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趣味じゃダメだったのか?仕事だからいいんですよ:VOL.240

生ボイス
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園田純寛さん(35歳)

苔むすび/神奈川県鎌倉市
中学生の頃、映画『もののけ姫』を見て苔のある風景にひかれた。大学時代は苔を含む植物の生態を研究した。就職後は香料の開発に従事しながら趣味として苔を栽培。2016年に独立。苔テラリウムを販売しながらワークショップや長期講座を行う。

VOL.240「苔テラリウム」を製作・販売。鎌倉の古民家でワークショップも

「苔ってきれいだな」が入り口でしたね。苔のある景色がきれいだし、ミクロの目で近寄るとまた違う世界が見えてくる。本格的にハマったのは大学時代です。研究を始めてみると今度は苔の生態が面白くて。ある苔の表面には微生物がいて、それが空気中の窒素を栄養に変えている。つまり苔が森の生態系のキーになっているということ。調べるほど面白いんです。

経営者だった父が楽しそうなのを見て、自分もいつか起業をと思いながら育ちました。就職してからも仕事にできそうなものを探していたんですよ。花はどうか、造園はどうかと考えたこともありますが、ピンとくるものがなくて。そこで改めて、苔はどうかと。

それでも最初は全くの趣味でした。というのも、苔の栽培は専門家にとってもすごく難しい。環境が良ければ勝手に増えるのに、別の場所に移すと枯れてしまう。周りの環境を含めて「苔が育つシステム」を考えないといけない。知れば知るほど気難しい生き物なんです。実は今でも、栽培技術は発展途上です。でも、だからこそ開拓者でいられるともいえる。今手がけている「苔テラリウム」は、ガラスの器の中に簡易的にそのシステムを作ってあげたものです。会社員時代にフリマやクラフト展に出品したら、びっくりするほどの反響がありました。これまで苔の需要はあっても供給がなかったんだと思います。昔から日本には苔を愛でる文化があったのに、部屋で苔を育てるのはとても難しかったから。「苔ブーム」が始まる気配もあった。今やらないでどうするの、と思いました。

趣味のままじゃいけなかったのか? いけないですね(笑)。好きだからできる仕事ってあります。ブームに乗って苔を売り始めた人もいますが、「これは長く保たないな」と分かるものもあります。すぐにお金にならないことでも深掘りできるだけのパッションがないと、使い捨ての苔文化で終わるでしょう。逆に深掘りできれば、新しい展開が見えてくる。これなんて、フタのない苔テラリウム。普通できないんです。なぜできるのか、その秘密を教える講座を、今開いているところです。

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ほかの草花にはない、苔の魅力は?

※本記事は取材当時の情報を基にしており、団体名、サービス名、法令等が現在と異なる可能性があります。しかし、取材時の想いや状況を正確に伝えるため、内容をそのまま掲載しています。ご了承ください。

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