弁当業界は、コロナ禍でも安定した中食(惣菜)需要を背景に、健康志向や高齢者向け需要の高まりによって、大きな市場性と将来性を秘めています。本記事では、弁当屋フランチャイズの特徴や開業・運転資金について解説しています。フランチャイズに対する疑問を払拭して先輩加盟店にならえば、飲食業未経験からでも成功への道が見えてくるでしょう。
弁当業界の市場動向
弁当の購入頻度は意外に高く、最近半年間で3回以上購入した頻度は、2位:おにぎり(51.0%)・3位:コロッケ(41.4%)・4位:鶏の唐揚げ(40.4%)・5位:サンドイッチ(39.8%)を抑えて1位:弁当(52.6%)です。
なお、惣菜選びは栄養バランスよりも、おいしさや価格、好みで決める傾向が強いようです。しかし、商品パッケージでカロリーや糖質、食塩量の表示を見たり、スマートウォッチや健康関連アプリを使用する方は徐々に増えています。
さらに、メニュー選びの基準が「健康によい食事」へとシフトしてきたため、今後ますます惣菜や弁当市場へもこの流れが波及し、社会的動向として新たな市場を形成することが予想されます。
出典:農林水産省|(1)中食・外食の概況③中食の市場規模、購入品目等
フランチャイズで開業できる弁当屋について
フランチャイズの仕組みと、開業資金・運転資金を把握しておきましょう。
フランチャイズの仕組み
フランチャイズシステムとは、フランチャイズ本部が開発したビジネスモデル(商品開発・オペレーションのノウハウなど)を加盟店へ提供し、独立開業から経営の安定までをサポートするビジネスモデルです。フランチャイズ加盟店は、低予算で効率的な開業パッケージプランを使って起業し、広く浸透したブランドの信用でビジネスを有利に展開します。
フランチャイズのメリットは、1人で0からビジネスを立ち上げる必要がないところです。多くの加盟店が成功してきた実績あるノウハウに沿って運営するため、ビジネスが安全で早く軌道に乗る可能性が高まります。
有名な弁当チェーンなら、味と価格に裏打ちされたブランド力があるため、集客が比較的容易です。また、マーケティング目線で集客しやすい物件探しをサポートしてくれるなど、業界未経験から開業する方にとってフランチャイズ本部は大変心強い存在なのです。
開業資金・運転資金の目安
弁当屋のフランチャイズの開業資金と運転資金には、下記の費用が含まれます。
運転資金:材料仕入れ・人件費・水道光熱費・インターネット費用・消耗品雑費・家賃管理費・ロイヤリティなど
※どのような項目があるかは加盟するフランチャイズ本部によって異なる
なお、開業資金は融資を受けて調達することが多いのですが、自己資金0円で全額融資を受けられる可能性はかなり低いです。一方、自己資金をたくさん用意していれば融資してくれる金融機関が増え、貸付金利も安くしてくれる傾向があります。そのため、できる限りたくさんの自己資金を準備して少しでもよい金利で借りられるようにしましょう。
また運転資金だけでなく、急な出費が発生することや想定よりも売り上げが低い時期が続いても、しばらくは生活ができるようにしなければなりません。そのため、生活費は少なくとも6ヵ月分、できれば12ヵ月分は用意して、経営が安定するまでじっくり仕事に集中できるように準備しておきましょう。
まずはフランチャイズの仕組みを知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
フランチャイズ本部選びの参考に!フランチャイズで弁当屋を開業するメリット
フランチャイズで弁当屋を開業するメリットを理解し、フランチャイズ本部選びの参考にしましょう。
弁当屋のブランド力を活かせる
誰もが知っている大手の弁当屋チェーンに加盟してブランド力を最大限に使えば、ブランドに対する信頼度が蓄積されている状態での開業となるので、開業後すぐであってもある程度の集客を見込むことができます。また、お花見やスポーツ大会などのイベント用にまとまった数の受注で営業をかける場合でも、ネームバリューがあれば信頼を得やすいという強みがあります。
