【この記事でわかること】
- フランチャイズの加盟方法
- 参入する業界を決める
- 加入するフランチャイズチェーンを決める
- 契約を結ぶ
- 開業準備を行う
- オープン
フランチャイズ事業での独立を成功させるには、正しい方法で道筋を描き、その計画からずれないように進行をすることが大切です。
今回の記事では、フランチャイズ事業の始め方と流れについて説明します。
また、事前にフランチャイズの仕組みを理解しておくことも非常に大切です。下記の記事ではフランチャイズの仕組みや成功事例が詳しく解説していますので、合わせてチェックしておきましょう。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
そもそもフランチャイズとは?仕組みを解説
フランチャイズとは、個人や法人がフランチャイズ本部企業と契約を結び、店舗などを経営するビジネスシステムのことをいいます。フランチャイズ・チェーンの頭文字をとって”FC”と表現されることもあります。
自力で独立するのとは違い、フランチャイズ本部が持つ商標・チェーン名称・商品の知名度・経営のノウハウなどを活用するのが特徴です。本部の教育や指導を受けて短期間で事業をスタートさせ、スムーズに軌道に乗せていくことを目指します。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
フランチャイズを始めるメリット
確立された事業が本部によって運営され、それに加盟する形式がフランチャイズの特徴です。
フランチャイズのメリットについて理解しておきましょう。
商品・サービスが用意されている
フランチャイズ制度においては、既存の収益を上げている商品やサービスを提供できるため、経営を円滑に進めやすいです。
さらに、加盟店は既存ブランド価値を活用することができます。顧客の意識が高い段階でスタートできるほか、新たなブランドを立ち上げる手間が省けるため、時間とコストの削減が期待できます。
ブランド本部のプロモーションが店舗の宣伝になる
フランチャイズの本部は、加盟店からのロイヤリティを事業や広告活動に投資することで、加盟店は売上を増やすことができます。
加盟店の成功事例が増えれば、ブランド認知度も向上し、新たな加盟希望者も増加するため、フランチャイズ本部はこれらの役割を果たし、ブランド価値を向上させていきます。
貢献度の高い仕事ができる
脱サラして起業すると、ただお金を稼ぐだけでなく、自分のやりたいことができるため、社会貢献を実感しながら働けます。 これにより、社会人時代よりも満足度の高い働き方ができるでしょう。
フランチャイズを始めるデメリッ卜
提供されたエビデンスを踏まえると、フランチャイズ事業に参加する際には毎月の本部支払い(ロイヤリティ)の負担が生じることが挙げられます。そのため、慎重にデメリットを考慮した上で、自身に最適な独立開業方法を選択することが重要です。
フランチャイズ本部へ毎月の支払い(ロイヤリティ)が発生する
フランチャイズ業界では、商品やブランド名の使用に対する料金として、フランチャイズ本部への支払いが必要です。一般的には、「加盟金」と「ロイヤリティ」が含まれます。
加盟金とは、フランチャイズ契約締結時に、店舗名やロゴ、商品、経営ノウハウ、トレーニング、サポートなどを提供する本部に支払う一時金のことです。
ロイヤリティは、店舗の知名度やブランド価値、ノウハウを継続的に活用するために毎月支払う費用を指します。支払いの額や方法は、フランチャイズ本部によって異なります。一定額を支払う場合もありますが、売上や利益の一部に応じた支払い方法も存在します。
売上が低迷すると、ロイヤリティの支払いが事業に負担をかける可能性もあります。契約を申し込む前に、支払いが長期的に可能かどうかを検討しましょう。
フランチャイズ本部の決まりを守らなければならない
フランチャイズ事業を始める際には、フランチャイズ本部と契約を締結します。独立起業とは異なり、本部のブランド価値を代表することになるため、自由な経営ができない場合があります。
5STEPで進めるフランチャイズ事業の始め方
フランチャイズ本部に加盟し、事業を始めるには何をしたらいいでしょうか。
5つのSTEPに分けて解説していきます。
参入する業界を決める
フランチャイズ事業を成功させるためには、まず自分に一番合った業界・業種を選ぶことが重要です。
自分に一番合った業界を決める上で大切なことは、できるだけ多くの側面から決めることです。
