会社員と個人事業主の兼業は、収入やスキルを効率よく高めるチャンスです。
本記事では以下を解説します。
・会社員と個人事業主を兼業するメリット・デメリットと注意点
・年収アップの4つのコツ
月10万円以上を安定して稼げる副業については、下記の記事でも詳しく紹介しています!
会社員でも個人事業主になることはできる
会社員として働きながら個人事業主になることは可能です。税務署に「個人事業の開業届出・廃業届出書」(開業届)を提出するだけで、個人事業主になれます。個人事業主になることで利用できる税金対策も多く、新たな収入源の確保と節税により、効率よく年収を増やしていけるでしょう。
ただし、会社員として働きながら個人事業主になる場合、会社の就業規則によっては会社内で副業の申請や許可が必要になることもあります。本業と副業を両立できるよう、副業に時間や体力を使いすぎないよう気をつけることも大切です。
会社員として働きながら個人事業主になるメリット
会社員として働きながら個人事業主になることで、効率よく年収を増やしていけます。独立・起業もしやすくなるでしょう。
会社員として働きながら個人事業主になる4つのメリットと併せて、なぜ効率よく年収アップができるのか、どうすれば独立・起業しやすくなるのかも解説します。
独立・起業の練習になる
会社員をしながら個人事業主になる1つ目のメリットは、独立・起業の練習や準備になることです。
まずは副業で個人事業主として働くことで、会社員として安定した収入を得ながら、独立や起業に必要なスキルと経験を積めるでしょう。
すべての業務を自分でしなければならない個人事業主には、ライターにおける文章力やデザイナーにおけるデザイン力・センスなどの本業のほかにも、経営者としてのスキルも必要です。たとえば営業力や経理・会計の知識なども、本業のスキルを磨きながら身に付けなければなりません。
このように、個人事業主はやるべきことも覚えなければならないことも多いです。会社員をしながら個人事業主として働くことで、精神的にも経済的にも安定した状態で、これらのスキルを身に付けられるでしょう。
会社員の給与所得と個人事業主として得た報酬を損益通算できる
会社員として働きながら個人事業主になる2つ目のメリットは、会社の給与所得と個人事業主として得た報酬を損益通算できることです。
損益通算をすると、赤字と黒字を相殺して、所得税額を減らすことが可能です。会社員として働きながら個人事業主として働いている場合、副業の赤字を会社の給与から差し引き、課税所得を抑えられます。課税所得が抑えられれば、その分、所得税も低くなり節税ができます。
青色申告特別控除が受けられる
会社員として働きながら個人事業主になる3つ目のメリットは、青色申告特別控除が受けられることです。
青色申告特別控除とは、青色申告で確定申告をする個人事業主が、所得金額から最大65万円を控除できる制度です。所得が、給与所得のみの場合には適用されない控除なので、この制度を利用できる点が会社員として働きながら個人事業主になる大きなメリットといえます。
なお、青色申告特別控除を受けるためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出し、複式簿記による記帳が必要です。
経費計上ができる
4つ目のメリットは、経費計上ができることです。
経費とは、事業のために支出した費用のことです。経費を事業所得から差し引くことで、課税所得額を抑えられ、節税につながります。
たとえば次のような、個人事業主としての事業に必要なものを経費に計上できます。
・ボールペンやコピー用紙などの消耗品費
・PCをはじめとする設備の購入費
・事業所の賃料
・通信費
・交通費
・出張費
・外注費 など
事業に直接関連する費用は基本的に経費に計上できます。私用で購入したものでも、個人事業に関連があるものならば、利用頻度や使用割合を算出して、一部を経費として計上できることが多いです。
たとえば私用のPCを個人事業でも使用している場合、個人事業で使用した分の費用を経費として計上できます。自宅の一部を事務所として使っている場合、面積に占める事務所のスペース分の割合で家賃を経費にできます。
ただし、以下のように事業と関係があっても経費にならないものもあります。注意しましょう。
・個人事業主自身が受ける健康診断の費用
・取引先へ車で行った時の駐車違反の反則金など各種の罰金
・所得税や住民税、税金の延滞金 など
参照:「個人事業主に認められた経費の範囲(割合)、上限はいくら?」
会社員として働きながら個人事業主になるデメリット
会社員として働きながら個人事業主になることで、会社員が本来利用できない制度を利用し、節税することができます。
しかし、個人事業主になったことが原因で利用できなくなる制度、増える手間などもあります。具体的にどのようなデメリットがあるのか、3つ紹介します。
失業手当がもらえなくなる
会社員として働きながら個人事業主になる1つ目のデメリットは、失業手当がもらえなくなることです。
失業手当とは失業した労働者に、再就職するまでの生活を保障するために支給される給付金です。会社員が原則として加入する雇用保険に、一定期間加入していることを条件に支給されます。
