「信用経済」という言葉を知っていますか?
信用経済とは、貨幣経済が1段と進んだ段階の経済の仕組みであり、信用が経済活動の中で大きな役割を果たしていることを言います。
分かりやすく言うと、SNSのフォロワーの数が信用を数値化する1つの指標でもあります。SNSで数多くのフォロワーを獲得するインフルエンサーには、仕事やお金が集中するのはこの信用経済の1つの形です。
今回お話を伺ったのは、ヘアメイクアップアーティスト/ヘアスタイリストの山形栄介さん。
山形さんはフリーランスのヘアメイクアップアーティスト/ヘアスタイリストとして、一般のお客さまからはもちろん、多くの著名モデルやタレントから熱い支持を受けています。
山形さんは、流行などに振り回されるのではなく、その人に合った本質的な提案をするよう心がけているそうです。
そんな山形さんの働き方には、これからの時代を生き抜くヒントがありました。
山形栄介さん
ヘアメイクアップアーティスト/ヘアスタイリスト
有名サロン『HAIR DIMENSION』でカリスマ美容師として活躍する傍ら、タレントやモデルのヘアメイクとして10年活動。その後、ヘアメイク事務所『ROI hair & make』に移籍しヘアメイクアップアーティストとして7年間活動。
2017年に独立。
蛯原友里さん、優木まおみさんなど人気タレントを担当する。女性誌で指名の絶えない人気ヘアメイクアーティスト。さまざまなタイプの『可愛い』を引き出す幅広いテクニックで、女性たちから圧倒的な支持を得ている。
「ヘアメイクアーティスト×美容師」という2足のわらじ
―山形さんのキャリアから教えてください。
美容師の道に進んだきっかけは、高校時代の友人と一緒に行った専門学校の説明会でした。
こどもの頃から座学というよりも、自分で手を動かしてものづくりをする方が好きだったので、自然と何かを極める仕事に就きたいなと思っていたんです。
そんなことを漠然と考えながら、高校卒業後は専門学校へと進学。美容室でバイトをしながら学校に通い、卒業を迎えました。
卒業後は青山の有名サロンに就職しました。また当時はカリスマ美容師がブームになっていたので、忙しくも楽しい日々を過ごしていました。
―最初は美容師として、キャリアをスタートさせたのですね。スタイリストとしてはいつ頃から活動されたのでしょう?
ヘアメイクは、24歳の時にデビューしました。
当時勤めていたサロンでは、一般のお客さまのカットやカラーといった美容室としての役割と、雑誌や映像に起用されるモデルさんたちの撮影のメイクなどを担う役割と、2種類あったんです。
もともとは美容師として入ったのですが、ヘアメイクを担当していた先輩の現場に同行する機会が何度かあって。
何回か同行した後、急に先輩から「今日は所用で現場に行けないから、自分の代わりに担当して欲しい」とお願いされて、ヘアメイクをしたのがデビューのきっかけです。
ある雑誌の撮影だったのですが、その時に出会った編集の方から、その後も何度か呼んでいただけるようになって。普段はお店で美容師として仕事をしつつ、ヘアメイクの仕事も増えていきました。
―こうして、美容師とヘアメイクの二足のわらじが始まったのですね。
はい。その後はどちらかといえば、ヘアメイクの仕事が中心になっていきました。
勤続10年を迎えたタイミングで勤めていたお店を退職し、ヘアメイクを専門とするサロンへ転職。さらに高度なヘアメイクに関する経験とノウハウを培いました。
そこでは7年間勤め、去年の夏に独立しました。フリーランスのヘアメイクアップアーティスト/ヘアスタイリストとして、ここ赤坂に拠点を置き、活動しています。
その人に合った本質的な提案を心がける。山形栄介の仕事の流儀
―ヘアメイクアップアーティスト/ヘアスタイリストとして、独立して仕事をするということは、簡単なことではないと思います。山形さんがお仕事をする上で、特に意識していることは、なんでしょう?
とにかくその時にできる最善のことをする、でしょうか。
例えばヘアメイクアップアーティストとしてなら、モデルさんの短所を消して長所を伸ばす(活かす)ヘアメイクをすることはもちろん、撮影の意図やメディアのターゲット、撮影にかけられる時間やカメラマン、ディレクターの仕事観なども意識します。
ヘアメイクとして自分が参加している意味、求められていることは何かを、あらゆる視点から逆算するように心がけていますね。
ヘアスタイリストとしても、本質は同じです。お客さまの骨格やファッション、趣味嗜好、仕事、ライフスタイルからその人が求める「その人像」を逆算して、最適な提案ができるようにしています。
―そうなんですね。とても説得力のある、プロフェッショナルならではのお話です。逆に山形さんが、やらないように心がけていることはありますか?
「本質ではないもの」は、提案しないようにしています。
例えば流行などは特に意識していますし、逆に深く追いすぎないようにしていますね。
流行はたしかにありますが、万人が万人、その流行が似合うわけではありません。ヘアスタイルやメイクも同様で、流行に左右されない「きれい」や「かっこいい」を目指す提案をしています。
もちろん、流行がその人にぴったりな場合は採用しますけどね(笑)。
要するに「嘘をつかない」ということでしょうか。
人気ヘアメイクアップアーティストに学ぶ、信用経済の歩き方
―近年、信用経済という言葉をよく聞きますが「嘘をつかない」というのは、この来るべき信用経済を生き抜く上で、最も重要になりそうです。
昔からこのスタイルで仕事してきているので、信用経済が来ることを意識していたわけではありませんが「嘘をつかずに本質的なことを提案する」という姿勢は、いつの時代も変わらないのではないでしょうか?
その姿勢が数値化、顕在化されやすかったりしているのが、たまたま現代というだけで。
いつの時代も、本質的な提案を心がけて真摯に仕事に取り組んでいれば、お客さまはきっと喜んでくださいます。
今後も、よりお客さまに喜んでいただけるように邁進していきたいですし、末永くお付き合いできる関係性をずっと保っていきたいです。
―他に、何か挑戦してみたいことはありますか?
これまでヘアメイク、ヘアスタイルの領域をひたすらがんばってきたので、これからは一表現者としても活動していきたいですね。
写真に昔から興味があったので自分が撮りたい物だけに関してですが、カメラマンとしても活動を始めました。
あとはイベントなどで僕が思うヘアメイクブースなども出展する予定です。
フリーランスになってようやく、自分の仕事の裁量を自分で決める余裕が出てきましたから。
カメラではお金を稼ぐことではなく、純粋に自分のやりたいことを極められるような自由度の高い活動にしていきたいですね。