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個人事業主が行う引っ越しは経費になる?

個人事業主が行う引っ越しは経費になる?

個人事業主が自宅で仕事をしている場合、事業で利用している部分の家賃を経費として計上することが認められています。

では、自宅兼事務所を引っ越す場合、家賃同様に引っ越し費用の一部を経費とすることは可能なのでしょうか。

自宅を事務所として使っている個人事業主の方が引っ越しする場合、引っ越し費用の中で経費計上できるものの紹介と、仕訳の仕方や勘定科目について、まとめて解説していきます。

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個人事業主が行う引っ越しは経費計上できる?

結論からいうと、個人事業主が引っ越しをする際は、経費計上できるケースとできないケースがあります。

“引っ越し”と一言でいっても、個人事業主の“引っ越し”には以下の4つのパターンが考えられます。4つのパターンのうちどれに当てはまるかで、引っ越しの費用をどれほど経費計上できるかが異なります。まずは4つのパターンをそれぞれ見ていきましょう。

1.自宅・事務所が別で、事務所のみ引っ越し:全額経費計上可能

1つ目のケースは「自宅と事務所が異なり、事務所のみを引っ越す場合」です。自宅と事務所が異なり、事務所のみ引っ越しをする場合は、事業に関わる引っ越しとなります。そのため、すべての引っ越し費用を必要経費として計上できます。

2.自宅・事務所が一緒で、事務所部分のみ引っ越し:全額経費計上可能

2つ目のケースは「現在は自宅兼事務所としているものの、事務所部分のみ引っ越しをして自宅はそのまま住居専用として住み続ける場合」です。この場合は事務所部分のみであるため、事業に関わる引っ越しとなります。そのため、1つ目のケースと同様に、すべての引っ越し費用を経費計上できます。

3.自宅・事務所が一緒で、自宅部分のみ引っ越し:全額経費計上不可

3つ目のケースは「現在は自宅兼事務所としているものの、自宅を別のところとするために引っ越しをして、事務所としてはそのまま利用し続ける場合」です。この場合、引っ越しが必要なのは自宅利用している部分のみとなります。そのため、事業とは関係のない引っ越しということになり、引っ越し費用の経費計上は認められていません。

4.自宅・事務所が一緒で、新たな自宅・事務所へ引っ越し:一部経費計上可能

4つ目のケースは「現在の自宅兼事務所から、新たな自宅兼事務所に引っ越しをする場合」です。この場合には、まず事業に使っている部分と自宅として使っている部分の割合を算出します。その上で、事業に使っている部分の引っ越しにあたる割合のみを経費計上することが可能です。

このように、同じ個人事業主の引っ越しでも「どこに事務所を構えていて、どのような引っ越しをするのか」によって経費計上できるか否かは異なります。まずは自分の引っ越しが上記4パターンのいずれに当てはまりそうなのかを確認してみてください。

引っ越しで経費にできる項目とは

引っ越しに関わる費用のうち、個人事業主が経費として計上できる項目は以下の通りです。基本的に、事業に関わる引っ越しであれば、引っ越しにかかる費用はすべて経費として計上できます。

・引っ越し業者に支払う荷造運賃費用など
・礼金
・火災保険・地震保険
・仲介手数料
・管理費(賃料)
・鍵の交換代
・交通費 など

これら費用はすべて経費計上できるものの、領収書のような正式な記録のない費用については経費として認められません。引っ越し先を探す際に利用した電車の切符やバスの運賃など、領収書やレシートが発行されないものもあるでしょう。それらに関しては、自分ですぐに出金伝票を作成するようにしてください。

また、領収書ではなくレシートでも記録として使えます。しかし、税務署の調査が入ったときに詳細を尋ねられて説明できないということがないように、どのようなものにいくら使ったのか、正確なメモを残すことをおすすめします。

仕訳の方法について

個人事業主の引っ越し費用は、事業に関する部分については経費計上が可能です。しかし、引っ越し費用を経費計上する際、費用別に勘定科目が異なります。経費計上できる項目をどのように仕訳するべきなのか、解説していきます。

