独立・起業の形は人それぞれ。
これまでのキャリアで培ってきたスキルを使って独立する人もいれば、全くの異業種に転向する人も。
また昨今では人が起こした事業を引き継ぐ、事業承継という選択をする人も増えてきています。
今回、お話を伺った笹谷ゆうやさんもその1人。
笹谷さんはイベントバー・エデンの店主を務める傍ら、論文YouTuber、レモネード通販事業を手掛け、会社にも勤めています。
そんな笹谷さんが勧めるのは「しょぼい事業承継」。初めて独立をするという人にとっては、特に強く勧めています。
「しょぼい事業承継」とは一体何でしょうか。なぜ「しょぼい事業承継」を勧めるのでしょうか?
その答えは笹谷さんのこれまでのキャリアにありました。
笹谷ゆうやさん
イベントバー・エデン店主/論文YouTuber
大学在学中、2018年6月より論文YouTuberとして活動を開始。
同年10月よりイベントバー・エデンを引き継ぐ。
卒業後はフリーランスとしてYouTuberとエデンの店主を兼任する。
2020年1月にITコンサルティング会社に就職。
同年3月よりレモネードの通信販売事業をスタートさせ、現在4つの仕事を兼任している。
研究を「伝える」活動と「支える」活動の両立。論文YouTuberがイベントバーの店主になるまで
―現在、全く異なる3つの事業に加え、会社にも勤められている笹谷さん。それぞれの事業、仕事に関わることになった経緯から伺いたいと思います。まずはYouTuberになった経緯から教えてください。
2018年の6月頃からYouTuberとしての活動をスタートさせました。
動画の内容としては主に論文の解説や、研究者や学生にインタビューをするといったものが多いですね。
普段、論文を読まない人にも分かりやすく解説し、学術や学問研究の面白さを伝えることを目的としています。
―なぜ学術や学問研究の面白さを伝えようと思ったのですか?
僕は昔から知的好奇心が旺盛で、まず自分がいろんな研究を知りたいからですね。そしてそれをいろんな人に伝えたいなと思い、YouTubeを始めました。
以前は僕自身が、新しい知見を生み出す存在(研究者)になれないかと思っていたんですが、性格的にも能力的にも向いていないなと思うことがありまして。
一旦それは保留にし、現在は研究を伝える側の活動をしています。
―その後、同年10月からイベントバー(※)・エデン(以下、エデン)の店長としてもお仕事をスタートされていますが、こちらは?
研究を「伝える」ための活動がYouTubeなのですが、同時に研究を「支える」活動もやりたいと思っていたんです。
研究者の方々が研究に没頭できるように、彼らを支えられるパトロンになりたい。
だから僕自身が何か事業に取り組んで成功したいと思っていたのですが、具体的な事業内容が浮かばないままでいて…。
そんな時にエデンの前任の店長が、店を任せられる人を探していたんです。これはチャンスだと思い、真っ先に立候補し、お店を引き継ぐことになりました。
※日替わりのバーテンダーを立て、それぞれ趣向の異なったイベントが開催されるバー
―いきなりバーの店主を引き継ぐとなると、大変そうな感じがしますが……?
もちろん通常の飲食業同様、自分でドリンクやフードを作って接客することもありますが、イベントバーの店長の主な仕事は、バーテンダーのセッティングです。
ただこれに関しては、先に始めていたYouTubeでインタビューをお願いするプロセスに似ているところがあり、なんとか自分でもやっていけるんじゃないかと思いました。
お店を引き継いでもうすぐ2年になりますが、おかげさまでほとんど1日も欠かすことなくイベントを開催することができました。(2020年3月頃から情勢的に難しくなってしまいましたが)
自分のやりたいこと(パトロンになるために事業をスタートさせる)と、できること(バーテンダーのブッキング)がいい感じで重なり、結果的に今まで順調に続けてこられているので、あの時、立候補して本当に良かったですね。