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自分の作品のファンのために。「卓上セーブポイント」の作者が語る、評価との向き合い方

他人の評価って、気になりますか?

「インスタ映え」や「エゴサーチ」という言葉があるように、自分が周りの人にどう思われているかを気にしてしまう人が多い、現代社会。

しかし、今回お話を伺った造形作家の橘川匠さんは「他者からの評価に固執することはない」と、言います。

大学を中退して専門学校生、パソコン教室講師、派遣社員など様々な経験をしてきた橘川さん。現在は造形作家として、誰も思いつかないようなユニークな作品をデザインフェスタやネット通販に出品することで生計を立てています。

独特な視点と発想から生まれた作品には、根強い人気があります。

しかし、独特な作品を作ってきたからこそ、様々な評価もされてきました。

今回は、そんな橘川さんの半生を振り返るとともに、「評価されること」について伺いました。

<プロフィール>
橘川匠(きつかわ・たくみ)

造形作家。

「くだらないもの工房」店主としてユニークな作品を制作し、ネットで販売。

ロールプレイングゲームなどでよく使われる、セーブポイントをイメージした『卓上セーブポイント』をメインに、『将棋コンバットシリーズ』や『死亡フラグ』といった、見た人が思わず「フフっと」なるような“もの”を造ることを心がけている。

ネット通販だけでなく、デザインフェスタに出展したりワークショップや個展を開いたりと、精力的に活動している。

「ふざけたことに真剣になる」を掲げ、日々新しい“もの”の制作に奮闘中。

※インタビュー記事のため、多少固い表現を使っています。

世間の常識なんて気にしない! 橘川匠さんが“もの”づくりでの独立を決断した理由


ー橘川さんは現在、「くだらないもの」をコンセプトに“もの”づくりをされているようですが、このようなお仕事をされるようになった経緯を教えてください。

橘川さん
工業系の大学に入学後、様々なアルバイトを経験しました。その後Web系やゲーム制作会社に就職しました。

1つのキャリアである程度のスキルを得られたら次の職場へ、というスタンスで仕事をしていたので、若い頃は様々な職を経験していましたね。

いずれも会社員として仕事をしていたのですが、正直自分の中で、しっくりきていなかったところも多々ありました。

ー会社員のどういった点が肌に合わなかったのでしょう?

橘川さん
どこの職場で働く時も、自分の中である程度明確に「目的意識」がありました。

例えばゲーム制作会社なら「ゲームを作ること」、パソコン教室なら「PCスキルを生徒さんに教えること」といった具合です。

しかし会社にいると、その目的に沿わない仕事も多くこなさなければならないシーンがありました。

ー例えばどのような仕事ですか?

橘川さん
私はパソコン教室でPCスキルを教えていた時「生徒さんに教えることが好き」で、仕事をしていました。

しかしそこそこキャリアを積んでいくと、現場ではなく教室長として、経営のことも考えなければいけなくなってしまったんです。

もうスキルを教えるどころじゃなくなって、とても大変でしたね。

ーなるほど。とはいえ会社に頼らず、自分の力で生活していくことは並大抵のことではないと思います。

橘川さん
そうですね。

特に私たちが就職氷河期世代ということもあり、周りの人はいわゆる「安定志向」の人が多かったように思いました。

しかし私は、もともと会社員での仕事に疑問を感じていたこと、そして周りの人が「安定志向」だからこそ、自分のやりたいこと・やりたい仕事に挑戦したいと思うようになり、独立を決意しました。

ーでは派遣社員の後、独立して現在のお仕事をされるようになったのですね。

橘川さん
そうですね。縁があって会社員時代からデザインフェスタに“もの”を造って出展していたので、「何か作って、生計を立てる」という現在のビジネスモデルのイメージはできていました。

特にいまでも作っている『卓上セーブポイント』は、デザインフェスタに出展した頃から評判が良かったです。

ーその『卓上セーブポイント』を造ろうと思ったきっかけはなんでしょうか。

橘川さん
たくさんの出展物があるデザインフェスタでお客さまの注目を集めるには、「目立った」“もの”じゃなきゃいけないと気づきました。

なので「光って目立つものを造ってみよう!」と思いついたのが『卓上セーブポイント』だったのです。それがヒットしました。

この作品に限らずですが、誰も思いつかないようなことを作品として表現できるよう、心がけています。

全ての“評価”に振り回される必要はない。自分にとっての「本当のお客さま」を選ぶ勇気


ー現在は、具体的にどのように収益を得ているのでしょうか?

