あなたが人生をかけて達成したい目標はなんですか?
この問いに即答できる人は、大人でもそう多くないと思います。
「僕、小さい頃から”英雄”になりたかったんですよ。」
インタビューの冒頭、株式会社ワールドスケープ代表取締役CEO・海保けんたろーさんは、その問いに子どものような笑顔で答えていました。
海保さんが経営する株式会社ワールドスケープは、アーティスト支援サービス「Frekul(フリクル)」の運営、人の好みをAIが理解して、未知の音楽を聴かせてくれる「Lumit(ルミット)」など、音楽に関する様々なサービスを展開しています。
実は海保さんは元々プロのミュージシャンで、現在もドラマーとして活躍しています。経営者でありながら現役ドラマー。まさに二足のわらじを履いて活躍する海保さんに今回、自身のパラレルキャリアについて、そして今の世の中に対して感じることをお聞きしました。
全ては英雄になるため。その目的のためにドラマーと経営者を選択している海保さんは、一体何を見つめているのでしょうか。
ドラマー / 株式会社ワールドスケープ代表取締役
1981年生まれ東京出身。
高校入学とともにドラムを始め、22歳からプロとしての活動を開始。
「キマグレン」「ハシグチカナデリヤ」「SONALIO」など数々のアーティストのサポートドラマーやバンドメンバーとして活躍する。
2011年には、音楽業界を変革するためのIT企業・株式会社ワールドスケープを設立。
音楽活動支援サービス「Frekul」や、音楽発見アプリ「Lumit」の開発運営を行っている。
現在は音楽活動と会社経営を並行しつつ活動中。
将来の夢は英雄になること。
ビジネス経験ゼロのバンドマンが起業!?プロの世界でぶつかった、音楽業界の壁
―プロとして活躍するバンドマンだった海保さんですが、現在は経営者としても活躍していらっしゃいます。どのような経緯で現在の立ち位置になったのか、まずは海保さんの経歴について簡単に教えてください。
はい、たしかにキャリアが飛びすぎていて何がどうなって今のキャリアになったのか謎ですよね(笑)。簡単に説明します。
僕は小さい頃から有名人になりたい、ビッグになりたいという夢がありました。この夢は今現在も「英雄になりたい」という形であるんですが。
さて、そんなことを漠然と考えていた学生時代、好きだった女の子がドラムを叩いていたんです。その影響でドラムを叩き始めたんですが、だんだん上手になってくると「このドラムというスキルを使って、有名になれるんじゃないか?」と思ったわけです。
それで高校卒業後、ずっとドラマーとして活動していました。自分のバンドもやりつつ他のバンドのサポートやアルバイトもして生計を立てていました。そして2009年、念願叶ってデビューを果したんです。
―有名になりたい、という思いを実現するためにデビューするという選択をしたんですね。
はい、まさにその通りです。僕の場合「プロのドラマーになる」「バンドで飯を食ってく」という考えよりも「英雄になりたい」という思いが先にあったんです。
だからデビューは、そのための足がかりになると思いました。
しかし事務所に入ったものの、CDが売れなかったんですよ。テレビのタイアップを取ってCDが売れたとしても、契約上アーティスト側に入ってくる取り分があまりにも少なすぎる。
自分の周りのミュージシャン仲間に話を聞いてみたら、やっぱりみんな給与をまともにもらえていない人たちが多かった。その時に思ったんです。「ああ、この音楽業界のビジネスモデルそのものに無理があるんだな」って。
お金をきちんと稼げない状況をどうにかしようと、メンバーと話し合ったんです。ちょうど、事務所に入ってから2年程経った頃でした。
そこで「ミュージシャンがもっとお金を稼げる、こんな機能があるサービスがあったらいいのに」ってアイデアが出て、そんなサービスを探してみたんですがどこにもなかった。
「ならいっそのこと、自分たちで作ってしまおう!」と自分たちで作り上げたのが”Frekul”であり、弊社”ワールドスケープ”なんです。