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メイクには、人を救うだけの力がある。白湯さんがメイクアップアーティストになった理由

メイクには、人を救うだけの力がある。白湯さんがメイクアップアーティストになった理由

昨今、男性がメイクをする「メンズメイク」が人気を博しています。

日々のスキンケアの延長でメイクを始める人もいれば、身だしなみとしてメイクを学ぶ人、自らのアイデンティティや自己表現のためにメイクをする人など、メイクの目的やモチベーションはまさに十人十色。

今回お話を伺ったのは、メイクアップアーティストの白湯さん。白湯さんはメイクアップの専門家として、男女合計1300人以上にメイクをレクチャーしてきました。

今回は白湯さんのキャリアと共に「僕にとってメイクは希望」とまで語る理由、そして独立や事業への想いを伺いました。

<プロフィール>
白湯さん
メイクアップアーティスト

幼少の頃から肌荒れに悩みを抱えていた。
高校卒業後は消防士として就職。3年ほど勤めた後、化粧品関連の企業にキャリアチェンジを果たし、さらにメイクやスキンケアについて研鑽を重ねる。
会社員として働く一方、副業として主に男性を対象としたメイクのレクチャーを始める。

2021年にメイクアップアーティストとして独立。
これまでに男女合計1300人以上にメイクをレクチャーしている。

HP:https://sayumensmake.com/
SNS(Twitter):https://twitter.com/sayu_ba

ファーストキャリアはなんと消防士? 白湯さんが“メイク”を仕事にするまで

――メイクアップアーティストとして活躍されている白湯さん。まずは現在のお仕事の内容について、簡単に教えていただけますか?

白湯さん
主に男性に向けて、メイクをレクチャーしています(依頼があれば女性にもお教えします)。

女性に限らず男性でもニキビや毛穴、くすみといった「肌の悩み」を抱えている人は意外と多いんですよ。

何を隠そう僕自身、こどもの頃からずっと、肌に関する悩みというかコンプレックスを抱えていて。

――肌に関するコンプレックスから、仕事もメイクの方向に?

白湯さん
今となってはそうなんですが……。実は最初から、メイクを仕事にしていたわけではなくて。

高校を卒業してすぐ、消防士として就職したんですよ。

――消防士ですか? また全然違う世界ですね……!

白湯さん
高校を卒業したてということもあり、当時はまだ「自分のやりたい仕事」というのをそんなに深く考えていなかったんです。

また僕はずっと運動をしていたので、身体を動かすのは苦手ではなくて。「とりあえず消防士なら公務員だし、親も喜ぶかな」くらいの気持ちで就職したんです。

それまでアルバイトもしたことなかったんですが、働いてお給料をもらうようになると、自分で自由にできるお金が生まれますよね。

そこでお金を使うようになったのが、メイクやスキンケアだったんです。

――では最初は、趣味の一環のようなものだったんですね。

白湯さん
そうですね、最初はスキンケアに力を入れていたんですが、どうしても効果が現れるまでに時間がかかってしまいます。

一方でメイクなら、短時間で肌を綺麗にできます。そこに気づいてからは、メイクに力を入れるようになりました。

知識やノウハウが増えていくごとに、自分の中の美意識も増していき……。次第に仕事での休憩中にロッカーへ行っては、日焼け止めを塗るようになったりして(笑)。

周りからはちょっと変な目で見られていたかもしれませんが、僕なりに楽しくやっていました。

――しかしそれも長くは続かなかった、と。

白湯さん
はい。転機となったのは3年目の春、部署異動があった時のことでした。

新しく上長となった人に、僕のスタイルを受け入れてもらえず、全否定されてしまったんです。

それが原因で自律神経失調症になってしまい、休職することになりました。

――白湯さんにとって、何が辛かったのでしょうか?

白湯さん
一番はやはり「自分にとっての希望」を否定されてしまったことですね。

多かれ少なかれ、人にはコンプレックスがあるじゃないですか。
容姿に関することはもちろん、内面的なものまで、人によって個人差はあれど「自分が気にしてること・もの」って、きっと誰しも持っていますよね。

僕にとってそれは、肌の問題でした。メイクというのは、その肌の問題をようやく克服できるかもしれない希望、いわば切り札のような存在です。

「メイクをするな」を始めとする言葉の数々は、僕にとっての希望を奪うことに等しかった。どうしても耐えられなかったんです。

――そうでしたか……。それで意を決して転職を?