橘川さん
基本的には“もの”づくりがメインです。自分が造りたいと思った“もの”を造って、ネット通販やデザインフェスタで展示と販売をしております。

その他、ワークショップを開催して、自分の作品作りのノウハウなどを紹介しています。

ー外部から制作を依頼されることはないのですか?

橘川さん
ありますよ。しかしご依頼を受けるにあたり、自分の中で一定の基準を設けています。

ーどのような基準なのでしょう?

橘川さん
基準自体はいくつかあるのですが、やはりそのご依頼が、自分が造りたいと思える“もの”かどうかは、大きなポイントですね。

自分が「これ造りたい!」と情熱を持てるものは、やっぱり作品への愛情も深まりますし。

ーお金を稼ぐことだけが、全てではないということですね。

橘川さん
もちろんケースバイケースですけどね(笑)。

お金がいいに越したことはないですが、それだけだとちょっと物足入りないというか(笑)。

せっかく自分の好きな仕事で独立をすると決めたなら、自分の「これ造りたい!」という情熱に従う比率を、できる限り大きくしていきたいんです。

ーやはりクリエイターにとって、自分の作品への情熱は持っていたいものですよね。そしてクリエイターが制作した“もの”を、購入してくださるお客さまがいらっしゃる。

橘川さん
そうですね。

私の作品を評価していただいて、いつもご購入していただけるお客さまにはとても感謝をしています。

ー今の時代、ネットを通して誰でもあらゆるもの・ことを購入し、その評価をつけることができます。クリエイターである橘川さんもおそらく、多くの人から様々な評価を受けてきたのではないかと思うのですが…?

橘川さん
そうですね。いろいろな作品を世に出しているので、多くの方から様々なお言葉を日々頂戴しています。

だからこそ、仕事の依頼と同じように、自分にとっての「お客さま像」も、ある程度明確にするように心がけています。

といっても、私にとっての「お客さま」とは、とてもシンプルです。

それは、私の作品を大事にしていただける方、私の作品に対してポジティブなリアクションをしていただける方です。

ーなるほど、とてもシンプルな「お客さま像」ですね。一方で、ポジティブだけではないご意見もあるかと思います。どのように受け止めているのでしょう?

橘川さん
そうですね。商品に対するご指摘から、アドバイスまで頂戴していますよ。

そうしたご意見を聞いて、自分の作品を見つめ直す機会にしています。

これはジレンマなのですが、とはいえそのご意見に引っ張られすぎると、いつの間にか自分がやりたかったことが見えづらくなってしまうんですよね。

ー「顧客ファースト」にしすぎるのも、クリエイターとして良くないということでしょうか?

橘川さん
そうとも言い切れないのですけどね。

お客さまのご要望と、自分のクリエイティブの塩梅を調整するのは、クリエイターの永遠の課題かな、と思っています。

商品のヒントや着想を、お客さまからのアドバイスを通して得ることはありますが、とはいえ1から10までお客さまのご意見を反映させてしまうと、それは自分の作品ではなくなってしまいますよね。

ーその塩梅を上手く調整するためにも、自分にとっての「お客さま像」を明確にしているんですね。

橘川さん
そうですね。

これはあくまでクリエイターである私の1意見に過ぎませんが、私は自分の純粋なアウトプットを喜んでいただける方に向けて制作するように心がけています。

だからこそ、頂戴する全てのご意見を反映させようとするのは、あえてやめようと思ったのです。

私の作品を好きだと言ってくださるお客さまに喜んでいただくために、日々試行錯誤しています。

完璧を求めてくる人の意見はほどほどに。まずは小さくても、自分の足で外の世界へ踏み出そう


ー最後に、これから起業や独立を目指している方へ、アドバイスをいただけますか?

橘川さん
とにかく外に出て人と話すことです。

できれば自分と違う何かを持っている人が良いですね。例えば、年齢や職業、年収などですかね。

とにかく自分とは違う世界で活躍されている人や、自分が「すごいな」と思える人とどんどん話をしてみてください。

「こんな仕事をして活躍している人がいるんだ!」と、たくさんの気づきがあるはずです。

視野を広げることは、独立や起業をする上で必須です。

一方で、あなたのやりたいことに対して、不安を煽るような人の話に耳を傾けすぎると危険だと、私は思います。

ーなぜでしょうか?