しかし、個人事業主をとしても仕事を持っている会社員は、会社を辞めたとしても原則として失業手当の対象外となります。会社員としての職を失っても、個人事業主としての職があると考えられるためです。
個人事業主でも失業手当を受け取れるケースはありますが、会社員と個人事業主の兼業では、原則として受け取れないものと考えておきましょう。
税金の申告に手間がかかる
会社員として働きながら個人事業主になる2つ目のデメリットは、税金の申告に手間がかかることです。
所得が会社員としての給与所得のみであれば、会社が年末調整をしてくれるため、確定申告をする必要がありません。
しかし、個人事業主として働いている場合、個人事業の年収が20万円を超えたら確定申告をしなければなりません。節税効果は高いものの、青色申告では複式簿記による記帳が必要となり、さらに手間がかかります。
本業に支障をきたすリスクがある
会社員として働きながら個人事業主になる3つ目のデメリットは、本業に支障をきたすリスクがあることです。
会社員と個人事業主の兼業では、仕事の両立に苦労するかもしれません。本業と副業の両方の仕事が忙しくなり、体調を崩したり、プライベートの時間がなくなったりすることも考えられます。
本業と副業のスケジュールをしっかりと管理すること、本業に支障が出ないよう副業の仕事量を抑えることなど、対策をしましょう。
本業と副業の両立が難しくなった場合、どちらか一方を辞めるという選択肢もあります。
会社を辞めるつもりはないのに、副業により本業に支障が出て、懲戒処分を受けたり昇給が遅くなったりしては本末転倒です。副業が軌道に乗り、本業以上に稼げるようになったら、会社を辞めて独立するのもいいでしょう。
会社の給与と個人事業で大きく稼ぐ4つのコツ
会社員と個人事業主の兼業で大きく稼ぐコツを4つ紹介します。どれも簡単でありながら、とても大切なことです。常に念頭に置くことで、本業・副業・プライベートをバランスよく充実させられるでしょう。
自分に合う個人事業を副業にする
会社員と個人事業主で大きく稼ぐ1つ目のコツは、自分に合う事業を副業として選ぶことです。
自分の得意なことや好きなこと、興味があることを活かせる仕事を副業に選びましょう。”好きこそものの上手なれ”というように、事業を続けたり拡大したりするモチベーションが高くなり、スキルアップも早くなります。
料理が好きな人は料理教室を開いたり、英語が得意な人はオンライン英会話教室を開いたり、アイデア次第で自分らしい働き方ができます。
本業の妨げにならない事業を選ぶ
会社員と個人事業主で大きく稼ぐ2つ目のコツは、本業の妨げにならない事業を選ぶことです。
会社員と個人事業主を兼業する場合、2つの仕事を両立しなければなりません。時間の制約が多い業種、本業と競合するような業種は避けましょう。
たとえば飲食店や接客業、介護業などのシフト制で働く仕事は、本業とのスケジュール調整が難しくなります。
本業と競合するような業種は競業避止義務違反となり、懲戒処分をはじめ本業に悪影響を及ぼすリスクが高いです。
移動せずにリモートでどこにいても業務ができる仕事や、自分のスキルや知識を活かせる仕事がおすすめです。
家族の理解と協力を得る
会社員と個人事業主で大きく稼ぐ3つ目のコツは、家族の理解と協力を得ることです。
会社員と個人事業を両立させるうえで、家族の理解と協力は欠かせません。たとえば家事や育児・介護の分担を見直したり、事業に関する悩みを聞いてもらったり、体力的にも精神的にもさまざまなサポートが受けられます。
副業を始める前に家族とよく話し合いましょう。何のために副業がしたいのか、副業で得た収入をどのように使うのかなど、自分の考えを誠意を持って伝えることで理解と協力を得やすくなります。
節税を心がける
会社員と個人事業主で大きく稼ぐ4つ目のコツは、節税を心がけることです。
個人事業主は青色申告特別控除や経費計上などにより節税ができます。個人事業の売り上げアップも大切ですが、売り上げが増えれば課税所得額も増え、税金も高くなります。
大切なのは売り上げではなく手残りです。売り上げアップよりも節税の方が、簡単に手残りを増やせるでしょう。一言でまとめると、”利益率を高める工夫をしましょう”ということです。
個人事業主の所得が会社の給与と同じになったら、独立も考えよう
いきなり独立をするとなると、リスクもあります。個人事業主の収入は会社員よりも不安定です。「いつ仕事がなくなるかわからないから」と仕事量を増やしすぎ、プライベートを犠牲にしたり、家族関係にひびが入ったりすることもあります。
会社員のうちに個人事業主として兼業に挑戦することで、独立のリスクを減らし、収入アップと節税により、効率的に年収を増やしていけます。個人事業主の所得が会社の給与と同じくらいになったら、改めて独立を検討するのも良いでしょう。
独立することで、自分の好きな仕事により多くの時間と集中力を割けるようになります。会社員と兼業していた頃よりも高い収入を得るのも夢ではありません。まずは会社員のうちに個人事業主として始めてみることをおすすめします。
また、フランチャイズに加盟して副業として開業するのであれば、事業アイデアや経営ノウハウがなくても加盟したフランチャイズ本部から提供してもらえるので、フランチャイズも検討してみてはいかがでしょうか。
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<文/近藤正希子>