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「子どもたちのため」という強い思いが原動力に 年間密着取材Ⅱ ~菊地さん編 総集編~

「子どもたちのため」という強い思いが原動力に 年間密着取材Ⅱ ~菊地さん編 総集編~

「独立・開業」を目標に実際に起業活動を進めている方の年間密着取材、第2シーズン。開業までのプロセスや想いを中心に、苦労話や失敗談まで、リアルな姿を追いかけるドキュメンタリー。

菊地美由起さんプロフィール
小さい頃の夢は「保育士になること」だったという菊地さんは、地元・岩手県の保育の専門学校を卒業後、すぐに結婚。家事をこなしつつもパートタイマーで働き始め、離婚を機に埼玉県へ移住。さまざまな仕事を経て、県内の保育園に就職。元々、住みたいと思っていた鎌倉市に次女が新居を構えたタイミングで、自身も移住。横浜市で保育の仕事に携わる。2017年4月、鎌倉市に一時保育専門の託児所をフランチャイズで開業する。

皆さんは子どもの頃の夢を覚えていますか? その夢は、実現しましたか?

昔からの夢を、大好きな場所で実現する…。それだけでも凄いことですが、さらに菊地さんは「子どもを預かれる場所を作りたい」という新たな夢を持ちました。

長年の夢であった託児所を作ろうと思い、開業を検討し始めた時、自分とポリシーの合うフランチャイズ本部に出合い、加盟を決めました。
保育園で働く傍ら、育児中の娘さんと一緒に開業準備をスタート。しかし、開業予定地である鎌倉市は、数年前に引っ越してきたばかりで内業者の知り合いがいなかったので、依頼先が分からず苦戦したり、ようやく依頼した内装業者は見積もりが高く、日本政策金融公庫へ融資申請したものの満額は下りなかったりと開業準備中は想定外のことが続きます。

開業直前の時期が勤めていた保育園の繁忙期だったため最終出社日まで残業をすることになってしまったり、プレオープン直前に電話線が部屋まで引けないことが発覚し、急きょ工事をしなければならなくなったりと、トラブルも勃発。これでは開業できない! と、投げ出したくなってしまうこともあったそう。働きながらの開業準備の大変さを痛感したと言います。

しかしながら、フランチャイズ本部のホームページでオープンの告知があったため、開業前から予約が入るなど順調な滑り出しでした。

2017年4月に開業後は、SNSなどでの販促に力を入れたものの集客は苦戦。なかなか経営が軌道にのらない現実とそれまで開業準備と仕事に追われていたことで、体調まで崩してしまったと言います。

そこから気持ちを切り替え、娘さんとも話し合いをしたそう。「親子とはいえ、仕事を一緒にやっていくと決めた以上、期日を決めたことはお互いきちんと守ろう、お互いに助け合おう」と改めて確認し合うことで、気持ちも前向きになったそうです。それだけではなく開業前の研修でお世話になった近隣店舗の店長さんに相談をし「お客さまの少ない時間帯や、週末限定のお得なキャンペーンを行うなど、こまめに対処することが大切」などの運営上のアドバイスをもらうことも出来ました。

効果的な集客方法が見えてきたのは、オープンから4カ月が経ったとき。試行錯誤したSNS投稿の結果、投稿する時間はママたちの仕事がひと段落する21時がベストだということが分かりました。

リーフレットも、鎌倉店独自のものを娘さんが作成。三つ折りにしたときに子どもの顔が目に入るようにして、このお店のことを知らない人でも“子どもに関係した何かがある”ということがわかってもらえるよう工夫するなど、「パッと見てすぐにわかること、伝えたいこと」を大事にしたと言います。

ほかにも、子育て支援センターなどにもリーフレットを置いてもらうようお願いしに行ったり観光協会の審査を受け、ホームページに載せてもらうなど、考え付いたことは何でもすぐ行動に移しました。

そのような努力が実を結び、利用客もじわじわと増えてきて、新規申し込みからリピーターになる方の割合も多くなっていきました。

並行して準備していた私設保育施設の認可もようやく取得。開業1カ月以内に必ず行わなくてはいけないものでしたが、開業したら忙しくてつい忘れてしまい、市から連絡をいただいてしまいました。市内で一時保育の託児所の認可事例がなかったこともあり、申請から認可が下りるまで3カ月も要してしまったといいます。菊地さんからは、今後認可申請を考えている方に対して「申請対象の役所には、いつまでに届出を出さないといけないのか、調べておいた方が良いと思います」とのアドバイスも。

予想以上に大変なこともあれば、思っていた以上に嬉しいことも。小さい子どもを持つ親御さんが夏季休暇を取る8月は売り上げが伸びない時期だと言われていたにも関わらず、8月に開業して初めての売上目標を達成することが出来ました。

一つひとつの取り組みが売り上げに繋がったことで、経営者としての自覚が芽生えたという菊地さん。フランチャイズとはいっても、開業も廃業も自分が決めることだという意識が強くなったと言います。また、私設保育施設の認可がおりたことで、市のホームページに掲載してもらえたのもうれしかったそう。

ここで歩みを止めることなく、菊地さんは託児所の近くにあるヨガスタジオやコワーキングスペースへの出張託児など、次なる取り組みを検討し、チャレンジし続けています。また、託児所内でイベントを行うときなどは、市役所にポスターを貼らせてもらうなど、「地域に根付く」ための行動も積極的にしています。

最後に、アントレの密着取材を受けた感想として「1年間取材をしていただきありがとうございました。開業したものの途中で心が折れそうになった時もありましたが、取材で話をしている中で、アドバイスをいただいたり、再確認することができ、何とかここまでくることができたように思います」との言葉をいただきました。

子ども一人一人にもっと丁寧に関わりたい、理想の保育園をつくりたい…。そんな思いを原動力に、開業に挑戦した菊地さん。既に理想通りの託児所になっているとおっしゃっていましたが、同時に「もっと子どもたちにとって、より良い環境にするためには木のおもちゃを増やしていきたいですね。親御さんにご用意いただいた食事をとりわけるときに使うこともある食器はプラスチックから木もしくは竹に変えたいです。空調設備も整えて、より快適に過ごせるようしたいですね」とさらなる理想を叶えるための具体的なお話もしてくださいました。それらを実現するにはクリアすべき課題も多いでしょう。けれど、今までも強い思い・理想を持ち、それに向けてひたむきに走る強さが結果に繋がってきたので、きっとどんな困難も乗り越えて行けるのではないでしょうか。

年間密着取材を終えて

現状に満足せずに、お客さま・利用者である子どもにとってより良い環境を実現し続けていく菊地さん。経営が未経験でも、馴染のない土地での開業でも、強い思いをもって行動すれば道は開けるということを教えていただきました。
また、フランチャイズでの独立であってもそうでなくても、経営者としての自覚を持つことが大切だということも同時に学ばせていただきました。

菊地さんと託児所のこれからが楽しみです。

「-Season2-長期密着取材! 独立開業への道365日」シリーズ
次回の更新は、2017年12月15日(金)。
2年後の定年までにどう独立するかを決めたい林原さん編(総集編)予定。
数々の選択肢で迷う日々を経て。 お楽しみに!

更新日:2017/12/8
文:篠原舞 撮影:吉原朱美、佐藤なかや





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