橘川さん
あなたのやる気や可能性を阻害してしまうかもしれないからです。

先程の評価の話にも繋がりますが、大切なことは、あなたがやる気を持ってアウトプットをすること。

不安を煽ってくる人の大抵の注文は、完璧を求め過ぎなんです。

最初から100%の出来なんてありえませんし、歩み出しは小さくても良いんですよ。

にも関わらず、「失敗したらどうしよう」とか「こんなことしたらあの人はどう思うか」なんて評価に振り回されていたら、結局何も出来ません。

それよりも、あなたのアウトプットに共感し、応援してくれる人のために全力で作品づくりをしてみてください。

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2018年5月24日

個人で事業を始めたり、会社員が副業として給与以外の収入を得ようとする場合、どのようなときに確定申告が必要となるのか、確認しておきましょう。

確定申告は、一定以上の所得のある人が収めるべき所得税額を確定するための手続きです。

一般的には、給与所得以外の事業所得が20万円以上あると確定申告が必要になります。

所得とは、収入(売上)から経費を差し引いた金額です。

所得(課税所得)=収入(売上)-費用(家賃、仕入れ、光熱費、広告宣伝費などの経費)

個人事業主は、年1回、前年度の収入と経費を報告し、所得及び所得税額を計算して税務署への申告が必要です。

前年の1月1日から12月31日までの1年間の収支を2月16日から3月15日までに確定申告書として提出します。

所得税の計算は、上記の課税所得に対して一定の税率をかけて計算しますが、課税所得が多いほど税率が高くなる累進課税です。

個人事業主の確定申告には、青色申告2種類(「最高65万円控除」「最高10万円控除」)と白色申告の3種類があります。

青色申告とは

青色申告は、簿記に基づく会計記録をつけ、所定の帳票の提出が必要です。

手間はかかりますが、白色申告に比べて様々な特典があります。

・最高65万円もしくは10万円の所得控除を受けることができる
・事業に従事する家族の給与(専従者給与)全額を費用にできる
・家事関連費(自宅事務所の家賃、光熱費の一部を費用にできる)
・純損失(赤字)の3年繰り越し

簡単に例を示します。

収入(売上)800万円で、仕入れや広告費などの費用(経費)が300万円の場合、売り上げから費用を引いた事業所得は、500万円になります。

青色申告では、実際に支出した経費に加えて、配偶者など事業に従事する家族の給与を全額費用にできます。

下記の例では家族の給与を240万円/年とします。

家事関連費は、自宅を事務所としている場合に、家賃や光熱費のうち、事業で使っている分の費用です。

例えば、家賃10万円/月、光熱費2万円/月で事業割合が50%の場合(事業用スペースの面積などで家事と事業の経費を按分)、年間72万円(毎月家賃5万円、光熱費1万円)を費用に加えることができます。

65万円控除の場合
収入800万円-費用300万円-専従者給与240万円-家事関連費72万円-青色申告控除65万円=事業所得123万円

10万円控除の場合
収入800万円-費用300万円-専従者給与240万円-家事関連費72万円-青色申告控除10万円=事業所得178万円

実際の所得税の計算には、さらに基礎控除や社会保険料を控除した課税所得に税率を掛けて算出します。

白色申告とは

一方、白色申告の場合は専従者給与の上限が86万円(配偶者の場合)となり、家事関連費は費用になりません。

白色申告
収入800万円-費用300万円-専従者給与86万円=事業所得414万円

白色申告に比べて青色申告では、専従者給与、家事関連費、青色申告控除の分、事業所得が少なくなり、所得税や住民税を下げることができます。

個人事業主が青色申告をするには開業届が必要?

問題は開業届の提出ではなく「所得税の青色申告承認申請書」を出さないと青色申告ができないことです。

「所得税の青色申告承認申請書」や「青色事業専従者給与の届け出」を出すときに、一緒に「開業届」を出すよう求められます。

白色申告の場合は開業届は不要?

開業届を出さなくても白色申告できます。

開業届を出すと、税務署から確定申告の案内や新規事業者向けの記帳指導などを受けることが可能になります。

また、開業届に記載した「屋号」で確定申告ができます。

開業届の提出が遅れたら、青色申告は受けられない?

