【この記事でわかること】
- フランチャイズで起こる失敗事例22選
- フランチャイズで失敗する原因
- フランチャイズで失敗する人の特徴
- 失敗しないためのポイント
- フランチャイズで成功するために必要なスキル
ビジネスに失敗はつきもの。でも、その後のことを考えると、できるだけリスクは排除しておきたいものです。
本記事では「フランチャイズ加盟による経営で起こる失敗事例」を5つのカテゴリーから22事例紹介し、防止策とともにまとめています。
中には、フランチャイズ加盟でなくても十分注意すべき事例も入っています。過去の事例から、独立・起業検討時にどのようにリスクヘッジしていくか考えていきましょう。
また、フランチャイズ経営はリスクが高いという話も聞くため、一歩踏み出せないという方や、フランチャイズ経営は本当に儲かるのかと不安になっている方も多いと思います。
そんな方たちのために、実際にフランチャイズ経営を行っている方の事例や、成功している方のポイントについて資料にまとめて、解説書を作成いたしました。フランチャイズ経営に興味はあるけど、失敗はしたくない!という方はぜひ下記よりダウンロードして参考にしてみてください。
そもそもフランチャイズとは?仕組みを解説
フランチャイズとは、個人や法人がフランチャイズ本部企業と契約を結び、店舗などを経営するビジネスシステムのことをいいます。フランチャイズ・チェーンの頭文字をとって”FC”と表現されることもあります。
自力で独立するのとは違い、フランチャイズ本部が持つ商標・チェーン名称・商品の知名度・経営のノウハウなどを活用するのが特徴です。本部の教育や指導を受けて短期間で事業をスタートさせ、スムーズに軌道に乗せていくことを目指します。
フランチャイズに加盟して独立・開業する魅力は、フランチャイズ本部の成功ノウハウを活用して素早く事業展開でき、成功しやすいというところでしょう。営業先や販売先、仕入れなどを自分が探す手間がかからないことも魅力です。
しかし、2021年度「JFAフランチャイズチェーン統計調査」報告によると、日本国内のフランチャイズチェーン数は、昨年より-1.7%と、減少傾向にあることがわかります。このように、フランチャイズだから安心とはいっても一部の店舗は撤退する可能性があることは認識しなければなりません。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
参考:JFAフランチャイズチェーン統計調査2021年度(2021年4月から2022年3月)P1|一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会
https://entrenet.jp/magazine/25755/
フランチャイズ経営で陥りやすい失敗事例22選
フランチャイズ経営で陥りやすい失敗は、大きく分けて5つのカテゴリーに当てはまります。
1. お金の失敗
最も多かったのはやはりお金の失敗。独立後はもちろん、独立前から気を付けておくべきこともたくさんあります。
お金の失敗は、後から挽回しようと思ってもなかなか難しいものです。だからこそ、事前にポイントを押さえておけるかが勝負です。
資金調達が上手くいかなかった
ケースA:過去の滞納歴が融資の審査に影響した
独立を決意したAさんは、数千万円の資金調達のために金融機関からの融資を検討していました。貯金も含めて手元資金は十分で、事業計画書で収支計画もしっかり見立てて申請しましたが、まさかの審査落ちになってしまいました。
事業内容も怪しくありませんでしたし、なぜ駄目だったのかまったく理解できませんでした。結果として、独立スタートが大幅に遅れ、当初描いていたスケジュールが狂ってしまいました。
実は、Aさんには過去に滞納歴がありました。
融資を受ける際には、金融機関からの信用力が非常に重要です。信用力を測るのは申請時の手元資金の額だけでなく、過去数年間のお金の借入歴や返済歴も審査の対象になるといわれています。
一般的な住宅ローンなどは大丈夫ですが、消費者金融やノンバンク系の金融機関からの借入歴がある場合、審査が厳しくなる傾向があります。また、携帯電話の料金や水道光熱費などの滞納も不利に影響する可能性があります。
数年経過すればクリアになるといわれていますが、融資を受けたいときに困らないように、日々のお金の使い方には注意が必要です。
ケースB:クレジットカードの審査に落ちた
家庭用のクレジットカードとは別に仕事用のクレジットカードが必要だと考えたBさんが、会社員時代と同じ感覚で別のクレジットカード会社に申し込んだところ、まさかの審査落ち。滞納歴もないのに、なぜ落ちてしまったのか困惑したそうです。
クレジットカードの審査では、貯金額や滞納歴だけでなく、申請者の社会的な信用度もチェックされます。
一般的に、独立したての経営者は収入が安定していないと見なされ、信用度が低くなりがちです。会社員時代には「お給料」という安定収入があったため、審査がスムーズに下りたのです。
家庭と事業でクレジットカードを分けたい場合は、退職する前に申し込んで審査まで済ませておくことをおすすめします。
ケースC:補助金が使えなかった
国や地方自治体のHPで、起業に使えそうな補助金・助成金というのを目にしたCさんですが、張り切って地元の商工会議所に相談に行くと、自分の場合は使えないとのことで、がっかりしたそうです。
補助金・助成金は、事業でお金が足りないときなどに助けてくれる素晴らしい制度です。しかし、よく間違えられるのは、お金が支給されるタイミングです。
補助金・助成金は、自分が使いたいタイミングより前にお金が支給される制度ではありません。採択(補助金・助成金をもらえるお墨付きのようなもの)後、まずは自分のお金で購入する必要があります。