また、昔から好きでよく食べていた弁当屋チェーンなら、自社商品に対して並々ならぬ愛着を感じられるでしょう。「自分が好きなものを提供できる」ことは、心から楽しんでビジネスできたり、積極的に取り組めたりするという効果があります。
なお、業界大手の弁当屋チェーンはブランド力があるためロイヤリティが高めです。ネームバリューとロイヤリティのバランスを考えながらフランチャイズ本部を選ぶようにしましょう。
立地や物件取得に関するアドバイスがもらえる
弁当屋は、大通りに面した建物の1階部分で見かけることが多く、駅と住宅街の間にあって帰宅するまでに購入できるように生活動線上に配置されています。ただし、街は昼と夜で交通量や顧客層が変わり、同じ道でも人や車の往来は別物ですので注意が必要です。また、弁当屋のメインターゲットの一つである独身単身者が居住する割合が多い沿線や駅を探る必要もあります。
また、意外かもしれませんが、スーパーやコンビニエンスストアなどが近くにある立地は商品が競合しそうでも、実は相乗効果で売り上げは上がる傾向があるのです。フランチャイズ本部なら、これまでに蓄積したデータをもとに効率よく売り上げが上がる地域や物件のアドバイスが得られたり、場合によっては一緒に物件を探したりすることもあるでしょう。
特に、フランチャイズ本部がショッピングモール内や人通りが絶えない場所を押さえていたり、既存店の引継ぎなど代替わりしたいオーナーを紹介してくれたりすることもあるため、物件探しは協力を仰いだほうがよいこともあります。
事業ノウハウがある
飲食業での就労経験がなかったり経営未経験であったりしても、フランチャイズに加盟して飲食店を開業する方はたくさんいます。むしろフランチャイズのノウハウや開業サポートは、業界未経験でもほかの弁当屋と同じクオリティが再現できる、成功確率の高いビジネスモデルです。
また、フランチャイズ本部が用意してくれる調理機器や調理技術研修、仕入れルートや売り上げ管理システムの利用によって、自然に効率化ができています。そのため、個人が0から開業するよりも、短期間でビジネスを軌道に乗せられるのです。
弁当屋の開業前後におけるサポート力が高い
最も緊張するオープンから数日間は、元店長クラスのベテランSV(スーパーバイザー)がオペレーションに加わり、ミスを減らして効率的に動けるように現場を仕上げてくれます。
そして、集計された売り上げの傾向から改善点を見つけてアドバイスがもらえ、ほかの加盟店の成功事例を全加盟店で共有するなど、みんなで伸びていきたいという企業風土もオーナーの心の支えになっているのだそうです。
また、弁当屋に関係する資格(食品衛生管理者・飲食店営業許可証・防火管理者・調理師など)取得のアドバイスや業界の動向など、個人ではなかなか得られない情報も適宜共有してくれるため安心です。
フランチャイズで弁当屋を開業するデメリット
フランチャイズに加盟していない弁当屋もたくさんあります。フランチャイズ加盟のデメリットは下記の点でしょう。
- 売り上げに応じたロイヤリティが毎月かかる
- 店舗の意匠やユニフォームを変えられない
- 独自メニューの販売や価格設定・キャンペーンができない
- 脱退から一定期間は弁当屋ができない(競業避止義務)
- フランチャイズ本部やほかの加盟店の不祥事が自分にも影響する
自由度が低いことがネックになる場合には、フランチャイズに加盟しないという選択肢もあります。自分がどのような弁当屋を開業したいか、譲れないポイントを明確にしてからフランチャイズか自力開業かを見極めましょう。
フランチャイズを活用して成功する弁当屋を目指そう
弁当屋のフランチャイズはネームバリューやブランド力だけでなく、成功体験の共有や業務改善のアドバイスなどフランチャイズ本部のサポートが大きな魅力です。
自由度は制限されるものの、初期投資を抑えて短期間で効率よく弁当屋ビジネスを軌道に乗せたい場合には、フランチャイズは大きな魅力があるでしょう。
成長著しい弁当業界の追い風に乗って、独立開業の夢を叶えてみてはいかがでしょうか。
アントレでは、弁当屋のフランチャイズを始めたい方のための情報も掲載しています。独立や開業が気になっている方は、ぜひチェックしてみてください。
<文/柴田敏雄>