「好き! 」「興味がある! 」ということもとても大切ですが、長期継続するための十分な理由ではありません。
業界を決める4つの判断基準
では、どのような選択基準で考えれば良いのでしょうか。1つの例として下記のような基準を参考にしましょう。
基準1:熱意と共感
ビジネスオーナーになることは、特に初期段階においては、そのビジネスに対して高い熱意と共感を持っていることが大切です。
「儲かるらしいから」といった理由でフランチャイズ事業を始めることも悪いことではありませんが、自分のやっているビジネスが好きになれない場合、毎日苦痛を味わうことになります。
自分の価値観に適した熱意と共感ができる分野でフランチャイズ事業を始めることができれば、より力を入れてビジネスを進めることができるでしょう。
基準2:働き方とライフスタイル
いくら情熱があるとしても、自分にとって望ましいライフスタイルから離れすぎているビジネスでは長期継続は困難です。
毎日朝から夕方までの仕事をしていた人が、いきなりBARなど夜に運営をするビジネスを初めても、自分のライフスタイルに合わない場合があります。
そのフランチャイズ事業で働いている自分をイメージし、毎日幸せでいられるか、苦痛ではないかについて考えましょう。
基準3:必要資金
事業を始めるからには長期間続けたいと思うでしょうが、調達できる資金によってフランチャイズ事業を始められる分野が限られてしまうことがあります。
よりビジネスを大きく、そして儲かるものにしたいのは人間の性ですが、まずはスモールビジネスから始めるなど、手の届くものだけに集中した方がより賢明な判断ができます。
基準4:市場規模と成長のポテンシャル
長期でビジネスを行う上で、ある程度の市場規模や成長の可能性を求めるべきです。
自分が好きなものをビジネスにすることも、モチベーション維持の観点から大切ですが、将来的に必要とされないビジネスを始めたとしても、結果につながりにくいケースが存在します。
加入するフランチャイズチェーンを決める
参入する業界の次に決めなければいけないことは、どのフランチャイズチェーンに加盟するかということです。
成長のポテンシャルがある魅力的な市場であれば、複数の会社が競争しているはずです。
一方で、目新しい分野で、まだ誰もポテンシャルに気づいていないものを除き、激しい競争がなければ、むしろその業界は衰退する可能性があることも覚えておいた方が良いかもしれません。
競争の存在は、市場を魅力的に見せるだけのものではなく、業界の健全な成長や発展のためにも良い機会を与えてくれます。
ただし、すべての競争が良いとは限りません。
サービスレベルの向上や商品開発を重視しない単なる価格競争だと、すべてのプレイヤーが次々と潰れていきます。
そのような競争環境で一番損をするのが加盟店となるので、単なる価格競争はできるだけ避けるべきです。
本部を決める4つの判断基準
では、自分が参入を検討している業界において、健全な競争環境の中で複数のフランチャイズチェーンが存在しているということを前提に、加盟するフランチャイズチェーンをどのような選択基準で考えれば良いのでしょうか。
1つの例として下記のような基準を参考にしていただければと思います。
基準1:業界のトップレベルであり、健全な財力があること
特に消費者をターゲットとしているビジネスにおいては、リーディングカンパニーであることはとても大事です。
自動車会社や消費財メーカーの例を見ますと、1~2%の市場シェア獲得のために大きな競争があり、それが会社の生き残りにつながっていることが分かります。
なぜなら、商品開発やほかの投資のための必要資源がそこから生まれるからです。
また、健全な財力がなければ会社が長生きできず、買収され消えてしまう可能性もあります。
投資家関連情報も読みながら会社の立ち位置について考えましょう。
基準2:高いブランド力を持つこと
フランチャイズ事業に加盟することで最も期待されていることの1つは高い知名度による顧客獲得です。
そのため、加盟を考えているフランチャイズチェーンに関して高いブランド力を求める必要があります。
基準3:加盟条件やプロセスが透明であり、加盟後の運営サポートが優れていること
大切な資金と時間を投資するのですから、加盟プロセスに関してできるだけ透明な開示を求めないといけません。
どのような手順を踏むのかが分かった上で最大限の準備をしておく必要があります。
- フランチャイズチェーンの参加を検討する際に、事前説明会はちゃんと行われているのか?
- 資料に過不足はないのか?
- 質問に対して真摯に回答をしてくれているのか?
