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「独立とは自分の生き方を選択すること」と語る雨宮さんが実践するボーダレスなライフスタイルとは?

「独立とは自分の生き方を選択すること」と語る雨宮さんが実践するボーダレスなライフスタイルとは?

「まちづくり」と「ひとづくり」という2つのキーワードを掲げて、2021年1月に新潟県佐渡市相川でLane株式会社を設立した雨宮隆三さん。

「仕事するように遊び 遊ぶように仕事する」をモットーとして佐渡と大阪での二拠点生活を選択し、ボーダレスな生き方を実践しています。

独立までの経緯、現在の仕事内容、ライフスタイル、佐渡の人々の魅力、さらには起業を目指す後輩へのアドバイスまで、熱く語っていただきました。

<プロフィール>
雨宮隆三さん
Lane株式会社代表取締役
1998年にリクルートに入社。2010年に独立。地方新聞社向けの新規事業支援を展開するなど、地域活性化の仕事に多数関わる。その後、再就職。就職先の企業で地方新聞社の新規事業支援を実施。2020年に再独立し、2021年1月に新潟県佐渡市相川でLane株式会社設立。現在、佐渡と大阪で二拠点生活を送っている。

転校した学校で「地方の温かさ」を知ったことが現在の仕事の原体験

独立・起業の経験が豊富な雨宮さんは現在の会社を設立するまでに、さまざまな仕事に携わってきています。それらの多くは「地域に関わる仕事」という共通項があります。「地域」への思いについて、うかがいました。

雨宮さん
「地域の仕事をやりたい」という思いは社会人になったころから持っていました。これまでに地域と関わりのある仕事もたくさんやってきています。2010年の独立後には地方新聞の電子版のコンサルティング業務もやっていました。

地方への思いの原点といえる体験がいくつかあります。僕は転勤族で東京で生まれて、神戸で育ち、その後、山口、埼玉と引っ越しをしているのですが、山口県下関での体験が大きかったと思っています。山口に引っ越したのは小学校2年の後半。同級生たちが僕をすぐに受けいれてくれて、友達になってくれたんです。転校して一週間後には夕食に呼ばれて、一緒に食事をし、すぐになじめました。あの時に感じた山口の温かさは今も印象に残っています。

社会人になって3、4年目に地域活性事業部が行っていた「横須賀の商店街のまちづくり」の仕事をお手伝いした経験も大きかったと思います。地域活性事業部の人間の提案に対して、商店街の人々が真剣に耳を傾け、熱心にまちづくりの議論をしていて、あの熱気が忘れられなくなりました。

「自分の生き方を充実させられる仕事ってなんだろう?」という問いの答えが地方に

雨宮さんの独立の直接的な契機になったのは佐渡観光交流機構(DMO)と株式会社NOTEと新潟日報社による「佐渡地域における歴史的資源を活用した地域活性化に関する連携協定」の締結です。佐渡金銀山の世界遺産登録への期待が高まっている状況の中で、この連携は注目を集めました。この3つの組織をつなげる役割を果たしたのが雨宮さんです。しかもこの連携が独立と二拠点生活のきっかけになりました。

雨宮さん
それぞれこれまでに仕事の関わりがあった組織をつなぐことができて、正式なオファーをいただきました。会社内で地域活性化の仕事に取り組む過程で、自分の理想を地域に根ざして追求したい、自分の力で挑戦してみたいという気持ちが強くなっていったのです。その思いが独立へと自分の背中を押してくれました。

「自分の生き方を充実させられる仕事ってなんだろう?」と考えたときに、「自分は地域に機会をもらってきたな」「人や地域とつながりを持てる仕事がやりたいんだな」ということが見えてきました。仕事の目算がついていたわけではないです。強いていうならば、「なんとかなるだろう」という感覚が近いと思います。今までの生活をコンパクトにして、お金のかからない生活にすれば、なんとかやっていけるだろうと考えたのです。

佐渡おけさがきっかけで「他人」から「同志」へ関係が変化

「独立とは自分の生き方を選択すること」と語る雨宮さんが実践するボーダレスなライフスタイルとは?

雨宮さんのおもな仕事内容は「まちづくり」と「ひとづくり」です。「まちづくり」とは佐渡・相川の歴史的な建造物を活用した開発、地域との協働の推進。「ひとづくり」とは佐渡に関わる人を増やし、人をつなぎ、移住・定住を推進すること。現在、雨宮さんは佐渡と大阪で二拠点生活をしています。雨宮さんが提唱する「BORDERLESSな生き方」とは「仕事と遊び」「都市と地方」のボーダーを超えることです。しかし「佐渡」のボーダーを超えるのは簡単ではなかったと雨宮さんは語っています。

雨宮さん
最初は僕と佐渡の人々の間に壁がありました。日本の地方全般に言えると思いますが、いきなり外部から入っていっても、すぐには受け入れてもらえない傾向があります。佐渡も同様で、相川での初会合は寒々しいものでした。人数は集まったのですが、自分たちの話が届いている実感がまったくありませんでした。知らない土地、知らない人ばかりで、自分自身も不安でいっぱいだったのです。

会合後の懇親会の出席者は3人だけでした。OKESA BAR BUNZOの岩崎さん(あきさん)と出会えたことが大きかったです。ともにアイラウイスキーが好きという共通点があって打ち解け、あきさんを通じて、佐渡に毎年プロレスを招聘している北村さんや重要文化財のご自宅「松榮家」でジャズイベントをまちの仲間と一緒に開催している松榮さんなど、さまざまな人と知り合うことができました。

