「大学生企業がしたい!」と思いながら、失敗への不安から一歩を踏み出せない方は多いのではないでしょうか。
しかし、大学生のうちに挑戦した方が、得られるものが多いのも事実です。まだ失敗してもやり直しができるうちに、起業を経験するのも悪くはありません。
本記事では、大学生企業のメリット・デメリットや注意点、資金調達の方法からおすすめのビジネスモデルまで、あなたの失敗の確立を少しでも減らせる情報を紹介します。
大学生起業は実際どうなの?

今や、大学生起業は珍しくありません。ここでは、大学生企業の実情を紹介します。
ITの普及と価値観の多様化による「追い風」
ITの普及は、起業のハードルを劇的に下げました。
かつて必要だった高額な資本金やオフィス、固定電話などがなくても、PCとインターネット環境さえあれば自宅で起業できる事業も増えています。
また、社会の価値観が多様化し、大学生ならではの柔軟な視点や新しい感性がビジネスとして受け入れられやすいため、現在は大学生企業に「追い風」が吹いていると言えます。
今は小学生起業家もいる時代
今や大学生だけでなく、高校生や中学生、さらには小学生の起業家も誕生しています。
たとえば、重いランドセルの不便さを解消するために生まれた商品「サンポセル」は、小学生の日常の課題から生まれたヒット商品です。
このように、社会人経験がなくても、身近な課題に着目し、具体的な解決策を形にすることで、世の中に支持されるサービスを生み出すことが可能になっています。
こちらは、学生起業家へのインタビューです。
大学生起業のメリット

大学生起業には、多くのメリットがあります。ここでは、就職する前だからこそできる、大学生起業のメリットについて紹介します。
圧倒的な体力と実行力
若さゆえの体力は、起業での大きな武器です。
起業初期は、手続きや事業の軌道化に膨大なエネルギーを要します。精神的・肉体的な負荷を乗り越えられる体力と実行力は、大学生ならではの強みです。
頭脳的にも環境的にも、失敗から学びやすい
大学生は、既成概念に縛られにくく、柔軟な思考で新しい知識を素直に吸収できる可能性を持っています。
たとえ失敗しても、それを学びとして次に活かせるフットワークの軽さが、起業には最適なのです。
先駆者から可愛がられやすい
学生起業家はまだ少数派であるため、同じ経験を持つ先輩起業家や大学のOB・OGから応援してもらいやすい傾向があります。
チャレンジする姿勢を見せれば、貴重なアドバイスをもらえる可能性も高まるでしょう。
“大学生”という立場を活かせることも
大学の図書館やPCなどの設備は、資料作成や調査に役立つ拠点となります。
また、社会人と比べて時間の融通が利きやすく、授業やアルバイトを調整すれば事業に集中する時間を確保できるのも、大学生ならではの強みです。
万が一失敗しても「就職」という選択肢が残されている点も、強みと言えるでしょう。
将来役立つ“アドバンテージ”が得られる
起業をすると、営業、マーケティング、財務、法務など、経営に必要な幅広い実務を早期に経験できます。
この経験は、社会人としても得難いものなので、将来のキャリアにおいて大きなアドバンテージとなるでしょう。
大学生起業のデメリット

大学生の起業には多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。事前にリスクを把握しておくことも大切です。
学業や就職活動との両立が大変
大学生の本分は学業です。
経営学部などであれば学びと起業を両立しやすいかもしれませんが、事業に時間を取られすぎると、学業や就職活動が疎かになる恐れがあります。
新卒入社の機会を失うリスクも考慮し、リソース配分には注意しましょう。
社会的信用を得ることが難しく、資金調達は難航しがち
「大学生」という立場は、ビジネスシーンで社会的信用を得にくい側面があります。
「学業の片手間」と見なされ、資金調達が難航するケースも少なくないため、事業へのコミットメントを姿勢で示し、信頼を勝ち取る努力が必要です。
ただし、近年は日本政策金融公庫の「新規開業資金」など、若者を支援する制度も増えています。
社会経験が乏しい
大学生には社会人経験がないため、ビジネスマナーや業界特有の商慣習に関する知識が乏しい点はデメリットです。これらは自ら学ぶしかありません。
一方で、社会の常識にとらわれない柔軟な発想はメリットにもなり得ます。自身の状況を客観視し、必要な知識を貪欲に吸収する姿勢が大切です。
大学生起業でのビジネスの選び方・創り方

