コロナ禍を経て、さらに増えている副業人口。
読者の皆さんの中には「副業に興味はあるけど、まだ挑戦できていない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回、やさしいお金の専門家・横川楓さんに伺ったのは、自分に合った副業の見つけ方。
一口に副業といっても大きく分けて2種類存在すると、横川さんは語ります。副業を行う上での注意点とともに、合わせてお話を伺いました!
横川楓さん
やさしいお金の専門家・経済評論家
明治大学法学部卒、その後同大学院へ進学、24歳で経営学修士(MBA)を取得。
実家は会計事務所を経営。同年代の友人たちのお金に対する意識と、将来の資産形成、所得格差、年金問題、増税など、これからの日本を担う世代に振りかかる様々なお金の問題との乖離に疑問を持ち、お金の知識の啓蒙活動を開始。
ファイナンシャルプランナー(AFP)や、マイナンバー管理アドバイザー、マネーマネジメント検定等の資格を取得する。
横川さんのインタビュー記事はこちらから!
「収入=給与」に縛られない。経済評論家・横川楓さんに聞く、独立・起業に必要な2つの条件
福田秋人
25歳。新卒3年目で、都内のメーカーに勤める会社員。営業職。
コロナ禍でのテレワーク時間が増えたことで、副業に興味を持つようになる。
現状では、どんな仕事を副業でしてみたいのか希望があるわけではないが、新しいスキルを身につけたいと考えている。
自分に合った副業を探すため、やさしいお金の専門家である横川楓先生に話を聞くことになった。
法的にはOKでも、会社的にはNGな場合も? 副業するなら最初に確認すべきこと

初めまして横川先生! 本日はよろしくお願いします!

初めまして、福田さん。副業をされたいということですが、どのような仕事をしようと考えていらっしゃるのですか?

それがまだあまりピンと来ていなくて……。テレワークで家での時間が増えたので、できればその時間を使って、本業ではない仕事をやってみたいなと。もちろん収入を増やしたいという目的もあるんですけど。副業をする上で、最初にやっておくべき準備などはありますか?

世間的に副業解禁の流れはあるものの、まだまだ多くの会社が全面的に副業OKというわけではありません。、上長へ許可を取りにいく前に、まずは自分で就業規則の確認をしましょう。

就業規則の確認ですか?

はい。就業規則で副業に関しての取り決めについて記載があるか、確認してください。
もし就業規則で「副業不可」とある場合は、やめておいた方がいいでしょう。
禁止されているにも関わらず、副業をしてしまうと減給や降格、場合によっては退職という重い処分を受ける可能性もありますので、ご注意ください。

以前、「副業を禁止にするのは違法だ」という話をネットで聞いたことがあったのですが……。

そこは難しい問題ですね。
たしかに憲法では職業選択の自由(憲法第22条第1項)が定められています。
ですから、福田さんが副業をしても、法的には問題ありません(ただし公務員は、副業禁止の旨が条文に記載されています)。
ですがそもそも会社に入社する際、その会社の就業規則を守ることを条件に、雇用契約を結んでいるはず。
「副業禁止」と定めているにも関わらずそれを破ってしまうと、就業規則違反に抵触する可能性があるんですよ。

つまり、法的にはOKでも、会社のルール的にNGな場合もあると。

そういうことです。
本業があっての副業ですし、副業をする・しないで、今勤めている会社と揉めたら、本末転倒ですよね。
入社するタイミングで就業規則を渡されているはずなので、まずは一度確認してみましょう。
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“給与収入”的副業と“事業収入”的副業、あなたはどっちを選ぶ?

わかりました、まずは会社の就業規則を確認してみます! ちなみに横川先生はどんな副業をおすすめしますか?

自分の目的に応じた副業を選ぶことが大切なのではないでしょうか。
一般的な副業の選び方には大きく2種類あると、私は思っていて。

2種類の副業?

1つ目は、給与収入的副業。
これは雇用主に雇われた立場で、働いた時間などによって給与が発生するタイプの副業です。例えば平日は本業の仕事をして、休日はカフェでアルバイトをするといった感じですね。

なるほど! アルバイトのように働くタイプの副業なんですね。

このタイプの長所はいくつかあります。
まずは収入がある程度安定すること。
時給×働いた時間で収入が計算できるので、シンプルで分かりやすく、収入の見込みが立てやすいですよね。
アルバイトですと、職種によっては未経験からでも気軽に始められるので、それも良いところだと思います。
さらに、開業届などの手続きも特に必要ありません。
(ただし本業も含め、複数の会社から給与収入がある場合、確定申告はの必要があるので要注意です。)
「手っ取り早く副収入を作りたい」という方にとっては、とてもおすすめな副業のスタイルだと思います。

もう1つの副業はなんでしょうか?

もう1つは、事業収入的副業です。
例えばクラウドソーシングでデザインやプログラミング、ライティングの仕事を受注したり、といったように、仕事に対する業務委託報酬を得るタイプの副業です。
YouTuberやブロガーなどの情報発信系で得る収入も、基本的にはこちらに当たりますね。
このタイプの長所は、アルバイトのように「働いた時間に対する報酬」を受けるのではなく「仕事に対する報酬」を得られるという点です。
極端な言い方をすると、超一流のスキルを持った人なら、わずか1時間の稼働で数万円、数十万円の収入を得ることだってできます。

有名YouTuberが動画を1本アップして数十〜百万円の収入を得る、といった感じでしょうか。夢がありますね!

ええ。ですがそのレベルにまで到達するには、もちろんそれ相応のスキルや経験、影響力などが求められます。
会社員の人が副業で始めるとしたら、すでにある特定のスキルがある人や、仕事を発注してくれるお客さん(企業または個人)と関係性が築けている人などだと、収入が見込みやすいですね。

僕、特にこれといってスキルがあるわけではないですが、何か新しくできることを増やして、こういった仕事で副業をしたいなと考えてるんですけど……。やっぱり難しいでしょうか?
難しくはないですが、未経験ですとどうしても仕事に対する単価が低くなってしまいがちなので、注意が必要です。
「経験を積むために、安くても仕事を請ける」のも戦略の1つかもしれませんが、それは度合いによりますね。
また継続的に仕事をしていくなら、開業届や青色申告の書類も出しておきましょう。
やさしいお金の専門家・横川楓先生に聞く、独立前に必要な5つの準備!
「すでに本業などでスキルを身につけているから、それを活かして個人でも仕事がしたい」という方。
もしくは「新たなスキルを身につけて、ゆくゆくは収入を増やしていきたい」といった方におすすめの副業のスタイルです。
仕事が増えても身体は1つだけ。体調管理には要注意!

他に注意するべきポイントはありますか?

先ほどもお話しした通り副業する際は、いずれも確定申告が必須になります。
「確定申告」という言葉に苦手意識を持たれてる方は多くいらっしゃいますが、会社員として働いているだけだとなかなか関わることがありませんから。
ちゃんと申告しないと本業・副業問わず勤務先にも迷惑をかけてしまいますから、注意が必要です。
またどんな副業をするにせよ、本来はプライベートであった時間を仕事に充てなければなりません。
働きすぎて体調を崩してしまっては元も子もありませんし、副業が原因で病気になっても傷病手当金は受給できませんので、注意してください。
自分の身体とよく相談しながら、でも楽しみながら、少しずつ副業に挑戦にできたら良いのではないでしょうか?

自分の身体と相談しながら、自分に合った副業を選ぶことが大切なんですね。横川先生、ありがとうございました!
構成・文・撮影=内藤 祐介