「水曜どうでしょう」(北海道テレビ(HTB))のディレクター藤村忠寿さん・嬉野雅道さんに、前編では“自由な会社員生活”についてお伺いしました。
後編では、「水曜どうでしょう」制作以外の、いわゆる“副業”についてや仕事・会社との向き合い方、さらに、“どうでしょう藩士”(※)のみなさんが、首を長くして待っている「水曜どうでしょう」の新作について、お2人が今後やってみたいと思っていることなどもお話しいただきました。
前編はコチラ!
「水曜どうでしょう」藤村・嬉野Dがフリーより自由な会社員になれた理由_前編
大事なのは“好きなものがある”ということ
―前編では番組制作以外の“仕事”については、興味があることをやっているとお伺いしました。藤村さんのモルックも、仕事に繋がってますよね?
藤村さん)うん。同僚4人でチームを組んでるんで、8月にはポーランドまで行って、世界大会に出場するし。
最初はみんなね、「何をしてるんだ?」みたいな感じだったけど、ある程度、成績を残しちゃうと会社も世間もね、「モルックといえばHTBが一番真剣にやってる」みたいな感じになってね。こうなると、モルックの人気が出てきた時には、やっぱり一つのコンテンツになり得ますもんね。どうなるか分かんないにしても、日本のテレビ局の中ではHTBが一番モルックは放送しているっていうね。
嬉野さん)間違いないね。HTBで大会を主催したり、対談イベントをしたりしていますから。
藤村さん)「モルックHTB杯2025」のエントリー分も完売したし。
嬉野さん)結構な規模の大会になっちゃってねぇ。
藤村さん)我々のチームは人に言われなくても、全員が毎日モルックの練習をしていますからね。
嬉野さん)仕事終わった後に練習してるんですか?
藤村さん)そうそうそう。夜、仕事が終わった後、会社の会議室の椅子を全部どかして、4人で練習してるんです。
仕事だったら絶対にそんなこと、ないじゃないですか。だけど、好きで楽しいからやってるっていう。それが仕事になって。
嬉野さん)まあ、本来はきっと、何でも仕事にできちゃうってことなんですけどね。
好きなことがあるってことは、結構、大事なんですよね。
藤村さん)何かしなきゃじゃなくて、好きなことがある。興味を持ったものをできる場にするっていうことなのかな。常に新しいもの探してるわけではないし。
嬉野さん)僕らは、アンテナなんてない。
藤村さん)うん、全くない。アンテナも張り巡らせないし。
嬉野さん)だいたい人伝手。誰かが面白そうなことを教えてくれるんですよ。
藤村さん)嬉野さんが、インターネットでコーヒーを売り始めたのも、自分からじゃなくて、「会社の会議室でカフェをやろうっていう、嬉野さんのその“考え方”がいいから、嬉野珈琲店ってやってみたら?」っていう感じで、最初は豆一粒を500円ぐらいで売っていましたよね。
嬉野さん)そういうことをね、やろうっていう人がいてね。豆5粒が500円では売れないだろうって思ったけど、売れたりしたんですよ。
藤村さん)いい豆とかじゃなくて、“考えを売る”っていうんですよ。会社の会議室で一人でカフェをやるっていうことを考えた嬉野さんっていうことで、まず、嬉野珈琲店のロゴがあることが大事で、そこに豆をね、5、6粒入れときゃいいじゃないですかって言われてね。
イメージとしては、なんかステッカーの代わりみたいなもんだよ。
嬉野さん)嬉野珈琲店はアジアの何かの“思想”ですよね、とか言ってね。
私が会社でカフェをやってるくらいだから、「嬉野さんは相当コーヒーに興味があるんでしょう?」って周りが言い始めたんですよ。だったら嬉野さんが好きなコーヒーをね、作っている所があるから見に行きましょうって言われて。
藤村さん)嬉野さんね、最初は別にそんなに興味なかった。
嬉野さん)そう。「コーヒーなんか別にいいけどな」って思ってた(笑)。
藤村さん)でも、工場まで行ったり、産地に行ったりしてるうちにね、まあ面白くなっちゃうっていう感じだから、我々からは何もやらない。
嬉野さん)モルックだって、この人の発信じゃないはずですよ。ねぇ?
藤村さん)そうそうそうそう。
とにかくアンテナを張ってるっていう人から、紹介されてね。紹介した本人はもうやっていませんけどねぇ。多分、傍から見ると、会社の申請を通さないといけないとかそういう面倒なことがない我々は「ごちゃごちゃ言わないから、呼ぶ?」みたいな感じで、声も掛けやすいんでしょうね。声を掛けられて「とりあえず、チームを作ってみますわ」なんて返事でね、本当にチームを作っちゃったの。
我々からは能動的に動くことはほぼないですもん。でも、話が来たら断らない(笑)。
もちろん会社に申請も出さない、会社がごちゃごちゃ言ってもこない、ってなると、やっちゃうでしょ。
まあ、やってみないと分かんないですからね。
嬉野さん)あと、知らないことには興味を持ちたい、、みんなに伝えたいっていうのもありますからね。
顧客がいるから自分が興味を持ってやっていることも仕事になる
―好きでやられていることが結果として副業になっていて、オンとオフが一緒な感じですよね。