【本記事で解説すること】
- 脱サラのリアルな成功率
- 脱サラのメリット・デメリット
- 脱サラで成功する人・失敗する人の特徴
- 後悔しないために、脱サラ前にやるべき準備
- 脱サラ後の働き方や、よくある質問
脱サラを検討するときは、成功率やリスクなどの現実も知っておく必要があります。
「全く稼げない」「生活に困る」などの問題が発生しないよう、情報収集や事前準備は欠かさないようにしましょう。
本記事では、脱サラの成功率や脱サラのメリット・デメリット、成功のための事前準備についてまで徹底解説します。
まずは本記事を最後まで読んで、脱サラのために必要な最低限の知識を身につけましょう。
脱サラの成功率とは
脱サラした(会社を辞めて、個人事業主として事業を始めた)人の成功を、事業を長く継続できていることと定義すると、その難しさがわかります。
これらのデータから読み取れるのは、「開業1年目を乗り越えるハードルは比較的低いものの、10年間事業を継続するのは非常に難しい」という事実です。
「成功率〇%」と明確な数字で示すことは困難ですが、多くの人が志半ばで事業を手放している現実は、脱サラを考える上でまず直視すべきポイントです。
しかし、これは「挑戦するな」という意味ではありません。むしろ、失敗する多くのケースには共通の原因があるため、それを知って事前に対策を講じれば、成功の確率は大きく高められます。
参照:中小企業白書2023年度版|中小企業庁(Ⅱ-188より)
参照:全国企業倒産集計2023年12月報・2023年報(倒産動向データ編)|帝国データバンク(P.11より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります
脱サラをする5つのメリット
脱サラには、会社員時代にはなかった魅力がたくさんあります。
脱サラをすることで得られるメリットは、次の5つです。
働く時間を自由に決められる
脱サラすると会社に縛られることがなくなるため、働く時間や休日を自分でコントロールできます。
通勤ラッシュから解放されるので、家族との時間を増やしたり、趣味に没頭したりと、理想のライフワークバランスを実現しやすくなるでしょう。
仕事内容を自由に決められる
「好きなこと」「得意なこと」を直接仕事にできるのは、脱サラの最大のメリットです。
やりがいを感じる事業に情熱を注げるため、仕事への満足度は格段に上がります。
会社の方針や苦手な業務に縛られることなく、自らの意思で事業の方向性を決められます。
人間関係の悩みから解放される
脱サラすると、上司や同僚とのしがらみといった、組織特有の人間関係のストレスから解放されます。
もちろん顧客や取引先との関係は発生しますが、誰と仕事をするかを自分で選べる立場になるため、理不尽な人間関係に悩むことは大幅に減るでしょう。
収入アップが期待できる
脱サラすると会社員のような給与の上限がなくなり、事業の成果が直接収入に反映されます。
自らの努力と工夫次第で、会社員時代を大きく上回る収入を得ることも夢ではありません。
稼いだ分だけ収入が増えるというダイレクトさが、仕事への大きなモチベーションになります。
節税対策ができる
個人事業主や法人経営者になると、経費として認められる範囲が会社員より広がります。
たとえば、自宅兼事務所の家賃や光熱費の一部を「家事按分」として経費計上したり、事業に必要な物品の購入費を経費にすることで、課税対象となる所得を抑え、結果的に税負担を軽減できます。
脱サラする5つのデメリット
脱サラには、当然デメリットも存在します。
主なデメリットは、以下の通りです。
収入が不安定になるリスクがある
脱サラすると、会社員のように毎月決まった給料が保証されなくなるのが最大のデメリットです。
事業が軌道に乗るまでは収入がゼロになる可能性もあり、病気やケガで働けなくなれば収入は途絶えます。有給休暇も傷病手当もありません。
このリスクに備えるため、開業資金とは別に最低でも半年〜1年分の運転資金と生活費を準備しておく必要があります。
クレジットカードやローンなどの審査が通りにくい
独立直後は社会的信用度が低いと見なされ、クレジットカードの作成や、住宅・自動車ローンなどの審査が格段に厳しくなります。
事業用のクレジットカード作成や大きなローン契約は、信用度の高い会社員のうちに済ませておきましょう。
税金や費用など自己負担が増える
会社員時代は会社が半額を負担してくれていた健康保険や年金などの社会保険料は、全額自己負担に変わります。
また、打ち合わせの交通費や備品代など、事業に関わる経費もすべて自分で支払わなければなりません。
なので、売上からこれらの費用を支払うことを見越して、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。
収支を自己管理する必要がある
