毎日会社に来てはいるけど、これといった仕事をしているわけでもなく、時間だけを潰している人は、総称して『窓際族』と呼ばれています。窓際族の人たちは、どのように窓際族になってしまうようになったのでしょうか。窓際族となってしまった人たちの末路とはどのようなもので、再び窓際族から脱却して活躍するための方法を紹介していきます。
窓際族とは?
会社にいるのに、ネットサーフィンをしていたり、本や新聞を読んでいたり、特に何もしていなかったり、業務とは関係ないことをしている人を見かけた経験はありませんか。出社しているにも関わらず、生産性のない時間を過ごし、時間がただ過ぎるのを待っている人たち、いわゆる『窓際族』です。
『窓際族』という言葉は、高度経済成長期に生まれたといわれています。高度経済成長期、企業で働く人々は新しい技術を開発していたり、生産性の向上に努めていたり、著しい活躍をしていました。やる気や意欲に満ちあふれ、前向きに仕事を頑張っていた人がいた反面、思うように結果が出ず、出世コースから外れてしまい仕事に対して意欲的になれない人がいたのもまた事実です。
後輩や部下に先を越されてしまい、仕事に意欲的に努められなくなり、定時までの時間を潰すようになってしまった人のことをこの頃から窓際族と呼ぶようになったのです。
窓際族が生まれる理由
窓際族はなぜ生まれてしまうのでしょうか。仕事をしていない人がいるのであれば、クビにしてしまった方がいいのでは?と思う方もいるでしょう。しかし、労働契約法第16条により『客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合』企業が社員を解雇することはできません。簡単に企業は社員を辞めさせられないので「仕事をしていない人がいても無理にクビにできないの」が窓際族を生んでしまう理由です。
【窓際族の亜種】ウインドウズ2000とは?
窓際族であるものの、年収2000万円を超える人が『ウインドウズ2000』と呼ばれていることがあります。超大手企業の中高年層の人であれば、窓際族でありながら高年収を得られることもあるでしょう。『ウインドウズ2000』は一定層の人の間では勝ち組とも称され、憧れの存在になることもあります。
「私って窓際族…?」窓際に追い込まれる兆候
『出世コースから外れてしまい、窓際に追いやられた人』を意味する窓際族を知った上で、自分も窓際族と思われているのではと不安になってしまう方もいるかもしれません。自分が会社の中でどのような位置付けなのかを知っておくことで、窓際族であってもそうでなくても、今後の行動に気を配れるようになるのではないでしょうか。
自分が現状と「窓際族になりつつあるのか、なってしまっていないか」を確認するためのチェックリストを紹介します。自分の窓際族度を調べてみましょう。また、窓際族になりやすい人の特徴も合わせて紹介していきます。もしも特徴に当てはまる要素が多いようであれば、明日から気をつけてみてください。
窓際族チェックリスト
自分が窓際族かどうかチェックしてみましょう。より多く当てはまるものがあると、窓際族である可能性が高くなってしまいますよ。
・同僚と話す機会が明らかに減った
・部下から仕事の相談をされなくなった
・先輩から仕事を振ってもらえなくなった
・誰にでもできる仕事しかさせてもらえない
・実のない内容の会議にしか出席していない
・何をしているかわからない部署に異動になった
・周りの人と席が明らかに離れている
・毎日時間を持て余している
・必要とされない書類作成に勤しんでいる
・新聞を隅から隅まで読んでいられる
・ネットサーフィンが日常茶飯事になった
・仕事中に休憩をしていても、誰にも何もいわれない
窓際族になりやすい人
窓際族になりやすい人には、どのような特徴があるのでしょうか。どんな人が窓際族になりやすいのかわかっておくと、その後の職場での姿勢に気を使えるようになります。窓際族になる人の特徴は仕事が遅い人、やる気が見えない人、コミュニケーションを取るのが苦手な人の3つです。
【仕事が遅い人】
仕事が遅いと、必要な期限に提出が間に合わないこともあります。誰にも迷惑をかけることのない業務であれば、問題ありません。しかし、企業で勤めている限り誰とも関わらない業務はありません。周りに迷惑をかけ続けていると、徐々に仕事を任せてもらえなくなり、窓際へと追いやられて行ってしまいます。
【やる気が見えない人】
仕事に対してやる気が見えない人は、周り方の信頼が得にくいです。仕事をする上で信頼関係を築くことはとても重要なので、これができない人は周りから見放されてしまうこともあります。