開業届が出されていなくても「所得税の青色申告承認申請書」を出せば青色申告できます。

提出期限は、青色申告する年の3月15日まで、または、事業開始後2カ月以内です。

例えば、2018年3月15日までに提出していなければ、2018年度の確定申告は白色になります。

3月16日以降に提出すると、2019年から青色申告できます。

1月16日以降の事業開始は2カ月以内に提出すると、初年度から青色申告できます。

まとめ

所得税がかかるのは、売り上げから経費を引いた所得が20万円以上の場合です。

経費を認めてもらうためには、証拠が必要になります。

会計ソフトを使えば、毎日の収支を記録するだけで青色申告の確定申告に必要な書類を準備しておくことができます。

3年間赤字を繰り越せるので黒字後も所得税を下げることができます。

青色申告をするなら、個人事業主の開業届を出すことが第一歩です。

PROFILE

経営コンサルタント 奥野美代子

外資系の高級消費財ブランドで、日本進出の子会社立ち上げから26年間のマーケティングマネジャーとして、ブランドPR、販売促進、店舗開発、リテール支援など幅広い経験を持ちます。
独立後は、中小企業診断士とFPのノウハウを生かし、経営者の法人と個人の財務コンサルティングやリスクマネジメント、事業計画策定、マーケティング支援など幅広い支援を行っています。

2018年5月23日

アナタには「本当にやりたいこと」がありますか?

独立・起業をするなら、アナタにとっての「本当にやりたいこと」を見つけてほしい、と、今回お話を伺った勝屋久さんは語ります。

勝屋さんは48歳にして、25年間勤めた会社からリストラ勧告を受けます。

しかしその後、奥さま(祐子さん)の支えもあり、自分の「本当にやりたいこと」を見つけ、プロフェッショナル・コネクター/LOVEコネクター、画家をはじめ、様々な領域で活躍し、「株式会社アカツキ」の上場にも貢献されました。

そんなご自身の経験、プロフェッショナル・コネクター/LOVEコネクターとして数多くの経営者をサポートされた経験を踏まえると、成功する人とは、唯一無二の「自分らしさ」を持っている割合が高いそうです。

勝屋さんの半生と共に、その理由を伺いました。

<プロフィール>
勝屋久(かつや・ひさし)さん 56歳

プロフェッショナル・コネクター/LOVEコネクター/画家
勝屋久 事務所代表/株式会社アカツキ 社外取締役/株式会社マクアケ 非常勤役員/株式会社エーゼロ 非常勤役員/株式会社クエステトラ 社外取締役/総務省 地域情報化アドバイザー/ビジネス・ブレークスルー大学 客員教授/福岡県Ruby・コンテンツビジネス振興会議理事/ビジネスプロデューサー etc.

大学卒業後、日本IBM株式会社に25年間務める。2000年には、IBM Venture Capital日本代表に就任。

しかし40歳半ばに前妻と離婚、48歳の時には日本IBM株式会社から、リストラ勧告を受け、人生のどん底に立たされる。

しかし現妻の支えや、自ら「プロフェッショナル・コネクター」を名乗り、活動し始めたことで、自分が「本当にやりたいと思える仕事」ができるようになる。

自身が社外取締役を務める「株式会社アカツキ」は一部上場し、その他にもスタートアップ企業の経営を支援。

画家や、大学の客員教授も務めるなど、活動領域は多岐に亘る。

25年働いた会社からリストラ勧告。48歳にして「自分の生き方」を職業にするまで

ー現在のような活動をされるようになった経緯を教えてください。

勝屋さん

私が若かった頃はまだ、年功序列・終身雇用制度が一般的な時代でした。

今のように、転職や独立が盛んに行われていたわけではありません。

そういった時代の背景から「いい大学に入って大企業に入社し、その会社で定年まで勤め上げれば、一生安泰」といった価値観が、未だ根強い世の中でした。

しかし、その価値観で言うならば、私は比較的順調なキャリアを歩んできたのかもしれません。

大学を卒業後、日本IBM株式会社に就職し、そこから25年間ずっと働いていましたから。

ーそうですね。日本IBM株式会社といえば、大企業ですよね。

勝屋さん

私も例に漏れず、小さい頃から「有名な大学に進学し、安定した大企業に入った方が良い」と、ずっと思っていたので、それを叶えるために努力してきました。

日本IBM株式会社に入社したのも、その会社での仕事をやりたくて入った、というよりは、どちらかといえば生活が安定するから、という理由が大きかったですね。

しかし働いてる中で、いくつか転機が訪れました。

ーそれはなんでしょうか?