僕にとって大きな体験となったのはあきさんのお店の駐車場で佐渡おけさを見たことでした。発表用のおけさではなくて、暮らしの中にある日常のおけさです。三味線を弾く人、太鼓を叩く人、踊る人が民家のある景色に自然になじんでいました。その光景を見ていて、とても感動してしまったのです。その昔、働く人々が佐渡おけさを歌いながら金山で採掘していたと聞いたことがあります。人に力をもたらす何かがあるのかもしれません。自分もわからないなりに踊りに参加して、とても楽しい思い出となりました。

佐渡おけさを通じて、最初の頃に観たのとは違う佐渡の景色にふれることができました。たくさんの人と知り合い、地域に深く入っていくようになると、まちづくりの活動も変わってきます。まちの人々と車座になり、まちの話をつまみに酒を飲むのが当たり前になりました。佐渡との境界線だけでなく、仕事と遊びの境界線もなくなっていったのです。

僕の立ち位置も「参加者」から「当事者」へと変わりました。まちづくりも僕らがやりたいことを発表して推し進めるのではなくて、地域の人が主体となって考えるようになりました。佐渡の人たちが僕の「同志」となり、僕が彼らの「同志」になったのです。

二拠点生活の醍醐味は2つの日常があること、「いいとこ取り」ができること。

「独立とは自分の生き方を選択すること」と語る雨宮さんが実践するボーダレスなライフスタイルとは?

現在の雨宮さんは佐渡では「仕事と遊び」の境界線のない生活を送っています。二拠点生活についてはどう感じているのでしょうか?

雨宮さん
二拠点生活の醍醐味は2つの日常があることですね。佐渡では仕事と遊びとが一体化しています。一方、大阪では資料作り、オンライン会議、あとは妻との大事な時間を過ごしています。佐渡では人に会う時間が圧倒的に多くなるので、考えたり、ものを作ったりする仕事は大阪のほうが効率的です。現在、パラレルワークをやっていますが、佐渡と大阪とで「いいとこ取り」をして使い分けながらやっています。

今後の仕事については、どのように考えているのでしょうか?

雨宮さん
佐渡相川の人たちに機会を頂いているので、佐渡相川の人たちに機会を頂いている一つひとつの仕事を続けていくことが大切だと考えています。佐渡金銀山が世界遺産に登録されたら、ふもとのまちである相川にもビジネスチャンスがやってきて、人がたくさん来ることが予想されます。しかしその場所を観るだけで去っていく通過型ではまちにお金が落ちません。

相川には江戸時代に金山で隆盛を極めた当時の佐渡の良さを残した古民家がたくさんあるので、レストランやホテルを作り、相川のまちのよさを楽しんでもらう滞在型をめざしていけたらと考えています。相川のファンになり、関係人口を増やし、移住する人を増やすことが最終的な目標です。

シンプルにいうと、相川の人を増やしたいんです。事業承継してくれる人、移住する人、僕みたいにボーダレスな生き方をする人を増やしていきたいのです。そのために佐渡の良さを体験してもらう『BORDERLESSモニターツアーin佐渡』という2泊3日のツアーも企画しています。僕が相川で半年間で体験したことをギュッと凝縮したプログラムになっています。まちの人との座談会も企画しているので、人の魅力に触れてもらいたいですね。

独立とは生き方の選択。本当にやりたいことをやること、自分に嘘をつかないこと。

さまざまな経験を経て独立した雨宮さんに独立・起業を考えている読者へのアドバイスをいただきました。

雨宮さん

大企業にいて、独立したいと思っていても、本当に独立する人はごくわずかです。独立することは縛られない生き方であり、自分で意志決定できる生き方、判断できる生き方ですが、その分だけ大変なこともたくさんあり、情熱と覚悟が必要になります。

私が、独立して特に大切にしていることが2つあると考えています。1つ目は本当にやりたいことをやることです。やりたいことをやるとは自然体で生きることでもあります。そして「仕事するように遊ぶこと」と「遊ぶように仕事すること」です。もちろんそのためには「清濁併せ呑む」必要があります。「清」はやりたいこと、「濁」は生きるために稼ぐことであり、そのために必要な現場での人間関係ということになるでしょう。この両方を「併せ呑む」ことがポイントです。いつのまにか「濁」だけに振り回されてしまったら、独立する意味はありません。独立を我慢と感じるくらいならば、独立はしないほうがいいでしょう。収入が減ることも覚悟する必要があります。

独立するうえで大切なことの2つ目は「嘘をつかないこと」。人に対してはもちろんですが、自分に対して嘘をつかないことが大切だと思うのです。他人の目を気にして、見映えのいい仕事をしようとするケースは少なくありません。「それが本当にやりたいことでしたっけ?」と聞きたくなることがあります。

独立は生き方の選択でもあるので、しっかり考える必要があります。独立・就職・再独立の経験を通して私が実感しているのは「正直に生きること」「楽しい人生にすること」「自然体でやること」が何よりも大事であるということです。

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「独立とは自分の生き方を選択すること」と語る雨宮さんが実践するボーダレスなライフスタイルとは?

写真左が雨宮さん

取材・文=長谷川 誠

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