軽貨物運送とは、軽トラックや軽自動車のワンボックスなどで荷物を運ぶ仕事です。軽貨物運送の業界では古くから続く組合や、業界に新規参入した大企業のフランチャイズ加盟募集も多く、未経験でも参入しやすいといえます。そこで今回は、フランチャイズの中でも軽貨物運送を選ぶメリット・デメリット、おすすめのフランチャイズチェーンを紹介します。
軽貨物運送のフランチャイズでの独立・開業とは
軽貨物運送とは、貨物運搬用の軽自動車を使って荷物の運送・配送をすることです。フランチャイズとは、既存の企業に加盟し、個人事業主・法人として事業を行うことです。簡単にいえば、「宅配業を営む企業と提携し、その企業の看板を背負って独立する」のが、軽貨物運送のフランチャイズといえます。
貨物運搬用の自動車については、国土交通省が次のように定義しています。
- 車体の後ろ、もしくは側面の開口部が縦600mm×横800mm以上
- 開口部垂直面の投影面積が0.48平方メートル以上
- 前席を除く、荷物を置けるスペースの床面積が0.6平方メートル以上 など
これらの条件を満たした「軽トラック」や「軽自動車のワンボックスカー」を用意し、運輸支局に届け出をすると、ナンバープレートが黒字のいわゆる「黒ナンバー」が取得できます。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
軽貨物運送のフランチャイズに加盟するメリット
フランチャイズビジネスの中でも「軽貨物運送のフランチャイズを選ぶこと」には、次のようなメリットがあります。
既存のチェーンに加盟すれば、そのチェーンの「信用力」や「ノウハウ」が活用できます。集客面で見ても、実務の面で見ても、未経験でも安心して仕事を進められるでしょう。中にはフランチャイズ本部が企業間の配達の契約を結び、決まった企業間での配達を各加盟店に振り分けるケースもあります。
軽貨物運送で必要なのは、「普通運転免許」と「黒ナンバーの軽自動車」です。車種によっては、今使っている車を、そのまま事業用として登録することもできるでしょう。車を持っていない場合でも、フランチャイズによってはリース車両で開業できるケースもあります。
運送業は個人・法人ともにニーズが高く、仕事がなくなりにくいのもポイントです。開業時に用意するものが多くなく、需要がある事業のため、フランチャイズの中でもリスクが低いといえます。
軽貨物運送のフランチャイズに加盟するデメリット
軽貨物運送のフランチャイズは、他業種に比べて安心してはじめられ、長く続けやすい仕事です。ただ、デメリットがないわけではありません。そもそも、フランチャイズに加盟すること自体に次のようなデメリットがあります。
フランチャイズに加盟する最大のデメリットは、ロイヤリティが発生することでしょう。これはノウハウやチェーンとしてのブランドを使う対価のようなもので、「月の売り上げの何割か」や「毎月固定額」などのタイプがあります。
ただ、軽貨物運送のフランチャイズには「業務委託契約」のものが主で、ロイヤリティが発生しないものも多いです。この場合は基本的に「完全出来高制」で、走った距離や運んだ荷物の量で報酬が計算されます。
もう一つ、気になるリスクとして挙げられるのが、「フランチャイズ本部の影響を受ける」ことです。例えば本部が不祥事を起こし、そのフランチャイズチェーンの信用力が落ちた場合、自分は何もしていなくても仕事が減るでしょう。
しかし、これは「良いこと」についても同じようにいえます。軽貨物運送以外の業種でもフランチャイズに加盟するのであれば、これは変わらないため、割り切って受け入れた方がいいでしょう。
主要な軽貨物運送フランチャイズチェーン紹介
軽貨物運送を展開するフランチャイズには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、フランチャイズごとにどのような特色があるのか、5社、紹介していきます。
A社
大手グループ会社の人材サービスを主とする企業です。この中の「軽貨物配送サービス」では、フランチャイズでドライバーを募集しています。
宅配業において日本最大級の「知名度」と「ノウハウ」を活用できるのは、これ以上ないメリットです。仕事はフランチャイズ本部から案内されるため、収入に困る心配もないでしょう。