勝屋さん

最初の転機は37歳の時でした。

会社から、自社の製品を売り込む営業の仕事を任されました。

その営業先で出会った人(スタートアップ経営者や投資家)の目に、衝撃を覚えたんです。

彼らは、私が知っている誰よりも、目を輝かせながら仕事をしていました。「自分の仕事に誇りを持って、めちゃくちゃ楽しんでいる」という感じがとても伝わってきたんです。

ー「仕事を楽しむ」という感覚が、当時の勝屋さんにとっては新鮮だったんですね。

勝屋さん

そうですね。

この時から自分の働き方に、ふと疑問を持ち始めました。

「自分は、今の仕事を楽しんでいるのか」「このままこの仕事を続けていいのか」と。

でも、答えが見つかりませんでした。自分が本当にやりたいことが、よくわかっていなかったんです。

ー自分のやりたいことを探すって、難しいことですよね。どのようにしてその状況を抜け出したのでしょう。

勝屋さん

きっかけは、現在の妻と出会ったことです。妻は私の価値観を大きく変えてくれました。

人間にとって「幸せ」とは、どこの企業に勤めているのか、どれだけお金を持っているのかで決まるものではない。

心理学に精通していた彼女は、私に「幸せ」について話してくれました。

これまで勝ち負けの世界、競争社会の中で生きてきた私にとって、それは目からウロコな考え方でした。

そんな時に、もう1つの転機が訪れます。

ーリストラのお話ですね?

勝屋さん

はい。

会社からリストラ勧告をされ、いくつか次の転職先を勧められたのですが、やはり自分がやりたいと思える仕事はありませんでした。

妻から、「肩書きや収入・財産がなくなってもなんとかなるよ! 何なら私が働くし」と、こんな私の存在もOKと言ってくれたことがとても支えになり、そのことが原動力となって自分の心と向き合って、本気でやりたいと思える仕事を探そうと思ったんです。

ーそこで探したものが、今の勝屋さんの活動に繋がっているんですね。

勝屋さん

そうですね。

自分のやりたい仕事を探そうと、自問自答していた時のことです。

友人から「勝屋さんは人と人を繋げるのが得意だから『プロフェッショナル・コネクター』っていう職業を作ってみるのはどう?」と言われました。

ープロフェッショナル・コネクターとは何ですか?

勝屋さん

「心でつながる場を創り、人が輝くお手伝い」と定義しているんですが、簡単に言うと、私が仲介して人と人(人や企業)を繋げています。

友人いわく私は昔から、誰かと誰か(もしくは何か)を繋げるのが得意だったそうです。

ある人に、心の底から喜べる人や企業との出合い、そしてその人にとっての「本当にやりたいこと」を提供する。

それをそのまま職業にしてしまったらどうか、という提案でした。

「自分らしさ」こそ、他者との差別化を図る、最強の武器になる。

ー勝屋さんは、プロフェッショナル・コネクター以外にも、様々なお仕事をされているとお伺いしました。現在の仕事を詳しく教えてください。

勝屋さん

私が携わっている仕事は、大きく3種類に分けることができます。

まず1つめが「LOVEコンサル事業」。

企業や自治体で働く人や経営者がより輝くために、どうするべきかを一緒に考えていきます。

昨年上場を果たした「株式会社アカツキ」は、私がこのプロフェッショナル・コネクターとしての活動を始めた頃から、社外取締役としてお手伝いさせていただいておりました。

2つめは「LOVEコミュニティ事業」。

BBT大学(ビジネス・ブレイクスルー大学:http://bbt.ac/)では客員教授として、自己エネルギー創造講義というユニークな講義をしています。

また、私と妻が主宰する「KATSUYA学院」では「新しいスタイルの生き方」をテーマとして、自分らしく生きるきっかけを生み出す場作りをしています。

そして3つめが「アート事業」。

私は50歳を過ぎてから、画家として活動を始めました。自分の絵を販売したり、個展を開いたり、ラベルやロゴのデザインなどもやっていますね。

ー画家としても活躍されているのですね…! しかし、なぜ画家の活動も始められたのでしょうか?

