物件についても考えましょう。同じ海鮮丼店でも「テイクアウト専門」「イートインあり」「コスパ重視」などさまざまな特徴があり、フランチャイズごとに得意な客層も異なります。
地域特性を踏まえて出店エリアや戦略を決めておくことで、説明会や担当者との面談がより有意義になるでしょう。
なお、海鮮丼店に限らず、飲食店で開業するには「食品衛生法に基づく営業許可」「防火管理者(※店舗の規模による)」が必要です。開業する地域によって管轄が異なりますので、加盟前に調べておきましょう。
開業資金・ランニングコスト・平均年収
フランチャイズでテイクアウトの店を開く場合、開業資金は1,000万円ほどと考えておくといいでしょう。もちろん、店舗の規模や立地、イートインスペースの有無、加盟するフランチャイズなどにより開業資金は大きく異なります。
同じくランニングコストも条件により異なりますが、月間150万円ほどはかかると思っておくといいでしょう。フランチャイズでの開業であれば食品の仕入れ代金や人件費に加え、ロイヤリティなどフランチャイズ本部に支払う費用も必要です。
フランチャイズごとに「固定費」「売り上げの数%」「ロイヤリティなし」などと表記が異なるため、企業HPや説明会で確認してください。
平均年収は売り上げにより変わるため一概にはいえませんが、営業利益率は5~6%と考えておきましょう。売上高が年間3,000万円だとすると、利益率5%で年間150万円の計算です。
海鮮丼店1店舗だけで十分な収入を得るのは難しいため、多店舗経営を目指すことになるでしょう。詳しくは後述しますが、テイクアウトの海鮮丼店は手離れが良く、多店舗経営に向いています。
フランチャイズで海鮮丼店を開業するメリット
海鮮丼店に限らず、フランチャイズでの開業には次のようなメリットがあります。
ここからは、テイクアウトの海鮮丼店ならではのメリットを紹介します。
本部の仕入れルートを活用できる
フランチャイズに加盟すれば本部が構築した仕入れルートを活用し、安定した仕入れができます。
海産物の価格が上昇しているなか、安定した仕入れができるのは大きなメリットです。仕入れルートを確立したり、各仕入れ先と信頼関係を築いたりする時間も節約できます。
簡単なオペレーションで手離れが良い
本部によりますが、テイクアウトの海鮮丼店の大きな特徴にオペレーションの簡単さがあります。海鮮丼を作るオペレーションは、基本的に「容器にご飯を盛り、具材を乗せる」の2ステップで簡単です。
少人数のスタッフでも十分に店舗を運営できるため、各店舗の運営が安定すれば、オーナーは経営に専念し、多店舗展開を目指せます。
人手不足で単発バイトを雇ったりオーナー自らが店頭に立ったりするときも、オペレーションの簡単さが活きてくるでしょう。
商品開発についての自由度が高い
本部によりますが「商品開発の自由度が高いチェーン」が多いのも海鮮丼店フランチャイズの特徴です。
開業エリアの需要やターゲットに合った商品を開発したり、インバウンド需要を狙って海外向けの商品を充実させたり、フランチャイズでありながら自由に挑戦できることも多いです。
安定した品質の商品を提供できる
本部によりますが、本部が持つ仕入れルートを活用することで安定した品質の魚を仕入れられます。鮮度や品質が命の海産物において、このメリットは大きいです。
ほかにも研修内容が充実していたり、動画マニュアルなどを提供したりしている本部も多く、「いつでもだれでも安定した品質の商品が提供できる」ようになっています。
フランチャイズで海鮮丼店を開業するデメリット
テイクアウトの海鮮丼店に限らず、フランチャイズでの開業には次のようなデメリットがあります。
ただ、海鮮丼店はフランチャイズのなかでも自由度が高い部類です。価格設定の自由度こそ低いものの、本部によっては「丼に乗せる具材の組み合わせは自由」「店名のアレンジOK」などもあり、比較的自由なお店づくりができるでしょう。
特に、近年はSNS集客に関する自由度が高いフランチャイズが増えています。これは近年のフランチャイズのトレンドでもあり、工夫次第で本部のブランドではなく「自分のお店のファン」になってくれる人も出てくるでしょう。リピートを促す仕掛けもSNSなら比較的安価に展開できます。
映える盛り付けや食材・鮮度の高い食材の仕入れについて裏話を紹介するなど、自身のセンスや経験を活かしたSNS運営が求められるかもしれません。本部のルールを守りながらも「お店のファン」をつくることが大切です。