【コミュニケーションを取るのが苦手な人】
仕事をする上で重要な『コミュニケーション』。コミュニケーションが取れないと何を考えているのかわからないと思われたり、仕事で困っていても周りに助けを求められなかったりして、最悪な事態に発展しかねません。すると、仕事を任せてもらいづらくなり窓際族への道をたどってしまいます。
窓際族の末路
仕事に意欲的になれず、窓際に追いやられてしまう窓際族。中には『仕事を頑張っていたのに、認めてもらえず窓際族となってしまった方』もいるかもしれません。窓際族として出社している際は、生産性のない時間を過ごしてしまうでしょう。同じ企業の人からすると、どうしても『生産性のない人たち』というレッテルを貼られて煙たがれたり、無視されたりすることもあるかもしれません。
そんな窓際族の末路とは、どのようなものなのでしょうか。窓際族としてよくある結末としては、会社を辞めてしまうことです。その中でも代表的な2つの末路を紹介していきます。不安な気持ちになってしまうかもしれませんが、「こうはなりたくない」と次のステップにつなげられるかもしれません。チェックしていきましょう。
1.リストラされる
ひとつ目の末路は、リストラです。窓際族は『仕事に対して意欲がなく、出社していても業務をこなすわけでもなくただ時間が過ぎるのを待っている人たち』です。会社としては生産性がなく、お金を生み出さないのにも関わらず給料は支払わなければいけなかったり、福利厚生を保証しなくてはいけなかったりする人たちを負担と感じられてしまうものです。
不景気で仕事をしていない人に対して給料を支払えるほどの余裕がなくなってしまったり、会社の方針的に在籍させてられなかったりする場合には、整理解雇の対象としてリストラされてしまってもおかしくありません。
2.精神を病んで自主退社する
ふたつ目の末路は、精神を病んで自主退社してしまうエンディングです。窓際族になると毎日これといってやることもなく、時間が過ぎるのをただただ待つだけの一日を繰り返すことになります。周りの同僚からは邪気に扱われたり、嫌味を言われたりすることもあるでしょう。すると「自分なんか価値のない存在だ」と自己肯定感が徐々にむしばまれ、精神を病んでしまいかねません。
精神を病んで自主退社してしまうと、職を失うダメージが大きいことはもちろん、精神状態を回復させるのにも時間がかかってしまいます。一度精神を病んでしまうと、社会復帰が難しくなってしまうこともあります。その後の生活にも響いてくるので、精神を病んでしまう前に手を打つべきです。
窓際族が辛いと感じる『5つの瞬間』
「仕事をしていないのに給料はもらえている」と聞くと、中には「窓際族になりたい」と感じる人もいるかもしれません。しかし、窓際族には辛いと感じる瞬間がいくつもあります。窓際族から脱却できない日々の中で、来る日も来る日も周囲の冷ややかな視線に耐えるのは精神力が要ります。窓際族が実際に辛いと感じる瞬間の代表的なものを5つ紹介していきます。
1.周囲の視線を感じる瞬間
窓際族であっても、会社には出社しなくてはいけません。出社している以上、寝たり、ゲームをしたりするわけにもいかず、何かしらはしなくてはいけません。そこで、自分なりにやることを見つけて時間を過ごす必要があります。
会社にいて、時間を持て余すことには慣れてきます。しかし、ふと周りの冷たい視線を感じる瞬間は辛いと感じるようです。窓際族として生産性のない日々を過ごしているのは、周りの人が毎日仕事に励んでいるからです。部署異動をしているならともかく、そうでない場合には嫌味を言われることもあるかもしれません。
2.モチベーションが出た瞬間
窓際族でいると、モチベーションが出て何か仕事をしたいと思っても、なかなか周りに相手にしてもらえないことが多々あります。一度失ってしまった信用は取り返すのが難しく、どんなに仕事をしたいと思っても自分に振ってもらえるものがなく、かえって辛いと感じてしまうようです。
3.将来のことを考える瞬間
どんなにやる気が起きなくても、将来のことはふとした瞬間に考えてしまいますよね。特に窓際族には時間がたくさんあるわけですから、考える時間も有り余っています。そんな窓際族は、将来のことを考えると辛いと感じるようです。「リストラされたらどうしよう」「転職するにもどうしていいかわからない」など、考えれば考えるほど不安に押しつぶされてしまうのでしょう。
会社として、正社員を突然解雇することはありません。しかし「業績によってはリストラを覚悟しなくてはいけなくなることもある」ということを念頭に置いておく必要がありそうです。
4.家族のことを考える瞬間