ここでは、大学生が起業するメリット・デメリットを踏まえ、ビジネスの選び方と創り方に関する注意点を解説します。
学内外での学びや体験こそが、アイデアのベースとなる
ビジネスアイデアの多くは、実体験から得られます。事業を考える際は、大学生活や日常で感じる「不満」や「ストレス」を起点に、解決策を考えてみましょう。
また、大学の授業で得た社会課題への気づきも、事業のヒントになります。
初期投資の少ないビジネスモデルを考える
大学生起業では、多額の初期投資が必要なビジネスは避け、まずは低コストで始められるモデルを選びましょう。
たとえば、店舗を構えずに自宅や大学を拠点にしたり、オンラインストアを活用するなど、初期費用を抑える工夫が重要です。
事業の成長に応じて追加投資を検討すれば、初期投資を抑えても問題ありません。
まずはスモールスタートで
大学生起業では、事業規模を小さくして始める「スモールスタート」を推奨します。いきなり大きな売上を追うのではなく、まずは試験的に始め、軌道に乗せることを目指しましょう。
小さく始めることで、リスクを最小限に抑えながら起業に挑戦できます。
大学生起業での仲間の選び方・チームのつくり方

ビジネスモデルと並んで、「誰と起業するか」も起業では重要なポイントです。事業を始める前に、チーム体制についても慎重に検討しましょう。
いろいろ試すなら“1人”がベスト
複数のアイデアを試したい場合や、確実な収益が見込めない段階では、まず1人で始めるのが最適です。
報酬の支払いや意見の対立といった問題を避けられるので、スモールスタートにも適しています。
創業チームは多くても“3人まで”
1人ではリソースが限られてしまうので、開発担当やマーケティング担当など、異なる強みを持つ仲間と役割分担するのも有効です。
ただし、意思決定のスピードを保つため、創業メンバーは多くても3人程度に留めるのが賢明です。リソース不足は、経営に直接関与しない形で協力を仰げば補えます。
チームメンバーを友達で固めない
大学の友人と起業するケースは多いですが、全員を友人で固めるのは推奨しません。
友情が結束力を生むこともありますが、事業の成長を最優先に考え、客観的な視点で忖度なく意見を言い合える関係性を優先しましょう。
大学生起業の具体的なステップ
大学生起業は、どのような手順で進めればよいのでしょうか。
ここでは、大学生が起業する際の一般的なステップを5段階で解説します。
ビジネスアイデアを見つける
まずは事業の核となるアイデアを探しましょう。
自身の経験や、大学生活での「不便」「課題」から考えるか、自分が得意なジャンルから考えていくと、解像度が高いビジネスアイデアが浮かんでくるでしょう。
事業計画書を作成する
アイデアが固まったら、事業計画書を作成しましょう。
事業計画書とは、ビジネスの概要、市場分析、競合との差別化、収益モデル、販売戦略などをまとめた設計図です。
誰に、何を、どのように提供し、どうやって利益を出すのかを具体的に言語化しておくと、次の資金調達の段階で重宝します。
資金調達をおこなう
事業計画書ができあがったら、事業の開始と運営に必要な資金を確保します。
自己資金で賄うのが最も低リスクですが、それ以外にも多様な方法があります。具体的な調達方法については、次のセクションで詳しく解説します。
法人設立または開業届の提出
資金を確保したら、事業を「法人」として運営するか、「個人事業主」として運営するかを決定します。
まずはスモールスタートしやすい「個人事業主」として、税務署に開業届を提出するのが一般的です。
事業規模が大きくなり、売上や社会的信用がより必要になったタイミングで「法人(株式会社や合同会社など)」の設立を検討するとよいでしょう。
テストマーケティングと改善
準備が整ったら、いよいよサービスや商品を市場に出します。まずは小規模にテストマーケティングをおこない、顧客の反応を見てみましょう。
得られたフィードバックを基に、サービスや戦略を迅速に改善(PDCAを回す)していくことが、事業を軌道に乗せる鍵となります。
大学生起業における資金調達の方法
大学生は社会的信用が低く、資金調達が難しいとされますが、学生向けの支援も存在します。
ここでは、主な資金調達の方法を5つ紹介します。
自己資金(アルバイトなど)
最も手軽でリスクのない方法は、アルバイトなどで貯めた自己資金を使うことです。
初期投資を抑えたスモールスタートであれば、自己資金だけで始めることも十分に可能です。
日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫は、政府系の金融機関であり、起業家支援に積極的です。
特に「新規開業資金」や、若者・女性向けの優遇制度が用意されているので、大学生でも事業計画書をしっかり作り込めば、融資を受けられる可能性があります。
補助金・助成金
国や地方自治体は、特定の条件を満たす起業家に対して、返済不要の補助金や助成金を提供しています。
学生起業家を対象とした制度が設けられている場合もあるため、自治体の窓口や専門サイトで情報を確認しましょう。
ビジネスコンテスト・ピッチイベント
大学や企業、自治体が主催するビジネスコンテストやピッチイベントも、資金調達の場となります。
入賞すれば賞金が得られるほか、投資家やメンターとの人脈形成にもつながるので、自信がある方は積極的に挑戦しましょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から少額ずつ資金を集める方法です。自身の事業アイデアや情熱を発信し、共感を得ることで資金を募ります。
資金調達だけでなく、事業開始前のファン獲得やPR効果も期待できます。
大学生の起業におすすめなビジネスモデル