1.引っ越し業者に支払う荷造運賃費用など

引っ越し先に運び出すものの荷造りや搬入・搬出、トラックでの運搬など、引っ越し業者に業務を依頼し、支払う費用は勘定科目を「雑費」として経費計上します。

荷造りに必要になったダンボール箱などの梱包セットは「荷造運賃」です。

なお、事務所の移転に伴い、雇っている従業員にも引っ越しが必要となる場合もあるでしょう。このような場合、社内規程の範囲で負担する従業員の引っ越し代も経費として計上できる可能性があります。この場合の勘定科目は「福利厚生費」や「旅費交通費」などとなります。領収書を発行して忘れずに提出してもらいましょう。

2.礼金

引っ越し先の物件に対して礼金を支払った場合、礼金の金額が20万円以下かどうかによって勘定科目が変わります。

【礼金が20万円以下の場合】
勘定科目は「地代家賃」で計上する

【礼金が20万円を超える額の場合】
「長期前払費用」として資産計上し、賃貸期間に対応して経費を計上するのが一般的です。

3.敷金

敷金は、退去時に戻ってくることが前提となっています。返ってくる費用については経費計上ができないため、敷金は経費としては認められません。

ただし、敷金のうち退去時に畳の表替えや壁紙の修繕などの理由で敷金の中から支払いがあった場合は、その金額について経費として計上できます。

勘定科目は「修繕費」です。

4.火災保険料

火災保険の支払いが必要な場合は、「損害保険料」として計上します。

ほかにもかかる費用があれば、その費用に合わせて勘定科目を選択し、仕訳していきます。

また、引っ越し後も家賃や管理費は、事業に関する部分を経費として計上が可能です。

5.仲介手数料

引っ越し先を探す際に不動産会社を仲介した場合、契約成立時に不動産会社へ謝礼金として「仲介手数料」を支払います。宅地建物取引業法第46条により、仲介手数料は賃貸の場合、最高でも家賃1ヵ月分+消費税と定められているので、物件契約時にどれほどの額になりそうか不動産会社に確認しておきましょう。

仲介手数料は「支払手数料」として経費計上します。

6.鍵の交換代

中には「必要ない」と感じる方もいるかもしれませんが、セキュリティのことを考えると入居する事務所の鍵は交換しておいた方が良いでしょう。鍵を交換するだけでも数万円ほどの費用がかかりますが、事務所として活用する物件であれば、セキュリティには気を遣いたいところです。鍵の交換は事業を展開していくにあたり必要経費といえます。

勘定科目は「消耗費」です。

7.交通費

引っ越しをするためには不動産会社に足を運んだり、内覧に行ったり、前の家から新居に移動したりと何かと移動が必要になり交通費がかかります。事務所の引っ越しの場合、この交通費も事業を運営していく上で必要な経費となります。そのため、「交通費」として経費計上ができるのです。

宅地建物取引業法第46条(e-GOV検索)

引っ越しで見落としがちな経費について

「本当は引っ越し費用として経費計上できるのに、見落としてしまっていて経費にできなかった!」などということは、よくあることです。せっかく経費計上できるものを見落としてしまうのはもったいないので、きちんと確認するようにしましょう。

本店や支店移動のために発生する登記の書き換え

個人事業主が事務所を移転させる際、商号登記をしている場合は、法務局で移転の登記を行わなくてはいけません。移転の登記をするためには、登記の書き換えに印紙代が必要になります。

印紙代は本店・支店の移転数1か所につき3万円必要です。登記の書き換えに必要な印紙代も、もちろん経費として計上できるものです。忘れずに計上しましょう。

「No.7191 登録免許税の税額表」(国税庁)

「No.2091 個人事業者の納税地等に異動があった場合の届出関係」(国税庁)

