声優一筋、20年。
今回お話を伺った、立花慎之介さん(トップ画像左)と福山潤さん(トップ画像右)は、誰もが知るアニメやゲームに出演する、超人気声優です。
声優として20年のキャリアを持つ彼らが、この春から新たに挑戦したのは、なんと起業。
2人は今年の4月に株式会社BLACK SHIPを立ち上げ、共に「代表取締役CEO」に就任しました。
なぜ人気声優である2人が「ダブル社長」として起業し、経営を始めたのでしょうか?
今回は前後編にわたって、彼らが代表を務める株式会社BLACK SHIPの全貌を、お伝えします。
立花慎之介さん(トップ画像左)
声優/株式会社BLACK SHIP代表取締役青二塾東京校18期卒業。2003年テレビアニメ『E’S OTHERWISE』のキョウ役で声優デビュー。2011年6月よりアクセルワン所属。
2018年3月31日、アクセルワンを退所。4月1日に、福山潤とダブル社長という形で株式会社BLACK SHIPを開業する。
出演作品は、「DD北斗の拳」(ケンシロウ)「メカクシティアクターズ」(カノ)「ハイキュー!!」(夜久衛輔)「D.Gray-man」(ハワード・リンク)「Go!プリンセスプリキュア」(プリンス・ホープ・グランド・カナタ)「石膏ボーイズ」(メディチ)「東京喰種トーキョーグール」(滝澤政道)「ビッグオーダー」(柊義経)など。
福山潤さん(トップ画像右)
声優/株式会社BLACK SHIP代表取締役1997年に『月刊Asuka』のラジオCMナレーションでデビュー。青二塾大阪校13期1組卒業。1999年に青二ジュニアを退所。フリー期間を経て、ぷろだくしょんバオバブに移籍。
2011年4月1日、アクセルワンに移籍。
2018年3月31日、アクセルワンを退所。同年4月1日に、立花慎之介とダブル社長という形で株式会社BLACK SHIPを開業する。
出演作品は、「コードギアスシリーズ」(ルルーシュ・ランペルージ)「黒執事」(グレル・サトクリフ)「マクロスF」(ルカ・アンジェローニ)「革命機ヴァルヴレイヴ」(アードライ)「おそ松さん」(松野一松)「暗殺教室」(殺せんせー)「ユーリ!!! on ICE」(西郡豪)「PERSONA5 the Animation」(雨宮蓮)など。
20年ものキャリアの中で生まれた点と点が、線でつながる。声優界の「黒船」が誕生した経緯
―立花さんと福山さんの共同経営という形で生まれた、株式会社BLACK SHIP(以下、BLACK SHIP)。起業の経緯についてお聞かせください。
僕も立花も今年で40歳を迎え、声優としても20年キャリアを積んできました。僕や立花が声優を志しデビューした約20年前と今では、声優に求められるものや声優を取り巻く環境が大きく変わっています。
声優がゼロからコンテンツを創ること、後続を育成することなど「自分がやりたいと思うこと」は、今の「声優」という枠組みでは収まりきらない範囲のものが数多くありました。
そんな中、僕自身のこれからの方向性や自分のやりたいことを達成するために、身の振り方を考えていました。
そこでたどり着いた選択肢が「独立」だったんです。
ちょうどその頃、立花から「自分で事務所を立ち上げて経営をやりたい」という旨の話を聞く機会がありました。
立花との付き合いも古くからありましたし、何より彼が独立をして成し遂げたいビジョンが、僕のそれと近いところがあり、2人で一緒に立ち上げられたら面白いのではないかと思ったんです。
そして、2人でBLACK SHIPを立ち上げることを決意しました。
―立花さんが「経営をやりたい」と思い始めたのは、いつごろからなのでしょうか?
今から3年ほど前から、経営に興味を持ち始めました。声優の世界に入って20年も経つので若い頃よりも、声優業界のことはもちろん、他業界や世の中の流れなど、様々なものが見えてくるようになりました。
特に他業界やお付き合いのある企業と比較すると、やはり我々声優業界が、この時代の流れの速さについていけていないなと、感じる部分が多かったんです。
今の時代にそぐわないな、と思う場面に遭遇するたびに「自分だったらきっとこうするのに」「ここが解消できたらもっとスタッフや演者の負担が減るのに」と考えることが次第に増えていきました。
声優としてではなく、どちらかといえば経営者としての、ものの見方をするようになっていったんです。
それならいっそ、経営に携わってみたいと思い「独立」を考え始めたんです。