「人生100時代」と称されるように、日本における平均寿命は世界でもトップレベルといわれています。長生きの時代を生きる私たちにとって、老後の生活に向けた資金準備はとても大きな課題です。安心して老後生活を送るためにも、計画的に必要な資金を準備していかなければなりません。
そこで、本記事では、老後の生活費や生活費以外に必要となる金額の目安を詳しく解説します。老後資金の準備のために今からできることや老後資金に関するよくある質問についてもわかりやすく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
老後の生活に対する不安とは
老後の生活に対する関心が高まるなか、さまざまな不安や心配事が考えられます。
生活保険文化センターが2022年に実施した「生活保障に関する調査」によると、将来の老後生活に「不安感あり」と回答した人の割合は「82.2」%と、全体の8割以上の人たちが老後生活に対して何かしらの不安や心配事を抱えていることがわかりました。そのうち、17.5%もの人たちは「非常に不安を感じる」と回答しています。
参照:公益財団法人|生活保険文化センター:リスクに備えるための生活設計
ここでは、老後の生活に対して感じる代表的な不安要素を詳しく解説しましょう。
不安その1|年金受給までの空白期間をどのように過ごすのか
会社員のような厚生年金の加入者で、60歳で定年退職を予定している人は、老齢基礎年金を受給できる65歳までの約5年間にわたり、収入の「空白期間」が生じます。
公的年金の支給年齢は、2013年より段階的に引き上げられており、2030年度には男女ともに65歳までに引き上げられると公表されています。
近い将来には、受給開始年齢のさらなる引き上げも懸念されています。現在の職場で60歳以降も働き続けることが難しい場合や再就職する予定がない場合は、どのように生活資金を捻出するかが大きな課題となるでしょう。
不安その2|定年退職後に年金だけで安心して生活できるのか
定年退職後に、年金だけで安心した老後生活を送れるのかと不安を感じている人も少なくありません。実際、年金のみでは生活費が不足することが多く、計画的に老後資金を準備する必要があります。
2019年に金融庁による報告書によると、老後20〜30年間で年金以外に1,300〜2,000万円程度の自己資金が必要だという試算を公表しました。この試算を元に物議を醸した「老後2,000万円問題」も記憶に新しいでしょう。
老後2,000万円問題とは、高齢夫婦無職の平均的な世帯で見た際に、毎月の赤字額は約5万円となり、老後20年で約1,300万円、30年で約2,000万の資産の取り崩しが必要となるというものです。
人によって、経済状況や年金受給額は大きく異なるものの、年金受給までの空白期間と併せて、年金受給開始後の生活における資金をシミュレーションすることが重要です。
「老後資金は必要ない」はウソ?老後資金が必要な理由
老後2,000万円問題があるものの、試算された金額より毎月の支出が少なければ、2,000万円もの大金を準備する必要はありません。しかし、「老後資金の備えは不要」という意見を鵜呑みにするのは大変危険です。
老後資金が必要とされる主な理由は、次のとおりです。
それぞれの内容を詳しく解説します。
平均寿命が伸びている
老後2,000万円問題は、65歳以降に30年生きるという前提のもと算出された金額です。しかし、厚生労働省が公表した令和5年簡易生命表の概況によると、男性の平均寿命は「81.09年」、女性の平均寿命は「87.14年」となり、年々平均余命が上回っているとわかります。
平均寿命から考えるなら、65歳以降30年分も老後資金を用意する必要はないかもしれません。仮に、65歳で定年を迎えて平均寿命まで生きる場合、老後生活は17〜23年です。
平均寿命だけを考慮すると、30年分もの老後資金を工面する必要はないと考える人もいるでしょう。しかし、平均寿命は年々着実に伸び続けており、令和6年1月時点で100歳以上の高齢者は91,000人を超えています。