独身で窓際族をしているならまだしも、家庭があって窓際族をしていると、家族のことが気になることも時にはあるでしょう。家では『仕事を頑張っているお父さん・お母さん』として尊敬されているのに、会社では窓際族をしていると思うと、辛い気持ちが込み上げてくるでしょう。
将来のことを考えると「家族を養っていけるか」という不安も感じてしまうかもしれません。中には、家族といるのすら辛いと感じてしまう人もいるかもしれません。
5.わかってもらいたいと思った瞬間
窓際族には、窓際族なりの不満や悩みがあるものです。それは窓際族に限らず、どんな人たちでも同じです。
しかし、周りの人からすると「働かなくてもお金がもらえて良いですね」と皮肉を言われてしまうこともあるでしょう。自分としては誰かに悩みを相談したいと思っていても、なかなか周りが聞く耳を持ってくれないなんてことも多々あります。わかってもらいたくても、相手にしてもらえないのは誰でも辛いですよね。
窓際族は、会社で常にその辛い感情とともに過ごさなくてはいけないので、毎日精神がえぐられてしまうでしょう。
【こんなに辛い】窓際族の実態
窓際族の人たちは、実際どのような活動をしているのでしょうか。窓際族の人たちの9時から6時までのスケジュールや、暇つぶしにしていることを紹介していきます。
窓際族のスケジュール例
窓際族の一日のスケジュールは、主に暇を潰すことで終わります。
【スケジュール一例】
8:45 出社
9:00 朝礼
9:30 オフィスの掃除
10:30 新聞や本を読む
12:00 お昼休憩
13:00 ネットサーフィン
17:30 デスク周りの片付け
18:00 退社
毎日が同じことの繰り返しなので、徐々に掃除するところもなくなってきて、よりやることがなくなってきてしまいます。本当にやることがなくなってしまうと、また辛いので、適度に手を抜きながら勤しむことになるでしょう。
窓際族の暇つぶし
窓際族の暇の潰し方にはどのようなものがあるのでしょうか。
・ネットサーフィン
・新聞を隅から隅まで読む
・本を読む
・スマホ(音楽・動画・SNS)
・仕事をしているフリ
・雑談
・長めのトイレ休憩
・長めのタバコ休憩
・ぼーっとする
窓際族の暇の潰し方は主に以上のような内容で、スキルアップや自己学習に時間を使う人は少ないです。
窓際族から復帰するためにできること
窓際族になってしまいその環境に慣れてしまうと、会社を辞める末路をたどってしまうことになりかねません。窓際族から脱却して社会復帰するためには、どのような取り組みをするべきなのでしょうか。窓際族でいながら、その状況を脱却できる3つの手段を紹介していきます。
1.今の仕事をもう一度頑張る
窓際族を脱却したいのであれば、今の仕事をもう一度頑張ることです。ずっと窓際族だった人が、いきなり業務を任せて欲しいと頼んでもなかなか相手にしてもらえないこともあります。まずは周りと積極的にコミュニケーションを取ったり、意欲を見せたり、小さいことからチャレンジしてみましょう。
2.副業を始めてみる
会社での仕事にはどうしてもやる気を見出せない、という方は副業を始めてみるのもおすすめです。副業であれば、会社で自分の殻を破れなくても、新しいことにチャレンジして意欲や刺激を得ることができます。
3.転職や独立でリセットする
転職や独立をするのもひとつの策です。今の会社でやる気を起こせないのであれば、リストラされたり、精神を病んでしまったりする前に、自分で新しい道を開いてみてください。新しい環境であれば仕事にも頑張れるでしょうし、自身で独立すれば好きなことを仕事にできてやる気も出てくることでしょう。
擦り減った心を研ぎ直すことから始めよう
仕事に対する意欲がなくなってしまい、出社してもただ時間が経つのを待つだけになってしまっている窓際族。窓際族はマイナスなイメージを持つ人も、プラスのイメージを持つ人もいます。
いずれにせよ、窓際族になってしまうとその会社での出世コースからは外れてしまうでしょう。窓際族から復活したいのであれば、小さいことから頑張り直して信頼を取り戻したり、会社の外で頑張れることを見つけたりすることをおすすめします。そのためにも、まずは疲れ切ってしまっている精神を安定させて、気持ちに余裕を持たせることを始めてみてはいかがでしょうか。
気持ちに余裕が出てきて、今の会社だけでなく会社の外で頑張れることを見つけたいと思ったら、転職や副業、独立を視野に行動してみるのも良いかもしれません。
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<文/ちはる>