海鮮丼のフランチャイズで成功するために必要なポイント
テイクアウトの海鮮丼店に限らず、フランチャイズで成功するためには次のようなことを意識しましょう。
本部によって経営方針やサポート内容は大きく異なります。「どんなお店をつくりたいのか」「どんなサポートが必要なのか」を細かく洗い出し、それに合ったフランチャイズを選びましょう。
創業者の理念に共感できること、本部の方針が信頼できることも大切です。共感・信頼できる本部でないと、「縛りがきつくて自由にできない」と不満ばかりが募っていき、指示に従うことが難しくなるかもしれません。
加盟後の経営では経営者としての自覚と責任をもち、主体的に動くことが大切です。「フランチャイズ=本部にお金を払っているから安心」と思う人もいるかもしれませんが、フランチャイズは本部とオーナーの対等な契約であり、加盟した瞬間に経営者として自店舗の運営責任を持つことになります。
本部に丸投げしたり言いなりになったりするのではなく、本部の方針に従いながらも「自分でできることは何か」と常に探し、実践し続けることを心がけましょう(そのためにも、方針や理念への共感・信頼が大切なのです)。
ここまでお伝えしてきたのはフランチャイズ全般にいえることです。ここからは、テイクアウトの海鮮丼店ならではの成功ポイントを紹介します。
品質にこだわりを持つ
海鮮丼はご飯に具材を乗せるだけのシンプルな料理です。オペレーションは簡単ですが、具材とご飯の品質で味が決まってしまうともいえます。
本部が持つ信頼できる仕入れルートから安定した品質の具材を仕入れることで、品質と価格のバランスがとれるでしょう。具材の旬に合わせて仕入れを工夫したり、期間限定の丼を開発したりという工夫も大切です。
客層に合わせた商品展開
出店エリアの地域特性や人口構成、店舗を運営するなかで得られたデータなどから、客層に合わせた商品を展開しましょう。客層ごとにどんな商品が好まれるのかは次の通りです。
ただ、これはあくまでも一般論です。お客さまアンケートを取ってみるなど、店舗ならではのニーズを考えることも大切です。ほかの加盟店での施策について聞いてみるなど、フランチャイズならではの横のつながりを活用するのもいいでしょう。
衛生管理を徹底する
海鮮丼店は生の海産物を取り扱う業種です。夏場はもちろん、スタッフの健康管理を含む衛生管理を常に徹底しましょう。
特にスタッフを雇用する際は要注意です。衛生管理に関する教育やルールの周知を徹底すること、きちんとした衛生意識を持つ人を雇用すること、本部が準備したマニュアルを遵守することを心がけましょう。
ITシステムの活用
ITシステムを活用して業務の効率化・簡略化と人件費削減を図るのもいいでしょう。本部によっては、情報共有システムで他店の情報をスマホでリアルタイムに入手できることもあります。
導入費用がかかりますが、それ以上の経費削減・売り上げアップの効果が得られることも多いです。
海鮮丼のフランチャイズで成功した先輩オーナーの声を紹介
海鮮丼のフランチャイズで成功した先輩オーナーの事例を紹介します。フランチャイズ選びや経営のヒントを探してみましょう。
11年前に家族と一緒に『丼丸』を開業し当初から多店舗化を進め、現在8店舗を展開する勝沼さん
勝沼さんは11年前、500円の海鮮丼でおなじみの『丼丸』で開業しました。家族と協力しながら多店舗化を進め、現在では8店舗を展開しています。
丼丸を実際に食べてみて「味もボリュームも申し分ない、この商売はいける!」と確信し、店舗でのアルバイトからスタートしました。約1年半をかけて実務経験を積み、業務委託店長を経験してから自分のお店を開きました。
まとめ
海鮮丼店はフランチャイズのなかでも自由度が高く、「自分らしいお店づくり」や「ライバル店との差別化」がしやすい業態です。特にテイクアウトの海鮮丼店はオペレーションが簡単で、美味しくてボリュームもあるメニューを安く提供できるという強みがあります。
最近は「手軽で安くて美味しい食」を求める人が増えており、このニーズにマッチしたテイクアウトの海鮮丼店は時代に合った狙い目のビジネスといえるでしょう。
テイクアウトの飲食店や海鮮丼店のフランチャイズ一覧は下記リンクから確認できます。各チェーンの詳細をチェックしたり、説明会への参加を申し込んだりもできるので、ぜひ活用してください。
<文/赤塚元基>