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「水曜どうでしょう」がヒットしたのは“楽しく仕事をする難しさ”を乗り越え、自分の欲求に素直にやってきたから。藤村・嬉野Dが語る仕事観_後編

生ボイス

「水曜どうでしょう」(北海道テレビ(HTB))のディレクター藤村忠寿さん・嬉野雅道さんに、前編では“自由な会社員生活”についてお伺いしました。

後編では、「水曜どうでしょう」制作以外の、いわゆる“副業”についてや仕事・会社との向き合い方、さらに、“どうでしょう藩士”(※)のみなさんが、首を長くして待っている「水曜どうでしょう」の新作について、お2人が今後やってみたいと思っていることなどもお話しいただきました。

前編はコチラ!
「水曜どうでしょう」藤村・嬉野Dがフリーより自由な会社員になれた理由_前編

<プロフィール>

藤村忠寿さん
北海道テレビ放送株式会社コンテンツ事業局クリエイティブフェロー ・「水曜どうでしょう」チーフディレクター(1965年生・愛知県出身)

北海道テレビ放送(HTB)の東京支社編成業務部、本社の制作部を経て、1996年にチーフディレクターとして「水曜どうでしょう」を立ち上げる。大泉洋主演ドラマ「歓喜の歌」、安田顕主演ドラマ「ミエルヒ」(ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、文化庁芸術祭賞 テレビ・ドラマ部門優秀賞)、HTB開局50周年ドラマ「チャンネルはそのまま!」(2019年日本民間放送連盟賞テレビ部門グランプリ)の演出などを手掛ける。役者としてドラマや舞台に立つほか、劇団“藤村源五郎一座”も旗揚げするなど幅広い活動を行う。著作は「けもの道」(KADOKAWA)、「笑ってる場合かヒゲ 水曜どうでしょう的思考」(朝日新聞出版)など多数。

嬉野雅道さん
番組ディレクター・「水曜どうでしょう」カメラ担当ディレクター(1959年生・佐賀県出身)

映像会社、フリーランスを経て1996年にエイチ・テー・ビー映像株式会社に入社。その半年後には「水曜どうでしょう」のカメラ担当ディレクターとなる。定年退職後も北海道テレビ放送(HTB)コンテンツ事業室に嘱託職として所属中。大泉洋主演ドラマ「歓喜の歌」ではプロデューサーを、安田顕主演ドラマ「ミエルヒ」(ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、文化庁芸術祭賞 テレビ・ドラマ部門優秀賞)では企画・プロデュースを務める。著書は「ひらあやまり」(角川文庫)、「ぬかよろこび」(KADOKAWA)、「思い出リゾート 【別冊】ロケの手応えゼロだった「水曜どうでしょう」の新作はなぜおもしろかったのか」(光文社)など多数。

お2人の公式ホームページはコチラ

大事なのは“好きなものがある”ということ

―前編では番組制作以外の“仕事”については、興味があることをやっているとお伺いしました。藤村さんのモルックも、仕事に繋がってますよね?

藤村さん)うん。同僚4人でチームを組んでるんで、8月にはポーランドまで行って、世界大会に出場するし。

最初はみんなね、「何をしてるんだ?」みたいな感じだったけど、ある程度、成績を残しちゃうと会社も世間もね、「モルックといえばHTBが一番真剣にやってる」みたいな感じになってね。こうなると、モルックの人気が出てきた時には、やっぱり一つのコンテンツになり得ますもんね。どうなるか分かんないにしても、日本のテレビ局の中ではHTBが一番モルックは放送しているっていうね。

嬉野さん)間違いないね。HTBで大会を主催したり、対談イベントをしたりしていますから。

藤村さん)「モルックHTB杯2025」のエントリー分も完売したし。

嬉野さん)
結構な規模の大会になっちゃってねぇ。

藤村さん)
我々のチームは人に言われなくても、全員が毎日モルックの練習をしていますからね。

嬉野さん)
仕事終わった後に練習してるんですか?

藤村さん)
そうそうそう。夜、仕事が終わった後、会社の会議室の椅子を全部どかして、4人で練習してるんです。

仕事だったら絶対にそんなこと、ないじゃないですか。だけど、好きで楽しいからやってるっていう。それが仕事になって。

嬉野さん)
まあ、本来はきっと、何でも仕事にできちゃうってことなんですけどね。
好きなことがあるってことは、結構、大事なんですよね。

藤村さん)
何かしなきゃじゃなくて、好きなことがある。興味を持ったものをできる場にするっていうことなのかな。常に新しいもの探してるわけではないし。

嬉野さん)
僕らは、アンテナなんてない。

藤村さん)
うん、全くない。アンテナも張り巡らせないし。

嬉野さん)だいたい人伝手。誰かが面白そうなことを教えてくれるんですよ。

藤村さん)嬉野さんが、インターネットでコーヒーを売り始めたのも、自分からじゃなくて、「会社の会議室でカフェをやろうっていう、嬉野さんのその“考え方”がいいから、嬉野珈琲店ってやってみたら?」っていう感じで、最初は豆一粒を500円ぐらいで売っていましたよね。

嬉野さん)
そういうことをね、やろうっていう人がいてね。豆5粒が500円では売れないだろうって思ったけど、売れたりしたんですよ。

藤村さん)
いい豆とかじゃなくて、“考えを売る”っていうんですよ。会社の会議室で一人でカフェをやるっていうことを考えた嬉野さんっていうことで、まず、嬉野珈琲店のロゴがあることが大事で、そこに豆をね、5、6粒入れときゃいいじゃないですかって言われてね。

イメージとしては、なんかステッカーの代わりみたいなもんだよ。

嬉野さん)
嬉野珈琲店はアジアの何かの“思想”ですよね、とか言ってね。

私が会社でカフェをやってるくらいだから、「嬉野さんは相当コーヒーに興味があるんでしょう?」って周りが言い始めたんですよ。だったら嬉野さんが好きなコーヒーをね、作っている所があるから見に行きましょうって言われて。

藤村さん)
嬉野さんね、最初は別にそんなに興味なかった。

嬉野さん)
そう。「コーヒーなんか別にいいけどな」って思ってた(笑)。

藤村さん)
でも、工場まで行ったり、産地に行ったりしてるうちにね、まあ面白くなっちゃうっていう感じだから、我々からは何もやらない。

嬉野さん)
モルックだって、この人の発信じゃないはずですよ。ねぇ?

藤村さん)
そうそうそうそう。

とにかくアンテナを張ってるっていう人から、紹介されてね。紹介した本人はもうやっていませんけどねぇ。多分、傍から見ると、会社の申請を通さないといけないとかそういう面倒なことがない我々は「ごちゃごちゃ言わないから、呼ぶ?」みたいな感じで、声も掛けやすいんでしょうね。声を掛けられて「とりあえず、チームを作ってみますわ」なんて返事でね、本当にチームを作っちゃったの。

我々からは能動的に動くことはほぼないですもん。でも、話が来たら断らない(笑)。

もちろん会社に申請も出さない、会社がごちゃごちゃ言ってもこない、ってなると、やっちゃうでしょ。

まあ、やってみないと分かんないですからね。

嬉野さん)
あと、知らないことには興味を持ちたい、、みんなに伝えたいっていうのもありますからね。

顧客がいるから自分が興味を持ってやっていることも仕事になる

―好きでやられていることが結果として副業になっていて、オンとオフが一緒な感じですよね。

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