これから老後生活を送る世代は、現在の平均寿命よりも長生きする前提で老後に向けて備える必要があります。
参照:厚生労働省|令和5年簡易生命表の概況
参照:総務省|住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数 (令和6年1月1日現在)
年金自体がもともと少ない
老後生活を迎える人の多くは、老後の勤労収入がなくなります。65歳以降に支給される公的年金を元に生活していこうと考える人も少なくなりでしょう。
しかし、厚生労働省が公表する令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、民間企業に勤務している人の平均年金月額は14万4,982円です。また、自営業者の場合は、5万6,428円で、厚生年金に加入されている人の半分以下の支給額であるとわかります。
年金生活になったからといって、急に生活水準を下げるのは難しいと感じる人も少なくありません。現役世代のときのような生活を続けるためには、年金以外にも十分な老後資金を用意しておく必要があります。
さらに、深刻な少子高齢化が進んでいることを理由に、年金の財源を確保できず、将来的に年金の受給額が減額されるリスクも高まります。現在の年金が今の水準よりも減額されてしまうと、老後資金が不足してしまうでしょう。
参照:厚生労働省|令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
退職金も減額傾向にある
厚生労働省が発表された令和5年就労条件総合調査 結果の概況によると、企業が支給する退職金の額は、年々減少傾向にあります。
「大卒以上」「管理・事務・技術職」「勤続20年以上」「45歳以上」の条件を満たす退職者に対する退職金の平均支給額は、以下の通りです。
退職理由 | 平成30年 | 令和5年 |
定年 | 1,983万円 | 1,896万円 |
会社都合 | 2,156万円 | 1,738万円 |
自己都合 | 1,519万円 | 1,441万円 |
早期優遇 | 2,326万円 | 2,266万円 |
企業型確定拠出年金が普及したことや、昔よりも転職や再就職が一般化したことによる「雇用の流動化」などを理由に、退職金を前払いする企業が増えたことも影響しています。
今後も退職金の支給額が減少する恐れがあることも踏まえたうえで、退職後の生活費を準備しなければなりません。
長生きする分生活費・介護費が必要になる
老後2,000万円問題では、老後の期間を30年と見積もり計算をしています。しかし、今後平均寿命が延びると、老後期間がさらに長くなる可能性もあるでしょう。毎月赤字の状態が続くようであれば、長生きする分の生活費を捻出できない恐れもあります。
さらに、将来的に介護が必要となった場合、生活費に加えて介護費を捻出しなければならない点も大きな不安要素です。介護保険は適用となるケースもあるものの、すべての費用を保険内でカバーできるわけではありません。
生命保険文化センターが2021年に発表した2021(令和3)年度 生命保険に関する 全国実態調査によると、介護費用がかかる人の月々の自己負担額は、平均で8万3,000円であるとわかります。さらに、同調査によると、介護期間の平均期間は61.1ヵ月でした。
長期間にわたって介護費用が必要となるケースも踏まえて、十分な老後資金を備えておく必要があるでしょう。
参照:公益財団法人 生命保険文化センター|2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
さらなる物価上昇の恐れがある
インフレや物価上昇リスクに備え、今後はより多くの老後資金が必要になると考えられます。年金額が変わらずに物価だけが上昇すると、老後生活が苦しくなる事態を避けられません。
今後の物価上昇に備えようとすれば、老後2,000万円問題で指摘されていた額よりも、はるかに高い老後資金が必要になることも考えられます。
老後生活のために必要な資金額の目安は?
老後生活において毎月かかる生活費は、はたしていくらくらいなのでしょうか?