支給されるのは、購入した証拠(領収証など)を提示した後です。場合によっては数ヵ月後になることも多いです。
補助金・助成金を活用するにしても、最初は自分のお金で賄う必要があると肝に銘じておくことが重要です。
経費がかさんでしまった
ケースD:開業資金が大幅に超過
飲食店のオープンに向けて物件の内装工事をスタートさせたDさんは、知り合いの業者にお任せして、自分は他の準備に集中しました。しかし、しばらくして現場に差し入れをしに行ったら、事前に聞いていない追加工事をしていることがわかりました。
納期も守られず、見積もりよりも数百万円も高い金額が請求されていました。他に充てるはずのお金を使うはめになってしまったそうです。
内装・設備工事費は店舗づくりの際に一番お金がかかるものです。知り合いであっても何も見ずにお任せするのはNGです。可能な限り、複数の業者から相見積もりを取るのが原則です。
クオリティを保てる範囲で安く済ませる努力をしましょう。そして、工事は場合によっては追加費用が発生してしまうこともあります。
見積もり書に「追加工事が発生した場合は別途費用」といった文言が書かれていることもあるので、必ずチェックしましょう。
そして、万が一追加工事が発生する場合には、発注主であるあなたに事前に相談・承諾を得るように工事業者に伝えることが大切です。
ケースE:運転資金が想定より高くついた
Dさんは、長い修業期間を経てようやく自分の美容サロンを開業しました。お客様も集まり、滑り出しはまあまあ順調!と思っていたのに、お金が貯まるどころか、従業員のお給料や家賃、水道光熱費、雑費などが湯水のごとく出ていく状況だったそうです。
経営には外から見えない出費が多々あります。それを事前に見込んで収支計画を立てないと、後から慌てることになりかねません。
先輩経営者などに聞いて、どんな経費がいくらぐらい発生するのか、極力確認しておきましょう。
経営者と従業員では、支出の部分でお金に対する感覚がまったく違います。出ていくお金をすべて把握している分、従業員よりも経営者のほうが目指す売上金額が高いことが多いです。
しかし、必要な売上金額がわかれば、そこを目指して一緒に頑張っていけるはずです。運転資金が尽きてしまっては対策も打てないので、注意が必要です。
ケースF:社会保険料・税金が高すぎた
独立してから1年が経ち、売上げも順調に拡大してきたというFさんは、会社員時代には手が届かなかったブランド物の時計や靴を自分へのご褒美に購入しました。
数カ月後、社会保険労務士や税理士に丸々お任せしていた社会保険料や税金の金額を聞いて真っ青になりました。残しておいたお金では足りず、個人の貯金を崩して支払うことになったそうです。
会社員であれば、社会保険料や所得税・住民税などは、会社がすべて計算してくれたため、給料から天引きした手取り金額だけ気にしていればよかったでしょう。しかし独立後は自分で計算して支払わなければいけません。
一般的に、社会保険料は夏頃、税金は、個人事業主の場合は確定申告の時期にまとめて支払う必要があります。社会保険料や税金の支払いは逃れることは決してできません。
月々の売り上げから、一定の金額を分けて管理しておかないと危険です。滞納すると融資に影響したり、事業自体ができなくなったりする可能性もあるので要注意です。
2. 事業計画の失敗
事業を始めるとき、融資を受けるときなどに考える事業計画は、実際の経営現場をイメージできるかが勝負の鍵です。うまくいく場合だけでなく、「うまくいかなかった場合」も含めて計画しておくことが本当の目的です。
事業計画は、例えるなら登山で頂上にたどり着くまでの道筋を考える作業です。登頂までにはトラブルがつきものであり、お客様や競合、売り上げなどさまざまな面でうまくいかないことが起こり得ます。これらの失敗から大いに学びましょう!
立地選び・商圏調査ミス
ケースG:客単価が上がらなかった
長年の夢だったお弁当屋さんを開業したGさんは、駅前の好立地の物件を見つけ、いよいよオープンしました。住宅街だったこともあり、ファミリー層の利用が多いと予測し、お得な家族向けの「ファミリーパック」を用意し、客単価UPを狙う作戦を取りましたが、蓋を開けてみると、売れ行きはイマイチでした。
買ってくれるのは一人暮らしのお客様ばかりで、「ファミリーパック」は閉店間際に泣く泣く値下げして完売させる状況でした。
周りにスーパーがあれば、食料品と一緒にお惣菜を買えてしまうため、わかりやすい「おいしい!安い!」などのメリットがないと勝ちにくいことがあります。単に自分が売りたいだけの商品や価格設定ではうまくいかないことが多いです。
住宅街といっても、ファミリー層・シニア層・単身層などさまざまな住人がいます。その中でどのターゲットを狙いに行くのかを絞って、コンセプトや内容、価格設定などを含めた商品企画を立てることをおすすめします。
また、客単価が低くならざるを得ない場合は、その分客数を増やすことが重要です。それがわかれば、広告で集客を図ったり、仕入れを工夫して原価を落としたりなど、行動もおのずと変わってくるでしょう。
ケースH:激戦区に出店してしまった
美容サロンを繁華街にオープンしたHさんは、駅近なので人がたくさん集まることを期待してスタートしましたが、始めてみると驚くほどお客様が入りませんでした。
店前の人通りは抜群であり、ターゲットになりそうな女性客もたくさん歩いているのにおかしいと感じたHさんは、耐えかねて自ら店の前に立ってチラシ配布や近隣でポスティングも行いました。
どうにかこうにかお客様は集まりましたが、こんなに大変だとは思っていませんでした。繁華街に店舗を出せば儲かるものだと思っていたのにとがっかりしたそうです。
繁華街は人が集まるので、たしかに魅力的な立地です。しかし、だからこそ、他のお店もたくさん出店します。つまり、数多くの競合店と顧客の取り合いをしなければならないことを覚悟しておきましょう。