B社
世界規模のネットショップと直接契約を結び、軽貨物運送のフランチャイズを開業できます。ネットショップの配達業務を個人事業主に業務委託しており、日本では2019年からはじまりました。
これまで、契約をしているネットショップは「配送量が多すぎて、大手配送業者に断られた」などの経緯があります。大手競合に仕事を取られる心配は低いでしょう。
C社
1978年に創業約40年の老舗のフランチャイズです。厳密にいえば「軽貨物運送で独立した人の互助組合」のようなもので、直営店はなく、全員が個人事業主です。
車両のリースも可能で、リースをして開業する場合の初期費用は0円。中古車購入もできるため、資金と相談して低コストで独立できます。
D社
企業向けの配送がメインの軽貨物運送フランチャイズです。企業から企業に荷物を運ぶB to B配送のため、個人宅への配送と違って「不在」や「再配達」がありません。需要が高く安定した医療物資なども扱うため、低リスクで長く続けられるでしょう。
E社
「大手スーパーのネット定期配送」が中心の軽貨物運送フランチャイズです。新しい生活様式の浸透により、ネットスーパーの定期配送の需要も拡大しました。生活に密着したサービスであるため、仕事量も安定しています。
仕事用の車両もリースできます。もし、車もあり、駐車場や事務所もあれば、開業時の最低自己資金はわずか5,000円です。
これからの軽貨物運送フランチャイズ
軽貨物運送フランチャイズはこれからも安定したニーズを維持していくでしょう。むしろ、これから先どんどん需要が高まっていくとすらいえます。新しい生活様式が浸透し、軽貨物運送の出番が高まったからです。
「コロナ禍が落ち着いたら、ニーズは減るんじゃないの?」と思うかもしれませんが、人の「慣れ」は強力です。ネットショッピングや定期配送に慣れた人々が、完全に元の生活に戻ることはないでしょう。
グラフは、総務省が2017年から2020年にかけて行った調査を基に、各年の月ごとのネットショッピング支出額をまとめたものです。
年々、利用額が増えていっていることが分かります。コロナ禍による追い風はたしかにありますが、そうでなくとも、軽貨物運送のニーズはじわじわと増え続けていくでしょう。
新しい生活様式に関係なく、これらのサービスが普及し、利用者は増え続けています。総務省の調査を見ると、2002年から2016年にかけて、ネットショッピングのニーズは右肩上がりだったことがわかります。
参照:統計Today No.162 新型コロナウイルス感染症で変わるネットショッピング-家計消費状況調査の結果から-|総務省統計局
軽貨物運送フランチャイズの市場規模
国土交通省の「令和3年度宅配便取扱実績について」によると、宅配便の取り扱い個数は約49.5億個、メール便は約42.8億個でした。
コロナ禍による急激な需要増によるドライバー不足などの問題もありましたが、軽貨物運送には大きなニーズがあることが分かります。
進化し続ける軽貨物運送のフランチャイズ
年々ニーズの高まる軽貨物運送では、フランチャイズの仕組みも進化し続けています。他業種と異なり「完全出来高制」のフランチャイズも多く、ロイヤリティ0円のフランチャイズも増えています。ドライバー登録制の海外企業の参入により、時間や服装などの自由度も高まったといえるでしょう。
最近では、副業として軽貨物運送のフランチャイズに加盟する人も増えているようです。開業資金や運転資金が少なく、時間の自由も利きやすい軽貨物運送なら、本業の傍らでも無理なく続けられます。
まとめ
新しい生活様式の浸透もあり、軽貨物運送へのニーズはますます高まっていくでしょう。「物流」の一環を担うビジネスであるため、参入者が増えても、仕事に困る心配はほぼありません。
アントレでは記事で紹介した会社のほかにも、たくさんの軽貨物運送フランチャイズの加盟店募集を掲載しています。
まずはどんなフランチャイズチェーンがあり、それぞれの開業資金やロイヤリティ、扱う荷物の種類などをチェックしてみてください。気になるフランチャイズがあれば、そのまま説明会に申し込むこともできます。
軽貨物事業を個人事業主として開業した際に申請できる補助金や副業などについてマイチョイスで詳しく紹介しています。