勝屋さん

もともと絵が好きで、幼少の頃は、できれば画家として活動してみたいと思っていました。

しかし私は色弱だったということもあり、どこか自分で「無理だ」と決めつけて、絵を描くことをずっと諦めていたんです。

そして先のリストラ勧告の時、本当に自分のやりたいことを見つめ直した結果、やはり画家としても活動したいという思いがわきあがったのです。

ーそういった経緯があったんですね。

勝屋さん

はい。その旨を妻に相談したら「いいじゃん、やってみなよ!」と後押ししてくれたんです。

自分が本当にやりたいと思っていることなら、たとえうまくいかなくても、とにかく挑戦してみようと思ったんです。

それで意を決して挑戦してみたら、絵でも収益を立てることができました。まさか、個展を開くまでに至るとは思っていませんでしたが(笑)。

ー本当に、すごいことだと思います。年齢関係なく、新しいことに挑戦し続ける勝屋さんの姿に、勇気づけられる人は多いのではないでしょうか。

勝屋さん

そうだと嬉しいですね(笑)。

これまでの私の経歴から見て分かる通り、私はどちらかというと「挑戦」から縁の遠い人間でした。

挑戦よりも安定、独立よりも企業にいる道を選んできました。

しかしそういった生き方は窮屈ですし、何よりこれからの時代に適合できないと私は個人的に思うんですよね。

ーこれからの時代に適合できない、と言いますと?

勝屋さん

上の絵を見てください。

よく私が講演などで使う絵なんですが、仕事を含めた人間の活動を表すにあたり、縦の軸(自分軸)と横の軸(他人軸)があると、私は思っています。

先程お話した、他人からの評価というのは、この図で言うと横の軸に当てはまります。

しかしこれからの時代、重要視されるのは縦の軸、すなわち「自分らしさ」なんです。

なぜなら「自分らしさ」こそが、自分と他者の違いを明確にし、差別化できるポイントだからです。

ーどういうことでしょう?

勝屋さん

これだけ大量の情報が簡単に手に入る世の中では、目的を達成させる手段や方法は、きちんと調べればいくらでも存在します。

それはつまり、手段や方法で他者と差別化を図ることは難しい、ということです。

一方で「自分らしさ」とは、自分が興味を持っている「こと」や「もの」、純粋な欲求です。

種類が他人と似ていることはあるにせよ、100%同じ価値観を他者は持ち得ません。

自分にしか持ち得ないところにこそ、差別化のポイントが埋まっているのです。

ーそれは、独立・起業を考えている方にとっても、とても重要なキーポイントだと思います。

勝屋さん

そうですね。

私も今の職業柄「これから起業したい」と思っている方の相談に乗ることが多いのですが、
この「自分らしさ」の重要性については、必ず皆さんにお話します。

なぜなら、この「自分らしさ」が揺るぎない人ほど、独立・起業を成功に導く可能性が高いと思っているからです。

手段や方法をいくら磨いても、「答え」は自分の中にしかない。

ー「自分らしい」生き方・働き方を実践してブレイクスルーをされている、勝屋さんだからこそ、重みのある言葉、考え方ですね。それでは、勝屋さんの今後の目標を聞かせてください。

勝屋さん

「究極のKachaman」になることが、私の目標です。

「Kachaman」とは私の愛称ですが、生き方であり働き方でもあります。

プロフェッショナル・コネクター/LOVEコネクター/画家などの肩書きよりも今ここの愛で全てのつながりを創る存在そのもの、あり方そのものを重視して、より自分らしさを前面に出して活動していきたいですね。

この活動を始めてもうすぐ8年になりますが、まだまだ私は、自分が思い描く「想定内」に留まっていると思っています。

もっと、どうなるか想像もつかないような「想定外」の世界に、行ってみたいですね。

ー最後に、独立・起業を考える人へ、アドバイスをいただけますか?

勝屋さん

人と人や、人と企業を繋げること。絵を描くこと。

「自分の本当にやりたいことは?」と考えた結果生まれた、私なりの答えです。

もし皆さんが独立・起業を考えるなら、この問いに対する自分なりの答えが、必要になってくると思います。

そしてその答えは、外(手段や方法)には存在せず、自分の中にしかないのです。

皆さんなりの「本当にやりたいこと」が見つかることを、心から願っています。

2018年5月23日

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