顧客はお店を選び放題です。価格・接客・品質などさまざまな面で他店より優れていないと、通い続けてもらえないものです。他のお店との差別化をより意識していきましょう。
また、視点を変えて、「繁華街ほどではないけれど、そこそこ人が乗り降りする駅の住宅街」を狙うのも一つの考え方です。競合店が少ないことが多いので、一店舗あたり狙える顧客数は意外と多いかもしれません。
競い合うことも少ないので、自分がやりたいサービスをしやすいかもしれませんし、家賃も少し安くなるかもしれません。意外とメリットが多いかもしれません。
売上予測を見誤った
ケースI:リピート率予測を強気設定
とある大学の近くでネットカフェをオープンしたIさんの店は、スタート時は学生の来店で大盛況だったものの、2カ月目以降は思ったより客足が伸びず、新規顧客のリピート率が想定の半分以下になっていることがわかりました。
インターネット利用の学生を狙ったものの、大学には無料で利用できる環境が既に整っているため、カフェを利用しようとする人は予想以上に少ないことが判明しました。単月で黒字になるのはいつになるやら…途方に暮れてしまったそうです。
立地が固定される店舗型ビジネスでは、周囲数キロ商圏の顧客のリピート率を高めることが成功の鍵を握ります。したがって、事業計画を立てる際には顧客のリピート率や再訪問率を正確に検討する必要があります。このネットカフェは、リピートしてくれる魅力に欠けていたようです。
競合店が何を売りにしているのか、自分の店は何を売りにしているのかを明確にしましょう。このネットカフェでは、コミックの種類を充実させる、フード・ドリンクの質を上げるなど、大学では提供できない魅力を提供することで、リピート率を向上させることができるかもしれません。
ケースJ:受注ペースが想定より遅かった
自宅で開業できることが魅力と感じたJさんは、新しくパソコンを購入してネット通販事業を立ち上げました。自宅の一室に在庫を置き、受注したら梱包・配送するスタイルで、メインの商品は今売れ筋の健康器具です。
「一回につき100個仕入れることができれば、一個あたりの金額も抑えられ、その分利益率も上がる」と考え、一括購入しましたが、受注のペースが想定よりも遅く、仕入金額の回収はまだまだ先ということが判明しました。自宅に積まれた在庫を見るたび、落ち込む日々だそうです。
在庫を抱えるビジネスでは、仕入れる量の見極めが重要です! 一回に仕入れる量を増やせば割安のように思えますが、“売れてなんぼ”です。受注ペースは慎重に見立てて在庫の量を決めましょう。
まだ実績がない場合は、小さく始めて、受注の実績をつくりペースをつかむことが大切です。利益率を意識するより、利益を出すことそのものを目標にしましょう。
そしてネット通販であれば、サイト上のコンテンツの改善を重ねながら反響を増やす工夫もできるはずです。その積み重ねで、ある程度の反響と受注が見込めるタイミングになったら、そのときは大量に仕入れることも検討しましょう。
在庫を仕入れるときは、「この在庫はいつ頃にはなくなる」という見立てをすることも必要です。
3. 契約・手続きの失敗
フランチャイズに加盟するときやテナントを借りるとき、また自分のサービスを売るときなど、経営者になると契約や手続きの作業が発生します。契約するということは法的な縛りがあるということです。
契約書の作成や事務的な手続きを正しく行うことは、自分の会社や事業を守ることにつながります。事業がうまくいっても浮かれることなく、すべての細部までチェックしましょう。
同時に、自分一人でやるには限界があることも理解しておくべきです。必要に応じて、その道のプロに頼ることも有益です。
契約違反になってしまった
ケースK:契約書を大して読まずにフランチャイズ契約
独立初めてだったKさんは、最初はノウハウがまとまっているフランチャイズに加盟するのが良いと考え、いくつか検討した結果、独自の技術が魅力のハウスクリーニングのフランチャイズに加盟することにしました。
後日、違った強みを持つハウスクリーニングのフランチャイズの存在を知り、そちらにも加盟しました。両者の強みを活かして順調に仕事を始めていたところ、フランチャイズ本部から訴状が届いて驚いたそうです。
フランチャイズ本部や外注業者、税理士など、独立したらいろいろな人や会社と取引することになり、その都度契約書の取り交わしが発生します。一度取り交わしてしまったら、その内容は正式なものになり法的拘束力を持つことを心に留めましょう。
契約書の内容に反することをしたら、相手から訴訟を起こされ、損害賠償請求されてしまうリスクもあります。
上の事例に出てくるフランチャイズ契約書には、「競業避止義務」といって、本部が定める競合ビジネスをやってはいけないルールが記載されていることも多いです。
「知らなかったです。すみませんでした」で済まされないので、契約書は事前に必ず自分で全てチェックし、納得した上で締結しましょう。
ケースL:退去を迫られた
趣味でつくっていたアクセサリーが友達にも好評で、思い切って商売にしてみることを決意したLさんは、特段スペースを取るビジネスではないので、自宅でそのまま開業することにしました。
しかし、不動産管理会社から「この物件は事業用に使ってはいけません。今後も仕事で使うようなら、退去していただきます」という一方的な通知が届き、とても困ってしまったようです。
個人事業主が自宅を仕事場にしようとするのはよくある話ですが、ここには思わぬ落とし穴があります。
貸主・オーナーと取り交わす賃貸契約書の中には「用途」という項目があり、住居用で部屋を借りた場合は「借主自己の居住用」といった内容が書かれていることが多く、さらに「用途目的以外の使用を禁ずる」という内容も追記されています。後から事業を始めた場合は要注意です!
