独自の世界観を構築し、世界有数のエンターテインメントへと昇華されたアメコミの世界。アイアンマンやキャプテン・アメリカ、マイティ・ソーなど主要キャラの知名度は言わずもがな。ヒーローとヴィラン(悪役)を合わせれば、マーベルコミックだけでキャラクター数は数千を超え、複雑で多様な世界観を形成している。
アメコミの原書は英語表記なので、当然そのままでは読みづらい。そこで出番となるのが翻訳家だ。本記事では「シビル・ウォー」シリーズ、「アベンジャーズ」シリーズ、「X-MEN」シリーズなどマーベル作品の人気シリーズを数多く手がけた御代しおりさんに、翻訳家の仕事について伺った。
<プロフィール>
御代しおりさんアメコミ翻訳家。「シビル・ウォー」シリーズ、「アベンジャーズ」シリーズ、「X-MEN」シリーズ、「グウェンプール」シリーズなどマーベル作品の人気シリーズを数多く手がける。
御代しおりさんアメコミ翻訳家。「シビル・ウォー」シリーズ、「アベンジャーズ」シリーズ、「X-MEN」シリーズ、「グウェンプール」シリーズなどマーベル作品の人気シリーズを数多く手がける。
母の紹介で出版社に勤務、出会ったのはアメコミ界のレジェンドだった
――御代さんは学生時代からアメコミに親しんでいたと聞いています。読み始めたきっかけはどのような出来事だったのでしょうか?
御代さん
高校生の頃に触れる機会はありましたが、本格的にアメコミを読み始めたのは大学3年生の頃です。きっかけは翻訳書を数多く手がける出版社「ヴィレッジブックス」の親会社「ウィーヴ」でアルバイトをしたことでした。私は本が好きなので、将来は出版社で働くことを目標にしていたんです。ちょうど同社に母の友人が勤めていたので、母の紹介で働かせてもらうことになりました。
高校生の頃に触れる機会はありましたが、本格的にアメコミを読み始めたのは大学3年生の頃です。きっかけは翻訳書を数多く手がける出版社「ヴィレッジブックス」の親会社「ウィーヴ」でアルバイトをしたことでした。私は本が好きなので、将来は出版社で働くことを目標にしていたんです。ちょうど同社に母の友人が勤めていたので、母の紹介で働かせてもらうことになりました。
その方は石川さんという方で「アメコミ番長」の二つ名を持つほど日本でのアメコミ普及に貢献なさった方です。
石川さんはマーベルが日本進出した際にアドバイザーとして活躍し、邦訳コミック出版のほか、数々のアニメ制作にも関わっていました。今では10年のお付き合いになりますが、私は師匠だと思って尊敬しています。
当時のアメコミは知名度が低く、ようやくアイアンマンの実写映画第1弾が発表された頃でしたが、ひっそりと邦訳コミックの出版が行われていました。その中でアルバイトの一環として翻訳作業の一部を任せていただいたのが、私の翻訳人生の始まりです。
その後、卒業を控えて就職活動をしましたが、就職氷河期の時期でしたので内定はもらえず……。そのままウィーヴで働かせてもらうことになりました。
――出版社ではどのようなお仕事を担当されていたのでしょうか?
御代さん
配属は出版事業部の編集部でした。新刊を発行する際に構成を行ったり、出版会議に出たりしていましたが、体調を崩してしまい、1年で退職してしまったんです。上に付いてくれた先輩と気質が正反対で、気に病んでうつ病になり、退職を選びました。この出来事がアメコミ翻訳家の道を進むきっかけになったんです。
配属は出版事業部の編集部でした。新刊を発行する際に構成を行ったり、出版会議に出たりしていましたが、体調を崩してしまい、1年で退職してしまったんです。上に付いてくれた先輩と気質が正反対で、気に病んでうつ病になり、退職を選びました。この出来事がアメコミ翻訳家の道を進むきっかけになったんです。