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税理士として事務所を独立・開業するのに必要な準備

税理士として事務所を独立・開業するのに必要な準備

税理士の方の中には、「いつか独立・開業して自分の事務所を持ちたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。取得した税理士資格を活かして、自分の事務所を大きく成長させたい方、自分のペースにあわせて自由に働きたい方など、独立・開業を検討する理由はさまざまかと思います。

しかし、個人の税理士事務所を開業したからと言って、すぐにクライアントがついて安定して経営していけるわけではありません。税理士資格を持っているだけではなく、他の税理士と差別化してクライアントとの信頼関係を築いていくことが大切となります。

この記事では税理士の方が独立・開業する際に必要な、手続きや開業準備についてまとめます。

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税理士の登録

税理士になるためには、会計学と税法を学び、税理士試験に合格しなければなりません。また通算して2年以上、会計事務所などでの実務経験を積んでいることも条件となります。なお、弁護士や公認会計士の資格を持っている方、税理士法で税理士試験を免除されている方は税理士試験に合格せずとも2年の実務経験があれば税理士となることができます。

試験合格と通算2年以上の実務経験を経て、税理士としての資格が得られます。一般的には資格取得を目指しながら、実務経験を積んでいる方が多いです。

晴れて試験に合格した際に、日本税理士会連合会の税理士名簿へ登録します。提出は開業する予定の地区の税理士会に行います。全国それぞれの地区で税理士会があるため、自分が登録する予定の税理士会へ問い合わせてください。

登録に必要な主な書類や費用は以下になります。

・税理士登録申請書(第1号様式)
・登録免許税領収証書:6万円
・登録手数料:5万円
・写真
・本籍記載のある世帯全員の住民票の写し(マイナンバー記載のないもの)
・身分(身元)証明書(本籍地の市区町村が発行したもの)
・資格を証する書類(原本との照合確認を受ける)
・履歴書(第3号様式)
・誓約書(第4号様式)
・直近2年分の確定申告書のコピー(所得の内訳書等を含む)又は住民税の(非)課税(所得)証明書(所得の種類が確認できるもの)
・はがき(日本税理士会連合会所定のもの)

登録申請書だけでなく、登録費用や証明書類など細かな指定もあるため不備がないようにしっかりと準備を進めましょう。

「税理士の登録」(国税庁)

「登録に必要な提出書類等」(日本税理士会連合会)

税理士事務所の開業資金

税理士事務所を独立・開業する場合、具体的にはどれくらいの資金が必要なのかについても確認しておきましょう。

1.事務所のオフィス整備にかかる費用

税理士事務所をどのエリアに開業するのかによっても、開業費用は大きく異なります。クライアントとなる企業が多く存在する都心エリアに開業すれば、それだけ家賃や敷金、保証金などもかかります。またクライアントとの打ち合わせで使う応接室も用意するとなると、広さも必要となります。

レンタルオフィスにした場合は、より家賃を下げることができます。オフィスチェアやデスク、インターネット環境がすでに整っていたり、レンタルすると高い複合機や、会議スペースも共有で利用できたりするメリットがあります。

中には自宅内に事務所スペースを作り、自宅で開業する方もいます。最も低コストで開業でき、在宅で仕事ができるので時間を有効に使えるメリットがありますが、応接スペースがなかったり、プライベートの居住スペースと完全に区分することが難しかったりするなどのデメリットもあります。

2.PCや机などの設備費用

業務を行うために必要なPC、ディスプレイ、オフィスチェアや机、複合機、資料を格納するキャビネットなどの設備費用もかかります。

一般的な事務所開業で必要な備品ばかりなので、イメージしやすいと思います。税理士はクライアントの機密情報を多く取り扱う職業でもあります。PCのセキュリティ対策や、鍵のかかる資料の保管場所なども用意するのを忘れないようにしましょう。