ただし、禁止されている理由は、物件の敷地内や公共スペースに、居住者以外の客や業者が出入りすることを避けるためであることが多いです。
今回のケースは、「人が出入りするビジネスではないこと」を事前に説明しておけば、退去通知には至らず、そのまま住居兼仕事場として続けていけたかもしれません。
事務手続きが不慣れで・・・
ケースM:確定申告で大量の領収書と格闘
喫茶店を始めて1年経ち、ようやく利益も出て経営も安定してきたMさんは、1年の終わりにやってくる確定申告が大の苦手だそうです。事務作業は苦手だし、日々のお店の切り盛りに気を取られ、支払い時にもらう領収証が山積み状態だそうです。
申告締め切り日まであと数日のときにようやく仕分けと記帳を開始し、どの領収証が雑費か消耗品費か迷うこともあるでしょう。営業時間後にしか作業ができず、数日は徹夜を覚悟しなければならないかもしれません。
確定申告や経理作業は、地道な作業が必要であり、経営者の方々にとっては大きな負担です。特に個人事業主や一人経営の場合は、経営者自身が主体的に行わなければなりません。
しかし、こういった作業に専門家がいます。確定申告なら税理士や公認会計士、社会保険料の計算なら社会保険労務士などです。彼らに依頼すれば精度高く片付けてくれます。費用はかかるかもしれませんが、大切な時間を確保できると思えば払う価値があるでしょう。
ケースN:自分でつくった契約書が穴だらけだった
制作会社を立ち上げたNさんは、初受注の喜びをかみしめながら契約を締結し、仕事に取り掛かりました。良いサイトをつくるため、外注のデザイナーも集めて意気揚々と作業を進めていたところ、クライアントから突如キャンセルと返金の依頼があったそうです。
契約書を確認したところ「返金不可」という内容が一切書かれていないことが発覚し、返金することになった上、外注費も自腹で捻出することになりました。
契約書は、自分が不当に損害を被らないように約束事を入れておくことが重要です。例えば「返金不可」という内容を明示することで、このようなトラブルを防ぐことができます。また、返金の条件や対応についても具体的に記載しておくことが必要です。
契約書の作成は専門の弁護士に依頼することがおすすめです。弁護士は適切な内容をアドバイスしてくれるだけでなく、あなたのビジネスや法的な側面についても助言をしてくれます。自分だけで作成せず、専門家のアドバイスを受けることで、今後のトラブルを防ぐことができます。
4. 人脈・ネットワークでの失敗
お客様や仲間があっての商売ですが、接し方を誤ると事業が傾く原因にもなり得ます。経営者として人との関わり方は非常に重要です。
人を大切にすることは、経営者として大事な価値観です。同時に、すべての責任を取るのも経営者の責務です。ですから、人との関わり方には十分な注意が必要です。
中には、あなたを騙そうとする人も存在するかもしれませんので、警戒心を忘れずに関わりを深めることが重要です。
元々の人脈に頼りすぎた
ケースO:前職からの受注に頼りきりで新規開拓を怠った
長年勤めていたデザイン会社を退職し、WEBデザイナーとして独立したOさんは、円満な退職だったこともあり、退職後もその会社が仕事を発注してくれました。売り上げも安定していたことで満足してしまい、他社への新規開拓営業が疎かになってしまいました。
すると1年後、コスト削減により発注金額がいきなり半分になりました。前職からの発注が売上げの大半だったので大打撃を受けたOさんは、慌てて新しい仕事を取るために、電話をかけまくる毎日を送ったそうです。
経営を安定させるコツは、一人・一社の顧客に依存し過ぎないことです。一人ひとりを大切にすることと、依存することはまったく別の話だと心得ましょう。
上の事例では、前職からの好意で仕事を請け負う間に、未来の売上げの柱になりそうな顧客開拓に意識と時間を割いていれば、後から慌てることはありませんでした。焦って営業してしまうと、相手も足元を見て値下げ交渉をしてくるかもしれません。
逆に、自分主導で早めに営業をしかけることで、良い仕事も取りやすくなります。どんなに仲の良い会社・相手であっても、ビジネス上は他社であり他人です。状況が変われば対応も変わらざるを得ないものなので、自分自身も変化に対応できるように行動するべきです。
ケースP:友達・知り合いの来店は1度きり
土地勘はないが、立地条件の良い物件でネイルサロンを開業することになったPさんは、友達や知り合いがたくさんいるので、みんなに声をかければ何人か常連さんになってくれるだろうと期待していました。
オープン当初はお花を片手に来店してくれて満足度も上々だったものの、来てくれたのはその一回きりで、リピートしてくれる友達や知り合いは皆無でした。期待していた売り上げも上がらず、ダブルショックだったそうです。
友達や知り合いだからといって常連になってくれるほど世の中は甘くありません。最初に来てくれただけでありがたいと思いましょう。
客としてお店を選ぶときの原則は、「安い」「うまい(品質・サービスが良い)」「早い(近い)」です。そのどれかが欠けていた場合、選ばれづらくなります。
友達の家がそのネイルサロンから離れているなら、来なくなっても仕方ありません。
また、見方を変えると、遠くの友達や知り合いが来店して席を埋めてしまうことによって、将来常連になるかもしれない地元のお客様の来店機会を逸してしまうかもしれません。
「遠くの親戚より、近くの他人」ということわざもありますが、お店を支えてくれるのは、商圏の中のお客様のはずです。友達や知り合いに頼るのはその後にしましょう。
スタッフとの関わりでしくじった
ケースQ:縁故で採用した知人に強く要望できず・・・
人事業で始めたスマホアプリ制作が軌道に乗り、一気に法人化したQさんの元に、仲の良い友達から真剣な面持ちで「弟を雇ってもらえないか」という相談がありました。しかし、いざ採用すると、遅刻をするわ、仕事の抜け漏れが多いわで、他の社員もイライラしたそうですが、友達の手前、強くも言えず「なあなあ」状態になってしまったそうです。
縁故・友達採用が悪いということは決してありません。ただ、実力・経験・適正を見ないで安易に採用するのは危険なことです。過去のつながりがある場合は、断りづらいかもしれませんが、踏ん張って一線を引くのが正解です。
経営者として見て、事業を伸ばしてくれる可能性を感じられるのであれば採用すればいいでしょう。逆に、採用するべき人材ではないと判断したら、紹介者に一言謝って断るべきです。この場合、一番に守るべきなのはあなたの会社や事業なのだからです。
