ネットショップはここ数年でも大きく市場を拡大しています。店舗を持たないため運営しやすく、フランチャイズに加盟することで本部のノウハウを活かしてスムーズに開業まで進めることができるでしょう。
この記事ではネットショップの市場性をはじめ、フランチャイズで開業するメリットやデメリット、成功するための秘訣についてもご紹介します。
ネットショップの市場性と特徴とは
経済産業省の調査によると、2021年の物販系分野のBtoC-EC市場規模は13兆2,865億円となりました。内訳をみると、「食品、飲料、酒類」(2兆5,199億円)、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆4,584億円)、「衣類・服装雑貨等」(2兆4,279億円)、「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆2,752億円)の割合が大きく、物販系分野の73%を占めています。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり消費の影響でネットショップへのニーズが高まり、その利便性から継続して定着していることが予想できます。
ネットショップを運営する側からみても、PCとインターネット環境さえあれば在宅で店舗を持たずに低コストで開業でき、本業のある会社員や主婦の方でも副業として始めやすいのが魅力です。「ネットショップの開業の仕方や何を仕入れたらいいかわからない」という方も、フランチャイズでネットショップを始める方法もあります。
ネットショップのフランチャイズを開業するには
ネットショップのフランチャイズを開業するための流れや、開業資金や運営資金についてまとめます。
取り扱う商品によっては資格が必要な場合があります。例えば食品であれば食品衛生責任者、化粧品であれば化粧品製造業許可・化粧品製造販売業許可、中古品の販売であれば古物商許可が必要となります。各自治体や国のWebサイトをチェックしてみてください。
中古品の中でも申請が必要な商品カテゴリもあるため、事前に確認するようにしましょう。
フランチャイズであれば、フランチャイズ本部のサポートや指示を受けながら漏れなく申請でき、開業までスムーズに手続きが行えるというメリットがあります。
参照:警視庁|古物商許可申請
ネットショップのフランチャイズ加盟契約~開業までの流れ
ネットショップのフランチャイズに加盟するには、まずはフランチャイズ本部の資料を手配して説明会に参加します。
フランチャイズ本部との契約内容を確認して加盟契約を行ってから、必要な資格を取得したりWebサイトの開設などネットショップ開業の準備を進めます。多くのフランチャイズでは在庫を持たずに、商品が売れてから仕入れる方法をとっています。こうしたフランチャイズ本部での開業の場合、無在庫でショップが開設できることになります。
開業資金
ネットショップをフランチャイズで開業する場合、開業資金としてフランチャイズ本部に支払う加盟金、研修費、保証金などがかかります。実店舗を構えるのに比べて物件の必要もないため、比較的低コストで物販を開始できるのは大きな強みです。在庫を持たずにスタッフも雇用しないのであれば、数万円~50万円で開業できることが多いでしょう。
運転資金
ネットショップを開業後の運営資金についても考えてみましょう。在庫を持つ場合は資金商品・商材等の仕入れ代がかかります。
またフンチャイズ本部によって異なりますが、フランチャイズ本部へ支払う売り上げに応じたロイヤリティ(1万円~数万円程度が多い)、システム利用料、集客費などが発生します。それ以外にもWebサイトの保守費用、配送料、事務所や倉庫を用意した場合の家賃、スタッフを雇う場合の人件費などがあります。
【参考】個人で開業する場合
フランチャイズに加盟せずにネットショップを個人で開業する方法は2通りあります。
ASP(Application Service Provider)型ネットショップとは、買い物かごや決済画面などネットショップ運営に必要なシステムや場所を提供しているサービスです。
費用が抑えられるため小さく始めることができますが、サービスによってはサイトの自由度が低かったり、SEO対策など自身で集客施策を積極的に行わなければならず、集客が難しかったりする難点があります。サービス利用料の相場は5000円~4万円ほどですが、サービスによっては専任のコンサルタントがついているものもあります。
一方、モール型ネットショップとはインターネット上のショッピングモール内に出店するシステムです。ショッピングモールとなっているプラットフォーム自体のネームバリューが強いため、利用者も多く見込める反面、ライバルも多いことから差別化が必要になります。また、利用料がASP型に比べて高額になる傾向があります。モールへの出店費用は2万~10万円と出店規模や付帯サービスの内容によって異なります。
下記記事ではフランチャイズの仕組みを解説しています。参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
ネットショップのフランチャイズを開業する5つのメリット
低コストで開業できるメリットがあるネットショップですが、フランチャイズで開業するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