総務省の統計局が2022年に公表した家計調査年報(家計収支編)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯と単身無職世帯の生活費の目安は、以下の通りです。
65歳以上の夫婦のみの 無職世帯 | 65歳以上の 単身無職世帯 | |
食料 | 6万7,776円 | 3万7,485円 |
住居 | 1万5,578円 | 1万2,746円 |
光熱・水道 | 2万2,611円 | 1万4,704円 |
家具・家事用品 | 1万0,371円 | 5,956円 |
衣類 | 5,003円 | 3,150円 |
保健医療 | 1万5,681円 | 8,128円 |
交通・通信 | 2万8,878円 | 1万4,625円 |
教育 | 3円 | 0円 |
教養娯楽 | 2万1,365円 | 1万4,473円 |
その他(諸雑費・交際費・仕送り金) | 4万9,430円 | 3万1,872円 |
消費支出合計 | 23万6,696円 | 14万3,139円 |
参照:統計局|家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
ここでは、それぞれの世帯において必要な老後資金について詳しく紹介します。
60代夫婦に必要な老後資金
65歳以上の夫婦のみの無職世帯の収入と支出は、以下の通りです。
統計局が発表した家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要によると、税金や社会保険料、固定資産税・都市計画税、そして自動車税などを差し引いた「可処分所得」が、20万5,911円であることを踏まえると、3万785円の赤字となります。
つまり、月々26〜28万円程度の生活費を見込んでおくと安心できるでしょう。
ただし、生命保険文化センターの調査結果によると、夫婦でゆとりのある生活を送りたい場合は、ひと月あたり37万9,000円の収入が必要であるとされています。生活水準を下げずに娯楽費や介護費などに備えたい場合は、公的年金以外の老後資金を準備しておく必要があるといえるでしょう。
参照:統計局|家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
老後60代一人暮らしに必要な老後資金
65歳以上の一人暮らし世帯の収入と支出は、以下の通りです。
つまり、月々2万65円のマイナスであり、15〜16万円程度の生活費を見込んでおくのがおすすめです。
年金受給額は個人差が大きく、支出額も世帯によって異なります。ただし、公的年金の受給額のみで生活を支えるのは難しいケースが多く、自己資金を切り崩して生活するように考慮しなければなりません。
参照:統計局|家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
生活費以外にかかる費用
老後にかかる消費支出は、単身者の場合でおよそ14万3,000円、夫婦の場合で、およそ23万6,000円であるとわかりました。しかし、これらの金額には生活費以外にかかるお金が含まれていないケースもあります。
ここでは、老後の生活において生活費以外に発生する費用を解説します。
手術や入院、通院などの医療費
年をとるにつれて、病気やケガをするリスクは高まります。一度入院をしてしまうと、体力や免疫機能が衰えやすくなり、健康な状態に回復するまでに長い期間が必要となるケースも少なくありません。
治療費や入院費、場合によっては手術費も工面する必要があります。特に、入院費や手術費は高額となる場合が、自己負担しなければならない費用も増えるでしょう。
介護や施設に入った場合の費用
老後は、身体的な衰えから、介護が必要となるケースも少なくありません。要介護状態となり、介護施設を利用したり、入居したりする場合は、入居費用や食費などが発生します。
生命保険文化センターが発表した2021(令和3)年度 生命保険に関する 全国実態調査によると、過去3年間に介護経験のある人の月々の介護費用は平均で8万3000円、住宅改造や介護用ベッドの購入費のように一時的に必要となった介護費用の合計は平均74万です。
介護保険サービス利用時の自己負担は1割、または所得に応じて2〜3割に抑えられていますが、要介護や要支援状態によって限度額が設定されているため、注意が必要です。介護が必要になった場合の備えについても考えておきましょう。
参照:公益財団法人 生命保険文化センター:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
自宅のリフォームや修繕費
持ち家で生活を送る場合は、老後にかかる住居費を工面したり、老後に住む場所を心配したりする必要はないものの、必要に応じてリフォームや修繕費がかかります。なかでも、室内の段差をなくしたり、手すりを設置したりなど、老後の生活を踏まえてバリアフリー化を検討する人も少なくないでしょう。
さらに、老朽化した箇所に対する修理・修繕にかかる費用も確保しなければなりません。
住宅リフォーム推進協議会が2023年に発表した2023年度 住宅リフォームに関する 消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書によると、50歳以上の世帯主がリフォームをして最終的にかかった費用の平均総額は、282万円でした。
リフォームにかかる費用は、住居の規模や劣化状況によっても大きく異なるものの、大掛かりなリフォームやリノベーションを検討する場合は、数百万円単位で費用がかかると覚えておきましょう。
参照:住宅リフォーム推進協議会|2023年度 住宅リフォームに関する 消費者(検討者・実施者)実態調査結果報告書
葬儀やお墓の費用