さらに、上の事例にもある通り、経営者の判断ミスは、他の社員の士気にも影響します。仕事の質の低下や、最悪の場合、退職を招きかねません。あなたの判断は想像以上に影響範囲が広いことを忘れないようにしましょう。
ケースR:スタッフが定着しなかった
会社員の傍ら、副業でマッサージ店の経営をスタートしたRさんは、商売の特性上、何人ものスタッフを雇用しています。日中は本業をやらないといけないので、営業時間中はスタッフがお店を運営する毎日でした。
しかし、売上管理や接客対応、サービス品質など、気になることはいろいろ出てきます。都度、スタッフに「あれはどうなの?」「もっとこうしろ」と口を出していたら、ある日いきなりスタッフの大半が退職してしまい、お店が回らなくなってしまいました。
経営者と現場のスタッフは役割が異なります。オーナー経営者は「現場では素人」と心得るべきです。自分たちの領域や役割に過度に口を出されると、スタッフも良い気分はしません。
働いている以上、スタッフは現場目線でお店を良くしようとしているかもしれません。現場を知らないオーナー経営者が介入し過ぎると、逆効果になりかねません。
質問や相談などはどんどんしてもかまいませんが、ただ指示するだけなら副業経営者にはならないほうが良いでしょう。
スタッフにとって、職場はあなたのお店である必要はないかもしれません。もっと働きやすいお店があれば移ってしまうかもしれません。危険は常に存在します。上下関係ではなく、それぞれの役割を全うしつつ、スタッフが働きやすい職場づくりに努めましょう。
5. 心がまえの失敗
「社長のことは社長にしかわからない」「経営者は孤独」という言葉がよく使われますが、実際、経営者ならではの不安や悩みはつきものです。それらに向き合うことも経営者の仕事の一部です。
経営者の悩みは会社や事業の悩みであり、業績や売り上げに直結するものです。ですから、早めに解決する必要があります。頼れる先や情報にアクセスする手段がたくさんあります。自分の感度を高めて、情報を収集すれば悩みは減っていくはずです。
相談相手が見つけられなかった
ケースS:周りに経営者がいなかった
新卒で大手WEB系企業に入社して10年間働いていたSさんは、友達から「一緒にマーケティング会社を立ち上げませんか?」と誘われ、脱サラ・独立を決意しました。仕事にやりがいを感じる日々を送っていますが、悩みが尽きないそうです。
しかし元同僚は今も会社員で、相談しても的を射たアドバイスが得られず、孤独を感じているそうです。
「経営者は孤独」といわれることがありますが、実際には経営者も相談相手を求めています。コンサルタントや先輩経営者など、相談相手はさまざまです。今の時代、相談相手を見つけることは難しくありません。
各地域に商工会議所があり、経営相談窓口を設置しています。また、経営者同士をマッチングするサービスも増えており、比較的手軽に利用できます。
SNSでも、「相談したいです!」と投稿すれば、誰かが反応してくれるかもしれません。相談する際に大切なのは、恥ずかしがらずに悩みを打ち明けることです。経営者同士なら、きっとあなたの悩みを理解してくれるはずです。
想定外の事態に上手く対処できなかった
ケースT:想定より大幅に業績が伸びず、支出が増えていった
3カ月前に買取専門店をオープンしたTさんは、チラシ配布やポスティングも行い、集客にはかなり力を入れてきました。しかし想定していたほど客足が伸びず、集客を増やすために再度ポスティングしたり、WEB広告も試したところ、追加の支出が増えてきたそうです。
オープン前に精緻な事業計画や収支計画を立てることは大切ですが、いざ始めてみると想定外の事態が起こるのが経営です。うまくいかないことがあるのは当たり前と認識しましょう。むしろ、「うまくいかなかった場合」の計画を準備しておくのが重要です。
例えば、集客費用を〇〇万円用意しておくなど、想定外の事態に備えることが必要です。経営には不安やプレッシャーがつきものですが、それらを取り除くための準備はできるものです。始める前は楽観的に考えがちですが、先々を考えるとネガティブチェックも大切な作業だと心得ましょう。
ケースU:客足が遠のいてきた
美容院を開業して数年が経ったUさんの美容院は、最近は前年割れする月も増えてきたそうです。店ではカット・トリートメント・シャンプーなど定番メニューが中心で、しっかりした技術が売りなので、今後も各メニューのレベルを上げ、技術を極めていけばお客様は評価してくれると信じているそうです。
定番メニューを磨くことはもちろん、それに加えて新たなアプローチも必要です。時代が変われば、お客様の需要も変わってきます。この事実から目を背けてはいけません。
美容業界では、マッサージメニューの導入やタブレットを用いたサービス提供など、お客様満足度を高める施策が行われています。競合店はお客様のニーズに柔軟に対応し、サービスを充実させています。
メインの事業を柱にしながら、お客様が求める新しいサービスやアイデアを探し続けることが重要です。経営者として、自らの裁量で柔軟に動き、お店の強みを最大限に活かしていきましょう。
体調管理に失敗
内装業で独立して3年経ったVさんは、経営も安定し社員も増えたので、社員の人間ドックの費用を一部会社負担にすることにしました。「特に体の不調もなかったので大丈夫だろう」と思い、ついでに自分も受けてみることにしたのですが、受診したら検査結果がまさかの「再検査」だったそうです。
会社は労働安全衛生法に基づき、会社員に対して医師による健康診断の実施が義務付けられています。そのため、毎年自動的に受診していた人も多いでしょう。しかし、独立した場合は自分で健康診断を手配しなければなりません。
民間のクリニックで健康診断や人間ドックを受けることもできますが、自治体や国民健康保険が実施している健康診断なら、無料もしくは低額で受けることができます。
経営者や事業主の健康を守る制度は十分にありますので、活用することが重要です。仕事も生活もすべては健康な体があってこそ成立します。
下記記事では、脱サラで失敗しない準備方法と成功の秘訣とおすすめの事業を紹介していますので、参考にしてください!
https://entrenet.jp/magazine/25579/
フランチャイズで失敗する原因はどこにある?
