「保険代理店として独立したいけれど、何から始めればいいかわからない…」
本記事ではそんな悩みを持つ方のために、保険代理店として独立するための準備について徹底的に解説します。
これから保険代理店としての独立を考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
保険代理店で独立するには
保険代理店とは、特定の保険会社に所属せず、独立した立場で顧客に最適な保険商品を提案・販売する事業です。個人事業主または法人として開業し、保険会社と代理店契約を結ぶことで、その会社の商品を取り扱えるようになります。
こちらではまず「保険代理店の仕事内容・平均年収」から解説していきます。
保険代理店の仕事内容
保険代理店を個人で経営するときの主な仕事内容は、以下のような業務です。
保険代理店としての法人化や、スタッフを雇って保険代理店を運営する場合には、これらの業務に加えて会社経営に関する業務もおこなわなくてはなりません。
保険代理店の平均年収
保険代理店を個人事業主として開業した場合の平均年収は約500万円~600万円といわれています。
年収に影響を与えるといわれる要素は以下のとおりです。
生命保険、損害保険、介護保険など、販売する保険の種類によって収入は大きく変わります。
他にも顧客層(企業向けか個人向けか)や資格の有無、経験年数によって、年収には幅が発生します。
500万~600万はあくまで参考値なので、条件によってはさらに上が目指せる業種だと考えてよいかもしれません。
保険代理店で独立するために必要な準備
独立・開業を成功させるには、入念な準備が欠かせません。
こちらでは、事業形態の選択から資格取得、資金計画まで、事前に押さえるべきポイントについて解説します。
保険を販売できる3つの形態
そもそも保険の販売には「直販型」「専属型」「総合型」の3つの形態があります。
3つの形態のうち、個人やフランチャイズで開業できるのは「専属型」と「総合型」のどちらかとなります。
扱える保険の種類
保険業法では、保険を大きく3つの分野に分けています。
第一分野の保険(生命保険固有分野)
生命保険会社のみが引き受けられる、人の生存または死亡に関してあらかじめ約定された金額を支払う保険
第二分野の保険(損害保険固有分野)
損害保険会社のみが引き受けられる、一定の偶然な事故によって生じた損害額に応じて保険金を支払う保険
第三分野の保険(どちらともいえない分野)
生命保険会社、損害保険会社の双方で取り扱える「傷害保険」や「医療保険」などの保険
代理店はこれらの保険を全て取り扱えますが、生命保険と損害保険の両方を一人の募集人が同時に登録して販売することは原則としてできません。
どの分野を主軸にするか、事前に方向性を定める必要があります。
保険代理店を開業するのに必要な資格・申請
保険を販売するには、公的な資格を取得したうえで、金融庁への登録が必須となります。
こちらでは、必要な資格と申請の内容を解説します。
「募集人資格」の取得
保険を販売するには、まず「募集人資格」の取得が必要になります。
保険業法で定められた生命保険協会の「一般課程試験」に合格した後、金融監督庁長官に登録申請をおこない、受理と登録が済めば「保険募集人」の資格が取得できます。
ここからさらに複数の保険商品を扱いたい場合は、「専門課程試験」や「変額保険販売試験」に合格しなくてはいけません。
試験について詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。
保険代理店資格の取得
次に取得しなくてはいけないのが、保険代理店資格です。
「生命保険代理店」と「損害保険代理店」のどちらになりたいのかによって必要資格が異なります。
生命保険代理店
業界共通教育の一般課程試験への合格
損害保険代理店
保険会社が実施する所定の教育を受けて「保険募集に関する法令や保険契約に関する知識」を習得し、損害保険会社と代理店委託契約を締結して内閣総理大臣の登録を受ける
保険代理店の初期費用/ランニングコスト
保険代理店の開業資金は、一般的に800万円ほどと言われています。
内訳は以下の通りです。
このほか、月々のランニングコストとして「ロイヤリティ(フランチャイズの場合)」「人件費」「賃貸料」「水道光熱費」「消耗品費・雑費」「広告宣伝費」などがかかります。