最後に、ビジネスの選び方やチームづくりのポイントを踏まえた、大学生におすすめのビジネスモデルを3つのカテゴリに分けて紹介します。
低リスク・低コストなフリーランス系のビジネスモデル
まずは法人化せず、個人事業主として低リスク・低コストで始められるフリーランス系の仕事を紹介します。
PCとネット環境があれば可能なものが多く、将来的に法人化も目指せる仕事です。
フリーライター
Webライターは、パソコンとインターネット接続環境があれば、誰でも始められる事業です。
未経験、大学生歓迎、20代限定の案件も多くあるので、まずはクラウドソーシングサイトでスキルを磨き、そこから起業すれば、最初からある程度の仕事は受けられる状況を作りやすいでしょう。
エンジニア
プログラミングの知識を活かして業務委託で仕事を請け負い、納品した成果物や活動時間に対して報酬を得るのも、実現しやすいビジネスの形です。
サービスを作る業務に携わり、プログラミングの知識や経験を増やしていけるので、今後、サービスを開発していくための軸が学べるでしょう。
Webデザイナー
Webデザインのスキルを活かして、Webデザイナーとして仕事を請け負うビジネスモデルです。
単に要望通りのデザインに仕上げるだけではなく、UI/UXデザインによってユーザーの行動がどう変わったのか分析する視点も、Webデザイナーとして大切な要素です。
大学生の感性を活かし、常に最新トレンドをキャッチできるようにアンテナを張ることで、社会人のデザイナーにはない斬新なデザインを提供できるようになるでしょう。
動画編集者
YouTubeやTikTokなど、動画投稿サイトが情報伝達の主流になっている影響で、動画編集者のニーズも高まっています。
ショート動画などは、若年層の間で流行っている傾向があるため、大学生としての感性を最大限活かした制作物が求められます。
編集力を磨くなら動画編集を、企画力を磨くのであれば、自身でチャンネルを作って発信してもよいでしょう。
大学生としての経験を活かすビジネスモデル
続いては、大学生としての経験を存分に活かしたビジネスモデルを見ていきましょう。
シェアハウス運営
実家を離れて暮らす人のために、シェアハウスを運営することも、立派なビジネスモデルです。
一人暮らしではコストがかかりすぎる物件も、複数人で集まって住むことで割安に生活できるので、学生向けのビジネスとしては最適でしょう。
口コミやSNSだけでなく、友人の紹介なども容易に得られるなどのメリットもあります。
イベントやセミナーの運営
大学生が参加してみたくなるイベントやセミナーを主催し、参加費や協賛金を集めて開催していくビジネスモデルもおすすめです。
ターゲットと年齢や視点が近いからこそ、学生に刺さるイベントが企画できるでしょう。
アプリ開発
アプリ開発も、比較的簡単に始められるビジネスです。
幼い頃からデジタル機器に囲まれてきた大学生だからこそ、既存のアプリにはない世の中に求められるアプリがどのようなものか、感覚的に理解しやすいといえます。
すでにあるサービスに差別化させる要素をプラスするなど、横展開で考えることもおすすめです。
産学連携
大学などの教育機関や研究機関と民間企業が連携した、産学連携のビジネスモデルも、大学生には身近なものでしょう。
自分の大学でどのような産学連携の実績があるか、募集しているビジネスコンテストがないかなど確認しておきましょう。
事業推進に慣れてきたら挑戦したいビジネスモデル
起業した事業が安定したら挑戦したいビジネスモデルも、ここで紹介します。
Web制作
Web制作は、先ほど紹介したWebライター、エンジニア、Webデザイナーが集まっておこなうビジネスです。
個々に実績を持つ人物を集められれば、相乗効果で面白い制作物を作っていけるでしょう。
外注に頼らず、自分たちだけで規模の大きな案件に挑戦できることも魅力です。
マーケティング関連
Web広告やSNS集客など、プランニングから実行まで請け負うマーケティング関連のサービスも、事業化しやすいモデルの1つです。
ただし、マーケティングは数値が成果の世界です。常に最新の知識を入れ続け、学び続ける姿勢がないと厳しいでしょう。
大学生のうちに起業することには、“体験”としての価値がある

大学生起業には、多くのメリットとデメリットが存在します。
大学生の視点や環境を活かせる部分のあれば、社会人ではないからと厳しく見られるシーンもあるでしょう。
しかし、学生起業で得られる経験は、何物にも代えがたいものです。せっかくの「失敗できるチャンス」を活かし、学生のうちから経験を積んでみてはいかがでしょうか。
<文/赤塚元基>