フランチャイズ店には、コンビニエンスストア、飲食店、ヘアーサロン、マッサージ、介護、クリーニング、学習塾などさまざまな種類があります。
多種多様な業種がありますが、主な失敗原因は共通しています。
最も多い失敗原因は、フランチャイジーと呼ばれるフランチャイズ加盟店が、フランチャイズ本部であるフランチャイザーに期待し頼りすぎてしまうことです。
【契約前】フランチャイズ本部との不和
1つ目は、フランチャイズ本部についての理解が足りず、売り上げを伸ばすことができなくなってしまうことです。
ここで考えられるケースは、店舗運営に関するフランチャイズ本部のマニュアルやルールについて、きちんと理解をせずに、フランチャイズの表面的な魅力を鵜吞みにしてしまい、売り上げが想定していたものより低くなってしまうケースです。
「今、話題の商品」や流行りの商品を扱っているお店は、賑わっていることも多く、とても魅力的に見えます。しかし、流行りの商品は流行りのものであって、世間でその商品が定着するかどうか、この先も売り上げを維持できるかどうかは分かりません。将来性を考えずに、流行の商材を扱うフランチャイズに加盟してしまうと、流行の終わりとともに売り上げも期待できなくなってしまいます。
そのほか、フランチャイズ本部自体、本部として機能できていなかったというケースも考えられます。
加盟するだけで成功するというような甘い言葉や募集ページの印象だけで加盟を決めてしまい、十分なサポートや成功ノウハウを受けられずに売り上げを伸ばせないということも考えられます。どのくらいのサポートが受けられるかをきちんと確認しないまま、開業資金が安いという理由だけで加盟するのはおすすめできません。
また、フランチャイズ本部によっては、一部の売り上げの良い店舗の情報だけを開示している場合もあります。フランチャイズ本部の言うことを鵜呑みにしすぎず、開業前に必ず同業他社の実態と比較する、自分の開業エリアや同規模の店舗での収益実績などをフランチャイズ本部に見せてもらう、といった確認で防げた事例でしょう。悪質なフランチャイズの場合、加盟希望者から加盟金を得ることだけを目当てとし、加盟後にフランチャイズ契約に記載されている加盟店へのサポートや情報共有を行わないといったケースもまれにあります。契約書に記載があれば、フランチャイズ本部の契約不履行、または契約違反となりますが、フランチャイズ本部の運営資金がなかったり、契約の記載内容によっては立証に時間がかかってしまったりして、加盟金を取り戻すことが難しい場合もあります。その場合、経営できないまま赤字で倒産というリスクがあります。そうならないためにも加盟検討をする際には、検討しているフランチャイズに既に加盟している方に直接話を聞いてみるなど、自分の目できちんと信頼のおける企業なのかどうかを確認するようにしましょう。
ほかにも、出店した場所が想定よりもターゲット層がいない場所で、売り上げが立たないといったことも考えられます。
このように、フランチャイズ本部や取り扱う商品・サービスについて十分に理解していないことが原因で想定していなかった事態に見舞われてしまうかもしれません。フランチャイズ本部やそのブランド力に期待しすぎて鵜呑みにしないように、契約前にはしっかり確認するようにしましょう。
そもそも、フランチャイズビジネスとはどういうモデルなのか、加盟店と直営店の機能の違いを把握しておくようにしましょう。フランチャイズの加盟店は代理店とも異なりますし、メリット・デメリットも異なるものです。
フランチャイズに加盟する主なメリット
フランチャイズに加盟する主なデメリット
もっとフランチャイズについて詳しく知りたいという方はこちらの記事を参考にしてみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
【契約後】加盟店の努力不足
2つ目は加盟店の努力不足で経営が上手くいかなくなってしまうことです。
「未経験者歓迎」や「研修あり」といった言葉につられて加盟したが、実際にやってみたら上手くいかなかったというケースがあります。
フランチャイズのメリットとして、すでにある成功ノウハウを活用できる点があげられます。しかし、ノウハウを教えてもらっても誤って運用してしまってはメリットが得られません。これは、加盟店としての理解不足が引き起こすケースです。
フランチャイズに加盟したら、自分がその店舗の経営者です。フランチャイズ本部はあくまでもパートナーであり、基本的に経営は加盟店がするもの、ということを忘れてはいけません。
フランチャイズ本部のルールに従わなければならない部分ももちろんありますが、自店舗での売り上げを作るのは自分です。
フランチャイズ本部のサポートにばかり期待しすぎて努力を怠ってしまうと、成功をつかむことができないのです。
フランチャイズで失敗する人の特徴
これまで失敗する原因を見てきましたが、成功ノウハウが詰まったフランチャイズで失敗してしまう人には特徴があります。
それは、「物事を表面的なイメージで捉えてしまう人」です。
フランチャイズに加盟する前は「自分のお店を持ちたい」「夢を実現したい」と、フランチャイズ本部から提示された条件をすべて受け入れて契約しても、すべてが順調に上手くいくといったことはありません。
いざ売り上げが減少したときや自店から不良品が出てブランドイメージを傷付けてしまったとき、お客さまから苦情が出たときなど何か問題が起きたとき、フランチャイズ本部とトラブルになるケースもあり、契約を解除せざるを得ない場合があります。
問題が起きたときこそ助け合うのが本当のパートナーです。
契約については、表面的なイメージで物事を捉えず、金額面や契約条件など、詳細部分まで、しっかり確認をしましょう。また、しっかり理解した気になっていても、条件が良いように見えていただけで、実際はそうではなかったというケースもあります。フランチャイズ加盟するメリットだけではなく、デメリットがあることも認識しておくためにも自分自身も、知識を付けなければなりません。
ブランドやイメージに惑わされず、本当に信頼できるフランチャイズ本部かどうか見極めることが大切です。
フランチャイズで成功する人とは?