保険代理店として独立・開業するまでの6ステップ
こちらでは、保険代理店として独立するまでの具体的な手順を6つのステップで解説します。
事業計画の策定
まず、事業の設計図となる事業計画を策定します。
「どのような顧客(企業or個人)に」「どのような保険を」「どのように提供して」「どれくらいの収益を目指すのか」を具体的に言語化しましょう。
この計画が、今後のあらゆる意思決定の軸となります。
開業形態の選択(個人事業主 or 法人)
独立には「個人事業主」として始める方法と、「法人(株式会社など)」を設立する方法があります。
最初は手続きが簡単で税負担も軽い個人事業主からスタートし、売上が安定してきた段階で法人化(法人成り)を検討するのが一般的です。
代理店契約を結ぶ保険会社の選定
事業計画に基づき、パートナーとなる保険会社を選定します。一社専属か、複数の会社を扱う乗合代理店を目指すのかを決めましょう。
各社の理念や商品ラインナップ、手数料率、研修・サポート体制を比較検討し、自身の戦略に最も合う会社を選びます。
資格取得と代理店登録
保険会社が決まったら、前述の「生命保険募集人」または「損害保険募集人」の資格試験を受験しましょう。
合格して金融庁への代理店登録をおこなえば、正式に保険を販売できる資格が得られます。
開業資金の調達と事務所の準備
事業計画で算出した初期費用と、当面の運転資金・生活費を準備します。
自己資金で不足する場合は、日本政策金融公庫の創業融資などを検討しましょう。並行して、事業をおこなう事務所(自宅または賃貸物件)や、PC、プリンターなどの備品を整えます。
税務署への開業届の提出
事業を開始したら、管轄の税務署に「開業届」を提出します。
これにより、正式に個人事業主として認められます。節税効果の高い「青色申告承認申請書」も同時に提出するのがおすすめです。
保険代理店として独立するメリット・デメリット
保険代理店としての独立は、大きなメリットがある一方でデメリットもあります。ここでは、保険代理店として独立するメリット・デメリットを紹介します。
保険代理店として独立するメリット
自由度の高い働き方
独立すれば、働く時間や場所、休日、営業スタイルまでをすべてを自分で決められます。
ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能になるので、プライベートの予定と調整しながら高収入が狙えます。
顧客本位の提案ができる(乗合代理店の場合)
乗合代理店の場合、複数の保険商品を組み合わせ、顧客一人ひとりのニーズに最適なオーダーメイドの保険プランを提案できます。
これにより顧客本位の提案がおこなえるので、顧客満足度は自然と上がっていくでしょう。
保険代理店として独立するデメリット
独立するための資金的なリスク
開業当初は顧客が少なく、収入が安定しない時期が続く可能性があります。
成果が出なければ、収入ゼロも覚悟しなければなりません。
経営管理の負担
独立すると、これまでは他の部署に任せていた「会計」「税務」「法務」「人事労務」など、あらゆる経営管理の責任を負うことになります。
顧問税理士や社労士などの専門家に依頼する方法もありますが、その分費用がかかるため、固定費が増加するので注意しましょう。
継続的な学習が必要
保険商品や法律、税制は常に変化します。
顧客の信頼に応え続けるためには、最新情報を常に学び、知識をアップデートし続ける必要があります。
保険代理店の独立で失敗しない「注意点」
保険代理店の生命線は「顧客からの信頼」です。
信頼を守り抜くために、以下の3点を徹底しましょう。
関連法案や社会情勢など、自主的に勉強し続ける
保険の内容や支払方法は、法律の改正などにより変わるケースが少なくありません。
自主的に関連法案や社会情勢などについては、常に最新情報をキャッチアップしておきましょう。
顧客に手間をかけない対応を心掛ける
お客様に手間をかけさせないことは、保険代理店に求められる最重要項目の1つでもあります。
複雑な手続きの代行、わかりやすい言葉での説明など、常にお客様の視点に立った対応を徹底しましょう。
常に連絡を取れる体制を作っておく
お客様にとって、すぐに連絡がつかないことは不安や信頼感の低下につながります。
急な連絡にも対応できるよう、常に連絡が取れる体制を整えておきましょう。
