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話題の『性格ナビ』開発者・佐藤由紀子さんに聞く、コンプレックスを強さに変える力

話題の『性格ナビ』開発者・佐藤由紀子さんに聞く、コンプレックスを強さに変える力

コンプレックス。

そう聞いて、多くの人は「自分の嫌な、嫌いなところ」という認識を持つのではないでしょうか。

しかしそのコンプレックスの中にこそ、自分が光る場所がある。そう語るのは、佐藤由紀子さん。

9つの心理学理論を活用し、高い診断精度を誇ることで現在人気の『性格ナビ』。佐藤さんはこの『性格ナビ』を副業やリモートワーカーを活用し、一人会社で完成させました。

今回はそんな佐藤さんのキャリア、そして『性格ナビ』の開発秘話について伺うとともに『性格ナビ』にかける想い、そして自身のコンプレックスを強さに変える力についてお聞きしました。

<プロフィール>
佐藤由紀子さん
株式会社プロセスジャパン代表取締役

出前館、gumi、コロプラで広報、マーケティングに従事した後、2016年に独立。PR会社を設立する。
心理学のロジックを応用した、人気アニメ『キングダム (原 泰久 著/ヤングジャンプコミックス) 』のキャラクター診断などを手がける。

2019年、株式会社プロセスジャパンを設立、代表に就任。
自己分析ツール『性格ナビ』の開発・運営を手がけ、2020年8月現在までに80万人以上の診断者数を誇るヒットコンテンツとなる。

人気コンテンツのキャラクター診断と、心理学を掛け合わせる! 『性格ナビ』の原点

——佐藤さんが開発・運営を手がける自己分析ツール『性格ナビ』がSNSを中心に大ヒットしていますね。佐藤さんはいつ頃から、心理学に精通していたのですか?

佐藤さん
社会人になってしばらく経ってからですね。

元々、学生時代から対人関係があまり得意ではない方だったのですが、それでもどうにか自分なりにがんばって大学を出て、会社に入って仕事をしていたんです。

そして今からちょうど4年前。
元同僚である友人に、当時抱えていた人間関係のトラブルについて相談をしたところ「その(人間関係の)トラブルの原因は、絶対、佐藤さんにあるよ!」と言われてしまって。

——ご友人は、歯に衣着せぬ方ですね(笑)。

佐藤さん
そうですね(笑)。でも実はその友人が心理学との出合いを創出してくれたんです。

というのもその友人は会社員をしながら、心理学を学んでいて。その影響で私も心理学の学校に通うようになりました。

フロイトの精神分析学やエリックバーンの交流分析、NLP(神経言語プログラミング)など、スクールに通って基礎から心理学の勉強を始めてみたんです。

会社を辞めて独立したのも、ちょうどこの頃でしたね。

——どのようなお仕事で独立されたのでしょうか?

佐藤さん
PRの仕事です。前職ではスマホゲーム等の開発を手がける会社で広報をしていたので、その延長で独立しました。

転機になったのは人気アニメの『キングダム』のキャラクター診断を担当したことでした。

すでに『キングダム』自体が大きいコンテンツだったので、ある程度の集客は見込めたのですが、さらにバズるためにはどうしたらいいかと。

そして検討の末に見つけたのが、心理学の知見を活かしたキャラクター診断を作るというアイデアでした。

——その時の成功体験が『性格ナビ』の原点なんですね。

佐藤さん
そうですね。『性格ナビ』は、この時の経験を活かしてさらに診断精度が高いものにしようと、研究を重ねていった結果なので。

そして『性格ナビ』の開発・運用をしていくために、2019年に株式会社プロセスジャパンを起業しました。

心理学のおもしろさをたくさんの人に知って欲しい! 『性格ナビ』開発秘話

——『キングダム』のキャラクター診断を経て、すぐに『性格ナビ』の開発をされたのでしょうか?