未経験でも副業でもショップ運営が可能
フランチャイズならばネットショップの運営が未経験でも、ショップの開業と運営が可能です。ネットショップ運営のノウハウとマニュアルを持つフランチャイズ本部がサポートしてくれるので、開業までの手続きや開業後のサポートも得やすいでしょう。また在庫管理や配送のサポートがあるため、本業があって忙しい方でも副業としても開始しやすいです。
仕入れ先が多岐にわたる
仕入れ先が多岐にわたることも魅力的です。個人では対応が難しい海外の仕入れ先でも、フランチャイズ本部が開拓したルートを利用できます。日本には出店実績がない商品を販売できるなど、競合と差別化しやすいことも考えられます。
またフランチャイズならば全国の加盟店分をまとめて仕入れることで、大量仕入れによるスケールメリットをいかして安く仕入れられることもあります。さらに、複数のショップを運営しやすいというのも大きなポイントでしょう。
顧客や在庫の管理を任せられる
物販ビジネスにおいて、在庫管理は死活問題となります。しかしフランチャイズ本部によっては本部が在庫管理を行っているケースもあるため、自分で在庫を抱える必要がない場合もあります。実店舗での販売もないため、物件取得費用がかからないだけでなく、在庫管理のために部屋や倉庫を借りる必要がないという点もメリットの1つでしょう。
また、会員登録や商品購入を行った顧客のデータ管理に関しても、フランチャイズ本部全体で管理しているシステムを活用できるケースが多いです。このような場合、よりしっかりとしたセキュリティの元で個人情報を管理することになるため、個人情報の取り扱い等に不安を感じることなく、安心して運営していけるでしょう。
配送設備が整っている
商品を顧客に届ける際の配送設備においても、フランチャイズのメリットがあります。個人で配送をするのに比べて、フランチャイズでは配送センターなど設備が完備されているため、配送トラブルを抑えやすいでしょう。商品の規格によっても配送方法が異なることもあるため、それぞれに適した対応を事前に学んで処理できます。
高い利益率を得やすいノウハウが活用できる
ネットショップのように商品を仕入れて販売することで利益を確保するビジネスは、利益率の計算と管理は重要です。実店舗を持つよりネットショップの利益率は高い傾向はあるものの、本部の運営実績やノウハウにより、さらに利益率を上げられる高利益率の商材等の情報を活用できるでしょう。
ネットショップのフランチャイズを開業するデメリット
ネットショップをフランチャイズで開業するメリットを紹介したところで、デメリットについても確認しておきましょう。
フランチャイズ本部のサポートが受けられるため、加盟金やロイヤリティについては必要対価といえるでしょう。とはいえ「自分が期待するサポート」と「フランチャイズ本部ができるサポート」に差があっては、その対価を払う価値がないと感じてしまうことでしょう。自分が求めているサポートとはどんなものか、本部はどれだけのことをしてくれるのかしっかり考え、契約前に確認するようにしましょう。
もう一点注意すべきは本部によって定められている運営上のルールや、契約期間中やその後の競合避止義務などです。自分が扱いたいと思った商品を自由に扱えなかったり、他の商品を扱うネットショップを開業できないリスクもあるため、契約内容は事前によく確認するようにしましょう。
ネットショップのフランチャイズ開業を成功させるポイント
フランチャイズによるネットショップ開業を成功させるポイントについても考えてみましょう。
扱う商品をきちんと把握する
フランチャイズ本部が扱う商品への知識をしっかりと身につけ、商品の魅力をサイト上で伝えられるようにしましょう。商品知識があることで、併売させたり複数購入による単価アップにつなげたりすることができるはずです。
セキュリティ対策は万全にする
フランチャイズ本部が指定または推奨するセキュリティ対策は、必ず比較検討しておきましょう。フランチャイズ本部のセキュリティに安心しきるのではなく、自分自身でも個人情報管理には十分配慮するようにします。「セキュリティ対策を怠ってしまったがゆえに、個人情報流出や顧客トラブルを招き、結果としてネットショップ運営を続けられなくなってしまう」というリスクは極限まで下げておきたいものです。
顧客や本部とのコミュニケーションは密に
ネットショップは顔の見えないサービスだからこそ、顧客へのケアは怠らない姿勢が重要です。購入後のフォローや発送状況の確認、一定期間が経った後の定期的なコミュニケーションなどは顧客の安心感を高めてリピート率アップにつながるでしょう。
またフランチャイズ本部との関係性にも慢心することなく、経営者としての自覚をもってサポート頼みになりすぎないようにしましょう。
まとめ
近年急成長を遂げ、今後もさらなる拡大が予想されるネットショップビジネス。フランチャイズに加盟し本部のサポートを受けることで、個人で開業するのに比べてスムーズに開業できるようになるでしょう。店舗や在庫を持たない形態ならば、開業コストもぐっと抑えられるため「副業でも始めやすいビジネス」です。
一方でフランチャイズによるネットショップ運営は、本部のルールに従わなければならず経営の自由度が低く感じることがあるでしょう。個人で開業することも含めて、自分に合ったフランチャイズ本部があるかどうか比較して検討してみてはいかがでしょうか。
<文/北川美智子>