保険代理店として独立した後の集客のコツ
独立後の最大の課題は、いかにして見込み顧客を見つけるかです。
廃業の多くは集客の失敗が原因なので、開業前から具体的な戦略を立てておく必要があります。
人脈(知人・前職)へのアプローチ
最初の顧客となる可能性が高いのが、友人や知人、前職の同僚や取引先です。
まずは独立したことを相手に伝え、保険に関する悩みがないかのヒアリングから始めましょう。
ただし、人脈頼りの経営は長続きしないため、あくまでスタートダッシュだと考えるとよいかもしれません。
紹介(リファラル)の仕組み化
既存顧客から新たな顧客を紹介してもらう「紹介(リファラル)」は、最も成約率の高い集客方法です。
満足度の高いサービスを提供することはもちろん、「ご紹介カード」を用意したり、紹介してくれた方への特典を設けたりと、顧客が自然と紹介したくなる仕組みを作りましょう。
WebサイトやSNSを活用した情報発信
ブログやSNSで保険に関する専門知識や役立つ情報を継続的に発信すると、専門家としての信頼性を高められます。
「保険のプロ」として認知されれば、Web経由での相談依頼につながるでしょう。
Webサイトでのコラムの執筆、記事の監修などは積極的におこないましょう。
交流会や地域コミュニティへの参加
地域の商工会議所や経営者が集まる交流会、地域のイベントなどに積極的に参加し、人脈を広げることも集客につながります。
すぐに契約に結びつかなくても、存在を知ってもらうことが将来の顧客獲得につながるでしょう。
保険代理店はフランチャイズでの開業も選択肢のひとつ
保険代理店は個人での開業も可能ですが、フランチャイズとして独立する方法もあります。
フランチャイズのメリット
フランチャイズのデメリット
フランチャイズ・代理店加盟で開業できる保険代理店一覧
こちらでは、保険代理店として加盟できる代理店を2つ紹介します。
気になるものがあれば、ぜひ参考してみてください。
【代理店】楽天生命保険
楽天生命保険は楽天ポイント付与や楽天グループ商材の活用があり、比較的提案しやすい商品の取り扱いが特徴です。
Web受講も可能な研修で保険の知識や販売ノウハウを取得でき、営業拠点や先輩代理店による支援があるので、未経験者でも安心です。
詳細はこちら:代理店募集|楽天生命
【代理店】アフラック生命保険
アフラック生命保険は、自宅でPC1つで開業資金がなくても開業できる代理店です。販売契約に応じてロイヤリティを支払うため、赤字になるリスクが低いとされています。
講習や研修会も充実しているので、未経験の方でも安心して保険代理店として経営ができるでしょう。
営業スケジュールはフランチャイズにしては珍しく自分で調整できるため、生活スタイルに合わせてコントロールできます。
詳細はこちら:アフラックで見つける新しいしごと|Aflac
保険代理店の独立に関するよくある質問
Q:保険代理店は自宅でも開業できるの?
A:はい、可能です。
ただし、顧客の個人情報保護のため「生活スペースと執務スペースを明確に分ける」「施錠できる書類保管庫を設置する」などのセキュリティ対策が必須です。
また、賃貸物件の場合は事業利用が可能か規約を必ず確認してください。
Q:保険代理店にはノルマはあるの?
A:所属する保険代理店や契約形態によって異なります。
保険代理店を個人事業主として開業した場合、必ずしもノルマがあるわけではありません。
ノルマの有無は、所属する保険代理店や契約形態によって異なります。
Q:保険代理店が儲かる仕組みは?
A:主な収入源は、保険契約が成立した際に保険会社から支払われる「販売手数料」です。
一部、富裕層向けに有料のコンサルティングを提供するケースもあります。
Q:加盟する保険代理店の選び方を知りたい
A:以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
まとめ
保険代理店としての独立は、働き方の自由度と高い収益性を両立できる魅力的なキャリアです。
しかし、その裏には経営者としての重い責任と、成果が出なければ収入が途絶えるという厳しさも存在します。
独立を目指している方は、本記事で紹介したメリット・デメリットを十分に吟味したうえで判断するようにしましょう。
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<文/ちはる>