白湯さん
はい。心療内科の先生からも「何か熱中できることに没頭するのがいい」とアドバイスをいただいて、スキンケアやメイクを改めて徹底的に勉強したんです。

昔から勉強はあまり得意な方ではなかったんですけど、不思議とその分野の勉強は苦ではなくて。

「ここまで好きなら、それを仕事にした方がいい」と思い、思い切ってメイクの業界へ転職しました。

メイクには、人を救えるだけの力がある。「希望や期待」を持って受講してくださる、全ての人のために

――独立までの経緯を教えてください。

白湯さん
今のようなメイクレクチャーの仕事をするようになったのは、メイクの業界に入って2社目の頃でした。

ただ当時はあくまで副業という形で、SNSなどでお声をかけていただいたお客さまにのみに教える、といった程度でした。

本格的に独立を考えたのは2021年の夏頃。

自分なりにだいぶ経験を積んできたので、思い切ってSNSでレクチャーを受けたい人を募集してみたんです。すると70人以上の応募が来てしまって。

――めちゃくちゃ需要があったんですね!

白湯さん
まさかこれだけ「メイクを教わりたい」と思っている人がいるだなんて、全然知らなかったんですよ。

特に人数制限なども設けず、募集を始めてしまったので「さぁ大変だ」と(笑)。

就業後の平日の夜や土日など、使える時間は全て使って、レクチャーを始めたんです。

ですが限られた時間の中で、それだけの人数のお客さまに対応しようとすると、どうしても“その場でメイクのやり方をただ教えるだけ”になってしまって……。

受講後のアフターフォローまでとなると、どう考えてもキャパシティを超えてしまいます。でもどうせお教えするなら、1人ひとりのお客さまにとって満足度の高いサービスを提供したいなと。

そう思って、独立することにしたんです。

――アフターフォローまで行うのは非常に大変だと思います。そこまで白湯さんが事業へ情熱を燃やす理由はなんでしょう?

白湯さん
繰り返しになりますが、やっぱり僕にとってメイクは希望だから、なんですよね。

昔から抱えていたコンプレックスを解決してくれたのも、メンタルが壊れてしまった時に救ってくれたのも、メイクでした。

大袈裟かもしれませんが、メイクには人を救えるほどの力があると思っています。

そして僕のところに来てくださる方も、大なり小なりメイクに対して「希望や期待」を持って受講してくださっています。

その「希望や期待」に少しでも応えるために、僕は持てる知識やスキルは全て投じていきたいんです。

メイクレクチャーを通して、前向きな気持ちで毎日を楽しく過ごすお手伝いができたら、とても嬉しいですね。

「周りから求められるもの」の中に、独立・起業のヒントが隠されているかもしれない

――白湯さんのこれからの展望を聞かせてください。

白湯さん
お客さまを、もっと前向きな気持ちにできるような要素を増やしていきたいですね。

前向きな気持ちになること、すなわち自己肯定感を高めると、やっぱり人生って楽しくなると思うんです。

もちろん今の僕には「メイク」というアプローチが一番向いていると思いますが、例えばファッションやヘアスタイルなど、メイク以外にも自己肯定感を高めていけるやり方は、まだまだたくさんあります。

メイクを1つの軸として据えながらも、新しいことにもどんどんチャレンジしていけたらいいですね。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いいたします。

白湯さん
「周りから求められているもの」をよく分析して、独立・起業をするとうまくいくんじゃないかなと思います。

ビジネスの基本はあくまで誰かにとって価値のあるもの(問題や悩みの解決など)を提供することです。

もちろん事業内容や業種・職種によっては、一概にそうとは言い切れないケースもあると思いますが、周りから頼られることやお願いされることの中に、案外、独立・起業のヒントが隠されているかもしれません。

もし独立に迷っている方はぜひ、人から頼られた経験やお願いされたことを、書き出して整理してみるところから、始めてみてはいかがでしょうか。

取材・文・撮影=内藤 祐介

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