こういった部分で、加入後にどれくらいの運営サポートが期待できるのかを予測することができます。
基準4:フランチャイズオーナーの数が多いこと
フランチャイズ事業へ加盟後、どのような将来を描けるのかが分からない場合も多いと思います。
そのようなときには、フランチャイズオーナーの意見がとても参考になります。
できるだけ多くのオーナーに会い「自分もそうなりたいかどうか」を確認することが加盟のための参考となります。
また、ライバルともなるフランチャイズオーナーですが、そのライバルがどれくらい存在するのかも参考の1つになります。
フランチャイズオーナーが多いということは、それほど多くの人たちがそのフランチャイズ事業に加盟することに対してメリットを感じているということになります。
契約を結ぶ
加盟するフランチャイズ事業を決めたら、いよいよ契約を結びます。
契約内容に関しては各フランチャイズ本部にて細かく異なります。
自分にどのような責任と義務が生じるかよく理解した上で契約を結びましょう。
また、分からないものはそのまま放置せずに、必ずフランチャイズ本部や第三者の専門家に確認しましょう。
開業準備を行う
フランチャイズ事業を成功させるためには、まず自分の理想を追い過ぎるのではなく、完全にフランチャイズ本部の開業プロセスを遵守した開業準備が必要となります。
フランチャイズチェーンの指導どおりの準備を行い、あとで何か問題が起きたときに対処できるように、行った準備をすべて記録しておきましょう。
オープン
新しいビジネスの開始は、未来の成功にも多大な影響を与えるものです。
オープニングイベント、SNSでの呼び込みなど、告知やプロモーション活動を惜しまずに行うことが事業を軌道に乗せていくためにも必要でしょう。
フランチャイズを始める際に大切な3つのポイント
FC展開の成功には重要な要素があります。社会貢献に貢献し、ますます欠かせない存在となったFC展開ですが、誤った方法で行うと成功が難しくなります。そのためには最低でも3つのポイントを抑えてシステムを整備することが望ましいです。
再現できる成功モデルを確立する
再現できる成功モデルとは、「決められた方法で店舗を出店すれば、本部から一定の収入を得ることができる」という考え方です。その成功は偶然ではありません。たとえば、現在1つのカフェを経営していて、繁盛しているとします。
しかし、そのカフェがどれだけ成功しているかを分析し、その成功を再現するためには、その要素が地域や他の要因と組み合わさることで生まれた可能性が高いことを考慮する必要があるでしょう。
もし、初めのカフェが成功していた理由を把握しておらず、同じ方法で2つめの店舗を出店した場合、同じ成功を収めることは難しいでしょう。その結果、店舗の収益が確保できず、フランチャイズ本部と加盟店の間に紛争が生じる可能性があります。
収益を上げられない店舗が増えれば、不幸な結果をもたらすことになります。不幸なフランチャイズ加盟店を作らないためにも、FC展開を進める際には、既存の成功事例から成功要因を詳細に抽出し、その成功要因を満たす直営の2号店をトライアルとして出店することで、成功が偶然ではないことを立証しなければなりません。
マニュアルを作りノウハウを標準化させる
フランチャイズ加盟店が成功するための手法を具体的に定め、マニュアルなどで示してノウハウを標準化します。フランチャイズにおいて、加盟者は通常、本部の事業について豊富な知識や経験を持っていないことが前提となります。
ノウハウの標準化には、「初心者でも迅速に獲得可能な水準」を目指す必要があるでしょう。専門的な知識や技術を安定して確保・育成できる場合、他のチェーンと著しい差別化が図れますが、確保が難しい場合、店舗展開に制約が生じます。
その結果、高額な費用が無駄になるリスクが生じ、フランチャイズ展開そのものを再考する必要が出てきます。もしビジネスがうまくいっていても、ノウハウの標準化が行われていないと、加盟店は本部の直営店と同等の水準を維持できなくなるでしょう。
その結果、本部が規定する成功を達成できなくなる可能性があります。
フランチャイズ本部とフランチャイズ加盟店間の情報量ギャップをなくす
フランチャイズ本部とフランチャイズ加盟店の間のトラブルの根本原因は、双方の間にはフランチャイズシステムやビジネスモデルなどの情報に関する大きなギャップがあることです。
フランチャイズ本部は数年にわたり蓄積された経験とノウハウを有しており、展開している事業における成功要因や失敗要因、リスクなどについて豊富な知識を持っています。
それに対し、フランチャイズ加盟店はその事業について基本的な知識しか持っておらず、当たり前と思われることでも本人が完全に認識していないことが少なくありません。
さらに、フランチャイズシステムは高度な仕組みであるため、フランチャイズ本部がシステムの特性やリスクを理解していても、フランチャイズ加盟店にそれを理解させるのは容易ではないでしょう。
このように、フランチャイズ本部と加盟店の間にはシステムに関する大きなギャップが存在しています。したがって、本部は情報の不足を前提として、積極的に情報のギャップを埋める取り組みを行うべきです。
フランチャイズを始めるにあたっての注意点
ここからはフランチャイズを始めるにあたっての注意点について解説していきます。
経理作業
フランチャイズ本部は、加盟店に対し経営ノウハウを提供しますが、具体的な業務面では特に経理のサポートは行いません。そのため、帳簿管理や日々の経理業務、確定申告はオーナー自身が行う必要があります。
さらに、店舗開業後は多くの業務が発生し、一人では対応しきれなくなることもあります。よって、売り上げが伸びた際にはスタッフの雇用も検討することが重要です。
人事労務
従業員を採用すると、シフト管理や給与管理などのオフィス業務が必要になります。前述の経理とも関連していますが、業務を効率化するためには、人事労務ソフトの活用やアウトソーシングが重要です。そして、可能な限り本業に集中することが重要です。
まとめ
フランチャイズ事業を始めるには、上記のような流れが存在します。
各フェーズにおいて注意する点は多くあるため、それぞれにおいて自分が確認すべき事項・自分が行うべき事項を確認しつつ、フランチャイズ事業での独立の準備を進めましょう。
今回の記事で紹介した流れに沿って行動を起こせば、より健全で収益性のあるフランチャイズ事業を構築できる確率が上がるでしょう。