3.会計ソフト費用

税理士として専門的な税務や会計処理をしていくために、会計ソフトの費用も必ずかかります。最初に買い切ってしまうパッケージ型から、月額で支払っていくクラウド型までさまざまです。

使い慣れているものや、専門性、想定される案件などに合わせ、会計ソフトを選びましょう。

4.税理士会の登録費や年会費

先ほど紹介した登録費だけでなく、年会費もかかります。所属する税理士会の年会費もあらかじめ開業資金と一緒に確認しておきましょう。

5.広告やホームページ制作など集客にかかる費用

税理士事務所を紹介するホームページを作成したり、インターネット広告、看板の製作費用など集客にかかったりするコストもあらかじめ見積もっておきましょう。

ホームページ制作にかかる費用は、無料のアプリなどを使って自分で作成することもできますし、数万円~数十万円かけて外注するなど、費用はかなり幅があります。制作会社に依頼するときは数社、見積もってから選ぶと良いでしょう。

開業するのは簡単。難しいのは…

これは税理士に限らない話ですが、実は独立・開業するのは簡単です。難しいのは“事業を継続すること”です。

特に税理士は「事務所と看板を出せばすぐにお客さまが来るような仕事」ではありません。どのようにして新規のクライアントを見付けるのか? そして顧問料などの客単価はどのようにすればあげられるのか? 新人でもベテランでも、税理士の多くがこの点で苦労をしています。税理士という資格があれば事業を継続できるという時代ではありません。

必要なのは“自分の得意分野を持つこと”です。例えば、飲食や理美容など一定の職種・業種に詳しい、資金繰りの改善や経営計画策定に自信がある、資産税分野(相続税など)に特化している、などです。そういった自分の得意分野を武器にすることができた税理士は、それなりの活躍をしている人が多いようです。

また、働き方改革の影響もあり、副業や複業が一般的になってきました。つまり、税務の知識を必要とする人が増え続けている、ということです。どのように関与していくのか工夫の余地はありますが、税理士はむしろこれから活躍できる可能性が大きい、という考え方もあります。

他の税理士事務所と差別化できるポイントを見付け、積極的に営業していくことも、ときには必要となります。

クライアント側に立ち、依頼したくなる弁理士像を考える

ここで、年齢について考えてみます。皆さんならどちらの税理士に仕事を頼みたいでしょうか?

***

(A)比較的規模の大きな事務所で勤務をしていた50代の男性。最近になって事務所を退職し独立・開業。業界歴は長い。

(B)独立・開業をして3年目の30代前半の男性。税理士試験合格後に間もなく開業。業界歴は受験勉強時代を含めて10年に満たないくらい。

***

実はこの設問に正解はありません。強いて言うのであれば「正解は人によって異なる」です。税理士という仕事でクライアントに提供するのは“知識”だけではありません。多分に“人間性”が問われる部分があります。人によっては上記の(A)のような業界歴が長く、年齢が高めの人を信頼するかもしれません。あるいは(B)のような若い世代に共感することもあるでしょう。業界歴が長いことがメリットになるのか、経験則だけがメリットでもないのか、実績の有無など、クライアントの目線に立って依頼したくなる税理士はどのような人なのかを検討するのも自分を売り込むためには必要です。自分の特性と照らし、クライアントにどう売り込めば魅力的か、得意な業界で依頼を受けるためにはどうすれば良いか、開業前から検討することをおすすめします。

トラブルを避けるためには?