では、フランチャイズで成功する人とはどういった人なのでしょうか。まずは加盟店のオーナーとして必要なスキルについて確認しましょう。
加盟店のオーナーとして必要なスキル
フランチャイズ本部に必要なスキルは主に次の3つあります。
- 資金の管理能力
- コミュニケーション能力
- 経営知識
1.資金の管理能力
開業資金を準備する際に十分な見積もりを出したり、運営にかかるランニングコストを算出したりする力です。失敗する要因の中には、売り上げが落ち込んだ際に資金繰りが上手くいかず、廃業してしまうケースもあります。通常、開業資金や当面の間の生活資金のめどなど、フランチャイズ本部が相談に乗ってくれます。開業資金のほかに、半年から1年間の生活費は確保しておくことで余裕をもって取り組むこともできるでしょう。また、出店する立地によって、開業資金も異なってきたりするので、加盟検討時はきちんとどのエリアでどの規模での開業を検討しているかフランチャイズ本部に相談するようにしましょう。
2.コミュニケーション能力
経営者は店舗の管理を行うだけではありません。従業員を雇い、長く働いてもらえる環境を整備する必要があります。従業員の確保はできてはいるが、指導や指示が上手くいかず従業員が辞めてしまうこともあります。短期間で辞められてしまうと、人材確保から育成までにかかった費用や時間が無駄になってしまいます。従業員との円満な職場関係を構築していくコミュニケーション能力も大切なスキルです。
3.経営知識
フランチャイズに加盟するメリットとしてフランチャイズ本部の培った成功ノウハウを活用できる点があげられます。しかし、経営者自身の知識が全くないと上手く運営ができません。業種に対する理解やマネジメントのスキルを身に付ける必要があります。一般的にフランチャイズ本部では、経営に関するノウハウ提供や研修を行っています。加盟する際に、どれほどのサポートが受けられるのか確認するようにしましょう。
4.実際に成功した方の事例
会社員×個人事業主で準備を整え、満を持して脱サラしたAさん
会社員×個人事業主で準備を整え、満を持して脱サラしたAさん
IT関連企業で勤めていたAさんは、マスコミ志望でしたが、主要メディアがWebへと推移するのを感じ、マーケティング会社へ転職。ITとマーケティングはシナジー効果も高く経験を存分に活かして活躍するようになりました。会社員として働きながら、自分でもメディアを運営することで知見を深めていったといいます。圧倒的なスキルを身に付け、個人事業主として人脈と顧客を確保したうえで独立されました。
脱サラし、フリーで色々な仕事をしているBさん
Bさんはとにかく興味を持ったことにチャレンジする人で、興したビジネスに高い主体性を持って取り組んでいます。幅広くビジネスを展開する中で人脈が広がり、その人脈を活かして新しいビジネスを始めるというスタイルを確立しました。たくさんの人から信頼を得て、「Bさんから商品を買いたい」と契約をしてくれる人が増えました。今ではその人脈を活かし、「脱サラしたいけれど上手くいかない」と悩んでいる人に個人コンサルティングを行ったり、自分の顧客と一緒にオンラインサロンを運営したりしています。
脱サラしてフリーランスになるも、苦労も多かったCさん
Cさんは、フリーのライター兼マーケターとして、クライアントワークを中心に活躍しています。この活動で得たノウハウを活かし、オンラインサロンも運営しているそうです。しかし、独立の準備をせず、貯金もゼロで脱サラしてしばらくは苦しんだそうです。以前から副業でライターとしての仕事をしていたため、何とかなると思っていたCさんですが、脱サラして1年間は生活費をまかなうためにコールセンターの夜勤を、その後も生活が苦しくなるたびに、単発のアルバイトをして生活をしていたといいます。
3人の独立の詳細はこちらの記事に掲載しています。
https://entrenet.jp/magazine/40754/
フランチャイズに向いている人の特徴
次に、フランチャイズに向いている人の特徴は、大きく分けて次の3つです。
- 深く考え実行できる人
- 資金・人材管理能力がある人
- マニュアルやルールに沿って業務を遂行できる人
1.深く考え実行できる人
加盟後はフランチャイズ本部から既存の財産やノウハウを提供してもらい、店舗を運営していきますが、フランチャイズ本部から提供されたノウハウをどう利用して生かしていくかは経営者次第です。本部に頼り切ってしまうのではなく、活用していく方法を考えることが大切です。
2.資金・人材管理能力がある人
上記で述べたように資金の管理能力と従業員と良好な関係を保つ努力が必要です。これは実務経験があると良いですが、未経験の場合はフランチャイズ本部に相談したり、他の加盟店オーナーのアドバイスを参考にしたりするなど、努力も必要になるでしょう。
3.マニュアルやルールに沿って業務を遂行できる人
ビジネスパートナーとしてフランチャイズ本部と契約するため、自己流で経営を行わずフランチャイズ本部の提供するルールやマニュアルにしっかりと沿って運営していく必要があります。フランチャイズ本部のルールやマニュアルは、長年フランチャイズ本部が経験と実績を積み、作成したものです。成功しやすいケースや失敗しやすいケースなども分析されて作成しているものなので、これに沿って運営するようにしましょう。
「1.深く考え実行できる人」の特徴と混同してしまうかもしれませんが、フランチャイズ本部の方針をしっかりと理解しつつ、自分で深く考え行動する力が必要だということになります。
ただフランチャイズ本部のルールやマニュアルを受け取るくだけではなく、それがどうして作成されたのか、何を意味しているのか、自分の店舗では何が問題でこれからどういう行動をとるべきなのか主体的に考えることが売り上げにもつながります。
フランチャイズに必要なスキルと向いている人の特徴を持ち合わせていると成功しやすいですが、この特徴を知り、意識をして経営すること、実際に実務経験を積むことで成功に近づくでしょう。
自分がフランチャイズ加盟店に向いているのか、向いているタイプとなるために何に気を付けたら良いのか整理してみるのもいいかもしれません。
フランチャイズで失敗しないためのポイント
フランチャイズで失敗しないためには気を付けるべきポイントがあります。それは「加盟するフランチャイズ本部の選定」と「契約書の理解」です。
今後の人生を左右する大事な選択の場面でフランチャイズ本部の言葉を鵜吞みにせず自らも調べられることは調べて確認し、自らの意思で選択・決定する必要があります。
それぞれの重要なポイントについて見ていきましょう。
フランチャイズ本部の選定
まず、フランチャイズ本部の選定についてです。
チェックするべき項目は5つあります。
1.将来性
