独立・起業をするからには、自分がどんな事業を行うのかを、選択しなければなりません。
その選び方は千差万別ですが、大半は濃淡はあれど「自分のやりたいこと」を選択するでしょう。
では「自分のやりたいこと」が明確にない人は、独立・起業には向かないのでしょうか?
今回お話を伺ったのは、集客コンサルタントの伊藤宏美さん。伊藤さんは2017年から起業塾を経営し、イベントやスクールを通して年間2000名以上の女性の支援を行っています。
そんな伊藤さんですが、最初から起業塾を立ち上げようと思っていたわけではなかったそうです。
「自分のやりたいこと」ではなく「自分の得意なこと」を武器に、独立・起業を果たした伊藤さん。今回はそんな伊藤さんの考え方やスタンスを取材しました。
伊藤宏美さん
集客コンサルタント
合同会社Smart Be 代表
会社員としてキャリアコンサルタント、人事、社長秘書などを経験し、2017年に独立。
会社員時代に培ったITスキルと人材マネジメントのノウハウを活かし、イベントやスクールに年間2000名の女性を集客。
現在は女性起業家やフリーランスを対象に、商品・サービス開発やSNSの活用法、集客のノウハウなど、事業にまつわるコンサルティングを行っている。
“自分探し”をしすぎて、500万円の借金地獄に?「自分のやりたいことがない」から始まった、起業塾
――まずは伊藤さんの現在のお仕事について、教えてください。
集客コンサルタントとして、自分の好きなことや得意なことを仕事にしたいと考えている女性向けに、起業塾を運営しています。
アカデミーやセミナー講座、オンライン講座など、さまざまな手段で、商品やサービスの開発や、SNSでの集客の方法、どのような販売方法が効果的か、など、独立・起業に必要な一連の流れを総合的にコンサルティングしています。
いわば、独立・起業をしたい人にとっての、パーソナルトレーナーのような立ち位置ですね。
――なぜ起業塾を立ち上げようと思ったのでしょうか?
現在のような起業塾が、自分に「合っていたから」ですね。
実は起業した当時は、起業塾を立ち上げたい、と思っていたわけではなかったんですよ。
起業には興味があったのですが、むしろ自分のやりたいことがずっと見つからず、悶々としていて……。
「自分のやりたいこと探し」のために、自己啓発セミナーに参加しすぎて500万円もの借金を背負ったこともありました。
――なかなか衝撃的なお話ですが……現在に至るまでの経緯を教えてください。
順を追って説明しますね。
私は2017年に起業をしたのですが、それまではかなり多種多様な業界や業種で働いてきました。
芸能系の仕事をしていた時期もありますし、ジュエリーブランドで販売員や、大手人材会社でキャリアコンサルタント、社長秘書や人事なども経験して。
何度か転職をして、会社員としては14年働きました。
その時々でご縁のあった環境で、やりたいことに打ち込ませていただきました。
ただ34歳の時、自分の中で会社員として働くことに疑問が生まれて。それまで本当に一生懸命仕事をしてきたので、ある種のやり切った感が芽生えてしまったというか……。
一方で自分はもっと頑張れるのに、給与の上限が見えてしまって。それで独立・起業に興味を持つようになったんです。
半ば勢いで退職したのはいいものの、肝心の「どんな事業を起こしたいのか」が明確に定まっておらず、方向性に迷ってしまって……。
――「自分のやりたいこと」が見つからなかったんですね。
はい。
そして「自分のやりたいことの“答え”」を見出すために、高額な自己啓発セミナーに参加するようになり、気がついたら500万円もの借金を背負ってしまいました。
流石にこれではまずい、と思っていた矢先、ある起業塾の先生から受けたアドバイスが「集客コンサルタントをやってみたら?」というものだったんです。