脱サラすると、日々の売上や経費の記録、帳簿付け、そして年に一度の確定申告などをすべて自分でおこなう必要があります。経理の知識がなければ、これらは大きな負担になるでしょう。
どんぶり勘定は経営破綻に直結してしまうので、会計ソフトを導入したり、早い段階で税理士などの専門家に相談するなど、正確な収支管理の仕組みを構築しましょう。
フリーランスになったら確定申告は必須!手続きを楽にしてくれる会計ソフト8選
休みがとりにくいケースもある
脱サラすると自由な時間が増えると考えるかもしれませんが、現実は逆になることも少なくありません。
特に事業が軌道に乗るまでは仕事量が多く、休み返上で働くケースがほとんどです。自分で仕事に区切りをつけないと、際限なく働き続けてしまうこともあり得ます。
経営者にとって健康は最大の資本なので、意図的に休日を設定し、心身を休ませるセルフマネジメント能力が求められます。
脱サラ前にやるべき5つの準備
ここからは、脱サラのためにやるべき5つの準備について解説します。
脱サラに成功するかどうかは準備にかかっているので、この項目はしっかり読み込んでみてください。
「なぜ脱サラしたいのか?」目的を明確にする
「今の会社が嫌だから」といったネガティブな動機だけでは、独立後の困難は乗り越えられません。
「何を成し遂げたいのか」「どんな働き方を実現したいのか」というポジティブな目的を明確にすることが、事業の揺るぎない軸となります。
事業計画・資金計画を具体的に立てる
脱サラする際は「ビジネスモデル」「ターゲット顧」「収益予測」などをまとめた事業計画書を作成しましょう。
同時に「開業資金」「運転資金」「生活費」を算出し、自己資金や融資でどう賄うかの資金計画も作成することをおすすめします。
この計画の精度が、成功確率を大きく左右します。
家族の理解を得る
脱サラは、家族の生活にも大きな影響を与えます。
収入が不安定になるリスクや、多忙になる可能性を正直に伝え、理解と協力を得るようにしましょう。
副業から小さく始めてみる
可能であれば、会社員のうちに副業として事業をスモールスタートさせることをおすすめします。
実際に収益を上げられるか、顧客の反応はどうかなど、本番さながらのテストをおこなうことで、失敗のリスクを大幅に減らせます。
必要なスキル習得や人脈作りをおこなう
脱サラする前に、事業に必要な専門スキルはもちろん、経理やマーケティングなどの経営の基本知識も学んでおきましょう。
セミナーや交流会に参加し、同じ志を持つ仲間や先輩経営者との人脈を作っておくこともおすすめします。人脈は脱サラ後の貴重な財産になるでしょう。
脱サラ後の働き方の例
脱サラ後の働き方は一つではありません。自分に合ったスタイルを選びましょう。
フランチャイズ(FC)に加盟する
「経営に不安がある」「未経験の業種に挑戦する」という場合は、フランチャイズへの加盟を考えてみましょう。
フランチャイズに加盟すると、本部が培った成功ノウハウやブランド力を活用できるため、成功の確率が上がります。
研修や経営サポートも充実しているので、個人でゼロから始めるより事業を軌道に乗せやすいでしょう。
フリーランスとして専門スキルを活かす
Webデザイナー、エンジニア、ライターなど、会社員時代に培った専門スキルを活かして独立するのも効果的です。
Web関連の仕事は少ない初期投資で始められ、自分の実力次第で高収入を目指せます。
【Q&A】脱サラに関するよくある質問
最後に、脱サラを検討する方が抱きがちな疑問にお答えします。
Q1. 貯金はいくら必要ですか?
A1. 目安として「開業資金」「運転資金の半年〜1年分」「生活費の半年〜1年分」の3つを合計した額が理想です。
事業が赤字でも生活が困窮しないよう、余裕を持った資金計画を立ててください。
Q2. 脱サラするのに最適なタイミングはいつですか?
A2. 「事業計画が具体化し、十分な自己資金が貯まったとき」が1つの目安です。
副業である程度の収益が見込めるようになったタイミングや、家族の理解を得られたときもそのタイミングと考えて良いでしょう。
ただし、ベストタイミングはこれらの条件が全て整ったときです。
Q3. 会社にはいつ、どのように伝えるべきですか?
A3. 円満退社のためには会社の就業規則を確認し、1〜3ヶ月前には直属の上司に伝えるのが一般的です。
「独立して〇〇の事業を始めたい」と正直に伝え、引き継ぎをしっかりと行う姿勢を見せることが大切です。
脱サラ成功の秘訣は「綿密な準備」
脱サラの成功率は決して高くありません。
しかし、失敗する多くのケースは準備不足や見通しの甘さが原因です。裏を返せば、リスクを正しく理解し、綿密な事業計画と資金計画を立てることで、成功の確率は格段に高まります。
もしあなたが「脱サラして成功を目指したい」という情熱を持っているなら、まずは情報収集から始めてみましょう。
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<文/ちはる>