税理士業務はお金に関する仕事ということで、トラブルに発展してしまうこともゼロではありません。

「提出すべき書類を失念してしまった」「課税計算を間違えてしまった」など、特に税理士の処理ミスにより、クライアントに過大な税負担を発生させてしまったような場合には損害賠償の話が出てきてしまうこともあります。

当然、そのようなミスを起こさないためには継続的に勉強を続けることや、ケアレスミスが生じない業務態勢を構築する努力が必要です。余裕を持ったスケジュール管理や、ダブルチェックの体制など、ミスを事前に防ぐための対策は十分に考えましょう。

また、人間である以上、完璧であることはないので、税理士用の保険に加入することも推奨されています。2023年2月現在で、開業税理士の半数以上(53.89%)が日本税理士会連合会の税理士職業賠償責任保険に加入しています。

加えて、トラブルの多くは「言った、言わない」が原因となることが多いです。

税理士は業務処理簿の作成が義務付けられています。そこに「このクライアントのこの人に対してこのようなアドバイスを行い、結果としてこのように処理をした」といったことをしっかり記載することは、的確な業務遂行を支援するとともに、後々に自分を守ることにも繋がります。

また業務上のやりとりを記録したメモや文面はうかつに捨てず、体系的に検索できるようにしておくと良いでしょう。

「税理士職業賠償責任保険」(日税連保険サービス)

税理士事務所を独立・開業する

税理士事務所を開業することで、業務から経営まで全てに責任が発生します。それをリスクやプレッシャーに感じる方がいるかもしれませんが、独立するメリットは大いにあります。

1.年収アップが狙える

令和4年賃金構造基本統計調査「職種(小分類)、性別、決まって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」によると、「公認会計士・税理士」の収入は下記の通りです。

企業規模計(10人以上):月収 約48万円、年間賞与 約174万円
1,000人以上:月収 約54万円、年間賞与 約213万円
100~999人:月収 約53万円、年間賞与 約138万円
10~99人:月収 約41万円、年間賞与 約198万円

また同調査による「会計事務従事者」の場合、企業規模計(10人以上)で月収30万円、年間賞与86万円となるため、「公認会計士・税理士」と比較すると年収にして約400万円の差があります。

職種として公認会計士・税理士の年収は高い傾向にありますが、独立することによって年収アップの可能性は広がります。

顧問料、記帳代行料、確定申告料などクライアントから得られる収益から「どのくらい自分の手元に残すか」は、経営者として判断することができます。

2.自由な時間で働ける

税理士事務所を開業することで、プライベートな時間を優先して働くことができます。税理士事務所に雇われるとなると、平日の朝から夕方までなど決まった勤務時間がありますし、定年の制度もあります。

独立後、クライアントとのやりとりなど事業をきちんと遂行できれば、勤務時間だけでなく、長期の休暇を取得したり好きな場所で働いたりすることもできます。そのような自由を求めて独立・開業する方も多くいます。

「賃金構造基本統計調査/令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」(e-Stat)

まとめ

この記事では税理士として独立・開業する際の、登録手続きや開業資金を中心にまとめました。事務所を開業すればすぐにクライアントが獲得できるわけではありません。事業を継続させるためには他の事務所と差別化したり、営業力をつけたりしていく必要があります。

トラブル防止のために継続的な努力は必須で、保険加入や記録の徹底などクライアントと自分の双方を守るためにやるべきことはいくつもあります。

今後、税理士として独立・開業を検討している方は、独立・開業に向けてやるべきことを洗い出してみることをおすすめします。

<監修>
村上 年範さん/クレディ・テック株式会社 代表取締役
金融商品や不動産を活用した経営コンサルティングを得意とし、前職のプルデンシャル生命保険株式会社在籍時より担当したクライアント数は年間200社にのぼる。2013年クレディテック株式会社設立。金融と不動産を軸とし、税務・法務の観点から知識提供を行う、資産形成および財務のコンサルティングサービスを展開。海外不動産についても強いコネクションと発信力を持ち、これまでの取扱高は150MM以上。現在、「幻冬舎GOLD ONLINE」にて、幅広い資産形成ノウハウを連載中。

【村上年範 運営】金融・不動産にまつわるYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCDq3bojqCvTnRXKu7Aur_Kg

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PROFILE

北川美智子

化学品メーカーやIT企業でコンテンツマーケティングを担当したのち、WEBライターとして独立。得意分野は金融、転職、健康ネタなど。

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