スタイルのある生き方へシフトしたいビジネスパーソンのためのニュース・コラムサイト。
検索
独立ノウハウ・お役立ち

個人事業主は退職金制度はなくとも退職金は得られる?

個人事業主は退職金制度はなくとも退職金は得られる?

個人事業主でも、従業員を雇っていれば退職金制度を設けている場合もあるかもしれません。

しかし、個人事業主本人の退職金はどうでしょうか。

会社員・公務員と違い、個人事業主の公的年金は国民年金だけなので、最大でも65歳から年額約78万円(約6.5万円/月)※です。

元気なうちはいつまでも働きたいから退職なんて考えたこともないかもしれません。

でも、人生100年時代、退職後のマネープランもしっかり考えておく必要があります。

※日本年金機構ホームページ、平成30年4月からの年金額

個人事業主は退職金制度を設定できるのか

個人事業主に限らず、法人でも退職金制度の設定は任意であり、退職金制度を設ける義務はありません。

退職金制度は大きく分けると従業員のための退職金制度と、個人事業主のための退職金制度が存在します。

(1) 従業員のための退職金制度

りそな年金研究所の調査を示します。

中堅/中小企業の従業員向けの退職金制度で一番多いのは社内準備、中小企業退職金共済制度と特定退職金共済制度、確定拠出年金も増加しています。

1 中小企業退職金共済制度(中退共)
独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部が運営する国の制度です。

全国で約37万事業所の340万人の従業員が加入しています。

掛け金は事業主が全額負担し、従業員に直接支払われます。

(出典 平成30年4月 中小企業退職金共済事業概要)

2 特定退職金共済制度(特退共)
商工会議所の制度で、掛け金は全額事業主負担で、1人月額3万円まで非課税扱いになります。

(2) 個人事業主のための退職金制度

個人事業主のための退職金制度として商品化されているものではありませんが、退職金として使えるものは下記の通りです。

1 小規模企業共済(詳しくは次の見出し参照)
2 国民年金基金

国民年金の受取額を増やすために、任意で加入できる国民年金に上乗せして積み立てできる公的年金制度。

終身年金のA型、B型のどちらかに加入することが条件で、さらに各タイプの確定年金の加入口数を追加できます。

(3) 個人型確定拠出年金 “iDeCo”(イデコ)
60歳までの間に毎月一定の金額(掛け金)を投資信託や定期預金、保険などの金融商品を選択して運用し、60歳以降に資産を受け取るというものです。

自営業者は、国民年金基金と合わせて、月額6.8万円を上限として積み立てることができます。

上記は、いずれも個人事業の経費にすることはできず個人で積み立てるものですが、個人事業主など自営業者の自助努力を応援する国の制度のため、税制優遇を受けることができます。

節税しながら退職金を貯めることができるので、一般の生命保険や“つみたてNISA”より優先的に考えるとよいでしょう。

小規模企業共済制度とは

小規模企業共済は、個人事業主など小規模企業の経営者が退職後に備えて長期積み立てするのに最適な退職金制度と言われています。

小規模事業者の経営者が国民年金に加えて老後資金を準備することを目的に、国の機関である中小機構が運営しています。

毎月1千円〜7万円の掛け金を積み立て、廃業時などに受け取ることができます。

税制メリットもあり、お得で安心な制度です。

最初に検討しましょう。

(1) 加入資格

1.建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業(常勤従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員)

2.商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の常勤従業員の数が5人以下の個人事業主または会社などの役員

3.常勤従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員

4.配偶者等の事業専従者も共同経営者の場合は2名まで加入できます。

(2) 節税のイメージ
どのように節税になるのか、図示します。

所得控除とは、所得税の計算の対象となる所得税を計算するときに、非課税の社会保険料や生命保険料などを差し引くことのできる項目です。

「小規模企業共済等掛金控除」hは、掛け金全額が非課税扱いです。

上限の7万円/月を積み立てると積み立てしない時と比べて、所得税5%と住民税10%合わせて、年間で12.6万円(84万円/年x15%)の節税効果があります。

所得額が増えると所得税率は上がるため、所得の多い経営者ほど、節税効果も大きくなります。

小規模企業共済制度のメリット・デメリット

(1) メリット

1.年間積み立ての全額が非課税で課税所得から控除され、節税効果が大きい

2.受取時は、一括受取は退職所得扱い、分割受取(年金受取)は公的年金等の雑所得扱いで非課税枠が大きい

3.解約手当金の95%を上限として買い入れできる一時貸付金制度がある

(2) デメリット

小規模企業共済は退職金目的の制度であり、廃業または、65歳に達する以外の理由で解約すると不利になります。

1.1年未満の解約は掛け捨てとなり、解約返戻金がない

2.加入後20年未満で任意解約したときは、積立額より受取額が少なくなる

3.確定拠出年金と違い、自分で運用方法を選ぶことはできない

まとめ

個人事業の開業直後は、収入も安定せず、なかなか退職金を計画的に準備することは難しいかもしれません。

しかし、万一病気などで働けなくなると無収入になってしまいます。

会社員と違い、病気やケガで働けなくなったときの傷病手当金も受けられません。

退職金積み立てのつもりで、毎月コツコツと長期に渡り積み立てをすることで、退職後だけでなく、一時的に働けない場合の備えとすることができます。

実際に退職の計画はなくても、65歳で退職という前提で退職金の目標額を定め、しっかり準備しておきましょう。

PROFILE

経営コンサルタント 奥野美代子

外資系の高級消費財ブランドで、日本進出の子会社立ち上げから26年間、マーケティングマネジャーとして、ブランドPR、販売促進、店舗開発、リテール支援など幅広い経験を持ちます。
独立後は、中小企業診断士とFPのノウハウを生かし、経営者の法人と個人の財務コンサルティングやリスクマネジメント、事業計画策定、マーケティング支援など幅広い支援を行っています

PICK UP この記事に興味のある人が見ている独立開業プラン

アントレ 独立、開業、起業をご検討のみなさまへ

アントレは、これから独立を目指している方に、フランチャイズや代理店の募集情報をはじめ、
さまざまな情報と機会を提供する日本最大級の独立・開業・起業・フランチャイズ・代理店募集情報サイトです。