高齢になればなるほど、病気やケガの程度によっては死亡するリスクも高まります。
一般葬を行う場合の費用相場は100〜200万円程度です。近年は、家族葬のように簡素な内容で済ませる傾向にあるものの、それでも数十万円程度の費用がかかります。
お墓については、先祖代々受け継ぐ場合や共同墓地に入る場合などで費用は異なりますが、新たにお墓を建てる費用は、100〜150万円程度です。
亡くなってから親族たちが資金の工面で困らないように、早いタイミングで話し合いの機会を持ちましょう。
高齢者世代の平均貯蓄額は
公的年金では老後の生活に不安があると理解できたところで、高齢者世代の平均貯蓄額についてみていきましょう。
厚生労働省が2023年に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると、世代別の貯蓄と負債現在高は、次の通りです。
貯蓄額平均 | 負債額平均 | |
40代未満 | 782万円 | 1,757万円 |
40代 | 1,208万円 | 1,388万円 |
50代 | 1,705万円 | 715万円 |
60代 | 2,432万円 | 201万円 |
70代 | 2,503万円 | 78万円 |
参照:総務省|家計調査報告(貯蓄・負債編) -2023年(令和5年)平均結果- )(二人以上の世帯)
同調査の結果をみると、他の世代に比べて高齢者世代の貯蓄額は最も高いことがわかります。しかし、厚生労働省が2023年に発表した「国民生活基礎調査の概況」によると、「生活が苦しい」と感じる高齢者世帯の割合は26.4%、「やや苦しい」と感じる高齢者世帯の割合は、32.6%と全体の半数以上が生活苦を感じているようです。
日常生活にかかる支出が、高齢者の生活に大きなダメージを与えており、今後さらなる経済状況の圧迫が懸念されています。
老後資金準備のためにできること
生命保険文化センターの調査によると、老後資金を切り崩し始める平均年齢は、66.8歳ともいわれています。人生100年時代に備えるためにも、退職後20〜30年程度の年数分の老後資金を準備する必要があります。
ここでは、老後資金の不足に向けて、今から準備できる対策法を解説しましょう。
参照:公益財団法人|生命保健文化センター:「老後」とはいつから?
家計を見直して支出を減らす
手軽にできる老後資金の対策としておすすめなのが、家計を見直し、支出を減らすというものです。
まずは、支出の内訳を分析し、食費や通信費、光熱費や生命保険料などの固定を見直すことから始めてみましょう。さらに、交際費や外食費、レジャーにかかるお金などの変動費も見直して、無駄な支出を極力省いてください。
収入の一部を預貯金として金融機関に預けてしまい、将来に向けて老後資金の準備を進めていくのも選択肢の一つです。貯蓄は、投資のように元本割れをするリスクはないものの、利回りが大きく増えることは期待できません。貯蓄だけでなく、その他の方法でも老後資産を形成するように検討しましょう。
60歳以降も長く働く
社会情勢の変化や慢性的な人手不足などによって、従来のように特定の企業において定年まで勤め上げて、退職後は年金暮らしをするといった考えが通用できなくなりつつあります。
しかし、60歳以降も働いて勤労収入を得られれば、必要な老後資金も少なく済みます。金銭的な不安解消だけでなく、社会との関わり合いを持ちながら、健康的な生活を送れるという点も大きなメリットです。さらに、60歳以降も働き、厚生年金に長期間加入すれば、将来受け取る年金額を増やすこともできます。
定年や終身雇用という固定観念から脱却することも、老後の資産形成をするうえで重要なポイントといえるでしょう。
公的年金以外の老後の収入を準備する
公的年金以外の収入を準備する方法として、次のような保険商品もあります。
個人年金保険では、契約時に定めた年齢から年金を受給できる保険です。年金を受給できる期間や一括・分割など受け取る方法もさまざまです。
終身保険とは、死亡保障や高度障害保障がされる保険商品です。解約しない限り、保証は一生涯継続し、解約する際も解約一時金が支払われるものも多いため、貯蓄性を兼ね備えた保険商品といえるでしょう。
公的年金で不足する分を補う手段としておすすめです。
資産運用によって老後資金を準備する
所有する財産や資産を運用して、老後資金を増やす方法も検討しましょう。代表的なものとして、以下の資産運用が挙げられます。
上記のなかでも、投資初心者の人におすすめなのが投資信託です。
投資信託とは、投資の専門家が、株式や再建、不動産のようなさまざまな投資先に分散投資をして運用する投資方法のことです。低金利であることや税制面での優遇があるなどのメリットをはじめ、豊富な知識や経験をもった専門家が投資者の代わりにリスク分散をして運用してくれる点もうれしいポイントです。
ここでは、投資したくのなかでも、近年注目される「つみたてNISA」と「iDeCo」について詳しく解説します。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、少額から長期・積立・分散投資ができる非課税制度のことです。投資初心者でも挑戦しやすく、コツコツと資産形成できます。2024年に制度が変更され、より利用しやすい投資方法として話題となっています。
つみたてNISAの特徴は、次の3つが挙げられます。
つみたてNISAは、月々5,000円や1万円のように任意の金額を積み立てられるため、少ない負担で継続できるのが大きなメリットです。18歳から口座開設できるため、長期的に運用できます。積み立てのみで運用できるため、運用に手間がかからないのもうれしいポイントといえるでしょう。
参考【新NISA】つみたて投資枠の活用法を、やさしいお金の専門家・横川楓さんが解説!