大型家具などの処分代

意外と忘れてしまいがちなのが、大型家具などの処分代です。

引っ越しをするにあたり、心機一転新しい家具を揃えるために前の事業所で使っていたデスクやキャビネットなどの大型家具や什器などを処分することはよくあります。しかし、多くの自治体で大型家具や家電はリサイクル料や処分料を請求されます。この費用は、専門業者に処分をお願いした場合でも同等の処分料を請求されるでしょう。

計上できる引っ越し費用は引っ越し先や手続きにかかる費用だけでなく、退去のための費用も含まれます。特に大型家具の処分費用は大きな額になるケースが多いため、領収書を忘れずにもらい経費計上できるようにしましょう。

名刺や会社サイトなどの表記の書き換え

事務所の住所が変わった場合、名刺に記載する住所なども変更が必要になります。取引先などに住所変更の連絡をする前に郵便物については、郵便局へ転居届を出せば転送してもらえます。「前の住所の方へ大事な資料が届いてしまった!」ということにならないように事前に届け出るようにしてください。電話番号も変更となる場合は、新しい電話番号を一定期間アナウンスするサービスなども電話会社によってはありますので事前に確認することをおすすめします。

住所や電話番号が変わった場合、名刺やホームページなどの書き換えを行わなくてはいけません。新しい名刺の作成代や、ホームページの修正料金ももちろん経費として計上できます。忘れずに計上しましょう。

「転居・転送サービス」(郵便局)

パソコンやサーバーなどの電子機器や電話などの再設置費用

大きな額になるにも関わらず、うっかり見落としてしまいがちなのが、パソコンやサーバーなどの電子機器や電話などの再設置費用です。

新しい事務所にパソコンやサーバー、電話を設置する場合、再設置費用が発生します。パソコンや電話は比較的簡単な作業で誰にでもできることもあるため、引っ越しパックの中に無料のオプションとして入っていることもあります。

しかし、サーバーを移転させて設置するためには専門知識が必要になります。引っ越しパックの中でも別途費用が必要になったり、引っ越し業者では対応できず専門業者に別に依頼したりしなくてはいけないこともあります。

作業の内容によってどのくらいの費用が必要になるのかは大きく変わってきます。ただし、取り外す作業と設置する作業の両方が必要になるため、場合によってはかなりの額になることが予想できます。

この費用もうっかりしていると経費計上を忘れてしまうことがあります。大きな額になるので、忘れずにしましょう。

個人事業主が行う引っ越しで経費として認められないもの

個人事業主の引っ越しに際して、経費計上できないものにはどのようなものがあるでしょうか。

自宅兼事務所を引っ越す場合、個人事業主の事業に必要ではないものは経費計上することはできません。具体的には事業に関わっていないピアノなどの楽器や絵画などの美術品が例に挙げられます。

個人事業主としてピアノ講師など音楽を教える事業であれば、ピアノなどの楽器の引っ越し代も経費として計上することは可能です。しかし、一般的に楽器類は趣味とみなされ個人的な引っ越しに区分されるケースがほとんどであるため、経費として計上することができません。

同様に、絵画や骨とう品などの美術品、貴金属やペットなどの引っ越しに関する費用も事業内容に関わりがない限りその費用を事業用と個人用に分けても経費計上はできません。

これらの引っ越しに関する全額はプライベート用となります。「経費計上するつもりだったのに!」となってしまわないよう事前に確認しておくことをおすすめします。仮に経費計上をして税務署に突っ込まれた場合、きちんと事業で使う目的があることを説明できるようにしておきましょう。

まとめ

個人事業主が事業に使う自宅兼事務所の引っ越しを行う際には、その引っ越し費用のうち、事業に使用している割合の分を経費として計上することが可能です。

また、事業ではなくプライベートの引っ越し費用は、経費として計上することはできません。

個人事業主が引っ越しをする際には、経費として計上できるものが何であるかと、仕分けるための勘定科目を知っておくことが大切です。

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<監修>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

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PROFILE

ちはる

大手IT商社でプロダクトプロモーション担当を経て、 WEBコンテンツ制作会社に転職し、ライターとして所属。その後、独立し、現在はビジネス・不動産関連の記事を主に執筆。

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