佐藤さん
いえ、そこはかなりいろいろ試行錯誤したんです。

『性格ナビ』の開発は「心理学のおもしろさをたくさんの人に知って欲しい」という欲求から始まったものでした。

故に性格診断のツールという形である必要がなかったんですよね。

——心理学のおもしろさを伝えたい。それが開発の動機だったと。

佐藤さん
はい。だから『キングダム』の案件以降、本当にいろんなことにチャレンジしてみたんですよ。

絵本やカードゲーム、交流分析を応用したシナリオゲームを開発しようと思ったり、心理学について学べるVtuber(※)を作ってみたり。10個くらい試したんじゃないかな。

Vtuberに関しては、著名なマンガ家さんにキャラクターデザインをお願いして、多額の資金を投じて挑戦したのですが……、あえなく失敗してしまって。

※バーチャルYouTuber

——……大変だったんですね。

佐藤さん
一時期は落ち込みすぎて、もう余計なことをせずに今まで通りPRのコンサルだけをやろうと思うほどでしたね(笑)。

そんな時に、ある会社さんに性格診断ツールを作って欲しいという依頼を受けて作ったものが、その会社の社員さんの中で評判になって。それをさらに改良したのが今の『性格ナビ』なんです。

——キャラクター診断から、1周回って今の形になったと。

佐藤さん
はい、まさにそんな感じです。

ただ『性格ナビ』では、最後に「あなたが人生で欠けていると感じているものは」という項目があります。

これを置くことで、Twitterでの拡散をデザインしました。

人は“弱さ”の中に“強さ”がある。コンプレックスを強さに変える力

——たしかに思わずTwitterに書いてしまいたくなりますね(笑)。さて、今や80万人以上の診断者数を誇る『性格ナビ』。ユーザーの方に伝えたいことはありますか?

佐藤さん
人間関係で悩んでる人にとって、心理学を知るきっかけとなる媒体になれたら嬉しいです。

先ほどもお話した通り、心理学のおもしろさをたくさんの人に知ってもらいたくてこのツールを作ったので。

2016年に独立した時も、会社での生活が合わなかったというのが独立の大きなきっかけでした。後に自分にはHSP(※)の気質があり、それが原因の一端だったんですが。

でも心理学を勉強したことで、自分のそうした面も長所に変換できたというか。

※highly Sensitive Personの略。感受性が非常に強く、敏感な気質を持った人。

——どういうことでしょうか?

佐藤さん
HSPを持っている人は非常に周りの空気に敏感で、小さなことにも「気にしすぎてしまう」んです。

だから会社内にいると、いろんな人に気を使い過ぎて疲れてしまう。

でも一方で、気にしすぎなくらいの感性を持っているからこそ、ユーザーの気持ちになってコンテンツを作ることができる。

自分の“弱さ”の中に、“強さ”があるというか、良いところと悪いところは紙一重というか。自分の中の良いところに気づくことができたのも、心理学のおかげだなと思っていて。

コンプレックスこそが自分にとっての光である。『性格ナビ』を通じて、それをみなさんに伝えていけたらと思います。

——佐藤さんの今後の展望を教えてください。

佐藤さん
まず『性格ナビ』をもっとたくさんの人に使って欲しいですね。

引き続き『性格ナビ』の開発・運用を継続するとともに、得た知見やデータを企業に販売していこうと考えています。

まずは小さくプロト版から販売していければと。それがどれくらいの反応があるかを見つつ、行けそうであれば追加で開発できればと思っています。たくさんの企業への導入実績を作っていきたいですね。

——最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

佐藤さん
最初から派手にいろいろやると、大きな失敗をすることもあるでしょうから、まずは小さく始めてみることが大切だと思います。

私自身、経験が少ないことから、大きなお金と労力を投資して失敗したこともあります。そうならないよう、まずは小さくできることから始めて、上手くいけばそのまま少しずつ大きくしていく。

とはいえ独立・起業は行動が全て。始めてみないことには何も始まらないので、まずは小さくても自分で始めてみることが良いのではないかと思います!

取材・文=内藤 祐介

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