iDeCo
iDecoとは、公的年金とは別に給付を受けられる私的な年金制度の一つで、別名「個人型確定拠出年金」とも呼ばれています。
iDeCoの特徴は、次の通りです。
「定額」「月ごとに掛金額を設定」など、加入者のペースによって拠出方法や金額を選択できます。運用商品は加入者自身で選択できるものの、掛け金の元本割れのリスクもあるため注意が必要です。
最初に掛金拠出をしたタイミングから10年を経過していれば、60歳から老齢給付金を受け取れます。75歳まで運用を継続できるのも大きな特徴です。
参考“もう1つの年金”・iDeCoについて、やさしいお金の専門家・横川楓先生が解説!
退職金を老後資金として活用する
老後資金を退職金でまかなおうと考える人も少なくないでしょう。退職金を老後資金として活用する場合は、毎年どの程度切り崩していくかをあらかじめシミュレーションしておくことが大切です。
ただ、退職金を切り崩すのではなく、資産運用する方法も検討をして、大切な老後資金を最大限増やすように努力していきましょう。
老後資金に関するよくある悩み
ここでは、老後資金にまつわるよくある質問や悩みについて詳しくみていきましょう。
Q.1 持ち家ではなく賃貸に住み続ける予定だが、将来の資金不足が不安です。
最近では、持ち家志向の人は減少傾向にあるものの、老後に賃貸物件に住み続けることは、生活費に加えて賃料が発生します。毎月の固定費が高くなることで、家計を大きく圧迫する原因となりかねません。
入居を予定するエリアの賃貸物件の賃料相場や高齢者施設の入居費用相場などをリサーチして、具体的にかかる費用をシミュレーションしてみましょう。そのうえで必要な資金額に応じた老後資金を準備していきましょう。
Q.2 退職金をもらえないが、老後資金の必要額はどの程度変わる?
勤務先に退職金制度がない場合や自営業などで退職金がもらえない場合などは、まとまった老後資金を準備しておく必要があります。
退職金の額は、勤務先や勤続年数、退職理由によって大きく変動するものの、1,400〜2,000万円程度です。つまり、退職金がない人は、それと同額程度の自己資金を準備する、もしくは定年退職後も働き続けるなどの対策を講じなければなりません。
老後生活において、どの程度の支出があるのかをシミュレーションし、公的年金の受給額に加えてどの程度の資金を用意すべきかを確認しておきましょう。
Q.3 貯金が苦手です。上手に老後資金を作る方法が知りたいです。
貯金が苦手で、十分な資産を形成できないとお悩みの人もいるでしょう。そのような場合は、個人年金保険や終身保険、さらにつみたてNISAやiDeCoのような投資信託などを活用するのがおすすめです。
毎月、口座やクレジットカードからお金が引き落とされるため、強制的に老後資金を準備できるでしょう。
まとめ
公的年金だけに頼っていては、毎月赤字が発生してしまう恐れがあります。充実した老後生活を送るためにも、老後生活を安心して過ごすためにも、なるべく早いタイミングで老後資金の準備に取り組んでください。
老後の生活資金に不安や心配ごとがあるひとは、銀行や証券会社、保険会社の相談窓口やファイナンシャルプランナーなどのプロへの相談も検討してみましょう。