ビジネスを行ううえで将来性を考えることは重要です。今現在、成功していても2、3年後どういう状況に置かれるかは分かりません。フランチャイズ本部の説明会に参加するなどして、どのような将来展望で経営しているのか聞いてみると良いでしょう。また、市場規模なども調べられる範囲で調べ、検討すると良いでしょう。
2.収益性
売り上げが高くても開業時の資金や毎月のコストが多ければ利益は低くなります。表面上の情報だけでなく、深くまで分析し理解する必要があります。出店場所や事業によって開業時に必要な資金も運営資金も異なるので詳細はフランチャイズ本部に確認すると良いでしょう。
3.サポート体制
自身の経験や知識に合わせてフランチャイズ本部からどのようなサポートを得られるのか把握しておく必要があります。期待していたサポートが受けられず経営が上手くいかなかったという事態に陥らないように事前に情報収集が大切です。
4.信頼できるか
フランチャイズ契約を結び、ビジネスパートナーとして上手くやっていけるのか、何かあったときにサポートしてもらえるのか見極める必要があります。加盟検討時に、良い情報も悪い情報も開示して対応策なども説明してくれるかどうかなども含めて検討すると良いでしょう。
5.経営理念に共感できるか
加盟するにあたって重要なのが、経営理念に共感できるかどうかという点です。
フランチャイズ契約を結ぶということは経営者としての人生を歩むということになります。今後パートナーとなる本部の理念に共感できるかどうかはとても重要なポイントとなるでしょう。
フランチャイズ本部がどのような社会を目指し、どう貢献してくつもりでいるのかなど、フランチャイズ本部の持つ価値観に共感できると、ビジネスパートナーとして同じ目線で歩んでいけるのではないでしょうか。
契約書を読み込み理解する
そして、最も重要なのは契約書です。
契約書を理解していないで加盟する人は自ら失敗の道へ向かってスタートを切っていることになります。
フランチャイズ本部の担当者がどんなに熱心で信頼できる人であっても、当然、彼らにも異動や転職などの可能性があるため、ずっとその人に担当してもらえるわけではありません。
さみしい言い方かもしれませんが、契約は人間性で結んではいけません。
しっかりと契約書を読み込み理解する必要があります。
契約書で確認すべきポイントは3つあります。
- フランチャイズ本部に支払う費用
- 契約期間
- 規定
1.フランチャイズ本部に支払う費用
フランチャイズに加盟する際、加盟金、保証金、研修費用などの支払いが必要です。
加盟金とは、フランチャイズに加盟する際に支払う初期費用の1つで、加盟金を支払うことでフランチャイズ本部の保有するブランドや培った成功ノウハウやマニュアルの利用、本部からのサポートを受けることができます。
また、加盟後はロイヤリティの支払いが必要となります。ロイヤリティとは、加盟後にフランチャイズ本部に定期的に支払う費用で、継続的にフランチャイズ本部の商標などの権利を利用することについての費用です。
加盟金は加盟時に一度だけ支払うものですが、ロイヤリティは継続的に支払うものです。ロイヤリティは、その月の売り上げに対して何%と取り決めをしている売上歩合方式か、定額で毎月何円と決まっている定額方式であることが多いです。
どちらもメリットとデメリットがあります。売り上げが順調でないときは、売上歩合方式の場合ロイヤリティの支払いは少なくなります。定額方式の場合、売り上げが上がっても一定金額の支払いのため手元に残る金額は多くなります。
こちらの記事では、ロイヤリティについて解説しています。
https://entrenet.jp/magazine/25146/
2.契約期間
2つ目は、契約期間についてです。
契約の長さはフランチャイズによってさまざまです。
契約期間中はフランチャイズ本部からのサポートを受けて運営することができます。デメリットは途中で辞めづらいということです。
途中で辞めづらい理由としては、契約期間内の契約解除には解約金や違約金がかってしまう可能性が高いからです。契約期間満了するまでは、辞めないというつもりで契約する必要がありますが、契約期間を確認する際は中途解約についても一緒に見ておきましょう。
3.規定
3つ目は、契約書に書かれる規定です。
違約金条項
フランチャイズ本部の行為により加盟店が損失を被る場合に、違約金を設定しています。例えば、契約期間内に解約した場合、その後のロイヤリティが受け取れなくなるといった機会損失が発生するため解約金を請求します。加盟店が損失を被らないためのサポートやノウハウ提供をすることなども記載されているので、違約金と見合う内容であるかは確認しましょう。
競業避止義務
フランチャイズ本部と同種または類似の事業を行うことを禁止した義務のことです。フランチャイズは既存のノウハウを提供することが特徴です。それを持ち出されないように規定されています。
テリトリー制
フランチャイズ本部が加盟店に対して、販売地域を指定する制度のことです。テリトリー制があることで、同じフランチャイズ内で顧客獲得の競争を抑制するため自社店舗の顧客を多店舗に奪われる可能性は減るでしょう。
これらの規定を設定することは、加盟店を守ることでもあります。
フランチャイズ本部の姿勢を見極めることにもつながるので、しっかり確認しておきましょう。
これらのように契約書にはさまざま事柄が記載されています。
契約を締結する際には、分からないことを分からないままにせず、すべてクリアにしてから、サインすることが大切です。
まとめ
フランチャイズに失敗しないためのポイントは理解できたでしょうか。
フランチャイズで成功するために一番大切なことは、フランチャイズ本部に頼りすぎず、自分の力で物事を実行する力が必要であるということです。
加盟金を支払ったから、ロイヤリティを払っているからといって、フランチャイズ本部がすべて面倒を見てくれるわけではありません。フランチャイズ本部のノウハウやマニュアルに沿って運営するだけでなく、自分自身が積極的に経営を学び実行することも重要です。
店舗の運営やお金の管理、出店の計画、従業員の採用や教育などすべて自分の責任で行います。もちろん、フランチャイズの契約も自分自身の責任です。
消費者の立場で行う契約とは違い、消費者保護制度などありません。分からないまま契約してしまうことがないように注意しましょう。
しっかり自分で確認したうえで、分からない場合や不明な点があれば、弁護士や司法書士になどの専門家に相談してみても良いかもしれません。
まずは、加盟先を検討する際に、インターネット上の情報を鵜吞みにせず、安心して加盟できる企業が掲載されているサイトを選びましょう。もし、掲載されている情報に疑問があるときは直接フランチャイズ本部に問い合わせてみるのが失敗しない道への第一歩となるでしょう。
<文/赤塚 元基>